芦澤美智子(あしざわみちこ) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介
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横浜市立大学国際商学部

准教授

芦澤 美智子 あしざわ みちこ

アカデミアと実務をつなぐ変革者
革命家タイプ
革命家タイプ

1972年10月23日生まれ(52歳)
東京都出身 ・ 東京都在住
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(後期博士課程) 卒業

革命家タイプの特徴
  • 内向的
  • 臨機応変型
  • 大局タイプ
  • 個人主義
  • 伝統型
  • 外向的
  • 計画管理型
  • こだわりタイプ
  • 集団主義
  • 革新型
  • 30
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  • このタイプの割合
    回答者全体の
  • 21.6%

自身の仕事に対して情熱を持って取り組む傾向にある。
また高いコミュニケーション能力を活かして、周囲と協力しながら物事を進めることができる。
知的好奇心も強いため、新しい考えや意見を取り入れることをいとわない。
物事を抽象化して考えるため、大局的な判断力を持つ。
ストレスを感じても過敏に反応することなく的確に対処ができるため、周囲からは誠実かつ落ち着いて見られることが多い。

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1キャリアサマリー
1996年10月
センチュリー監査法人国際部(現有限責任あずさ監査法人)入社
2000年3月
公認会計士登録
2003年9月
株式会社産業再生機構入社
2006年2月
アドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合(現株式会社アドバンテッジパートナーズ)入社
2013年4月
横浜市立大学国際総合科学部(現国際商学部)准教授(現任)
横浜市立大学国際マネジメント研究科(大学院) 准教授(現任)
2016年6月
ネットイヤーグループ株式会社 社外取締役(現任)
2016年9月
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 非常勤講師(現任)
2018年6月
NECネッツエスアイ株式会社 社外取締役(現任)
2020年6月
日本発条株式会社 社外監査役(現任)

