福島隆寛(ふくしまたかひろ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

ユナイテッド株式会社

経営管理本部

経営管理本部長

福島 隆寛 ふくしま たかひろ

経理担当者から経営管理本部長へ。実務経験の積み重ねが日々の成果につながっていくのを実感
和尚さんタイプ
和尚さんタイプ

1978年8月3日生まれ(46歳)
東京都出身 ・ 千葉県在住
早稲田大学 商学部 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

僕は、会計士としては特別に秀でた専門分野というのはありませんが、これまで在籍した3社で非常に多くの経験をさせて頂いている点は、自分自身の大きな強みになっているのではないかと思います。座学だけでなく実際にいろいろな現場を経験してきたこことで、新しい事象が起こったときにも過去の事例に照らし合わせて直感が働いたり、各当事者の考え方を汲み取りやすくなっている点が特に役立っていると感じています。

例えば、決算書の作成だけをとっても、“作成者”“監査人”“アドバイザー”“アウトソーシング先”と様々な立場を経験してきました。同じ作成者でも、連結決算の親会社側と子会社側では、全然状況は異なります。ディスクロージャー会社2社とも、単なる実務担当者としてだけでなく、監査や下請けの形で通常よりも深く関与させて頂きました。

決算は、限られた時間の中で、多くの関係者を巻き込んで進めていかなければいけない一大イベントであるため、スケジュールとアウトプット資料のデザインはとても重要です。各当事者の事情はそれぞれ異なるため、調整可能なことと調整不能なことを適切に把握して、不必要なバッファの圧縮や業務フローの見直し等をすることで、決算に必要な時間も大きく変わりますが、ほぼすべての当事者を経験したことにより、それぞれの事情を踏まえた調整ができる点は、自分の大きな強みだと思います。また、決算に限らず、“クライアント(=委託者)”と“顧問/コンサルタント(=受託者)”という関係性は、事業会社の中にいると様々な場面でも応用がきき、受託者側を経験したことにより、相手の採算も考慮して依頼範囲を調整することができる点は、自分の強みだと考えています。

会社の業種やステージに関しても、監査法人時代には、建設業、証券業、食品メーカー、出版社、オンラインゲーム会社など様々な業種を経験させて頂きました。会計コンサルティング会社時代には、資金繰りが逼迫した結果、夜逃げ寸前の会社や実際に倒産してしまった会社、不正に手を染めてしまった会社など様々な顛末を見る機会がありました。現在は、成長著しいスタートアップの投資先が多く、業種も規模も本当に様々な会社を間近で見てききました。M&Aに関しても、買い手・仲介会社・株価算定機関などの方々とご一緒させて頂いたことで、これまでの自分にはない視点を学ぶことができるなど、知見が広がりました。

現在は、経営陣の方々とご一緒させて頂き、思考や行動、時には苦悩を間近で見る機会を得て、擬似体験をさせて頂くことで視座が上がったり、新たな気づきを得られたりすることが多いです。そしてそれを自分自身の業務においても応用して活用しています。

正直、目の前の仕事を愚直に取り組んできただけで、キャリアに関しては深く考えずにこれまでやってきましたが、前職時代にM&Aやファンド組成に関与したことが現職での投資業務に活きたり、監査法人時代に証券業で学んだ分別保管の話を新たに参入する仮想通貨事業でも応用できたりといった形で、これまでバラバラだった経験が、様々な形で繋がっており、“点と点が繋がる”瞬間を日々実感できています。

ユナイテッドは、会社全体で様々なことにチャレンジしているので、経験を積むにも活かすにも最適な環境です。幅広い業務の経験をされてきた方や、好奇心旺盛な方にとっては、やりがいがあり楽しめる場だと思います。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

僕は、何か大きな仕事を成し遂げたときというよりも、自分がピンチのときに仲間から手を差し伸べてもらったり、チームの仲間と信頼し合って動けていると実感できているときに心が大きく動きます。

ユナイテッドは成長途上にあるため、業務量に波が出たり、様々なハプニングも起こったりするのですが、僕がピンチのときには、役員が必ず声をかけて勇気づけてくれたり、それを乗り切るためのアクションを一緒に考えてくれたりします。また、自部署のメンバーは、自分の目に届かないところも含めて、自発的にできることを探して巻き取ってくれたり、人事部門のメンバーが様々な形でサポートをしてくれるので、そのサポートを受ける度に心が動きますし、仲間の心強さを強く感じています。

以前、税務調査の際に、想定外の論点が急に出てきて途方に暮れたことがあったのですが、事業部門の責任者が集まる社内のチャットグループに半ば愚痴のような形でその旨を投稿すると、そこに参加していたメンバーが次々とアイデアを出してくれて、10分であっという間に課題を解決できたこともありました。このときは、社内から“元気玉”がものすごい勢いで集まってくる感覚で、チャットを見ながら少し泣きそうになったことを今でも覚えています。

