土肥卓哉(どひたくや) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

アンドシング株式会社

代表取締役

土肥 卓哉 どひ たくや

次世代リーダー育成の学校づくりに挑戦。あらゆる地域あらゆる職業の人が活躍する社会を目指して
革命家タイプ
革命家タイプ

1974年1月15日生まれ(50歳)
大阪府出身 ・ 大阪府在住
神戸大学 法律学部法律学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私独自の強みは、“未来志向” “戦略性” “最上志向” “着想” “責任感”の5つである(ギャラップ社のストレングス・ファインダーによる診断結果を援用)。

これら5つの強みを噛み砕いて説明すると、私は、“未来へのビジョンを描き”“そこに至るための道を直観的に見つけ出し”“自分の能力を最大限に活かしながら”“既成概念をひっくり返して”“やると決めたことをやり遂げる”人である、ということになる。

いま私は、アンドシング株式会社の代表取締役として、“次世代リーダー輩出のための新たな学校(学びの場)づくり”を目指している。また、その前提として、私は、自分のことを『開学家』と称している。『開学』とは、『教育』の対立概念である。『教育』が“(外から)人に教えて育てること”だとすれば、『開学』は“(内から)人の学びを開くこと”である。

いま私は、『教育』という分野(学校での教育に限らず、企業における教育を含む)で、まさに既成概念をひっくり返すことに挑戦している。また、100年後の日本の社会と経済のあり方を想像した上で、一部の特別な人だけがリーダーとして日本を引っ張っていくのではなく、あらゆる地域のあらゆる職業の人たちがリーダーとして立ち上がり、相互に協力しあうことで、それぞれの地域の社会と経済を成り立たせている状態を目指すべき、とのビジョンを描いている。アンドシング(&sing)という社名には、“ともに歌う”“安心する”という2つの意味を込めており、将来ビジョンが実現した状態を社名としても結晶化させている。

私独自の強みの発現は、公認会計士という資格とその仕事を通じて得られた経験の賜物である。また、その強みを活かせる仕事への就任は、これまでのキャリアにおける数々の素晴らしき人たちとの出会いの賜物であると信じている。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

私は、ある特定の瞬間に心が動いた、というよりは、仕事をする中で大きな時代の流れを感じ、心を動かされ続けてきた、という印象を持っている。

監査法人時代は、クライアントに対して在庫の評価損や子会社株式の減損など決算修正処理の必要性を説きつつも、「すでに終わった結果に対して指摘するだけでいいのだろうか?」「むしろ、今後このような良くない結果が生じないようにするために、何をすべきかをクライアントと一緒に考えるべきではないのか?」という疑問がふつふつと湧いてきた。そこで、過去に対する指摘ではなく、クライアントと一緒により良い未来を創るための仕事をしたいと感じた。そのために、経営コンサルタントに転身した。

経営コンサルタントになってみると、社長はとても孤独だ、ということを感じた。あるクライアントの社長は、経営会議の席で、他の役員に対して、「なぜできないんだ!」「なぜ(私が)言っている通りに現場が改善されないんだ!」と非常に苛立っていた。それは、怒りではなく、“社長が頭の中に描いているビジョン”が他の役員や従業員に伝わっていない、共有されていないことに対する苛立ちのように感じられた。その時に私は、“社長に見えていることと、他の役員や従業員に見えていることとの間には、大きなギャップがあるのだ”ということに気づいた。それはそうだ。社長は、つねに会社全体、グループ全体、経営全体を中長期的な視点から見ている。一方で、他の役員や従業員は、それぞれの担当領域(例えば、開発・製造・販売・管理など)を短中期的な視点から見ている。それは、どちらが良い、悪いということではなく、立場の違いであり、担っている役割の違いなのだ。それに気づいた時、私は、経営コンサルタントとして、「社長と他の役員や従業員が(暗黙的に)持っているビジョンや現状認識のギャップを埋めるために、何ができるのだろうか?」ということをつねに考えるようになった。

