久納裕治(ひさのうゆうじ) | ページ 3 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社キュア・アップ

コーポレート部

コーポレート部 マネージャー

久納 裕治 ひさのう ゆうじ

“治療アプリ”を開発するMedtecベンチャーで経営管理とIPO準備を担当
アイディアマンタイプ
アイディアマンタイプ

1984年(40歳)
佐賀県出身 ・ 東京都在住
早稲田大学 商学部 卒業

7人生の目的と公認会計士という資格

私の人生において、会計士という資格がどういう意味を持っていたか改めて振り返ってみると、大きく2つの意味合いがあると考えます。

一つは形式面での社会的信用です。偉大な先人の皆様のおかげで、やはり公認会計士には社会的信用が具備され、初めてお会いした方達にも一定の信頼を持って接していただけます。特に20代、30代という若さでも、年配の役職者の方とお話しさせて頂ける機会を持ちやすく、しかも一定の敬意を持ってもらえることが多いというのは、様々な場数の蓄積において非常に助けとなりました。転職市場などでも同様です。財務的な素養が求められる職種はもちろんのこと、若手の間であれば会計士資格をもっていることは、数値に根差した思考が可能、努力が出来る、倫理観がある等を示す客観的な材料となり、キャリアチェンジの幅を広げてくれました。

もう一つは実質面、財務・会計的な思考力、そしてそれをテコとして身に付けた事項です。経済環境の変化を受けて変わっていく会計基準を、常に指導的機能を発揮できるレベルでキャッチアップしていくのは、監査法人のインフラ等を活用しないと非常に難しいです。しかし、まずは試験勉強、そして会計監査の実務で身に付く(身に付けるべき)思考力は、会計基準が変わったとしても有用な普遍的なものです。それを突き詰める方向でプロフェッショナルとして生きるというのも魅力的な道ですが、私のように活かして視野を広げる方向で用いるにも有効です。例えば、業種、業態によるコスト構造の違いを理解しておくことで、他業種でコスト構造を把握するときどこにポイントがあるかの“あたり”を早期につけられます。また、その理解を事業シミュレーションのレベルに落とし込み、施策効果を数値に基づく形で議論すると、実務を担う方と実現性も含めてすり合わせが可能になり、建設的な事業計画検討が行えるようにもなります。

社会を多面的に理解することが興味の一つである私にとって、会計士資格を取ったことで、若いうちから経営層をはじめとする経験を積んだ方と接することが出来たのは非常に貴重な経験でした。しかも会計という判断軸をもっていたことで様々な意見を客観的に捉え、考える幅を増やすことができたと考えています。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

私が究極的に仕事を通じて社会に貢献したいことは、“意思決定の合理性”の向上です。意思決定は、情報の信頼性、十分性、意思決定のフレームワーク等、様々な事項に影響を受け、常に最善を選ぶのは不可能です。ただ、個人が人生の納得度を高めるためには、人生で積み上げた意思決定が、少なくともその時点で自分なりに合理的だったと感じられることが必要不可欠だと私は考えています。そういった私の思いに合致するサービスを提供している会社で、組織としての意思決定をより合理的にするための役割を担うというのが、私のキャリアにおける理想像です。もちろん、最大公約数として意見をまとめるということでなく、自分の意見を発信し建設的な議論を行うことも含みます。使い古された表現になりつつありますが、端的にいえば“プロ経営者”ということになると思います。様々な会社を転々とするという意味ではなく、どんな場面でも臆さず、会社全体を俯瞰した観点での判断、企業価値に貢献する形で判断を貫くという意味でのプロフェッショナルな経営者です。

近々では社内・社外の方々からの信頼を得てCFOとなることが目標です。そして将来に渡って私も会社に負けないスピードで成長し、成長を牽引する経営者の一員として貢献をしていきたいと考えています。私が所管するコーポレート部門は、まだまだ各機能の整備に着手した段階ではありますが、上記の観点から理想を追求して、“革新的な製品を手掛けるベンチャーのコーポレート部門”ではなく、“革新的な製品を手掛けるベンチャーで革新を自ら推進するコーポレート部門”を作り上げていきたいと考えています。

9キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

私がこの『会計士の履歴書』という企画をお受けすることを決めたのは、単純に色々な会計士の姿を世に示すということでなく、会計士のキャリア選択を支援するための企画と聞いたためです。前述のとおり私は意思決定に興味をもっており、また自らがキャリア設計に関して悩んだということもあり、キャリアに関する意思決定についてどうあるべきかを人一倍考えたと自負しています。転職が一般的になってきているとは言え、ジョブホッパーでなく、転職を意味のあるトラックレコードにするため、キャリア選択はやはり非常に重要です。そこで私の現在までの経験をベースに、キャリアを模索する会計士、会計士受験生の皆さんに、後悔しないキャリアを歩むために必要なアクションを3つお伝えしたいと思います。

1つめは、現在のキャリアをやり切ることです。どのような業種・職種でも1年といった短期間で本当に理解できたと言えることはなかなかないでしょう。やり切ったと考えるラインはもちろん人それぞれなのですが、何が出来るようになったら今現在のキャリア機会を活用し切ったと言えるのか、何をスキル・経験として獲得したと言えるのか、それを考えながら日々の業務に向き合うのが良いと思います。

2つめは、自らのスキルセットを棚卸しして目標と比較をすることです。1つめにも関連しますが、常に現在のキャリア目標と現状を比較して、何が足りないのか、どんな機会を探索したらよいかについて自問自答するべきです。目標も、自らに向き合い、逃げられないもの、チャレンジングなものに設定する必要があります。公認会計士になった、主査をやった等は、特に相手が会計士に詳しければ形式要件以上の意味は持ちません。また、現在のキャリアに関する目標が少しずつ充足されだすと、自ずと次の目標を考えるようになります。その時に現在の組織でまだやるべき事があるのか、違う形でチャレンジするのかを意識するのです。焦る必要はありません、何故ならまだキャリアをやり切った状態ではなく、やり切る過程にいるからです。現業にも尽力しながら、次のアクションを考え、必要であればリサーチするなり、勉強するなりすればよいでしょう。

3つめは、自分の市場価値を把握することです。キャリアは自分でデザインするものであり、エージェントに教えてもらうものでは全くありませんが、客観的な意見(そして往々にして厳しい意見)や市場環境は自分だけでは分かりません。信頼できるエージェントを見つけ、定期的に連絡を取りましょう。自らの状況、思考の変化等を伝えることで自らの頭も非常に整理されますし、具体的な求人のイメージと、そこへ向けて今できること等も把握ができます。この点は2つめの最後に記載した事項とも関連します。逆説的ではありますが、主体的にキャリアを選ぼうとするならば、客観的に自分がどう見えるかを常に意識する必要があります。

将来、この企画を読んだという方とお仕事できるのを夢見ています。最後までお読み頂きありがとうございました。

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