1キャリアサマリー
介護保険施設で働く父の影響から、高齢者や障害者と触れ合うことが自然であった学生時代を過ごす。その後リハビリテーションに興味を持ち、高校卒業後は、専門学校に入学。卒業後、理学療法士として、病院や介護保険施設にてリハビリテーション業務に従事する。業務の傍ら、紙で業務日誌を管理していた部署においてAccessを使用してデータベースを構築、情報の共有化と紙の使用量削減を実現するなど数々の業務改善を経験。同時に、現場経験や医療業界の変化の中で「非営利組織におけるCFO」の必要性を痛感。そんな中、難病であるクローン病を発症。厳しい食事制限や体調管理というハンディを背負いながらも「一度しかない人生を後悔なく生きたい」との想いから、公認会計士を志す。
公認会計士試験合格後は、ベンチャー企業に入社し経理責任者として経理業務をはじめ、証券会社・監査法人対応等を担当。その後、EY新日本有限責任監査法人に入所し、ヘルスケア部門に配属、独立行政法人や医療法人の会計監査を経験する。その後、河野公認会計士事務所に入社。会計・税務業務の他にもクラウドサービスを使い社内のデータベース化を推進。2018年5月、河野公認会計士事務所のグループ会社としてソーシャルベンチャーの持続的成長を支援するコンサルティング会社である「株式会社HiLOソーシャルクリエイト」(以下、SC)を設立。代表取締役に就任。
2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
公認会計士試験後は、ベンチャー企業に入社し経理責任者を経験しました。多くの人は公認会計士試験合格後は監査法人に就職して会計監査を経験します。ただ、私はクライアントの立場も理解した上でサービスを提供したいと思い、まずは「監査される側」の立場を経験する必要があると考えていました。
会社での業務内容にも慣れた頃に監査法人への転職を考え、EY新日本有限責任監査法人に入所しました。その時の面接官がたまたまヘルスケア部門のパートナーだったため、そのままヘルスケア部門への配属となりました。全国への出張が多い生活でしたが、希望していた部署で働けるという念願が叶った喜びもあり刺激的な毎日でした。
元々ITに関心があり出張の移動時間を使って自己学習を継続し、情報セキュリティスペシャリストの資格を取得しました。そのおかげで、IT統制を学ぶ機会にも恵まれました。
私が理学療法士から公認会計士に転職した大きな理由の一つに「病院を“経営”という観点から俯瞰して見たい」ということがありました。医療介護現場で働いている頃から、医療従事者が働きやすい病院とは何か、患者さんが過ごしやすい病院とは何かということを考えた結果、「非営利組織におけるCFOの重要性」とその人材が不足しているという結論に至りました。
監査法人での経験を経てその想いはさらに強くなりましたが、その一方で近年は病院の経営にも効率化が求められるようになり、昔のように患者さんが長期間入院することはできなくなりました。私はそれまで、病院という枠組みで物事を考えていましたが、これから病院を退院した人たちは自宅もしくは介護保険施設で生活することになります。
それは、これまでの「病院で医療行為を供給される」という受動的な考えではなく、「自分の生き方を自分で決める」という主体的な時代になったと言えます。私は次第に一人ひとりが生きたい人生を歩めるような支援したいと考えるようになりました。
そう考えるとスケールがどんどん大きくなってきます。高齢者に限らず、子どもにとって優しい社会は何だろう。ITの発達により「距離」という概念がゼロに近づく中で私の地元である鹿児島を筆頭に「地域」に出来ることはなんだろう、と考えるようになりました。
そんな中、知人から現在の会計事務所を紹介されました。所長はとても情熱に溢れており「会計事務所の可能性を追求する」という理念に惹かれ、転職を決意しました。その後、グループ会社であるSCを設立し、代表取締役に就任することになります。
3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在は、公認会計士事務所とSCの仕事を並行して行っています。公認会計士事務所の業務内容は、大きく税務アドバイス業務と経営アドバイス業務に分けられます。
皆さんもご存知の通り税務アドバイス業務は税務申告書の作成や税務代理を行います。また、経営アドバイス業務は、経営計画をはじめ、クライアントの資料を基に会計資料の作成、業績分析、資金繰り計画等を提供します。信頼関係を築いてクライアントから感謝された時にこの仕事のやりがいを感じます。担当クライアントの分野は多岐にわたり、規模も様々です。
一方、SCの事業内容は経理業務やレポーティング業務を中心としたコンサルティング業務です。バックオフィスの請負業務というとイメージしやすいと思います。
その他にも公認会計士事務所では、社内環境整備の一環としてクラウドサービスを使って社内のデータベース化を推進しています。他にも、病院の事務職員向けに社内の仕組みづくりについて研修を行ったりと理学療法士としての経験も活かしながら幅広く仕事をさせてもらっています。