古旗淳一(ふるはたじゅんいち) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

小さな会社で“経営”を担当。組織再編の普及に燃える異色の会計士

古旗 淳一

ふるはた じゅんいち

生年月日
1984年5月8日(34歳)
所属企業
STRコンサルティンググループ
所属部署
役職
代表取締役
最終学歴
金沢大学 文学部史学科 卒業
出身地
長野県
現住所
東京都
1キャリアサマリー
2007年
電機メーカー入社 肌に合わず2年で退職
2010年
論文式試験合格し、汐留パートナーズ入社
2012年
東証一部上場会社(小売業)入社 経理部経験後、経営企画に移動し、M&A・組織再編を担当
2016年
独立して会計事務所を開設 Webサイト『組織再編税制とらの巻』を開設
2017年
経理支援事業を法人化した株式会社経理救援隊を設立 Webサイト『ここが噂の経理道場』を開設
2017年
組織再編コンサル事業を法人化した株式会社STRコンサルティングを設立
現在は主に、グループ企業組織再編を“成功”に導くコンサルティング事業を育成中。

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この会計士のタイプは?

革命家タイプ
内向的
臨機応変型
大局タイプ
個人主義
伝統型
外向的
計画管理型
こだわりタイプ
集団主義
革新型
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自身の仕事に対して情熱を持って取り組む傾向にある。
また高いコミュニケーション能力を活かして、周囲と協力しながら物事を進めることができる。
知的好奇心も強いため、新しい考えや意見を取り入れることをいとわない。
物事を抽象化して考えるため、大局的な判断力を持つ。
ストレスを感じても過敏に反応することなく的確に対処ができるため、周囲からは誠実かつ落ち着いて見られることが多い。
このタイプの会計士は回答者全体で、
11.4%います。
2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

監査法人無経験の独立会計士

私は現在、独立して個人事務所を構えている公認会計士だが、実は監査法人に属したことは一度もない。
独立したばかりで仕事がないとき、ある監査法人に非常勤でお仕事をいただいており、今も少しだけ関与させていただいているが、その程度。私のキャリアの中では、監査というものはカレーの福神漬けのようなものだ。業界においては変人の部類だろう。私からすれば、あんな珍奇な商売をしている監査屋諸氏こそ変人だと思っているが、それはいい。

私が公認会計士試験の論文式試験(二次試験)に合格したのが2010年。リーマンショックの煽りを受け、前年から監査法人の採用が激減していたときだ。試験受験前に社会人を経験していたため20代後半だったし、そもそも監査がしたくて受験していたわけでもないので、当然のように採用されなかった。ここで景気がよかったら採用されていたのかもしれないが、振り返れば運がよかったと思っている。
その理由は2つ。ひとつは、監査法人に入れなかった結果、汐留パートナーズ会計事務所(現・汐留パートナーズ税理士法人)にお世話になり、所長の前川研吾先生や、後にセブンリッチ会計事務所を作られる服部峻介先生といった優秀な先輩方からご指導をいただけたこと。もしこの記事をご覧になられていたら、感謝の気持ちを伝えたい。あとミスばっかりしてすみませんでした。
もうひとつは、この年から実務補修所(会計士試験の合格者が通う養成学校)に、一般事業会社勤務者向けの土曜クラスができ、非監査法人就職者が集められた結果、かなりコアな方々と同期になれたことだ。財務担当取締役、国税調査官、M&Aアドバイザー、証券マン、弁護士といった専門業から、叩き上げの元営業マンやシステムエンジニア、経営企画など、多種多様なタレントがそろっていた。この人々は何を思って公認会計士なんて目指したのだろうか。変人とはこういう人たちを言うのだ。彼らとは今も仲良くお付き合いさせていただいており、紆余曲折しながらそれぞれの出世街道を歩んでいる話を聞くのは楽しい。毎回飲み会を開いてくれた、同期のリーダー格である瀬戸学先生には深く感謝している。

