1キャリアサマリー
- 1982年10月
- 監査法人朝日会計社(有限責任 あずさ監査法人)入社
- 1991年10月
- マネジャー昇格
- 1995年10月
- シニアマネジャー昇格
- 1999年 5月
- パートナー就任
- 2013年 7月
- 常務理事(ダイバーシティ担当)就任
- 2020年 6月
- 有限責任 あずさ監査法人 退社
- 2020年 7月
- 北山公認会計士事務所 開設
- 2020年 6月
- 株式会社椿本チエイン 社外取締役 就任(現在)
- 2021年 3月
- 株式会社荏原製作所 社外取締役(監査委員会)就任(現在)
- 2021年 4月
- 兵庫県立大学大学院 特任教授 就任(現在)
- 【協会活動等】
- ◆日本公認会計士協会
・近畿会: 幹事(女性会計士委員会委員長、監査会計委員会委員長、経理部長を担当)、副会長を経て、会長就任(2019年6月~現在)
・本 部: 理事を経て、副会長(2019年7月~現在)
◆その他
日本監査研究学会理事(現在)
会計教育研修機構理事(現在)
大阪市大規模事業リスク管理会議委員(現在)
その他に大阪府男女共同参画推進財団理事、大阪府財産評価審査会委員、大阪市公営企業審議会委員等、歴任。
男女雇用機会均等法施行前で大学卒の女性の就職先があまりない時代。父から公認会計士という職業のことを聞き、クリーンで女性も活躍できる職業であると感じて公認会計士を目指す。1982年10月、公認会計士試験に合格した。女性会計士は1%程で、まだまだ少なかった。朝日会計社(現 有限責任 あずさ監査法人)大阪事務所に入社した。常勤の女性先輩がおられず、出張問題等いろいろ壁もあったが、「女性会計士を育てよう」との配慮もあり、ハードルをひとつひとつ越えることができた。主に上場会社の監査業務に従事し、多くの業種の会社を担当させてもらった。監査業務では、クライアントの環境やビジネスを理解し、コミュニケーションを十分にとることを大切にしてきた。
先輩・同僚・後輩のサポート・協力があり、また女性ということで、むしろ男性同期よりも活躍の場や機会を多くいただき、パートナーに昇格した。女性初の常務理事としてダイバーシティ推進を担当し、監査法人の経営にも携わることができ、多くの気づきを得ることができた。2020年6月、定年により監査法人を退職した。監査法人で38年間、勤めることができたのは、私を支えてくださった先輩や監査チームメンバー、そしてクライアントのお蔭であると感謝している。
男女雇用機会均等法施行の翌年1987年に、全国に先駆けて近畿会に女性会計士委員会が設置され、創設メンバーとして協会活動を開始した。その後、監査会計委員会委員長等の協会活動を継続し、副会長を経て、2019年6月から近畿会初の女性会長に就任している。近畿会の「先駆けの精神」により、新たな取り組みによりイノベーションの推進を図っている。協会活動のほか、監査研究学会理事や大阪府・市の審議会等の理事・委員にも就任している。
監査法人の外部の世界との関わりをもつことは、視座を高め、人脈を広げることができる。複数のタグをもち、自分のブランドを築くことにより、自分なりのオーダーメイドのキャリアを創ることができる。自分の可能性を信じて、これからもチャレンジし続け、しなやかに自分らしく輝いていきたい。
2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
1982年10月に、公認会計士試験に合格したが、女性会計士はまだまだ少なく1%もいなかった(現在は15%)。近畿での女性合格者は3人で、先輩に女性会計士がいる監査法人がいいかなと思い、朝日会計社(現 有限責任 あずさ監査法人)に入社した。ところが、皆さん非常勤になられ、常勤の女性会計士がおられず、同期の女性と2人で奮闘することになる。出張問題等(独身女性と男性を一緒に出張させられないという親心、私は担当会社の地方の工場に行きたかったので、いわゆる「アンコンシャス・バイアス」)、いろいろ壁もあったが、事務所や先輩が「女性会計士を育てよう」との配慮もあり、出張解禁など、ひとつひとつハードルを越えることができた(その後、年間100日超の出張・研修で外泊することになるのだが・・・)。
主に上場会社の監査業務を中心に、IPO支援や財務調査等のアドバイザリー業務に従事した。製造業(ガス、家電、鉄鋼、製薬、化学、繊維、機械、建機)、鉄道、商社、百貨店等、様々な業種の会社を担当させてもらった。クライアントの置かれている環境やビジネスを理解し、クライアントの悩みやニーズの把握のため、コミュニケーションを十分にとるよう心掛けていた。これは、シニア時代に先輩から頂いた「会社のインチャージは、恋人を想うように、常にクライアントを想え!」という教えによるもので、私の公認計士人生の基盤となっており、今もずっと大切にしている。