監査法人を離れて、一緒に働く仲間が会計士等の専門職ではないメンバーと一緒に仕事をしていると、自分が意識していなくてもプロフェッショナルとしての仕事を期待されているため、正直はじめは言葉の通じない“助っ人外国人”のような感覚を覚えることもありました。しかし、ユナイテッドで大事にする価値観(バリュー)の1つに“チームユナイテッド”というものがあり、その中で“一人ひとりユニークにユナイテッド”という表現があります。僕はその価値観・考え方に救われてきました。僕ひとりで何かを成し遂げるのではなく、会計士としての知識や経験を活かしつつ、他のメンバーと助け合ってプロジェクトを遂行する瞬間に“チームユナイテッド”を感じ、人一倍心が動きます。

僕は、小休止期間のサッカーのサポーター活動を通じて、サポーターも含めたチームの一体感が生み出すパワーの重要性を学びました。人には様々な価値観があり、それはお互い尊重されるべきものです。そんな中で、価値観の合う仲間とともに、足りないものを補完し合いながら目的を達成するプロセスを楽しむことができれば、仕事だけでなく人生そのものも豊かなものになっていくのではないかと信じています。

(参考)ユナイテッドのビジョン・ミッション・バリュー
    http://united.jp/company/mission/

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

僕は、公認会計士という仕事や資格に関しては、監査法人に在籍していたときから現職に至るまで、人一倍悩んでいたように思います。乗り越えたと言えるかはまだわからないですが、いずれの場合も視点を変えたり、“自分らしさ”というものを大事にすることで、その悩みを払拭しようとしてきました。

最初に悩んだのは、監査法人時代、少し仕事がわかってきて自分なりの“色”を加え始めた頃でした。自分が頑張れば頑張るほど周りが苦労するという状況となってしまい、自分自身の存在価値を否定されたような感覚に陥ったためです。自分が張り切り過ぎてクライアントの方を泣かせてしまい同僚の方々から非難を浴びたり、IPO前のクライアントの非監査業務に時間を多く使いたいと思っても予算の関係で上司から止められたり、ということが続き、自分が何のために仕事をしているのかわからなくなりました。

この時は、冒頭で記載した自分の今後の人生についても見直していた時期だったこともあり、会計士とは全く別の仕事をしようと本気で考えたこともありました。会計士の資格は、何年間も頑張って取得したものではあるけれども、それはあくまでオプションであって、それに縛られるのは何かオカシイと思っていたためです。

少し追い詰められていたので、学生時代から抑えてきた“遊び”や“休息”の時間も兼ねて、仕事を離れてゆっくりと考えることにしました。今だから言えることですが、この8ヶ月間は、ほぼ仕事に直結することは何もしていなかったように思います。ただ、“遊び”の枠を超えて、サッカーのサポーターとして本気で活動し、様々な属性の方々と触れ合うことにより、人間として一皮むけることができたのは大きな経験でした。

そして、重荷をすべておろして自由に考えたときに、自分が不器用な人間だからこそ『会計士』という武器を求めたことを再確認することができました。20代後半に全くゼロから再スタートを切るよりも、監査以外の他の領域で“やりたい”と思う仕事を探した方がいいのではないか、そう考えて業務領域を限定しない会計コンサルティング会社への転職を決めました。

会計コンサルティング会社では、規模が小さな組織だったということもあり、転職時の想定をはるかに上回る幅広い経験をさせて頂き、何度か独立という選択肢を考えたこともありました。ただ、その度に自分の性格的に「独立だけはないな」という気持ちが強くなり、会計士という肩書への拘りはどんどん小さくなっていきました。もともと営業力に不安があったので独立をためらっていたのですが、自分だけでなくスタッフの生活も責任を負うことの重圧、著名な独立会計士の方と一緒に働かせて頂いた際に痛感した絶対的な差など、足りてないものが多すぎると感じたためです。会計士としてクライアントの方に信頼して頂くには、知識・スキル面と同等かそれ以上に説得力や安心感が重要であり、時にはハッタリも必要ですが、僕は、これが苦手でした。時間をかけてクライアントに寄り添い、親身になって話を聞いて問題の本質を解決するというスタイルが染みついており、それ以外の引き出しがないことに気がついたときに、僕には別の生きる道があるハズだと思うようになりました。

ちょうどその頃、IFRS導入コンサルティングの案件を何件かやらせて頂いていたこともあり、事業会社の中の人間でないと論点を抽出できないという葛藤を味わっていたため、事業会社の側に立つことこそが、自分の強みが活かしやすいのではないかと考えました。

現在は、もはや公認会計士として活動することはほぼ皆無です。もちろん会計処理や開示に関して方針をまとめて監査法人の方と議論はしますし、役員会等で意見を求められることもあります。でも、それは公認会計士という資格が必須というわけではなく、いろいろなことにそこそこ精通している便利屋として重宝されているからだと考えています。僕自身も肩の力を抜いて成果にコミットできている状況が一番パフォーマンスを発揮できるので、ちょうど良い距離感だと感じています。

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