経理屋としてのキャリアと経理高速化への挑戦

さて、人生の目的がこんな調子なので、公認会計士という資格との関係を語るのは難しい。ただ、公認会計士の資格が私のキャリアに大きな武器とチャンスをもたらしてくれたことは厳然たる事実だ。

コンサルタントをする以上、一定分野においてクライアントよりも豊富な知識を持っていることは絶対条件だ。公認会計士試験はコーポレート部門(労務を除く)に必要な知識を広く深く修得できるとても優秀な学習カリキュラムだと思う。もちろん、机の上で学んだことよりも実務で経験したことのほうがはるかに重要だが、そもそも実務に入り込むための基礎知識は、労務を除いてしっかりと修得できる。
そして何より、公認会計士という資格は難関資格であるというイメージが強く、監査法人にさえ行かなければ非常に注目を浴びる。サラリーマン時代、M&A部隊の責任者としての白羽の矢が私に飛んできたのも、公認会計士という資格によって目立っていたからだと思う。世の中案外チャンスは転がっているもので、それを掃除機のように吸引してくれたのが、公認会計士という資格であると感謝している。

経営企画への異動とM&A、そして“経営”への肉薄

さて、元々資格を持っていたことに加え、一連の連結業務のカイゼンによって、私は経理部では十分にエースになっていた(と思う)。社長の覚えもめでたかったので、このままいけば結構出世できる自信もあったが、その一方でどことなく物足りなさも感じていた。経理は好きだったが、事業会社においてはまったくのバックヤード部門。もっとスリリングなことがしたくなったのだ。
そんな折、会社が企業買収に力を入れようという方針を打ち出し、私にその責任者としての白羽の矢が立った。すぐに経営企画室に異動し、新しく生まれたM&A・組織再編チームを率いることになった。もともとオーガニックで成長してきた会社だったので、M&Aにはノウハウも人脈も存在しない。逆に言えば手探りで好きにやっていいという状態で、まさに願ったりの条件。単に資格を持っていただけではこんな経験はそうそうできない。ここでも実に運がよかった。

結果として、この期間に学んだことは計り知れない。ナマのM&Aは決して公認会計士試験の経営学で学ぶようなシロモノではなかった。実際の競争入札ではバリュエーションレポートなど何の役にも立たないし、買い手である我々がデュー・デリジェンスに求めるのは“過去の妥当性”ではなく“将来の分析”だ。退職給付債務の額は価格の交渉材料としては知りたかったが、そんなことよりも主要従業員をどうやって辞めさせないかのほうが遥かに重大だった。

振り返ると、この業務を通じて“経営”の本質について、少しだけ学ばせていただいたように思う。それは何かと訊かれても、うまく答えることは難しい。ただ、会計という限定された分野の延長には、それがないということを感じていた。どんなに企業価値を合理的に見積もっても、入札額を決めるのは経営者の胆力なのだ。私にとって、次にやりたいことが定まってきた。それはコンサルタントではなく、経営者そのものだった。

そして独立、会社設立

2016年、私はサラリーマン生活を終了させ、古旗淳一会計事務所を立ち上げた。触れ込みは“組織再編・M&A・グループ企業会計税務専門”。これまでやってきたことを武器に、“経営”という新たなフィールドに打って出た。
一応、勝算はあった。それは組織再編(合併・会社分割・株式交換など)の税務。組織再編税制は非常に複雑難解だが、時に大きな節税をもたらす。M&A担当者時代に、少しでも入札可能額を引き上げようと必死に研究しており、またきちんと取り扱える税理士が極端に少ないことに気付いていた。この分野なら勝てると確信していた。

2016年7月に、独立前からずっと温めていたWebサイト『組織再編税制とらの巻』を公開する。Webを主戦場に選んだ理由は、ネット社会の現在、誰もが本屋に行くより先に検索エンジンにかけるからだ。その傾向はますます強くなる。安い投資で潜在顧客にリーチできる販促手段を使わない手はない。実際、このサイトは非常に好評で、定期的に組織再編のご相談をいただく他、セミナーに呼んでいただくなどして、同じく組織再編に携わる専門家の方々とのネットワークづくりに役立ち、現在弊社の収益を支えてくれている。

