柿澤仁(かきざわひとし) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

Omise Japan株式会社

OmiseGO

事業開発マネージャー

柿澤 仁 かきざわ ひとし

ブロックチェーンで新しい世界を創る”ブロックチェーン会計士”
開拓者タイプ
開拓者タイプ

1987年5月18日生まれ(37歳)
千葉県出身 ・ 千葉県在住
慶応義塾大学 商学部商学科 卒業

開拓者タイプの特徴
  • 内向的
  • 臨機応変型
  • 大局タイプ
  • 個人主義
  • 伝統型
  • 外向的
  • 計画管理型
  • こだわりタイプ
  • 集団主義
  • 革新型
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  • このタイプの割合
    回答者全体の
  • 3.6%

活動的でエネルギッシュ。
そして勤勉であるため、仕事に対して真面目に積極性を持って取り組むことができる。
また知的好奇心があり心に壁を作らない傾向にあるため、他人の意見や新しい考えを柔軟に取り入れることができる。
状況に対して過敏にならずストレスをうまく対処することができるが、自分のペースを重んじるため、場合によっては協調性がないと受け止められることも。
上昇志向があるため挑戦することをいとわない。

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1キャリアサマリー
2011年
みずほ銀行足立支店に入行。中小企業及びそのオーナー個人の営業を担当し、融資の提案、内国為替及び外国為替のソリューション提案、海外進出支援、不動産・相続・事業承継戦略の提案に従事。
2013年
有限責任監査法人トーマツのトータルサービス部に入所。主に株式上場準備監査等に従事し、3年間で15社10業種以上のIPO準備に携わる。
2016年
デロイトトーマツベンチャーサポートのFinTechチームに参画し、“ブロックチェーン会計士”として活動。ICOに関するセミナー開催、仮想通貨・ブロックチェーンベンチャーのハンズオン支援、大企業のブロックチェーンの実証実験コンサル、仮想通貨取引所監査の営業・監査手続開発、社内の体制整備にも尽力。
2017年
ブロックチェーンベンチャーのOmiseGOのビジネスデベロップメントマネージャーに就任。その他、個人として、ベンチャー企業複数社の仮想通貨・ブロックチェーン事業のアドバイザーを実施、仮想通貨税制改正のための活動にも従事。
2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

IPOの担当件数は当時のトップレベル。監査が楽しくて仕方なかった

最初はトーマツベンチャーサポートに入りたくて面接を受けた。当時のトーマツベンチャーサポートは独立した会社というより、監査法人のTS(トータルサービス部の略)の中の何人かが頑張っているような状況だった。監査業務とトーマツベンチャーサポートを兼務している人がほとんどで、トーマツベンチャーサポートの業務だけに従事している人はほとんどいなかった。面接のとき社会人経験がみずほ銀行の2年しかなく会計士としての経験もゼロだったので、パートナーの方々から「まず監査をやってもらうけど、それでいいかな」と言われて、監査がすごくやりたいわけではなかったが監査法人に入ることになった。

ただ、転職のタイミングが良かった。入所した2013年から3年間IPOバブルが起きて、IPOが年間100件という時代が来た。「IPOの仕事をいっぱいやらせてほしい」と希望していたところ、多くのIPO準備会社を担当させてもらい、上場準備も含め3年間で15、16社ぐらい担当した。当時こんなに多くIPOを担当している人は少なかった。

IPO準備中の内部統制などの仕組みがまだ出来上がっていない会社では、上場企業では想像もつかないことが良くも悪くも起きているのを目の当たりにした。監査法人10年目のベテランでも経験したことがないようなことを、3年間でギュっと経験させてもらえて、やりがいもあるし非常に面白い仕事に出会えたと思った。

監査と銀行業務は無関係なように思うかもしれないが、実は銀行での経験は監査に大いに役に立った。銀行では現場の第一線で中小企業の社長や役員の方と膝を突き合わせて仕事をしていた。また、貿易取引、海外送金、国内送金、相続、投資運用商品など幅広い金融の分野について資格試験を受験する必要があり、行内テストもあったので、一年中多くの時間を費やして勉強していた。そのため社会人経験がない方より実務や業務の書類に対する実感があり、たとえば請求書を見ていてもなんだかおかしいと感じる勘どころみたいなのが身についていたので、監査はとてもやりやすかった。

後で気づいたことだが、私は銀行でも監査法人でも、やりだすと何でも楽しむことができる性格なのだ。みんながくだらないと言っていた宝くじを売る仕事も、むしろ普段話さないお客さんとしゃべることができたので結構楽しんでいた。トーマツに入ってからの3年間はほぼ100%監査業務だったがそれでも非常に楽しめていて、入社当初のベンチャー企業のサポートをしたいという気持ちがそれほど強くなかったことにも気付いた。

