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日本から世界へ。チャレンジによって無限の可能性を切り開け

【特集 国際会計事務所】
日本から世界へ。チャレンジによって無限の可能性を切り開け

CaN International/グループ代表 大久保 昭平(写真左)
I-GLOCAL/グループ代表 蕪木 優典(写真中央)
スターシア/グループ代表 黄 泰成(写真右) 

【特集 国際会計事務所】
日本から世界へ。チャレンジによって無限の可能性を切り開け

CaN International/グループ代表 大久保 昭平(写真左)
I-GLOCAL/グループ代表 蕪木 優典(写真中央)
スターシア/グループ代表 黄 泰成(写真右) 

会計士の中には海外で働きたいと考えている一方で、海外で働くことの不安があったり、帰国後の活躍についてイメージが湧かなかったりという方も多いと思います。そこで今回は、日本からアジアを中心にグローバルに活躍されている大久保さん、実際に海外現地のベトナムを拠点に活躍されている蕪木さん、韓国を拠点に活躍されている黄さん、にお話を伺いました。(※上記写真はCaN International のオフィスにて撮影)
(以下敬称略)


キャリアサマリー
大久保 昭平
大手監査法人で活躍後、シンガポールに渡りクロスボーダー関連のコンサルティング業務に従事する。日本に帰国後、CaN International Groupを創業し代表に就任(該当履歴書:https://kaikeishinorirekisho.com/career/170/
蕪木 優典
大手監査法人で活躍後、ベトナムに出向。ベトナム公認会計士を取得し、ベトナムで現職のIGLグループを創業し、株式会社I-GLOCALの代表取締役に就任(該当履歴書:https://kaikeishinorirekisho.com/career/3867/
黄 泰成
大手監査法人で活躍し、アトランタに駐在。後に大手会計ファームの韓国現地法人、韓国の事業会社でのCFO経験を経て、株式会社スターシアを創業し、代表取締役に就任(該当履歴書:https://kaikeishinorirekisho.com/career/3878/

1海外勤務経験を経ての現在

簡単に皆様の組織の業務内容について教えていただけますか

(大久保)
CaN Internationalグループは、東京、タイ、ベトナム、香港、シンガポールに拠点があり、現地で会計事務所サービスを行っています。東京事務所では、日系企業の海外事業や外資系企業の日本事業の支援を行っています。とくに日系企業の海外事業支援にあたっては、進出先の現地会計事務所と協力しながら業務を進めていくことが基本的なクライアントのサポート体制になります。そのため、東京事務所の業務ではI-GLOCALグループやスターシアグループのような海外会計事務所と協業することも多くあります。

(蕪木)
I-GLOCALグループは、ベトナムのハノイ・ホーチミン・ビンズン、カンボジアのプノンペン、東京に拠点があり、現地において各種サービスを提供しています。具体的には、記帳代行、税務申告、会計税務レビューなどのベーシックな会計税務業務から、会社設立やM&Aなどの投資コンサルティング、人事労務コンサルティング、各種調査や監査役など、お客さまのビジネスを広範囲かつ柔軟に支援するビジネスコンサルティングまでワンストップで対応しています。

(黄)
スターシアグループは、韓国のソウル、日本は東京と神戸に拠点があります。韓国に進出する日系企業に対して、日韓にオフィスを設置することによって、日本の親会社に対する窓口業務と現地支援を一貫して提供できる体制を整え、韓国進出支援に係るコンサルティング、現地法人設立サポート、会計・税務等の管理業務に係る各種アウトソーシング、コンサルティング、会計監査サポート業務などを行っています。また、神戸では、日本国内の税務業務なども行っています。