ただ、商売とは難しいものだ。2017年、経理の実務経験を持つ独立会計士が意外と少ないことに気付いたため、経理の業務コンサルティングを行う株式会社経理救援隊を設立し、前述のブログサイト『ここが噂の経理道場』を立ち上げた。ブログのアクセスは伸びてもマネタイズにはつながっていない。最近は一応広告収入で黒字化しているが、ブログは手間がかかるためコンスタントな新規投稿もできず、これ以上なかなか伸ばすことができていないのが実情だ。ちなみに、いい記事を書いてくれる人がいれば買い取るので、ぜひご相談ください。

昨年さらにもう1社、組織再編の企画・管理を行う株式会社STRコンサルティングを設立し、税務以外の組織再編のご相談はこちらで受ける仕組みにしている。こちらは個人事業との連携もあって一気に収益を上げることができた。そして、はじめて社員を1名採用するところまで漕ぎつけることができた。

組織をつくっていく

本稿執筆時点で、1名の社員を採用が決まり、入社日を待っている状態である。高額な固定費が発生するが、事業を大きくするためには絶対に避けて通れないと理解して決断した。
紹介会社を通じて募集をかけると、意外と優秀な方が何人か面接に来てくれた。そのうち、公認会計士・税理士はおろか簿記3級も持っていないし、受ける気もない方に決めた。最初は私の業務の補佐として動いてくれる方を探していたのだが、だんだんと私の持っていないスキルやキャリアを持っている方が欲しくなり、事業サービスの幅を広げるために採用に踏み切った次第だ。
果たしてこの人材が、事業の成長をもたらしてくれるか、現時点で確信はない。ただ、公認会計士試験受験、独立に続く大博打ではあるが、昔からこういう勝負には不思議と勝ってきたので、今回もうまくいきそうな予感だけはある。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

役割としての経営者

現在の仕事は何ですか?と訊かれるなら、当社のような零細企業としてはやや恥ずかしいが、やはり「経営者」と答えるべきだろう。実際には兼プレーヤーだが、本業はどちらかと訊かれたら、経営者と答えるしかない。経営者がいない事業組織など存在しないからだ。

具体的には、新しいビジネスがないかを考えて、面白いと思ったら予算と時間をざっくり決めてやってみる。司法書士や税理士、社労士といった方々とネットワークを作り、当社で行えない仕事は代行していただける関係を維持する。人手が足りないから求人をしたが、その想定年収と求人予算を設定するのも私の仕事。お陰様で様々なお仕事の引き合いをいただくが、その報酬設定や、そもそもお受けするか否かを決めるのも経営者ならではの業務だ。そして何より、会社の将来を描いてどんな組織を作っていきたいかを考えるのも、経営者として絶対に手を抜いてはいけない大事な仕事だ。
こんな小さな、吹けば飛ぶような事業であるが、それでも経営とは難しいものだと強く感じる日々を送っている。

こんな商売をしています

とはいえ、上記のような記述ではテーマの趣旨に反していると思うので、今力を入れている事業についてご説明したい。端的にいうと、中小企業が組織再編を“成功”させるためのお手伝いだ。

合併や会社分割といった組織再編行為は、明らかに中小企業にも浸透しつつある。しかし、ほとんどの場合でその会社にとっては初めてのチャレンジだ。組織再編は単に法的に“成立”すればよいものではなく、経営者が当初描いていた目的を達成し、かつ大きなトラブルなく完結しなければ、“成功”とは言えない。当社は組織再編を“成功”させるために必要なサポートを行っている。
たとえば、無数の組合せが考えられる再編スキームのうち、どれがもっとも最適か考え、比較・提案する。社内と社外(司法書士等)のタスクを擦り合わせたスケジュールを作成する。簡易的なデュー・デリジェンス(主にビジネスDD)を実施し、再編に伴うトラブルのリスクを抽出する。このような業務を通じて、経営者と一緒に組織再編の“成功”を実現するのは当社のミッションである。

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