また、グローバル化を推進しているクライアントの仕事をしている時に、「このままグローバル化(海外進出)を推進していくと、日本国内の雇用や地域の雇用はどうなっていくのだろうか?」という疑問を持つようになった。生産拠点を海外に移す。販売拠点を海外に移す。そして開発拠点を海外に移す企業が増加していた。足元の日本国内においても、私が住み、働いている大阪(あるいは関西)から本社機能(経営企画やIRなど)を東京に移す企業が増加していた。地域から東京へ、東京から海外へ。経済合理性を追求しながら、企業活動はより外へ外へと広がっていく。と同時に、日本国内において中央集権化(東京集中化)が進んでいく。「このまま行くと、日本国内の雇用や地域の雇用は失われていくのではないか?」「私の子どもたちは、(希望するとすれば)地元で働くことができるのだろうか?」「もしかしたら日本国内で働くこともままならない状態になるのではないか?」と思うようになった。

・過去を指摘するのではなく、より良い未来を創る
・立場の異なる人たちが(暗黙的に)持っているビジョンや現状認識のギャップを埋める
・日本国内の雇用や地域の雇用を維持、創出する

これら3つの基本的な方向性を踏まえた上で、「私にできることは何だろうか?」と考え続けてきた結果として、いまのアンドシング株式会社の事業活動がある。

・それぞれの地域にいる、それぞれの職業の人たち、一人一人が“ジブンノシゴトをつくる”
・一人一人が次世代リーダーとして立ち上がり、地域の社会や経済を支え、創造していく
・そのための一つの基盤として、新たな学校(学びの場)が機能している

非常に漠然としたイメージではあるが、これがいま、私がアンドシング株式会社での事業活動を通じて実現していきたいことである。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士という仕事は、他者に説明しづらい職業である。そのため、公認会計士であることに誇りを持てなくなる時期があった。

ある時、祖父の家に、親戚一同が集まった時があった。看護師である従姉妹は、病院で患者さんの看護をすることの大変さと面白さを、すごくわかりやすい実体験を挙げながら説明していた。その後、「卓哉くんはどんな仕事をしているの?」と誰かに聞かれた。私は、「企業の決算書が正しく作られているかどうかをチェックする仕事」と説明した。その時、多くの親戚がポカンという反応をしていた。私も全然伝わっていなくて残念というか、なんとも言えないなという気持ちになった。

また、2011年に起こった東日本大震災の時にも、公認会計士であることの意味を考えさせられた。当時、私は日本全国に店舗を持つ小売業の経営コンサルティングプロジェクトに関わっていたのだが、1ヶ月間ほどプロジェクトが中断した。クライアントの方々が、東北地方の従業員と店舗の復旧に全力を尽くすためである。この間、私たちに、できることはなかった。その時、「大災害時において、公認会計士である自分には何ができるのか?」と悩んだ。

このような経験をしたのちの2012年頃、私は公認会計士であることに誇りを持てなくなった。“私には何もない”という気持ちになった。

その頃から、私は、社外の人と積極的に会うようになった。会社員だけでなく、個人事業主の方々、NPOで活動している方々、起業家の方々、あるいは主婦の方々など。とにかく、公認会計士でもなく、経営コンサルタントでもない方々と出会いまくった。その結果、私が公認会計士という仕事を通じて見てきた世界、そこで私が関わってきた人たちは、非常に偏っているということに気づいた。この社会には、とても多くの職業があり、とても多彩な人々がいるのだ。そして、多様な職業、多彩な人々の側から自分の職業を捉え直してみると、公認会計士という職業は、様々な人たちのお役に立てる職業であるということに気づいた。

公認会計士の使命は、公認会計士法第1条に記載されている通りである。

“公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。”

公認会計士が貢献する相手は、直接的には“会社等”“投資者”“債権者”であるが、最終的には“国民”一人一人が関わる経済の健全な発展に寄与することを使命としている。

いまでは、そのことが良くわかるようになった。

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだ時には、社外にいる多様な職業の多彩な人々に出会うことが大切である。またその前提として、『公認会計士』という資格を持っていると、多くの人に無条件で信用してもらえる(少なくとも怪しい奴じゃないと思ってもらえる)。なので、自分から動く気になりさえすれば、すごく沢山の人と出会うことができるし、さらに様々な人を紹介してもらえる。それは公認会計士であることの大きな強みであると思う。

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