相亰俊信(あいきょうとしのぶ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社M&Aコンサルティング

管理部

取締役(常勤監査等委員)

相亰 俊信 あいきょう としのぶ

監査法人勤務、起業を経て会社経営へ。原理原則を大切に人と運を引き寄せる
革命家タイプ
革命家タイプ

1981年12月11日生まれ(42歳)
兵庫県出身 ・ 東京都在住
慶應義塾大学 商学部商学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

人に恵まれていることと、運が良いことが独自の強みと認識している。今まで、素晴らしい上位者・同僚、そしてクライアントに恵まれたことから、ここまでかけがえのない経験ができた。

中学高校の部活、大学サークルでバレーボールを通じてチームスポーツを経験していたが、恥ずかしながら大学受験、US CPA、会計士試験の勉強ばかりで、社会人になった時にはほとんど本など読んだことがなかった。高校時代も国語の勉強が大嫌いで、慶應義塾大学商学部の受験科目を見て国語が無いことを見て、「これしか無い!」と決めたことを強く記憶している。そのため、センター試験も国語は200点満点のうち、50点くらいだったと記憶している。

そんな私が、松下電器産業株式会社に入社して当時の独身寮で半年間の新入社員研修を過ごし、日々、大浴場の横にある卓球と筋トレに勤しんでいた親友と語っていると、自分がいかに今まで薄い「お勉強」ばかりしていて中身が無い人間か思い知らされる。そこから、創業者の松下幸之助氏の本を読み漁り、人間観・宇宙観を通じた原理原則論を学ぶ。また、稲盛和夫氏の「生き方」、その他名著と言われる自己啓発本を片っ端から読み、セミナーなどにも参加して感銘を受ける。これらの経験から、原理原則の大切さを学び、実践を心がけてきたことから周囲の人に恵まれ、運にも恵まれたのでは、と考える。

人間は間違ったことをしてしまうこともある。その時はしっかりと非を認めて謝る。当たり前のことを当たり前にすれば、必ず結果はついてくる。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

困難に直面したときに、自分しかいない、乗り越えるために努力しようと決めたときに心が大きく動いた。思い返すといくつもある。

例えば、松下電器産業株式会社時代に行っていた連結決算業務。簿記の連結決算仕訳では、親子会社間の売上・仕入取引は相殺することとされ、例えば金額が100億円であれば、借方 売上100億円 / 貸方 仕入100億円という連結相殺仕訳を計上して終了。実務では、この100億円が合わない。為替であったり、計上タイミングの違い、計上科目の違い、現地会計基準との違いなど。さらに子会社が数百社ある、それだけでなく関係会社も・・・。決算に突入してから数値が合わない、となってしまうと最悪、決算が締められないという事態にもなりかねないので、どのような時に差異が生じるか、またいかに事前に調整するかということを分析して試行錯誤するとともに、実際に決算に入ってから生じてしまったものに対して対応するということが求められた。複雑さ、数の多さに四苦八苦するも、自分がやるしかないという責任をもって業務を遂行すると決めたときに、心が大きく動いたことを今でも思い出す。

また、監査業務を行っているときでももちろん何度もある。職位が上がるほど扱う金額、責任も重くなる。担当していたクライアントで多額の事業売却を行った。損益計算書に表示されるのは事業売却益XX億円とシンプル。ただ、これには①そもそも事業売却にあたるか、ただの資産売却かの判定、②対価の決定、③売却簿価の決定、の検討を行い②と③の差額が売却益となる。もちろんそれだけでなく、売却後の保有比率による連結範囲の検討、売却予定資産への振り替え時期検討、税効果認識の時期、などと論点尽くしである。②対価の決定に際しても、数百ページの英語の契約書を読み込み、現金ではなく複雑なオプションが組まれている場合には公正価値評価が求められる。といった形でシンプルにはいかない。このプロセス全てが刺激的で強く記憶しているが、中でも印象に残っていることがある。この売却対象事業は欧州のA国であった。本社はもちろん日本。クロスボーダー事業売却に関する公正価値算定となったので、米国にいるKPMGの公正価値専門家にもコンサルティングを受けていた。公正価値算定の金額をどうやって算出するかということをメールで話し合っていたが期限が迫ってきたので関係者全員で電話会議しようということになり、①クライアントの日本本社、②A国のクライアント子会社、③A国のクライアント子会社が雇っている公正価値専門家、④米国のKPMG公正価値専門家、そして⑤我々の5者で電話会議を日本時間の0時頃に開始し、ドタバタで私が議論をキックオフして意見をまとめ、どのように公正価値を算定するべきかということを進めざるを得なくなった。もちろん、英語。これはかなりハードルが高かったが、監査人の立場として絶対に言ってはいけないこと(独立性の関係上)、マネジャーという立場でこの場で判断できることをしっかりと頭に残しつつ、議論を進め、最終的には我々のパートナーも納得できる結論に落とし込むことができた。まさに心が大きく動いてシビれる経験であった。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

