星野宇潮(ほしのうしお) | ページ 3 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社インベーダーズ

創業者

星野 宇潮 ほしの うしお

作業は渡す、判断は渡さない。AI時代の会計士のかたち
起業家タイプ
起業家タイプ

20代
大阪府出身 ・ 東京都在住
立教大学経済学部

7人生の目的と公認会計士という資格

私の目的は、一貫して「未来の居場所づくり」です。人が集まって、そこにいていいと思える場所をつくること。バーチャルでもリアルでも、それは同じだと思っています。
一見すると、会計士の資格とは何の関係もありません。でも、いまはこう考えています。
居場所が成立するには、信頼が要る。そして信頼には、引き受け手が要る。
監査という制度が社会に提供しているのは、正確さそのものではなく、その出力に名前を貼って引き受けている人間がいる、という事実です。医師の診断も、建築士の構造計算も、弁護士の意見書も、同じ形をしています。専門職の署名が社会的な意味を持つのは、誤っていたときに責任を負う相手が特定できるからです。
コミュニティも実は同じで、誰も責任を持たない場は、必ず荒れます。DAOのルールづくりに関わったときも、結局いちばんの論点は「誰が引き受けるのか」でした。
私は、引き受け手をつくる制度の中で育ちました。 それが会計士という資格から得たいちばん大きなものだと思っています。そしてAIが人間の作業を引き取っていく時代に、この「引き受ける」という一点だけは、機械に渡せません。
資格は看板ではなく、引き受けるという行為の練習をさせてもらった場所だった。いまはそう思っています。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

AIが入っても信頼が壊れない仕事のかたちを、実例として残すことです。
いま、AIによって専門職の作業が消えていく、という話があらゆる場所でされています。ただ、その多くは「何ができるようになったか」の話で止まっていて、「では、誰が責任を負うのか」という問いが置き去りにされていると感じます。
信頼を結果で支えられなくなるなら、経路で支えるしかありません。何を作ったかではなく、どこを機械に任せ、どこを自分が確かめ、その確認をどう残したか。 記録の対象を、成果物から作業の経路へ移す。これは監査だけの話ではなく、契約書レビューでも社内稟議でも、そのまま使える考え方だと思っています。
これを机上の提言としてではなく、日本でもっとも規制と責任の重い産業のひとつである会計監査で、実際に実装してやってみせたい。 うまくいった話だけでなく、届いていない数字も含めて、公開しながら進めています。会計監査でできたのなら、他の専門職でもできるはずです。
もうひとつ。会計士がもっと外に出ていける道をつくりたい。 私自身が遠回りをしたので、資格を持ちながら別の領域に行くことが「脱落」ではなく「往復」になるような前例を、ひとつでも増やしたいと思っています。
そして最後は、やはり居場所です。技術が人を置き去りにしない場所をつくること。それが変わらない目標です。

9キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:「AIの時代に生き残る会計士」を目指すならまずはこのアクションをしよう

AIの本を読むことでも、セミナーに出ることでもありません。自分がいま実際にやっている作業を、ひとつ選んで、機械にやらせてみてください。
増減分析でも、突合表でも、勘定科目の集計でも構いません。うまくいかなくていい。大事なのは、「これは機械にできる/これは自分にしかできない」の境界線を、自分の手で引く経験です。この線は、記事を読んでも本を読んでも引けません。自分の仕事でやってみた人にしか分かりません。
そして一度その線を引くと、次の問いが自然に立ちます。「では、自分が引き受けているのは何なのか」。
これが、AI時代のキャリアの出発点になると思っています。作業が減ることを恐れる必要はありません。恐れるべきは、自分が何を引き受けているのかを説明できないまま、作業だけが減っていくことです。
受験生の方へ
私は在学中に合格しましたが、資格そのものが道を決めてくれたことは一度もありません。 監査法人にも行きましたし、そこを出て起業もしましたし、そしてまた会計に戻ってきました。この行ったり来たりが許されるのは、資格があるからです。
会計士の資格は、進む道を狭めるものではなく、どこへ行っても戻ってこられるという保証だと思ってください。だから、合格してから何をするかは、いま決めきらなくてかまいません。
ひとつだけ。「会計士だから」で説明できることは、いずれ誰かに置き換えられます。 「自分だから」で説明できるものを、資格と別に一つ持ってください。それは技術でも、業界の知識でも、人が集まってくる力でも構いません。私にとってそれは、コミュニティと、たまたま身につけた技術でした。

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