原都志也(はらとしや) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

警察庁

警察大学校

助教授(警部)

原 都志也 はらとしや

公正な社会の実現を目指す
研究者タイプ
研究者タイプ

1970年2月12日生まれ(50歳)
愛知県出身 ・ 東京都在住

研究者タイプの特徴
  • 内向的
  • 臨機応変型
  • 大局タイプ
  • 個人主義
  • 伝統型
  • 外向的
  • 計画管理型
  • こだわりタイプ
  • 集団主義
  • 革新型
  • 30
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  • このタイプの割合
    回答者全体の
  • 1.3%

自身のなかで深く物事を考え、計画立てて仕事を進めることができる。
またそれと同時に変化を恐れない柔軟さも併せ持つため、周囲の意見や新たな考えを取り入れて、型にとらわれない発想をすることができる。
脅威と感じる対象と面した時に状況を不安に思ったり、周囲と調和することに対してストレスを感じたりすることも。
堅苦しさはなく遊び心も持ち合わせているが、自身の態度が批判的に受け止められることもある。

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1キャリアサマリー
1992年
大学卒業
1993年
公認会計士第二次試験合格 同時に国税専門官採用試験合格
1994年
国税庁名古屋国税局に国税専門官として採用
税務署法人課税部門に配属され法人調査等を担当(転勤2回)
1997年
公認会計士第三次試験合格
2000年
愛知県警察に財務捜査官として巡査部長の階級で採用され、捜査第二課で金融企業犯罪捜査に従事
2004年
警部補昇任 警察署刑事課知能係で一般知能犯捜査に従事
2006年
警察本部捜査第二課で重要知能犯事件捜査に従事
2008年
警部昇任 警察署刑事課長代理(知能・暴力薬物担当)
2010年
警察本部捜査第二課課長補佐として、企業犯罪、金融犯罪、偽造犯罪等の捜査に従事
2015年
警察署刑事課長として勤務
2017年
警察本部捜査第二課課長補佐として勤務 特殊詐欺事件の捜査に従事
2018年
現職

