手塚正彦(てづかまさひこ) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

一般財団法人会計教育研修機構

理事長

手塚 正彦 てづか まさひこ

逆境を知る会計士
支配人タイプ
支配人タイプ

1961年8月18日生まれ(62歳)
神奈川県出身 ・ 東京都在住
東京大学経済学部経営学科

支配人タイプの特徴
  • 内向的
  • 臨機応変型
  • 大局タイプ
  • 個人主義
  • 伝統型
  • 外向的
  • 計画管理型
  • こだわりタイプ
  • 集団主義
  • 革新型
  • 30
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  • 30
  • このタイプの割合
    回答者全体の
  • 1.6%

強く自己主張をするよりか、周囲と協調しながら物事を進めることが多い。
また状況の変化や刺激に対して過敏に反応することがなく、ストレスに対する対処法も心得ているため、常に落ち着いている印象を持つ。
斬新な意見や革新的な考えに興味を持つ。
固定観念に縛られずしなやかな立ち回りができるが、場当たり的かつ衝動的な行動をとることも少なくない。
場に応じて柔軟にふるまいながら仕事を進めることができる。

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1キャリアサマリー

1986年10月に当時の公認会計士二次試験に合格し、監査法人中央会計事務所入所。監査を主たる業務としつつ、企業買収デューディリジェンス、企業グループ内再編支援など多岐にわたる業務を経験。1997年に社員、2002年に代表社員就任。2005年に、法人の監査先の粉飾決算が発覚し、法人改革担当理事に就任。2006年に理事長代行として法人経営全般に関わる。2007年に監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)に入社。監査責任者として仕事をするとともに法人経営と新規事業開発等に携わる。2019年7月に日本公認会計士協会会長に就任。現在は、一般財団法人会計教育研修機構理事長、みずほ銀行取締役監査等委員などを務める。公認会計士という資格は、ビジネスに必要な知識の多くを身に付けることができ、また、様々なことを経験できる資格です。公認会計士となって本当によかったと実感しています。

