須能玲奈(すのうれな) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

Ernst & Young ニューヨーク事務所

日系企業部 監査部門

マネージャー

須能 玲奈 すのう れな

英語力と監査経験でニューヨーク移住の夢を実現。既成概念にとらわれずやりたいキャリアに進む
アイディアマンタイプ
アイディアマンタイプ

東京都出身 ・ ニューヨーク在住
慶応義塾大学 経済学部 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

日本で働いていたら、敬語がきちんと使えて日本のビジネスマナーを理解しているということは当然のことですが、アメリカで働いている日本人の中には、日本の高校を出た後にアメリカの大学に留学し、そのままアメリカに残って働いている人や、幼少の頃からアメリカで育ったために日本での就労経験がない人が多く、日本語でビジネスメールが書けなかったり、敬語が使えなかったりする人が意外とたくさんいます。また、会計用語も、英語では分かるけれども、日本語で表現できないという人がほとんどです。そのため、きちんとした日本語が使えて日米のビジネスマナーが分かり、日本語と英語で会計に対応できる人は、日本で考えられている以上に貴重な存在であることに渡米してから気が付きました。また、アメリカで働く時には、英語でコミュニケーションがとれることだけでなく、アメリカ流のビジネスのやり方を理解してアメリカ人と働く時にはアメリカのやり方に倣うことが重要だと思います。けれども、これは誰かが教えてくれることではないので、色々な場面を経験しながら、自分で掴んでいかなければいけません。今の部署は日系企業部門で日本人がある程度在籍しているので、渡米してすぐに今の会社に入っていたらアメリカ流のビジネスマナーは身につかなかったかもしれません。BDO監査法人時代に毎日アメリカ人と仕事をしていたおかげで、様々な状況への対応の仕方がなんとなく分かるようになり、それは、今でもとても役立っています。

アメリカで事業展開を行っている日系企業の子会社は現地化が進んでいることが多く、社員のほとんどは現地の人で一部の要職に日本から駐在員が送り込まれているケースがほとんどです。私は幸い日本での就労経験があるので、クライアント先の日本人駐在員の方の対応もでき、英語はまだまだ修行中でありながらも現地の社員ともコミュニケーションがとれます。また、親会社の監査チームの人たちとは日本語で会計監査の話ができるので、そうしたことが思わぬ強みになっています。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

今の会社は、監査の計画時の会議をとても重視していて、チームメンバー全員が参加して、対面で監査の基本方針を議論します。ある大きな監査チームに入った時に、ロンドンの親会社チームが、世界中の監査チームの主要メンバーをロンドンに呼んで行った監査の計画段階の会議に参加する機会に恵まれました。中国、ロシア、カナダ、スペイン、イタリア等、世界各地から監査チームのメンバーが一同に会したのですが、こうした国際色豊かな会に早い段階で参加することができたのは、ニューヨークに渡ったからこそで、今でも良い思い出です。飛行機に乗り遅れてしまったと堂々と遅刻してくるイタリア人のパートナーがいる一方で、10分ほどの休み時間でもメールや電話に追われているニューヨークのパートナーがいたりと、色々な国の人が集まるとそれぞれのお国柄も如実に出るので、面白いです。