大学ではボート部(漕艇部)で4年間漕手として活動しました。就職する時には、一般民間会社で働くことに抵抗感を感じ、手に職を付けたい、何か専門分野を持ちたいと考え、大学3年生の時、経済に関係する資格で独立も可能な公認会計士試験の勉強を始めました。 
1992年大学4年生当時はバブル末期の売り手市場の時期で、地方公務員試験に合格しました。そのまま試験勉強を辞めて就職しようか迷いましたが、ここで受験しなければ一生後悔する、若いときはチャレンジすべきだと考えて、大学院に行ったつもりで就職浪人して公認会計士を目指すことにしました。
ちょうどバブルが崩壊した時期で不安を抱えながらの受験勉強を始めました。合格できると思っていた受験一年目には不合格となりましたが、二年目の試験で合格することができました。浪人での受験二年目の時は、これだけ勉強して不合格になるのなら会計士という職業に縁がないか適性がないのだろうと考えて、今年を最後にあきらめようという覚悟で受験しました。そこで、万が一不合格だった時に備えて国税専門官試験を受験したところ、23歳で公認会計士試験と国税専門官試験の両方に合格することができました。
進路については、監査法人に入ろうか迷いましたが、映画「マルサの女」を見て、税務調査は面白そうだなと国税の仕事に興味を持ち国税の道に進むことにしました。1994年4月に国税局に採用され、税務署の法人課税部門に配属されました。両方の試験の合格後、春の採用までの半年間は、私立高等学校で社会科の非常勤講師を務めました。
国税局では、税務署が所管する中小企業等の法人税、消費税等の税務調査を担当し、不正経理による脱税案件を発見する仕事に従事しました。その間、税務大学校で研修を受け、税法や財務会計、法律に関する知識を得ました。三年後、税務調査の実務経験を経て、公認会計士試験第三次試験に合格し、四年目に別の税務署に転勤しました。結婚し、さらに別の税務署に転勤したところで、税務の分野だけでなく新しい分野での仕事にチャレンジしたいという気持ちが高まり、年齢的にも転職するなら30歳になる前の今しかないかという考えもあり、公認会計士としての資格が活かせる仕事に転職することを検討しはじめました。
1999年に新聞の求人広告で、愛知県警察で公認会計士等の資格や職歴を条件に、財務捜査官を募集していることを知りました。警察の仕事は、法律に基づいて不正を摘発する仕事であり、税務調査と似ている部分もあることから税務署での経験が活かせると考えて受験し、合格しました。2000年に採用時研修を受けた後、愛知県警察本部捜査第二課に配属され巡査部長として金融犯罪・企業犯罪等の捜査に従事することになりました。
警察の仕事の現場は、命に関わる事案や緊急性がある事案など想像していたよりもかなり厳しいものでした。そんな時、2001年頃、上場会社(建設会社)における多額業務上横領容疑事件の事件相談を受けることになった時、粉飾決算事件の可能性を発見し、簿記・会計の知識を活用して社会的反響の大きな事件[会社法違反(違法配当)、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)]を検挙することができました。採用されて間もない時期に、公認会計士でなければ事件化できない事件に直接関わったことで、経済的不正事案の摘発という仕事の魅力がよくわかり、今日にいたるまで警察の仕事を続けるきっかけとなりました。
2004年4月に警部補に昇任し愛知県でもっとも忙しい大規模な警察署での勤務を経験し、様々な業務を経験するとともに第一線警察の厳しさを直接体験しました。2005年からは再び警察本部に異動し、贈収賄事件等の重要事件の捜査を担当しました。ここでも自ら潜在的な不正事件を発見し、捜査の事件解決の糸口を得て、内偵捜査、被疑者の取調べ、逮捕し、送致、起訴、さらに公判で有罪獲得するまでの一連の流れを体験しました。これらの体験により高度な重要知能犯事件捜査や知能犯捜査の奥深さや醍醐味を知りました。
2008年4月、警部に昇任し、警察署刑事課長代理として知能犯事件のほか暴力団や薬物事件を担当し仕事の幅を広げ、2010年4月に警察本部捜査第二課課長補佐として、採用時から念願だった金融企業犯罪等の捜査を行いました。贈収賄事件捜査の経験も活かして、金融機関役職員が関与する背任事件、粉飾決算書を用いた公的融資詐欺事件、上場会社取締役らによる関連会社に対する不正融資(業務上横領)事件、全国規模の偽造収入印紙公使事件、偽造通貨行使等事件などの事件で被疑者を逮捕、送致し、有罪判決を得ることができました。経済事件は逮捕や起訴、さらには有罪を得る等の事件としての立証が難しく、専門的な捜査に従事できる人数も限られる中で、捜査指揮官として苦労はありました。ただ、いわゆる被害者のいる犯罪ではない、潜在する大きな不正を見つけることにこだわり、財務捜査官としての独自の見方や証拠を集めることで、社会的反響の大きい事件を多数担当することができました。経済的な不正事案を多く検挙できたことで、財務捜査官としての仕事が世の中のためになっているという実感を持つことができました。
2015年4月から2年間は、警察署において、強盗事件、傷害事件、窃盗事件等の事件を担当し、刑事課長として管理業務や捜査指揮等の業務を行いました。
2017年4月、再び捜査第二課課長補佐となり、最近重大な社会問題となっている特殊詐欺事件捜査を担当しました。
2018年4月から、愛知県警察から派遣、その後出向という形で、警察大学校財務捜査研修センターに勤務することになりしました。財務捜査研修センターは、警察大学校の研修機関の一つで、全国の都道府県警察で財務捜査に従事する財務捜査官や一般の警察官等に財務捜査研修を実施している機関です。私のような財務捜査官は、警視庁、道府県警から出向、派遣という身分で教授・助教授として授業を担当しています。
ここでは、公認会計士としての知識や税務調査や経済事件等の実務経験を活かして、研修等を企画、運営するとともに、研修講師として講義も実施しています。研修という職員の教育に関する仕事は、将来の警察組織における財務捜査を担う人材を育成する仕事であり、自らの性格にも合っていると感じており、やりがいを感じています。
私がこれまでやってきたのは、公認会計士とは関連があるものの、本来公認会計士としての資格がなくても能力さえ持っていればできる仕事だったともいえます。
ただ、国家公務員と地方公務員という違いや組織の目的の違いはあるものの、公正な社会の実現が、私の人生のテーマとなっています。「ずるい人、悪い人を許せない」「世の中を良くしたい」「正直者が馬鹿をみない世の中にしたい」という気持ちで、正義感から、公認会計士としての専門性を活かして財務捜査による企業犯罪などの経済事件の検挙という不正の摘発に関する仕事をしてきたのです。