2海外で働くという現実

海外で働くことのきっかけとは何だったのでしょうか

(黄)
会計士で2,3年くらい監査業務を行っていると、IPOをやりたい、M&Aをやりたいと色んな分野に興味を持ち始める人が多いと思います。私も同様でしたが、どの分野であっても、その分野を好きな人、ぴったり合っている人にはかなわないと思いました。自分が在日韓国人であることもあり、物は試しとKPMG Koreaへの駐在に手を挙げてみました。韓国に行ってみたところ、韓国進出をサポートする日本の専門家の頭数が絶対的に少なく、そのため十分な専門的サービスを受けることができずに困難に直面している日系企業を数多く目の当たりにしました。そこで、自分の生きる道はここだと直感しました。

(蕪木)
今の仕事の拠点であるベトナムは、叔父の仕事の関係で偶然にも縁があり、大学時代に10回ほど現地に行く機会がありました。そんな縁のあるベトナムで、当時たまたまアンダーセンのベトナム事務所から駐在の声がかかったこともあり、会計士補でしたが即答でそのオファーを受けました。自分の環境として、中学校から大学までの学生時代にも、会計士になってからも周りには優秀な人が数多くいました。私は、そういった優秀な人たちと同じ物差しで競争しても、エッジが効いた存在にはなれないという考えを常々もっていました。優秀な友人や同僚である会計士たちと差別化できるものは何か、そのように考えていた結果、海外で働く+会計士というところに導かれたのだと思います。

(大久保)
監査法人でマネージャーまで勤め、もっと広い世界でゼロからチャレンジしてみたいという思いが強くなってきました。そこで、まずは行動と、監査法人を退職し、何も決めずに海外へ向かいました。実際に現地ではビザや就労の問題に直面しましたが、行動を起こし続けていくなかで、当時ビジネスが活況だったシンガポールで働く機会を得ることができました。
昨今は会計士の売り手市場や安定志向の影響からか、監査法人後のキャリアとして、やりたいこと探しや休息期間としてとりあえず海外に行ってみるといった選択をする人は減っていると聞きますね。個人的にはまた会計士の海外ムーブメントが起こって欲しいと思っています。

(黄)
私の場合も辞める時に、失敗してもいつでも雇ってあげるよと言ってくれた先輩がいたので、背中を押してもらえましたね。あと、海外に行った方が、日本にいるより、企業の偉い人に出会うチャンスがありますよね。

海外に行った方が日本にいるより企業の経営陣に出会うチャンスがあるということですが、具体的にはどのようなことなのでしょうか

(黄)
日本企業の職階が上の人が海外出張をする際には、現地の視察だけではなく、現地の会計を知りたいとか幅広く現地の知識を得たいという状況が発生することは多くあります。そういった時に現地の会計士に声がかかるのです。日本では知らない人がいないくらいの著名な経営者から相談を受けることも多くあります。日本にいたら、企業の役員クラスの人に会うといっても、会計担当の役員に会えるのがやっとで、なかなか事業を担当している役員に会うことは難しいと思いますが、海外にいるだけでそのチャンスは回ってきます。普段出会うことのない人と出会い、話ができることは貴重ですし、自分にとっていい経験になります。

(蕪木)
私も企業のトップと会うことが多くあります。私は、ベトナムで先駆者としてやってきたので、時価総額が一兆円を超えるようなクライアントがたくさんいます。日本だと相手にもされなかったと思います。また、クライアントの多様性もとてもありますね。

(黄)
たしかに、日本だと会計士が起業、独立しても、一部上場企業は相手にしてくれないと聞きます。

(大久保)
そもそも海外事業を手掛けられるのは規模が大きかったり、勢いがあったりするような会社ですよね。会計士が起業、独立したばかりでそういった会社と、国内会計・税務関連サポートでお付き合いすることはなかなか難しいと思います。独立したばかりであったり、組織が小規模であったりしても、海外という軸をたてることによって、そういった会社の事業支援に食い込むことができるのが醍醐味ですね。基本的に海外事業は国内事業と比較して難易度が高いため、そういった領域にコンサルティングで関与するということはプレッシャーももちろんあると思いますが、一方でやりがいや成長も大きく感じることができるのではないでしょうか。

