浦隆行(うらたかゆき) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

会計事務所Backbone

所長

浦 隆行 うら たかゆき

会計事務所勤務の経験を生かして独立開業。経営者心理を理解してクライアントにとって最適な助言を心がける
編集者タイプ
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1982年3月15日生まれ(42歳)
石川県出身 ・ 愛知県在住
石川県立羽咋工業高等学校 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私は公認会計士試験に合格した当初から、会計事務所で税務業務に携わる傍ら、監査法人で東証1部上場会社の監査業務やIPO準備会社のサポートといった業務に携わることができるという特殊な環境で働くことができた。そのため、様々な段階の会社の状況を見ることができ、オーナー経営者ともコミュニケーションをとって仕事をするといった経験も多く積むことができた。日本の企業のほとんどは中小企業であり、そこにはオーナー経営者が数多く存在しているはずである。正論だけでは経営などできないし、泥臭いことをやっていかないといけない。それを理解してあげて最も適切な対応をするということが出来なければ、クライアントの満足は得られない。独立して従業員という立場ではなくなり、よりそういった認識が強くなった。正論を言うだけではなく、そういった対応をできる会計事務所が必要であり、そういった会計事務所を目指していく。

また経営者が目指す方向や状況に沿った助言をすることを心がけている。IPOを目指さないのであれば、過度な内部統制構築や企業会計基準の厳密な適用も必要ではないし、重要なステークホルダーは金融機関になり、節税や事業承継のための株式移転も重要な要素になってくる。こういったバランスを考えた決算の組み方など、アドバイスに心がけることができるのも私がそういった環境で働くことができたからであると思う。

性格的にはこうでなければならないといった固定観念や執着といったことがほとんどない。こういった性格なので、AIにより会計事務所の仕事がなくなると言われても、その方が良いのではないかとさえ思ってしまう。大事なのはクライアントである経営者の煩わしさが無くなることであり、会計税務業務を必ずしも私たちが行う必要はないと思う。会計事務所の業務はそれこそ何十年とそれほど大きく変わっていないと思う。従前の会計記帳や書類作成、税務代理申告といった業務はなくなり、本来私たちが行うべき仕事を考えるべきときが来たのだと思う。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

性格的にそれほど感動するタイプではなく、またそれほど人と深く関わってこなかったのでそういった場面は少ないが、オーナー経営者と仕事をしているとその人の人生が見えることがある。家族への思いだったり、多くの悩みだったり。志半ばにご病気で亡くなられた方もいらっしゃった。そういったときにいつも、もっと自分は何か出来たのではないのか、もっといろいろとしてあげられることがあるのではないかと思うことがある。頭の中ではあれこれと考えるのだが、日頃の業務の忙しさを理由に実行できていないのが現状である。

そんな中でも仕事を続けていれば、経営者に「ありがとう」と言われることもあった。経営者は常に様々なプレッシャーにさらされており、相談できる相手も多くなく、最終的な判断と責任は自分である。そういった方々の何かの役に立てたと思える瞬間はやはりうれしいと思った。例えば資金繰りに苦しんでいる会社では新たな資金調達や借入金のリスケジューリングに成功すれば、それだけでも経営者は別の事に頭を使えるようになり、生き生きとすることがある。自分の役割はそういったことであるのだと思う。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

当初より会計事務所での勤務ということで、公認会計士の本来の業務である会計監査について、それほど深く関わっていないため、これについて悩んだことはない。ただ、士業が国家資格認定を受けていることが前提である以上、職業倫理的な問題によりクライアントに対してクライアントが望むサービス提供を必ずしも行えない場合がある。例えば、経営者が望む取引や会計処理税務処理が会計基準や法人税法などに反する場合はこれを指摘し指導しなければならない。場合によってはこれがクライアントの不満となる場合がある。すなわちクライアントの思うサービスと私たちの実際のサービス提供の間にギャップが生じることがしばしばある。特に会計監査業務においては第三者的立場からの投資者保護を目的としておりながら監査対象会社から報酬を得るというシステムであり、ギャップは大きいと思う。

こういったギャップを解決するためには、経営者とのコミュニケーションと専門的知識の十分さが必要であると考える。会計基準にしても税法にしても解釈の余地が残されている部分が多く、経営者がどういった意図を持っているのかを見極めたうえで、会計基準または税法の趣旨に照らし合わせてみると問題がないと判断できる部分も多いと思う。こういった努力を行わずに保身だけを考えるのであれば、クライアントとのギャップはいつまで経っても埋まらないだろうと思う。最も重要なことはクライアントから信頼されて、一緒に考えてあげられることだと思う。

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