主な学協会活動:日本ベンチャー学会・組織学会・日本経営学会

 キャリアについては将来を見据えて考え準備してきたわけではありません。その時々のご縁や様々な状況の中で進路を決めてきてきました。学生時代や監査法人にいた頃には、将来自分がアカデミアの世界に進むなど全く想像していませんでした。ただ不思議なことに、振り返ってみるとすべて繋がっています。まさにスティーブ・ジョブズの言うConnecting the Dotsです。
 大学は経済学部に所属していましたが、卒業した1995年は就職氷河期でした。また、たとえ素晴らしい企業に入社できたとしても、女性が男性と平等に生涯働き続ける事例が少なく、キャリアの見通しが立たず暗澹たる気持ちになりました。そんな時、両親と指導教員の先生から「あなたのようなタイプは資格を取るのがいいのではないか」とアドバイスを受け、なるほどそれなら結婚・出産した後も求められる場所があるかもしれない。そう考えて、大学4年生の春に公認会計士の資格取得を志しました。自分なりに一生懸命勉強しましたが、1年目に短答式試験で不合格となった時は大きな挫折感を味わいました。同期は既に就職しボーナスをもらって自立しているのに、私は将来の見通しが立たないわけですから。両親から予備校の費用は1年分しか出さないと言われていたので、ローンを組んで予備校に戻り、気持ちを入れ替えて猛勉強しました。
 2年目に無事二次試験に合格し、センチュリー監査法人国際部(現あずさ監査法人国際部)に就職しました。今振り返っても、大卒最初の職場として大正解だったと思います。プロフェッショナルとして生きる(稼ぐ)ためのスキルが身につきました。特に国際部だったことで良かった点が二つありました。
 第一は外資系日本法人の小さいクライアントが多く、入社2年目には早くもインチャージとして小さいチームを率いました。リーダー経験が得られたのは、その後の大きな糧となりました。
 第二に当時まだ日本で一般的でなかった、最先端の年金会計や繰越税金が日常で、早くに最先端の知識・技能を身につけることができました。またクロスボーダーM&Aのデューディリジェンスの仕事が入ってきました。外国人会計士とコミュニケーションを取り、英語の文献を紐解きながら、正しい会計処理を探る日々は刺激的でした。未知の領域に取り組む姿勢は、その後に学術の世界に入る時の基礎になっていたと思います。
 こうした経験を経て何年か監査法人での実務に携わっているうちに、公認会計士としてステップアップするためには経営の勉強をする必要があると気づきました。当時の私は、会計士としての知識は頑張って勉強していましたが、経営全般のことや業界特有の動向などについては知見が足りないので、クライアント経営者との本質的な会話が成立しないと感じることが多々ありました。「経営」を理解できればきっとさらに面白くなるだろうと思いました。その気持ちが日に日に高まり、MBAを取得するために慶應義塾大学のビジネススクールに行くことを決めました。28歳の時のことです。
 ビジネススクールでの日々は期待通りでした。そして想像以上に良かったのが、多くの人との貴重な出会いと日々の議論。あらゆる職業のクラスメイトがいて、また、日本のトップビジネススクールということでゲスト講師も豪華でした。視野が広がり世界がより鮮明に見えるような気がしました。監査法人時代の自分がいかに狭い世界で生きていたのかを痛感せざるを得ませんでした。さらに2年次に半年ほどロンドンビジネススクールに交換留学生として留学する機会があり、この時は世界数十か国のクラスメイトとの出会いに恵まれました。それはもうエキサイティングな日々でした!
 ビジネススクール卒業後に選んだのは、当時の日本で最大の問題だった不良債権の処理と大型企業の再生をミッションとして誕生した産業再生機構でした。2003年の4月から4年間限定で存在していた会社です。私はカネボウ再生チームに現場リーダーとしてアサインされましたが、この仕事はとにかく強烈でした。KPMG時代の知識、ビジネススクールで身につけた知識を総動員するのですが、それだけではまったく足りません。たとえばあらゆる角度から分析して「このままでは中国企業に勝てない」との結論に至り、それをどんなに説明しても、納得してもらえません。人も組織もロジックだけでは変わらないことを、この時期に心底理解しました。
 産業再生機構で一定の成果を得て自信もついてきたので、アドバンテッジパートナーズの門をたたきました。プライベートエクイティファンド(PE)は、業界再編までを手掛けられるダイナミックな職業であり、案件成功時のリターンが大きく経済的成功も目指せるので、世界中のビジネスエリートが憧れる職場です。アドバンテッジパートナーズは日本でトップクラスのPEであり、以前から「是非ジョインしたい」と思っていました。ただこれはようやく笑って話せるようになったのですが、入社したもののまったく歯が立ちませんでした。優秀な人たちが真剣勝負で大きな案件に取り組んでいて、知力、体力、精神力、どれをとっても私は落ちこぼれ。ここでは挫折感を味わうことになります。
 ここで自分自身の限界に気づかされ、自分の生き方を真剣に考え直しました。自分は万能ではないし、世の中にはとてつもなく優秀で真剣にやっている人がたくさんいる。だとすれば、差別化できる自分の武器は何だろう、どこに人生をかけて取り組んでいくべきだろうと考えて、たどり着いたのが今のアカデミアの仕事です。
 実はアカデミアに進むことに可能性を見出した背景には、私が日本のビジネススクールに行った選択が影響していました。日本のビジネススクールにいたからこそ、日本の経営学の様子を垣間見ていて、そこに改善・発展の余地があることに気づいたのです。経営学は実践的学問であるにもかかわらず、アカデミアと実務家との間に橋がかかっていないように見えたのです。橋がかかれば双方が大きく発展する可能性がある、そう思ったら、ワクワクして寝られなくなったことを今でもよく覚えています。
 今現在の私は公認会計士時代を皮切りに希少な経歴があるがゆえに、活躍の機会がどんどん広がっています。上場企業の社外役員や、国や自治体の委員なども務めているのですが、研究者としての知見に加えて、現場で学んだことが大いに活きている。真剣勝負を積み重ね身につけてきたスキルを掛け算することで、自分自身の価値が高まり、未来に貢献できていると感じます。これからも研究者としての枠に縛られず、失敗をおそれずに未来創りのために挑戦していきたいです。

2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

 監査法人における経験の全てはとにかく楽しかったです。新入社員の時から社会インフラを担っていると思えて誇らしかったですし、クライアント企業の経理部長や役員と話ができるというのは今考えると貴重な経験だったと思います。色々な会社を見ることができるので横断的に社会経済を俯瞰することができました。
 1のキャリアサマリーと重なりますが、今振り返っても、大卒最初の職場として大正解だったと思います。プロフェッショナルとして生きる(稼ぐ)ためのスキルが身につきました。また、この事務所には転職をする人が多く、終身雇用でないとわかると、労働市場でいかに自分の価値を高めるかを考えざるをえません。そのような環境で自分のキャリアを真剣に考えた結果、三次試験を合格した後に大学に戻ってMBAを取ろうと決めました。そしてそのことが、その後のキャリアに繋がってきます。この時期にキャリアを自分で選択し築いていくという姿勢を身につけたことが大きかったです。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

 2013年より横浜市立大学国際商学部准教授として働いています。これまでの経験を活かし、着任当初は主に企業変革の研究を進めました。そして2018年頃からはイノベーション・エコシステム/スタートアップ・エコシステムの研究に力を注いでいます。現在は研究成果を生かして、イノベーション拠点形成に関する政策提案をしたり、自らも実践活動に力を注いでいるところです。
 また、三社の上場企業(ネットイヤーグループ、NECネッツエスアイ、日本発条)の社外役員を務めているほか、国や横浜市の各種委員等を多数担っています。

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