2国税局における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

国税職員として採用された後、税務大学校で採用時研修と専門研修を受けました。
最初に配属された税務署と転勤した後の二つの税務署では、法人課税部門に配属され、中小企業等の法人税、消費税、源泉所得税等の調査担当として税務調査を担当しました。国税の仕事では、各種調査手法(特に銀行調査手法)、税法に関する知識を得ることができた他、中小企業の実態を知ることができました。約5年間で300社以上の中小企業を訪問し、社長、経理担当者、税理士などと面談し、さまざまな業種の経理や経営の実態を見ることができました。
税務調査では、「仮装・隠蔽(かそう・いんぺい)」という重加算税を課すような悪質な脱税事案(不正事案)を発見することが重要な使命でした。税務調査の経験を通じて、「会計」の知識・経験を活かせば不正を発見できること、真実を発見することの面白さを実感しました。
国税の仕事はとてもやりがいのある仕事でしたし上司・先輩・同僚などの仲間にも恵まれていたと思います。また、税務調査は、毎週のようにたくさんの会社を訪問する仕事したので、社会人になったばかりの頃は、いろいろな勉強をさせていただきました。
しかし、中小企業の税務調査では「公認会計士」としての知識・経験が活かせる場面は限定されていました。また、「税務調査」の限界というものも感じていました。税務調査は当然ですが、課税の公平の実現を目的とする「税務行政」として行われるものでした。このため、時には調査の中で、贈収賄事件や暴力団への不正な資金提供の疑いなど犯罪が疑われる情報が見つかることがありましたが、税務調査の目的は課税であるので掘り下げられることなく、やむを得ず真相が明らかにならないまま課税をするという場面もありました。
こうした中で、国税での勤務が6年目になった時に、県警で財務捜査官の募集があり、警察での「専門捜査員」としての仕事なら、より事案の真相に迫り不正の摘発ができるのではと考え応募することにしました。約5年間、税務調査を経験することで不正を摘発する面白さを知ったので、逮捕や捜索差押えなどの捜査を行うことのできる警察での「財務捜査」に魅力を感じたのでした。
運良く採用試験に合格し、ちょうど公認会計士第三次試験にも合格していたこと、国家公務員と地方公務員という違いはあるものの同じ「公務員」の組織で馴染みやすく、転職の不利益が少ないこと、財務捜査官の仕事であれば、公認会計士としての専門知識や税務署での調査等の経験が生かせること、年齢的にも転職するなら今しかないと考えたことなどから、思い切って警察本部財務捜査官(警察官巡査部長)を拝命しました。
財務捜査官として警察本部に入った後は、主に企業犯罪、金融犯罪等の経済事件を担当しました。ただ、採用後の経歴は、採用時に想像していたものとは大きく異なり、昇任に伴い警察官として刑事部門での業務(捜査)をすべて担当するようになりました。暴力団事件や薬物事件、さらには検視業務や強盗・殺人事件、窃盗事件などといったさまざまな事件や相談などを担当しました。財務分析や銀行捜査などの専門分野の仕事だけではなく、よく刑事ドラマに出てくるような被疑者の逮捕、取調べ、関係者の取調べ、尾行・張込、鑑識活動などの事件捜査、当直、留置被疑者の護送業務、さらには事件の捜査方針を決める捜査指揮や業務管理・人事管理といった一般的な管理業務などのさまざまな仕事に従事してきました。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在の仕事の内容は、財務捜査研修センターで実施する財務捜査に関する研修の企画立案に加えて、研修担当者としての研修実施と財務分析や財務捜査指揮等に関する授業等での講師を担当しておりますが、最初に、それ以前の「財務捜査官」としての仕事内容について説明します。