(蕪木)
だから、海外で仕事をすると飽きないです。色んな人と色んな話をするので、刺激が多いですね。シングルタスクでルーティン業務が好きな人には向いてないかもしれないけれど、マルチタスクで多様性に富んでいるのが好きな人には向いていると思います。

(大久保)
今弊社が事務局となって、海外事業を手掛ける会計士が学べる勉強会や、海外視察の場を開いています。蕪木さん、黄さんもその中心メンバーで2018年はベトナム、2019年はフィリピン、韓国に皆で行きました。海外事業に従事している会計士は国内業務を専業で行っている会計士と比較するとまだまだ少ないので、同業であってもすぐに繋がることができ、気軽に交流できることも海外事業を手掛ける会計士ならではのことだと思います。今後もこの会に参加してくれるような、海外事業で活躍している会計士が増えてほしいと思っています。

生活面の不安はどうでしたか。特に東南アジアなので家族を連れていくことに不安はありませんでしたか。また収入面についてはどうでしょうか

(蕪木)
全く問題ありません。日本よりも暮らしやすいかもしれないですね。東南アジアに行くとメイドさんがいることも多いので、もしかしたら日本にいるよりずっと楽かもしれないです。物価も日本より安いですし、ベトナムにいる人で、生活面において不満を持っている人は少ないと思います。イスラム圏やインドはハードルが高いかもしれないですが、東南アジアは日本より住みやすいと思います。そして、これから成長していく国なので活気がありとても楽しいです。

(大久保)
近年アジアの主要都市は急速に発展しており、日本の地方都市に行くより、アジアの主要都市の方がよっぽど東京と同じような生活ができます。最近は日本食も多いですしね。ラーメンや牛丼も食べられますし、スタバでiPadを使いながらアプリのゲームをしている現地の方たちを横目にすると海外にいるという感覚すらなくなってきます。

(蕪木)
パートナーレベルは日本より東南アジアの方が年収水準は高いと思います。マネージャーで同等ですね。何より、私のいるベトナムでは日本人の会計士は少ないので、マーケットで認知されやすく、永遠にキャリアを積んでいけると思います。

(黄)
最初に年収が下がっても、やりがいを持って働いていけば、活き活きと働けて、自ずと成果もついていきます。最初の条件にこだわるのはよくないと思います。自分のお金は自分で稼ぐという気持ちを持って、今、安いのは仕事をとってきてないから当然であり、むしろ、ある程度もらえてありがたいというくらいの気持ちで臨むのがいいかもしれません。

(大久保)
収入はいったん下がるかもしれないですが、その後の伸びしろは個人の力量次第です。むしろやる気や能力のある人にとっては国内事業よりも収入を増やしやすいと思いますので、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

(蕪木)
海外で成功するには、スピードと情熱と何に焦点をあてるかが重要です。即レスは基本ですね。少しずつでも成果が出ると、それがつながり、長い目でみるといい結果になっていくものです。最初に条件や待遇にこだわると長くは続いていかないと思います。監査法人での評価が高くなくても、スピードと情熱と焦点を絞ってくる人は海外では脅威な存在だと感じます。

海外に行く前にやっておいた方がいいことは何でしょうか

(蕪木)
仕事面のスキルは特にないです。強いて言えばコミュニケーション能力ですが、難しいことではなく、普段、家に閉じこもってばかりいず、外に出て友人と会うなど活動的に過ごしている人は十分準備ができていると思います。

(黄)
海外で起業するならBig4の駐在員経験はあった方がいいと思います。Big4だと大きい案件を扱うので、Should beを学べるからです。ただ、起業はやはり大変なことも多いです。文化が違うのでぶつかることもあります。

(大久保)
私はお二人と違ってBig4の駐在で海外に行ったわけではなく、海外の現地で起業したわけでもないので、多少違った観点からお話します。日本から海外に移り、現地で能力を開花させ、日本に帰ってきてから日系企業や外資系企業の支援をボーダレスでしっかりと行えるようになるといったキャリアを想定すると、守破離ではないですけど、まずは日本でしっかりと監査経験を積むことが重要だと思います。

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