相澤祐介(あいざわゆうすけ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

SCS国際会計事務所

台湾事務所

董事長(台湾)

相澤 祐介 あいざわ ゆうすけ

単身渡航で中国語をマスター。現地経営者と同じ目線で仕事をする海外起業家型会計士
リーダータイプ
リーダータイプ

1986年9月21日生まれ(37歳)
秋田県出身 ・ 台湾在住
東北大学 経済学部経営学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

SCSに入った当初は中国語こそ自分の強みだと思っていたが、今は、言語はあくまでツールであり、それを使って学んだことや経験したことの中身で差別化していくことが重要だと考えている。

例えば台湾の会計は、記帳が中国語でなされるという点を除いては日本と大きな違いはない。IFRSも2015年から導入されている。つまり、IFRSの知識と優秀な通訳がいれば台湾で会計の業務は回していけるので、台湾の会計を知っていることでは差別化は図れない。一方税務では、統一発票という公共領収書に基づき独特の処理がなされるため、最初は慣れずに苦労した。しかし、この領域にかかる深い専門知識を有している日本人会計士は自分をおいて他にはいないという自負があり、差別化できるポイントの一つだと思っている。

また、これは自分に限ったことではなく、独立して事業を立ち上げた会計士に共通した強みになるが、自分でゼロから会社を立ち上げて、資金繰りやスタッフの採用など24時間365日悩んで実行して失敗してという経験を繰り返してきたことが、自信の根幹となっている。台湾事務所については、自己資本ではないが、法定の最低資本金(約150万円)だけSCSグループから投資をしてもらい、それ以降は借入も追加投資も受けていない。自分の給与が出なくて家賃が払えなくなるかもしれないという不安と隣り合わせの状況から、異国の地で事業を一定規模まで成長させた自負がある。それは大きな組織で毎月給与をもらっている立場では経験できない“経営者としての経験”であり、これこそが自分が周囲と差別化できる強みであると考える。

よく我々の業界で「経営者の目線に立て」と教えられるが、監査法人で働いているときは教えの本質がまったく分かっていなかった。親の気持ちは自分が親の立場になってようやく分かるのと同じで、自分で経営をして初めて経営者(=顧客)の目線に立った仕事ができるのだと思う。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

事業を立ち上げて間もないころ、とある見込み顧客を訪問して顧問業務の提案をしたのだが、「うちは会計事務所には特に困ってないし、今の事務所でそれなりに回っている。見積りもそこと大差ないのであればわざわざ変更するメリットがないので、お引き取り下さい」と門前払いされた。帰り際に、「せめて今度一度お食事だけでも」となんとか次回のアポイントを取り付けた。数週間後二人で会食し、そこで台湾に来た経緯や、台湾での自分の状況をお話させてもらった。

数日して、その方から会計事務所を変更するという連絡をいただいた。「相澤さんに変更することにしました。自分も台湾拠点の責任者として赴任して、慣れない環境で悩むことも多いが、相澤さんの頑張っている姿を見て応援したいと思ったし、一緒に成長していきたいと思いました」ということだった。そして、取引先に対しても「いい会計事務所があります」と弊所を紹介してくれた。出会いから5年間、そのクライアントは毎期増収増益で、社員総数も当時3名だったのが今では30人以上になっている。弊社の成長はこのクライアントと共にあると言っても過言ではないし、弊社の事業拡大はこの方の存在失くしては語れない。

他にも、設立当初のつらい時期を支えてくれた顧客の皆さまには本当に感謝しかないし、この人たちのために知恵を絞って考えて、「やっぱり相澤さんにお願いしてよかった」と言われたときの感激はこの上ない。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

私は新卒でいきなり監査業務についたため、基準や監査マニュアルの通りに監査を実施するだけで、監査される側の立場や気持ちにまで理解が及ばない状態でやっていた。野球をやったことのない人間が、ルールブックだけを見て野球の審判をやっているようなものだ。クライアントの立場に立って指摘をするように教わったが、クライアント側の経験をしたことがないため、想像が及ばない。指摘やアドバイスをしても、「お前に何がわかるんだ」という相手の心の声がひしひしと聞こえてくるのだ。監査法人時代はこの構図に深く悩み、自分の仕事は誰の役に立っているのだろうと疑念を持ちながら仕事をしていた。

自分は監査法人在職中にこの壁を乗り越えることはできなかった。監査法人の外に出て自分自身が経営者としての経験を積み、外部の監査を受けてはじめて、クライアントの目線に立って仕事ができるようになった。このような悩みを乗り越えたおかげで、クライアントとの信頼も深まっている。

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