2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

僕、実は、会計士になりたいと思ってなったのではなかったんですよ。小学生からやっていた大好きなサッカーを、大学生になっても社会人になっても続けて、楽しく過ごせればいいなって思ってた。でも、中学3年で急性腎炎となり、腎生検という手術で腎臓組織を採取する検査をしたのですが、検査前に主治医から「3分の1の可能性で人工透析、3分の1の可能性で命にかかわる」と宣告される怖い思いをしました。いったん治ったのですが、高校2年の全国大会の予選試合中に再発して、運動はドクターストップ。このまま治らないのではないかととても不安になりました。幸い、後に完治したことは本当によかったけれど、サッカーの他に趣味もなかったから、高3のときはこれからどうしようかと悩みました。一浪して東大に入り、就職を考える大学3年の終わり頃、当時はいわゆる「猛烈社員」が多い時代で、激務の会社では病気が悪化する恐れがあるから、何か資格でも取ったらどうかと主治医に言われたわけです。「弁護士は経済学部の僕にはきつそうだな。税理士は資格をとるまで時間がかかる。」色々調べる中で公認会計士を知って、経済学部の自分にとって1番早く受かりそうという単純な理由で勉強を始め、大学を卒業した翌年に合格しました。何をするのかもわからずに監査法人に入ってみたら、とても面白かった、という感じです。監査法人中央会計事務所(後の中央青山監査法人)に入所した1986年はバブル前夜。入所直後こそ暇でしたが、すぐに忙しくなっていきました。僕が配属された当時の監査四部には、監査先として新日本製鉄(現在の日本製鉄)、旭硝子、出光興産、信越化学といった日本を代表する製造業が多くあり、監査のほか、新日鉄の企業買収に関するデューデリジェンスや、グループ会社再編の支援、子会社のIPOなど、若いうちから幅広い業務を経験しました。今ほどは独立性が厳しくなく、やれることの幅が広くて仕事がとにかく面白かった。1997年にはパートナーになりました。
2005年10月に、「カネボウ事件」で中央青山のパートナーが逮捕・起訴されたことをうけ、経営陣を一新することになりました。この時44歳、当時最年少で理事になりました。法人改革担当として監査法人の組織・業務改革に没頭しましたが、2006年3月に、カネボウの監査を担当していたパートナーの有罪が確定してからが本当の修羅場でした。5月に中央青山に対して業務停止命令が出て、7月1日にPwCがあらた監査法人(現在のPwC Japan有限責任監査法人)を新設して、多くのクライアントと約900人の職員が移籍しました。終電がなくなるまで働いて週に3日くらい近くのホテルに泊まりました。ホテルの地下のコンビニで夜寝る前に飲むビールと次の日の朝食を買い、朝6時過ぎにはオフィスで働き始めるという日々でした。この時ばかりは死ぬかと思いましたね。忙しいからということだけでなく、東京海上やソニーといった主要クライアントや、多くの社員・職員が出ていってしまう。あらた設立直前の6月30日の朝は、ひとり霞が関ビルのオフィスで震えが止まりませんでした。これで本当に監査法人として成り立つのかと。ただ、こんな経験をしたことが今の自分があると思います。この経験がなければ、日本公認会計士協会の会長になることもなかったでしょう。
 この頃ちょうど内部統制監査が入るタイミングだったこともあり、各部門から精鋭を集めて内部統制事業部を立ち上げました。業務停止期間中の2006年7月と8月のたった2か月で研修マテリアルやコンサルティング・マニュアルを作ったかと思えば、あっという間に受注してきました。法人は、業務停止によって30パーセントの上場会社監査クライアントを失って赤字になり、自信を失いそうになっていたのですが、「こいつら、すげえなぁ!」と希望が湧いた瞬間でしたね。
しかし、2006年の年末から2007年の年頭にかけて、監査先の粉飾決算が立て続けに発覚しました。日興コーディアル証券と三洋電気の問題です。これをうけ、2007年2月にみすず監査法人(旧中央青山監査法人)は自主解散を公表し、7月末に解散しました。僕は、解散後の10月からトーマツにお世話になりました。トーマツでは経営会議メンバーとして法人経営に携わるとともに、IFRSアドバイザリーサービスや、統合報告のアドバイザリーサービスなどの新規事業を立ち上げました。また、監査法人、税理士法人、コンサルティング会社、FAS会社などのビジネスライン横断的なチームを組成して、ターゲットと定めた企業に複合的なマーケティングを行う活動のリーダーも務めました。監査法人以外のビジネスを理解し、プロフェッショナルとしての幅が大きく広がる経験でした。これらを経て、2016年に日本公認会計士協会常務理事、2019年に同協会会長に就任。大手法人以外の世界をあまり知らなかったけれど、会長としての3年間で、監査法人にいるだけでは築くことが難しい多様なネットワークができました。コロナ禍で本来行くはずだった出張がなくなってしまったけれど、移動しない分、考える時間的な余裕ができたことはよかったですね。また、日本は世界で初めて、コロナが蔓延しつつある中で年度末決算を迎えた国。金融庁、経団連、全銀協、ASBJなど色々な団体や国会議員と危機感を共有し、株主総会を遅らせることができる環境の整備に奔走しました。これをきっかけに、これらのステークホルダーとの距離がすごく縮まりましたね。そういった意味ではコロナも、彼らに公認会計士協会をイコールパートナーだと認めてもらえる1つの良い契機ではありました。
会長の間、これは絶対やろうと思って取り組んだことの1つに、2007年に策定されて以来更新されていなかった「ビジョンペーパー」 の作成があります。向こう10年の会計士業界の未来を見据え、こういうことをやるべきだという項目をまとめた提言書です。その中に特に重要な項目が2つあり、1つは公認会計士法の改正のための体制整備と論点整理。15年ぶりに実現した2022年公認会計士法改正では、法律改正が行われるプロセスを学び、公認会計士協会も体制整備が必要だと痛感しました。税理士会では税理士法や関連する法律の課題を検討する会議体が組織の中に組み込まれていて、本部でも地域会でも議論して、改正の提言を毎年まとめているそうです。そして、5年に1度は税理士法改正を行うこととしていると聞きました。会計士協会にはそういう仕組みがなかったので、税理士会に倣って作ろうと考えました。もう1つは会計士の能力開発プロセスの再構築です。現状の制度においては、公認会計士試験、実務補習、修了考査、そしてCPDと、各々の実施主体が別々で連携が十分でなく、一体的に専門家を育成するプロセスになっていないと考えました。これを一体的な能力開発プロセスとして再構築するプロジェクトです。これらは僕が会長の間には達成できませんでしたが、現会長が引き続きこのビジョンペーパーに沿って、プロジェクトを推進してくれています。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は会計教育研修機構の理事長、日本公認会計士政治連盟会長、㈱みずほ銀行取締役監査等委員、かがやきホールディングス㈱監査役などを務めています。かがやきホールディングスは公認会計士が社長をやっていて、中小企業を総合的に支援する事業を行う社会的意義のある会社です。監査法人、税理士法人、司法書士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人などの士業法人やコンサルティング会社、M&Aサービス会社などを傘下に持っていて、企業の経理・財務、人事・労務、経営企画部門などにトータルサービスを提供できるグループです。今後狙いどおりにビジネスを拡大できたら、中小企業支援サービスを包括的かつ全国的に提供できる、社会的にも存在意義が高い稀有な会社になれると思っています。

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