愛知県警察においては、約18年間、警察官(財務捜査官)として、主に詐欺・横領・背任等の「知能犯罪」と呼ばれる捜査を担当してきました。
携わった主な大きな事件としては、上場企業の役員等が関与した業務上横領事件、特別背任事件、金融機関に対して粉飾した決算書を提出するなどして融資金をだまし取った詐欺事件、金融機関役職員による(特別)背任事件、上場企業代表取締役社長による粉飾決算事件(金融商品取引法違反事件(有価証券報告書虚偽記載、会社法違反事件(違法配当など))、国会議員らによる公設秘書給与詐欺事件、市議会議長らによる贈収賄事件、外国公務員贈賄事件(汚職事件)、選挙違反事件等があります。
私は、採用された当時、「財務捜査官」という特別採用でしたので、税務調査でやっていたのと同じような財務分析や帳簿捜査などの専門分野の仕事だけをすると思っていました。ところが、私の採用された愛知県警での財務捜査官の役割は、比較的専門分野の財務に関する知能犯捜査だけでなく、一般の警察官と一緒に、警察組織の一員としてさまざまな事件捜査をすることでした。
とりわけ、警部になってからは、第一線中間管理職としての仕事が増え、捜査部門の現場責任者として、「財務」とは全く関係のない仕事の割合がほとんどとなってきていました。
キャリアパスについては、私が採用された愛知県警察の場合、おおむね一般警察官と同じようなキャリアパスで、一般の警察官と同じく「昇任試験」という試験に合格して階級を上げて職位を上げることになりました。
これまでの警察における約20年あまりのキャリアの中で、警察署において刑事課係長、刑事課長代理、刑事課長として合計5年半あまり勤務しました。警察署では経済事件などの経済犯罪だけでなく、暴力団、違法薬物に関する事件、さらには殺人事件、強盗事件、さらには窃盗事件や鑑識部門の仕事も担当しました。
警察の仕事は、公共の安全と秩序の維持(国民・県民の安心と安全の確保)という大きな使命があるため、仕事が幅広く、刑事部門や交通部門など専門的な分野も多数あります。私の専門分野である財務捜査は、あらゆる事件に関係しますが、特に必要とされるのは経済事件の中でもほんの一部の捜査でした。
また、専門性を活かすためにはその前提となる刑法や刑事訴訟法などの知識、捜査を中心とする様々な警察活動の実務経験がより重要でした。
警察の仕事は、財産だけでなく、人の生命・身体の安全に関わるものがあり、緊急性のある事案も多いため、財務捜査官にもそうした事態に対処できる能力、捜査指揮官としての能力が求められます。
私自身は、上司などまわりの方々の勧めもあって、専門性が活かせる捜査二課という専門部署での勤務を中心としながらも、一般警察官と同じようなキャリアパスを経験してきました。
ただ、私のようなキャリアは全国の財務捜査官の中ではまれなケースであり、多くの財務捜査官は、警察官の立場、階級を持ちながら、一般の警察官とは異なり、捜査二課などの部署で転勤等せずに専門性を活かした勤務をされている方がほとんどです。
警察組織は、一人一人の希望や適性に応じた人事がなされており、キャリアパスも一人一人大きく異なります。
そして、これらの経験を経て、一昨年4月からは、東京都府中市にある警察大学校財務捜査研修センターにおいて、これまでの捜査経験や公認会計士としての知識などを活かして、財務捜査に関する各種研修を担当し、全国の警察組織全体の財務捜査力向上のため頑張っています。

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