2010年~2012年のシリコンバレー駐在時のパートナー・マネジャーがいわゆる「会計士の先生」だけではなく、「ビジネスマン」という感じで、こんな人になりたいと強く思えた。具体的には、クライアントが作成した資料について、監査をして難しいところも教えてあげるといういわゆる「先生」というだけではく、パートナーが現場に来るとまず最初にクライアントのキーマン(社長であったりCFO)の部屋に訪問し、一対一で近況を話し合う。監査チームには大局観をもって調書レビューをし、的確なコメントを出して監査のゴールへ近づける。パートナーしか気づかないような問題点に最後の最後で気づき、バタバタが生じることもあるが、その際には会計・監査基準に準拠するという範囲内で合理的な判断を下し、クライアント・監査チーム、そして株主(日系子会社が多かったので、日本の親会社であることが多かった)等の利害関係者全員にとって最適かつ合理的な判断を下す。そして監査現場の最終日にはクロージングミーテイングを行うが、必ずパートナーが自身の言葉で責任を持って話す。これらの人間関係を構築するために、定期的にランチをしたり、会食をしたり、もちろんクライアントのビジネスを理解するための情報収集も欠かさない。こんなパートナーなので、もちろんクライアントから大絶賛。監査クライアントに対してだけでなく、様々な会社さんとも繋がりがあり、定期的に連絡を取り合っていて、仕事に繋がることも目の当たりに。私の目からもスーパーマンのように映り、このような人になりたいと心から思った。

日本に帰国したのは2012年。2013年にマネジャーに昇格。年次も上がってきて監査を「ビジネス」として考えてシリコンバレーで目の当たりにしたパートナー・マネジャーのようにビジネスマンになりたいとモチベーションを上げていた。ただ、法人も大組織化していて、一部の株式公開部門が営業を行うことと、トップレベルのパートナーが人的つながりで新規クライアントを獲得するというのが流れで、普通のマネジャーは営業などあまり経験できず、法人経営の基礎である監査業務をしっかり行うことがミッションであるように思えた。

極端な言い方をすると、このまま淡々と「先生」業務を行うのか、ビジネスマンとして動くのか、深く悩んだ。やはり私は早くクライアントに直接、接して信頼されるビジネスマンになりたい。そして、マネジャーになったからにはシニア・スタッフからこんな人になりたいと思われるような人になりたい。そう思って「動く」ことを決意。積極的に時間を見つけてJETROへの訪問などをしていると、当時の責任者であるパートナーから大きな理解をいただき、正式にGOサインをもらって加速する。そこからは非監査クライアントへのコンタクト・訪問、IPOを目指す会合への参加、セミナー開催などを企画・実施し、奮闘する日々。そこで、ついに初受注!初めて自分でもらえた仕事が、非監査上場クライアントに対する、海外子会社の内部統制診断。実際に海外子会社に往査して、事前に決められたテスト内容を実施し、結果を報告して改善に向けたアドバイスするという業務。自分で獲得した仕事なので絶対にやりきって報告会資料も今まで以上に気持ちを込めて作成し、社長にも報告会に参加してもらえた。これもまたシビれる経験であった。ただ、今落ち着いて考えてみると、数十万円の仕事で大赤字であったが、大きな観点で理解をしてくれた責任者のパートナー、そしてこんな赤字業務を行っても経営できる基盤を整えてくれた皆様に感謝しなければならない。

このように迷った瞬間もあったが、自分を信じて動いたことで周囲の理解を得られ乗り越えられたと思う。

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