澤村基子(さわむらもとこ) | ページ 3 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社プロネクサス

ディスクロージャー相談部 相談3部

チームリーダー

澤村 基子 さわむら もとこ

IPO準備会社・不動産投資法人等のディスクロージャー支援業務を統括。メンバーの長所を生かしたチームマネジメントで手腕を発揮
リーダータイプ
リーダータイプ

50代
東京都出身 ・ 東京都在住
明治学院大学 経済学部経営学科 卒業

7人生の目的と公認会計士という資格

目的意識をもって公認会計士になる人も多いですが、私の場合は、そもそも会計士ってどんな仕事をしているのだろうという興味本位から入ったところもあるので、会計士になってすぐは、これをしたいというのはありませんでした。会計監査という枠に限らず、様々な業務を行っていた父を見ていて会計士になれば、色々なことができると思い、女性でも会計士になれば、一生食べていけると考えていました。そして、幼いころから父の周囲の会計士の方々接する機会も多かったため、会計士になったらまずは監査法人に入り、経験を積み、そして、監査法人を辞めて次のステップに進むのが会計士なのだと勝手に思い込んでいました。

私は、監査法人時代に子どもを3人出産しました。一番上の子の育休中には、世間の会計士に対する評価や自分の価値を知りたくて、転職活動をしました。1人目を産む前は残業を相当していたため、提示された残業代込みの年棒が監査法人より下がってしまうこと、また、初めての子育てをする上で新しい職場環境よりも従来から勤務している監査法人の方が私のこれまでの実績を知っているため、多少の融通が利く可能性が高いこと等を考え、結果として転職をしませんでした。

転職活動をした当時、私は監査法人の世界しか知らなかったため、自分の評価を提示された報酬額でしか判断することができませんでしたが、今、冷静に当時の転職活動を振り返ると会計士という資格は持っていれば新たな一歩を踏み出すうえで、形式的には加点ポイントになりうるものだと思います。ただし、会計士の資格はあくまでも最初の一歩を踏み出す時の加点ポイントでありチャンスを生み出す道具のようなものであり、踏み出した後は会計士の資格に関係なく、その人自身が評価されると思っています。したがって、公認会計士という資格を持っていれば、可能性は限りなく広がりますが、その可能性を活かせるか否かはその人自身であり、日々の努力であると私は思います。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

IPO準備会社のCFOになりたい、経営者になりたい、独立したい等目標を持って仕事をされている会計士も多いですが、それでは、自分が将来、何をやりたいのかと問われると、「……」と言葉に詰まってしまいます。もともと監査法人時代にIPO準備会社の監査を行なっており、その時の経験から会計士としてIPO準備会社の役に立つことをしたいという希望があり、現在の会社で働いているので、IPO準備会社のために何かをしたいという私の希望は現状、満たされているといえます。

実際に、上場されたお客様より、上場申請書類や有価証券届出書のチェックをここまで丁寧にしていただけるとは思っておらず、非常に勉強になったと言っていただけることもあり、お客様からの感謝の言葉が私の原動力になっています。

会計士の集まりなどに参加すると、既上場会社に所属する会計士からも「プロネクサスの手引きとチェックにはいつもお世話になっています。本当に助かっています」とわざわざお声がけ頂くこともあり、プロネクサスの社員であることで、多くの会計士と繋がることができるのも非常に恵まれた環境にあると思っています。

私が今の会社で働き始めた頃に、会計士協会で組織内会計士のための委員を募集していました。監査法人時代は監査業務ばかりで法人内の活動をすることもなく、24時間監査ばかりの生活を送っていましたが、せっかく新しい環境で働き始め、そのタイミングで募集をたまたま見つけたのも何かの縁かもと、手をあげました。医者や弁護士は誰でも知っているのに、会計士を知らない人は多いのは何故なのだろうということを幼い頃からなんとなく感じつつ、そして、監査法人に入ったあとは、何となく会計士を煙たがるクライアントもいたり、どうして、会計士の地位は高くないのだろうと思うこともあったりしました。おそらくは、会計士は医者や弁護士と違い、個人相手の商売ではないから、生活の中で会計士と出会うことも少ないのが影響しているのかもと思いつつ、そうであるならば、一般企業で働く会計士こそが会計士の魅力を伝えることができるのではないかと、そんなことも思いつつ、組織内会計士の委員に手を挙げました。

現在は、組織内会計士の品質維持向上のために、組織内会計士向けの研修を企画しておりますので、組織内会計士の方々が受講したいと思うような研修企画をしたいと思っています。また、昨年からは東京会の女性会計士活躍推進プロジェクトチームにも参加し、女性会計士活躍のための研修企画も行なっています。会計士という資格があれば、ライフステージに合わせてペースを落として働いたり、一度仕事から離れても再就職することも比較的容易だと思っています。父からは当初会計士になることを反対されましたが、結婚、出産を経て、今、感じることは、会計士の資格があれば、やりたいことが本人の努力次第で何でもできるような気がします。会計士は女性に向いていると思いますので、1人でも多くの女性会計士が増えるように、協会活動を通じてお役に立てるよう、今後も頑張りたいと思います。

9キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

どんな業務であっても、日々の業務一つ一つを確実に行なっていくことが、一番大切であると思います。監査法人でパートナーを目指すにしても、IPOのCFOを目指すにしても、日々の一つ一つが将来につながるのではないかと思います。

監査法人入所当時は、日々の業務が新鮮で楽しく、昼間は既上場会社対応、夜はIPO準備会社というような今考えると無謀な働き方をしていました。ただ今思うとその時の頑張りが結果として出産後の自分の居場所を監査法人内に作ってくれたように思います。当時私がいた部門では、働きながら子どもを産んだ女性の前例がありませんでした。前例がないということは、当然、最初が肝心。私が子どもを産んで、私が頑張って実績を作ることで結果として子どもを育てながら仕事をしていくことに理解が得られるような環境ができればいいなという気持ちで、出産前よりはセーブしつつも結構、働いていました。3次試験前に出産したこともあり、もしかしたら、もっと働きたいという気持ちがあったのかもしれません。私が良い前例となったかはわかりませんが、その後、私のまわりではちょっとした出産ブームでした。

何かを変えたいと思っても、変えてほしいとと言うだけでは何も変わらないと私は思っています。変えてほしいとお願いする前に自分もやるべきことをしなければ誰からも相手にされないと思っています。自分自身が置かれた環境に不満を持つのは簡単です。ただ、不満を持つ前に自分でできることはないのか、考えることは大切です。会社と話をして会社に理解してもらえなかった時、会社が理解してくれないことを嘆くのではなく、会社を説得できなかった自分のどこかに問題があるのではないかと自分を顧みることが私は大切だと思っています。会計士として毅然とした態度で会社と向き合うことは大切です。これは決して上から物を言うのでもなく、高圧的な態度で話をするのでもなく、プロとして相手に理解してもらえるように話をすることが大切だと思っています。相手のためを思うからこそ時に厳しいことも話しているということが自然と伝わるくらいにクライアントや社内の人と信頼関係を築いて仕事をしていきたいと私は思っています。

日々の業務の一つ一つに丁寧に対応することが、将来への一番の近道であり、一つ一つの業務の結果が大きな花になるはずです。花を育てる時に毎日水を上げることが大切なように、一つ一つの業務を大切に会計士として大きな花をさかせてください。

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