ビットコインに出会った瞬間、世界が変わると直感的に確信した

IPOバブルが落ち着いて余裕が少しだけできたときに、ブロックチェーンベンチャーに転職していた銀行の同期に「うちにIPO担当で来いよ」と誘われたのが、ビットコインとの最初の出会いになった。2015年9月頃のことだった。ビットコインって何だと思い本を買って読んでみた。銀行員の時はお客さんから銀行のサービスは本当に不便だと何度も言われていたし、監査法人の時もIPOをするほどいけてるベンチャー企業が銀行のサービスを積極的に使っていなかったので、金融の分野には近い未来に何かイノベーションが起きる、ブレイクスルーが来ると思っていた。それがビットコインに関する本を読んだ瞬間に、このテクノロジーで世界が変わると直感し、頭の中を稲妻が走ったように感じた。

大きな衝撃を受けてじっとしていられなくなり、すぐにでもブロックチェーンの世界に飛び込みたくなった。だが、ベンチャー支援をしたいと思い転職を決めたが実はそうでもなかったという過去があったので、自分が本当にブロックチェーンをやりたいと思っているのかすぐに信用できなかった。それで転職する前に社内で試してみようと思い、ベンチャーサポートの先輩に「実はブロックチェーンやフィンテックに興味があって、何か手伝わせて欲しい」と相談したところ、「フィンテック担当がいるから、まずはその人の手伝いをしてみては」と言われて紹介してもらうことができた。

監査法人の業務のかたわら、空き時間を使って金融機関や大企業に対する営業やコンサルティングの資料づくりを手伝ったり、ブロックチェーンやフィンテックに関する勉強会を思いついては社内外で開催したりした。パートナー向けのビットコインの勉強会も実施したのだが誰からも理解されず、その時のことは今でも印象に残っている(笑)。その他にも、ニュース記事にコメントをするNewspicksというアプリを使って、毎日ブロックチェーン関係のニュースをピックしてコメントし続けるというのを半年続けていたところ、フォロワーがゼロから1,800人ほどに増えた。また、社内SNSのYAMMERを使って社内の情報共有グループを作り、そこで日本人向けに英語の記事を日本語に訳す、日本語の記事を外国人向けに英語に訳す、というのを毎日やり続け、すぐに100人以上の社内の方々が登録するグループになった。

楽しくて、監査をしている時間以外は、通勤時間や土日なども含めた空き時間を全て費やした。趣味を通り越して半年間本気でやり続けたところで、自分が本当にこの仕事がやりたいのだと確信した。フィンテック担当の先輩に「より本格的に仕事としてやりたい」と相談したところ後押しをいただき、パートナーの方に相談してご理解いただき、「そこまでベンチャーサポートを本気でやるなら」と、正式に異動させてもらった。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

今は“OmiseGO”というブロックチェーンを使った次世代決済インフラを構築する新規事業の事業開発を担当している。ビジネスデベロップマネージャーというのは、日本語にすると事業開発担当になるが、“OmiseGO”というブロックチェーンをベースにした新しい技術についてアライアンスを模索しながら、ブロックチェーン領域のエコシステム作りの事業も推進している。具体的にいうと、ブロックチェーンのエリアはまだまだエンジニアが少なかったり、情報を効率的にとれる場所がなかったり、ビジネスをやる前提条件・環境が整っていない。そのため、世界に先駆けたエコシステム作りとしてブロックチェーンエンジニアコミュニティ作りにも着手しており、私はブロックチェーンエンジニアに特化したコワーキングスペース“Neutrino”(所在地東京)の設立推進を担当している。

その他エコシステムへの貢献として、弊社はECF(イーサリアム・コミュニティー・ファンドの略)というブロックチェーンのインフラレイヤーへ投資するファンドの組成と投資にも関与している。

本業と同時並行で複数社の仮想通貨・ブロックチェーンの新規事業のアドバイザーも行っている。また、ボランティアベースで、仮想通貨の税制改正に向けた活動もしている。今の日本の仮想通貨の税制にはブロックチェーンの技術の進化を妨げる要素があって、このままではブロックチェーンのコアな技術を持った企業や産業自体が日本から出ていってしまうのではないかと懸念している。そこで日本の仮想通貨関係の税務を改正する勉強会を立ち上げて、税制改正の提案を作っている。

銀行、トーマツそして今の会社という流れの中で、今は、ジョブズの言葉で言うところの“コネクティングドッツ”がすごくて、銀行の同期、監査法人で会った方々、人づてで紹介された方など、それがほんの一瞬しか会ったことがない方でも、今になって仮想通貨やブロックチェーンを通して再会し、仕事を一緒にしていたりする。人脈も生きているし、銀行のときから少しずつ様々な経験を積み上げてきてやってきたこと全てが役立っている実感がある。

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