澤村基子(さわむらもとこ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社プロネクサス

ディスクロージャー相談部 相談3部

チームリーダー

澤村 基子 さわむら もとこ

IPO準備会社・不動産投資法人等のディスクロージャー支援業務を統括。メンバーの長所を生かしたチームマネジメントで手腕を発揮
リーダータイプ
リーダータイプ

40代
東京都出身 ・ 東京都在住
明治学院大学 経済学部経営学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私にとっての強みは監査法人時代の監査経験と人間関係だと思っています。社会人として最初の監査法人時代は、日々クライアントに行き、監査をすることが新鮮で楽しく、何事にも積極的に取り組みました。いまでこそ監査調書は電子化され、監査手続もきれいに文書化されていますが、私が入所した頃は紙の調書で、監査手続の指示書もひと言、ふた言書かれているだけ。上司からは前期調書を渡され、「前期調書を見ながら、なぜ前期は監査調書に書かれてある監査手続を実施したのか、当期は前期と同じ手続で足りるのか、前期の監査調書はそもそも十分な監査手続を実施しているのか、きちんと考えながら監査をするよう」にと言われ、日々手探りの中で監査六法を片手に監査を行なっていました。同期と日々、情報交換をしたり、議論したり、上司にも会社にも分からないことは積極的に聞き、日々新しい発見や学びがあり、充実していました。

既上場の大手企業の監査ではあまりの会社の大きさになかなか会社の全体像を把握することはできませんが、会社の内部統制はきちんと整備され、運用されているので、一つの事例として非常に参考になります。一方、規模の小さいIPO準備会社の方が会社の全体像が把握しやすい反面、内部統制の構築に関しては課題が多い。既上場の大手企業の監査にも携わりつつ、IPO準備会社の監査にも携わり、まったく異なる両者の監査を経験できたことはとても有意義でした。また、異なる業種、経営形態のIPO準備会社に携わることができたため、会社の特性や経営環境を理解する大切さを学びながら、各社の監査対応をすることができたことも貴重な体験であり、今の私の強みになっていると思います。

父から「クライアントから依頼されたサービスだけを提供するのは仕事ではない。言われたことをするのであれば誰でもできる。ビジネスを本当にするというのであれば、クライアントが望んでいること以上のサービスを提供してこそである」と常に言われていましたので、2年目からは、上司から指示を受ける前に先回りして監査準備をして、上司から言われる前に仕事を終わらせるよう心がけていました。また、会計基準の改正等でクライアントの会計処理や開示に影響があるときは、早めに会社に改正点や懸念事項を伝え、対応を促していました。

監査法人に入って出産するまでの3年は、1日24時間働いて、大変だけど楽しいというくらいに充実していました。周りの先輩方もアットホームで、監査上の論点があればみんなで議論することも多く、本当に勉強になりました。監査法人時代のメンバーとは今でも何かあれば相談できるので、仕事をする上で本当に心強いと思っています。

また、監査法人入所当時は、IPOが盛んだったこともあり複数のIPO準備会社の監査に従事し、また、上場後の監査も継続して従事することができたこと、IPO準備会社が上場し、さらには市場変更や一部指定の過程において生じる様々な場面も間近で経験できたことは、私が今の仕事をする上で、かけがえのない宝物だと思っています。会計士は職業的専門家であり、知っていて当たり前であり、その知識をどのようにわかりやすく会社に説明するかが私は大切だと思っています。会計士同士の会話であれば、共通の言語として会話のキャッチボールができても、会計に詳しくない人と話すのであれば、わかりやすく噛み砕く必要があります。IPOの準備会社であれば、会社ははじめてのことが多いのですから、なおさら、会社に対してわかりやすく説明するように過去の経験を元に日々、気をつけています。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

ビジネスの最前線で会社と対面して仕事をしていれば、心が大きく動くというよりは、よい意味でも悪い意味でも衝撃を受けることが多いのが、公認会計士ではないでしょうか。良い話であればいいですが悪い話も多く、公認会計士として気持ちの切り替えは非常に重要であるといつも痛感しています。

私は人生で2回カルチャーショックを受けました。一度目は、12年間学んだ女子校から共学の大学に進んだ時です。父からは、大学は必ず受験して外の世界を見るようにと言われていたのですが、実際に女子校から外に出て、かなりのカルチャーショックでした。「ごきげんよう」の女の子だけの世界から共学校へ行き、男子に名前を呼び捨てされることには当初抵抗はありましたが、12年間女子校にいた自分自身も狭い世界の中にいたことにショックを受けました。

2度目のカルチャーショックは、監査法人から現在の会社に転職した際です。監査法人でも、有価証券報告書や招集通知、上場申請書類であるIの部、IIの部は幾度となくチェックしていましたが、今の会社はディスクロージャー全般を取り扱っておりますので、社員の方々の守備範囲も広く、しかも上場会社の半分をお客様として毎年開示書類のチェックを行っているため、事例の知識量も監査法人の会計士よりはるかに持っています。プロパーの方々の開示のプロとしての意識の高さに非常に驚かされ、自分が新しい組織の中でどのように仕事をしていくのか非常に悩みましたが、会計士として自分が一つ一つできることをやっていくのが一番大事ではないかとの結論に達し、日々の業務に務めています。

私が今の会社に入社して間もなく、公認会計士協会で組織内会計士に係る委員を募集していたのを見つけ、これも私のできることの一つかな、と手をあげ、組織内会計士研修企画委員を務めておりますが、当該委員をしたお陰で、色々な会計士の方と知り合うことができました。現在は、上場準備会社に入りたいという若手会計士の方も多いので、会計士協会のイベントを通して上場準備会社に勤める会計士の方々に会うことも多く、今の私の仕事にもよい影響をいただいている気がします。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

監査法人時代は、IPO準備会社やIPO直後の会社等一般にリスクが高いと言われる会社に行っていたこともあり、監査対応について悩むことは多々ありましたが、監査クライアントや監査チームの上司や同期と積極的に議論し解決するようにしていました。監査クライアントに対して説明を求めた事項に対する回答に関して、自分で納得がいかなければ、追加の説明や資料を依頼していたので、対応していただいた会社の方は、結構大変だったかもしれません。

監査という仕事では、リスクを識別し、いかに監査上対応するのかが非常に大切ですが、このリスクの識別は、監査だけでなく、どんな仕事をしていても非常に重要であると思っています。単純にリスクといってもビジネスの根幹に関わるようなリスクから、部門内の人間関係まで大小様々なリスクがあります。リスクとなりうるものを早期に発見した際、発見した時の最初の対応でその後が大きく変わるため、気付いた時の最初の対応が非常に重要であるということを監査法人時代に学ぶことができたのは、私にとって貴重な経験でした。

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