先輩・同僚・後輩のサポート・協力があり、むしろ女性ということで同期の男性よりも多くの活躍の場や機会をいただき、初の女性パートナーに昇格した。パートナーとして、監査チームを統括し、最後は自分が責任を取る覚悟で業務にあたった。業務が順調に進んでいる時は監査チームに任せているのだが、重要な案件や何か問題が発生すると出番があるという感じである。私は現場が好きなので工場往査に行ったりすると、本社経理や工場長が「何かありますか?」と騒ぎになるのは少し窮屈だった。
事務所の総務・経理・研修等の運営も担当した。監査法人は人材が最も重要である。「現場力の強化」と言われ出し、「社会からの期待に応える公認会計士が備えるべき資質って何だろう?」と考え、事務所の人材育成や研修体系の見直しにも注力した。
女性初の常務理事としてダイバーシティ推進を担当し、監査法人の経営にも携わることができた。女性活躍推進や多様性が世の中の風潮となり、法人の経営戦略として捉えるタイミングだった。組織の持続的な成長・発展のために、多様な個性を持つ一人ひとりが、お互いの違いを認め活かし合い、個々の価値観を尊重できる、Diversity & Inclusion(多様性と受容)の推進に取り組んだ。有限責任 あずさ監査法人のHPにあるダイバーシティ推進のメッセージ 「一人ひとりがRespect(敬意・尊重)によって繋がり、ワクワクとした気持ちで果敢にチャレンジできる、しなやかで成熟した組織を目指す」は、自分自身の人生観であり、仕事・組織に対する思いでもある。働きやすい環境整備のため諸制度の導入・充実に取り組んだ。在宅勤務を推奨したがなかなか進まなかったのに、コロナ禍で一気に推進し、今や普通に行われているのは隔世の感がある。長時間労働でブラックと言われていた監査法人が 「プラチナくるみん」を取得できたのは感無量である。
また監査法人の常務理事として女性経営者・役員の会合や勉強会(J-win、WCD)に参加し、悩みを共有し、自己研鑽とネットワーキングに励み、視座を高めることができた。J-winの内永理事長から「役員はゴールじゃない、スタートラインに立ったところ。真のトップとなり、後進のために影響力を持つようになりなさい」と気合を入れられた。この投げかけは、その後の私の人生に大きな影響を与えることになり、会計士協会の近畿会会長を目指すことになった。
協会活動は、男女雇用機会均等法施行の翌年1987年、近畿会に全国初の女性会計士委員会が発足した時からスタートした。公認会計士になった直後で、初代委員長松浦圭子先生に誘っていただき、創設メンバーとして協会活動を始めた(女性会計士委員会設置30周年を経過し、会長就任時に「タイバーシティ推進委員会」に名称を変更し、活動を女性活躍から多様な活躍推進に拡大している)。その後も、監査会計委員会委員長等の協会活動を続け、他の監査法人や独立系の先輩等からの指導・助言や情報交換、監査役協会や弁護士会・税理士会・不動産鑑定士協会など他士業との共同研究や交流により、人脈や視野を広げることができた。
2020年6月、有限責任 あずさ監査法人を退職した。定年まで38年間、監査法人で勤めることができたのは、支えてくださった先輩・監査チームメンバー・クライアントのお蔭であると感謝している。これからは、「Give Back!後進の育成に努めていきたい」との思いから、日本公認会計士協会近畿会会長に就任した。ダイバーシティの推進、研修の充実、積極的な情報発信等により、公認会計士業界の魅力の向上に努めるとともに、頼もしい後輩たちの背中を押している。
3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2020年7月に、北山公認会計士事務所を開設した。2020年6月に株式会社椿本チエイン 社外取締役、2021年3月に株式会社荏原製作所 社外取締役(監査委員会)に就任し、経営やガバナンスに関するアドバイスなどを行っている。監査法人時代に公認会計士として培った知識、スキル、経験や、会社のビジネスを理解し、企業の経営を俯瞰的に見るように意識していたことが役立っている。
2021年4月から、兵庫県立大学大学院で特任教授として、監査論や原価計算を実務家の観点で教えている。会計や監査に関心をもっていただき、公認会計士や会計人材の育成に努めたい。
2019年6月から公認会計士協会近畿会会長に就任し、「イノベーションにより公認会計士の未来を切り拓き、社会からの期待に応える」をスローガンに掲げ活動している。近畿会は、大阪の「やってみなはれ」の精神で、伝統的に全国に先駆けて、変化に応じた様々な取組を行ってきた。私も、多様な価値観を持つ優秀な人材が活躍できる業界にするため、①ダイバーシティ推進と近畿会会務改革、②新たな研修制度を導入し、これから求められる人材の育成、②積極的な広報活動等の新たな取組により、イノベーションを推進している。