ニューヨークの監査チームは多国籍で、パキスタン人のシニア、アメリカ人と中国人のスタッフと一緒に半年ほど働いたことがあります。育った環境も年齢もバラバラで、共通点は同じ会社に勤務していることぐらいしかありませんでした。それでも、とても仲が良いチームで、アメリカ人の女の子はアメリカに住んでいないと知り得ないアメリカ文化を教えてくれ、パキスタン人の男の子は午後になるとパキスタンの美味しい紅茶を分けてくれ、中国人の女の子は日本のことが好きで、よく私の話を聞いてくれました。プロのモダンダンサーとしてのキャリアをやり切った後に第二の人生として会計士の道を歩み始めたばかりのアメリカ人の女の子。いまだに小学校は青空教室という貧しい国で猛勉強してアメリカへの大学院留学を果たしたパキスタン人の男の子。大学時代をアメリカで過ごし、自由な国アメリカが気に入って、中国に帰りたくないからと仕事に精を出す中国人の女の子。日本の監査法人に勤務していた時には、皆似たような経歴や考えの人たちばかりでしたが、ニューヨークでは、育った国も、信じる宗教も、毎日食べるものも全く違う人たちに囲まれ、世界の広さを実感する毎日です。海外で働くことに憧れていた時には、英語を使って働くことしか思い浮かべていませんでしたが、実際の仕事現場は毎日がドラマのようで、日本に住んでいた時には想像もしなかった世界が日本の外には広がっていて、特に世界の縮図とも言われるニューヨークにいるからこそ体験できることも多いです。チームをまとめることは日本にいた時以上に大変で、英語にハンディがある分、アメリカ人以上に努力することが必要ですが、会計や監査の知識を相手にきちんと示すこと、相手の話をよく聞いて常に全力で対応することを実践すれば、時間はかかっても、アメリカ人に理解、評価してもらえることを学びました。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

人生のステージは数年ごとに変化すると思うのですが、その度に自分の将来の方向性を色々考えています。これは、会計士という職業にかかわらず、生きている限り変わらないのではないかと思います。

私が日本で勤めていたあずさ監査法人の国際部には意欲的な先輩たちが多く、最後の試験が終わって会計士になった入社3年目を過ぎた頃に転職をして、会計士としての資格を生かしつつ、監査の道を離れてコンサル業界等に進む人が多かったです。私たちの同期も、入社3年目の頃にはよく、監査法人に残るか残らないか、といった話をしていました。私自身はその時にニューヨークへ渡るという選択をしましたが、今の環境に残るのか、別の場所へ移るのかという選択をする時に重要なことは、今の環境が嫌だから違うところへ行くという消去法的な発想ではなく、自分が本当にやりたいことが今の環境で実現できるのかどうかを考えることだと思います。私の場合、ニューヨークのアメリカ企業で働くという夢は日本にいる限りは実現できなかったので、無職の学生に戻って見つかるかどうか分からない仕事探しをするためにニューヨークへ渡ることへの不安は全くありませんでした。いまだに「よく思い切ったことをしたね」と言われることもありますが、ニューヨークでの生活は仕事以外の部分でも学ぶことや刺激を受けることがたくさんあって、最初は大変なことも多かったですが、大好きな街ニューヨークで暮らせていることに日々感謝しています。

今は、ニューヨークでの暮らしや仕事にもだいぶ慣れてきたので、自身のキャリアについて色々と考える日々です。ニューヨークでは、自分がやりたいことに貪欲に取り組みながら生き生きと輝いている人が多いです。日本ではまだまだ、社会が敷いたレールの上を歩んでいくことが良しとされるような風潮や、人と違ったことをすることに対して抵抗を感じる人が多いように思います。多様な価値観や生き方が存在し、日本での常識が時には非常識となってしまうこともあるようなニューヨークでの暮らしが長くなるにつれ、どんな時でも自分の人生の舵取りは自分でとっていきたいという気持ちが強くなりました。ニューヨークでは、一人ひとりが違い過ぎて正解が存在しないので、日本での固定観念に囚われずに物事を考えることができます。また、たとえ無謀に見えるようなことであっても、情熱を持って取り組んでいれば、応援してくれる人は必ずいて、チャンスは思わぬ形でやってきます。一つやりたいことが達成できると、また別のやりたいことが出てくるので、自分の心の声に耳を傾けながら、自分が本当に求めている姿にどうやったら近づけるかを、最近はよく考えています。ニューヨークは、世界中から自らの夢を追いかけてやって来る人が集まる街です。全く違う業界でも、着実に目標達成をして前へ進んでいる友人たちからは良い刺激を受けています。

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