2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人に入社する前の話になってしまうのですが、私は、高校生のときから“PCヲタク”で、趣味でパソコンの組み立てや、プログラミングなどをしていました。やがて、自分で作ったサイトの運営で収益を得て、また、ECサイトなどの受託開発も手がけるようになり、大学卒業後はフリーランスのプログラマーとなりました。
毎日、誰とも会話をせずにパソコンの画面に向かう日々。そんな生活を続けるうちに、あるとき「このままでは社会から取り残されてしまう! 社会の一員になって、仲間と仕事がしたい!!」という思いが芽生えました。
もともと経済への高い関心があり、コンサルティング業務にも惹かれていたので、次のキャリアとして公認会計士に照準を定め、必死に勉強して、公認会計士試験に合格しました。
28歳で監査法人に入社したので、遅めの新卒サラリーマンデビューでした。上司や先輩がいる状況や、クライアントとのやりとりなど、すべてが初めてで、あらゆることが新鮮でした。
会計監査のみならず、IPO支援やトーマツベンチャーサポートの業務にも少し関わらせていただきました。元々ITが得意なこともあり、ERS(エンタープライズリスクサービス)という部署でIT監査にも従事しました。プロフェッショナルとして誇りを持って働くことができる環境に、満足していました。
振り返ると、監査法人で働く中で、社会人の作法・高い事務処理力・複雑な事象の分析能力が身につきました。また、社会的な信用も手に入れることができたと思います。
しかし、3〜4年経ったころ、日に日に「広い世界に飛び出して、クリエイティブな仕事にチャレンジしてみたい!」という思いを強めていきます。
企業の経済活動の結果から生成された財務諸表に対する監査にもやりがいを感じていましたが、自分でプロダクトを生み出し、それに対する世間の反応をキャッチし、キャッシュフローが生み出される。またそのお金を使って、次のプロダクトを開発していく……という、一連の経済活動を経験してみたくなったのです。本当にやりたいことは、「自分がビジネスの主体となって、大きなチャレンジをすることだ」と気がついたのです。
監査法人でキャリアを積むだけでは、その延長線上に自分の未来はないと気がついた以上、「早く起業というキャリアを再開させたい」と思い、独立を決意しました。
3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在は、カウンティア株式会社の代表をしています。
「カウンティア」という言葉は、計算するという意味の「カウント」と、未開拓領域を切り開くという意味の「フロンティア」を組み合わせた造語です。財務の未開拓領域へのチャレンジを続けたいという気持ちを込めました。
カウンティア株式会社では、「スタートアップへの財務アドバイザリー」・「システム監査」・「事業開発」という3つの事業活動を行っています。
「スタートアップへの財務アドバイザリー」は、クライアントとなるスタートアップ起業家に寄り添い、財務管理や資金調達などの財務戦略のアドバイスをしています。単に知識をお伝えするのではなく、二人三脚で財務課題を発掘し、解決に向けとことん一緒に頭を悩ませ、ともに歩んでいきます。
「システム監査」は、フィンテックやIPOなどの事業を推進する場合に発生するシステム監査やセキュリティに関する課題解決をしていきます。各種レギュレーション対応から事業管理ロードマップの整理、組織戦略の立案まで、監査やITの専門家として携わります。
「スタートアップへの財務アドバイザリー」や「システム監査」は、クライアントが増えるにつれて、各社の課題に対する理解が蓄積されていきます。この蓄積から見えるものが、社会全体の財務の課題です。この社会全体の課題に対し、最先端技術を駆使して仕組化していくのが「事業開発」という活動です。「事業開発」のみを行う企業に比べて、経営者のリアルな課題を個別に解決しつつ、社会全体に向けて作り上げた「課題解決の仕組み」をシステムとして還元できるのが弊社の強みです。
私は、ITを活用した財務事業の開発を進め、情報格差や機会格差を是正し、誰もが未来にチャレンジできる社会を作っていきたいと思っています。