鯨岡健太郎(くじらおかけんたろう) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介
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税理士法人ファシオ・コンサルティング

パートナー

鯨岡 健太郎 くじらおか けんたろう

自由な発想は公認会計士という資格を有しているからこそ
アーティストタイプ
アーティストタイプ

1974年12月4日生まれ(50歳)
神奈川県出身 ・ 東京都在住
専修大学 商学部商業学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私自身は常にオーソドックスな会計士・税理士でありたいと思って業務に取り組んでおり、自分自身で「これが強い」というものはあまり認識していないのが正直なところなのだが、前職の大規模税理士法人での業務経験はある意味「強み」なのかもしれない。個人の会計事務所としては出会うことの難しい案件が多く、それがある意味特殊な経験値として蓄積していることは事実であり、たとえば以下のような業務が考えられる。
・ インバウンド国際税務(外国法人、外資系日本企業)
・ 組織再編税制(税務DD)
・ 大規模法人の法人税申告
・ 税効果会計

英語力も決して高くはない(メールしかできない)が、現在もインバウンド国際税務の案件や、(日本居住者の)外国人の確定申告案件など、「英語+税務」という組み合わせの業務は比較的自分の強みに近い業務分野かもしれない。

税務DDも、小規模なM&Aディールでたまに実施することがある。会計士にとって、財務DDは比較的経験の多い業務とされるが、税務DDについては一気にプレイヤーが減少する印象である。

大規模法人(中堅・大企業)の法人税申告については、基本的には関与先側で作成された申告書ドラフトをレビューする業務をコンスタントに受注している。中小企業では税務調整がほとんど生じないが、上場企業では多くの税務調整が生じることから、会計基準と税務上の取扱いの双方の精通していることが求められる分野である。税効果会計の計算検証業務にも同様の状況が当てはまり、税率差異分析まで含めると相当プレイヤーが減少する部分である。

また、もうひとつの強みとしては「人に教えるのが比較的得意」という点も挙げられるかもしれない。私は日本公認会計士協会の税務業務支援専門委員会の主催研修会で年に数回講師として登壇しているほか、外部セミナーも年に5~6回は開催している計算である。また現在は会計士の実務補習所でも税務の講義を担当している。
特に税務に関しては理解が難しいものが多く、これをいかに受講者に対してハードルを下げて容易に理解してもらえるかを考えることは自分の中では好きな作業である。税務業務も含め、私自身がメインプレイヤーとして動き続けるのはだんだん体力的に厳しくなってくるなと思うようになってきたので、今後は後進育成のための仕事のウエイトを一層高めていくかもしれない。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

会計や税務の仕事はいかにも裏方の業務ではあるが、そんな会計・税務業務を通じて関与先の存続・成長に貢献することこそが私の喜びであり、当社の経営理念にも謳っているところである。
関与先の成長は、毎年の決算の状況からある程度把握できる。面と向かって感謝されるたぐいのものではない(実効税率を低く抑えられれば別かもしれない)が、顧問税理士の立場からすれば大きな喜びであることは間違いない。利益の蓄積が会社の財務基盤を強くし、より一層の成長投資に振り向けられるからである。

これ以外にも、喜びを伴いながらやりがいを感じられる瞬間というものがいくつか存在する。

ひとつは、税務調査の交渉で納税者有利の結論に着地できた瞬間だろう。税務調査は数日間の現地調査を経て、税務署内で詳細な検討が加えられて課税処分の原案が提示されるのであるが、その処分根拠に法令解釈上の疑義がある場合、関連法令や類似判例などを調査した上で反論書を作成して調査官に提示することがある。税務署での議論を経て当方の主張が認められ、追加処分なし(あるいは軽減)となれば関与先からも大変感謝される。このときは大変嬉しい気持ちになる。

もうひとつは、仕事以前の話ではあるが、同業の税理士や他士業の先生などから、案件の紹介を受けるときである。基本的には人付き合いの流れからの紹介だとは思うが、その中でも私の得意分野などを理解してくれた上で紹介をしていただけるというのは、税理士としてというより一個人としてとても嬉しく思う瞬間である。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

私自身は公認会計士として悩んだと自覚している時期は特にないのだが、監査法人勤務時代に「この監査手続に何の意味があるのかな」とか、「いま自分は何の仕事をしているのかな」という、今思えば単なる仕事の愚痴みたいなことは何度も思ったことはある(これらは調べてすぐ解決)。私自身は監査業務そのものをつまらないと思ったことはないし、毎期何らかの新たな発見(監査上のエラーということではない)に出会うことを楽しみにしているタイプである。
 よく「監査はつまらない」として監査法人を早期に退職してしまう人の話を聞く。たしかに、「つまらない」と思えばどこまでもつまらないだろうし、監査手続もただの単純作業にしか感じられないかもしれない。

心理学の用語で「確証バイアス」というものがある。これは、一度抱いた仮説や信念を検証するために、それを支持する情報にのみ興味を寄せ、これに反する情報を無視したり見向きもしないという現象を指すものであるが、要するに「人は興味のあるものしか見ない」ということなのである。監査業務に対する取組もまた、こうした「確証バイアス」の影響を受けているのではないだろうか。「面白い」とまで思うのは難しいかもしれないが、それこそ「何か不正の端緒が含まれているかもしれない」と想像しながら元資料に向き合うだけでも、数値の見方は変わるのだろうな・・・と思うことはよくある。

むしろ税務の世界に移った当初、税法条文の読み込みに大変苦労し、全く内容が頭に入ってこなかった時期が続いていた。会計や監査の世界には「重要性」という概念があるが、税法には全くない。1円たりとも間違えられない(端数処理や四捨五入の方法まで含めて)。こうした「細かすぎる税務」に順応できるのか心配で悩んでいた時代のことを思い出す。税理士試験を乗り越えてきたスタッフですら「こんなの当然じゃないか」と思われるようなポイントを知らなかったり、とにかく「知らなすぎて仕事するのが怖い」という時期があった。ここはもう、ひたすら勉強。とにかく条文を読みまくる。趣旨はコンメンタールを開いて確認。関連通達、制度改正のキャッチアップなど。今まで全く知らなかった知識をどんどん入れていくしか不安を解消させる手段がなかった。あとは、一度怒られたポイントについては再指摘されないように細心の注意を。「怒られポイントリスト」を1つずつつぶしていくという出口の見えない地道な期間が1年くらい続いた気がする。そしてあまり怒られなくなって上司にも少し評価されるようになったのをきっかけに、税理士登録したのだった。

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