千葉知裕(ちばともひろ) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社Macbee Planet

代表取締役社長

千葉 知裕 ちば ともひろ

会計士をドアノックツールとして上場会社社長に就任
革命家タイプ
革命家タイプ

1986年7月11日生まれ(38歳)
宮城県出身 ・ 東京都在住
中央大学法学部

革命家タイプの特徴
  • 内向的
  • 臨機応変型
  • 大局タイプ
  • 個人主義
  • 伝統型
  • 外向的
  • 計画管理型
  • こだわりタイプ
  • 集団主義
  • 革新型
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  • このタイプの割合
    回答者全体の
  • 21.0%

自身の仕事に対して情熱を持って取り組む傾向にある。
また高いコミュニケーション能力を活かして、周囲と協力しながら物事を進めることができる。
知的好奇心も強いため、新しい考えや意見を取り入れることをいとわない。
物事を抽象化して考えるため、大局的な判断力を持つ。
ストレスを感じても過敏に反応することなく的確に対処ができるため、周囲からは誠実かつ落ち着いて見られることが多い。

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1キャリアサマリー
2009年11月
公認会計士試験合格
2010年4月
あずさ監査法人(現:有限責任 あずさ監査法人)入所
2018年10月
株式会社Macbee Planet 入社
2019年3月
株式会社Macbee Planet 取締役就任
2021年12月
株式会社Macbee Planet 代表取締役社長就任(現任)
2022年5月
株式会社ヘリテージ 社外取締役(現任)

 高校の先生の助言で、「会計士の存在」を知り、会計士を目指すことになりました。もともとはあまり東京に出てくるつもりはなく、「地元宮城の大学を出て、宮城でビジネスをして」という狭い世界の中で、自分の好きなように人生を送っていきたいというのが根本的な考え方でした。ただ、大学受験をきっかけに東京に出てきてから、自分でも想像していなかったキャリアが形成されていきました。
 キャリアの8割は「自分の意思ではなく、偶然や他人に影響されて決まる」と思っていて、基本的には流れに身を任せながら、目の前にあることをやり切ることで、自分磨きを続けてきています。
 私は、監査法人に8年半ほどいたので、ベンチャーに飛び込むには遅いという人も多くいました。加えて、IPO前のMacbee Planet(以下、「マクビー」)はまだ何も整っていない、無名のウェブマーケティングの会社だったので、私の意思決定について、何を血迷ったのか、と周りの目には映ったのではないかと思います。
 私が転職のときに重視したのは、「①従業員数が50名未満で、②設立は5年以内で、③エクイティでの資金調達をほとんどしていないこと(していても1億円以下)、④内部管理体制がまだ整っていないこと、⑤そして上場した後も自分がリードしながら事業成長に寄与できる会社」であるという点です。この基準を満たしたのが、現在社長を務めるマクビーでした。他人と異なる視点からのアプローチが、現在の「上場会社社長」という立場に繋がったのだと思います。
 監査法人を退所してから3年ほどで上場会社の社長になった稀有な存在として、私のキャリアを伝えたいと思います。

2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

 私があずさ監査法人に入所したのは2010年、ちょうどリーマンショック直後の就職氷河期でした。当時のIPO市場は年間20社程度と今とは全く異なる状況の中、私はIPO部署に入ったので、稼働率は繁忙期を除くと3〜4割程度で、本当に仕事がありませんでした。仕事をもらえたら精一杯頑張らないといけない、というマインドがその時に養われた気がします。
 IPOとの出会いは短答に合格した大学3年生のとき、監査法人の説明会でした。たまたま私のテーブルについたIPO担当者の方の話を聞いて、「これしかない!!」と思ったのがきっかけです。私はそもそも地元宮城で経営がやりたくて、そのための「ドアノックツール」として会計士を取得したので、大企業の監査ではなく、中小企業が中心のIPOが1番親和性が高いと思い、IPO部署を選びました。
 ですが、IPO案件があまりない中で、一部の会社は潰れたり、契約解除になったりして、入所の翌年にはIPO部署の解体を伴う大規模な事業部再編が行われました。その後、工数の8割ぐらいが大企業監査という状況が3~4年続きました。IPOがやりたくて入所したので、当初の期待とは異なりましたが、結果としてそれも大きな経験になりました。今、当時と比較すると小規模な組織の経営をやっていますが、業種は違えど大企業の監査で「あるべき論」が学べたのは大きかったと思います。むしろ、IPOだけで何年間も監査法人に残っていたら、今の立場にたどり着けていなかったかもしれません。
 実は入所当初、最短でシニアに昇格したら監査法人を辞めようとしていたんです。ただ、そんなにうまくもいかず、だったらもうインチャージでもやってみようかなって思っていた矢先、事業部の中でも大型だった医薬品系の会社のインチャージに大抜擢されたんです。すると、今度は抜擢してくれたパートナーやマネージャーの方々に不義理なことできないな、という気持ちになってきて。当時、監査法人を辞めて外でチャレンジしている人達がいっぱいいたので、「早く出たい、でも、義理は果たしたい」という悶々とした状態が3年ぐらい続きました。
 それでも外に出ようと思ったきっかけは働き方改革でした。残業規制がかかり、若手がこれまでよりも早く帰る一方で、インチャージやマネージャーにそのしわ寄せがくるっていうのを肌で感じて、若手が成長できない環境で、自分は過去経験したことを繰り返す、この先に何があるんだろうか、って急に気持ちが切れてしまったんですよね。やりたいこともできなくて、本当にこれが働き方改革なんだっけ?みたいな。
 その後の転職活動としては、最初はあずさOBの方々に紹介してもらいました。ただ、みなさんが紹介してくれるのが、上場予定のいわゆる世の中的に“いい会社”で。そういうキラキラのところに私はあまり魅力を感じてなくて。多少辛くても苦しくても、その会社を自分が成長させたっていう実感を求めていたんです。だから、従業員数は50人未満で、設立は5年以内ぐらいで、外部調達をしていない―つまりコンサルとか投資銀行出身の人たちが、絶対に選ばない―会社で、会計士のバリューが100パーセント発揮できる会社をターゲットにする、というのを明確な「軸」にしていました。マクビーは業績こそ上がっていましたが、そこが輝いて見えていたわけではなく、むしろ私には超泥くさい会社に見えていたので、ドンピシャで「軸」にハマった感じですね。この会社をターゲットにする人、絶対いないと思いました(笑)。あとは、トップラインが伸びて、ちゃんと利益が出ていること。利益が出ない、キャッシュがない、資金調達も困難っていう会社だと、もはやCFOの打ち手ってほぼなくて、お金を稼いでこそ、さまざまコーポレートアクションを起こせると考えたんです。なので、しっかり稼ぐ力を持っている会社を見定めていました。ベンチャー企業だと、調達しまくって赤字掘りまくって、という会社もたくさんある中で、マクビーのように最初から利益を着実に稼いでいる会社ってあまりないんです。
 そして、転職活動中にいろいろな会計士の先輩方にお話を聞いていると、会計士が、投資銀行やコンサルの方々にCFOポジション争いで敗れている話をよく聞きました。実際に私が面接を受けに行った時にも、会計士が下に見られている感じがあったので、 絶対に下に見られない会社に行ってやろうという思いがありました。監査法人から一歩外に出て、特に事業会社にいくと、会計士が下に見られているケースが多いイメージがあります。なので、絶対にCFO以外のポジションでは入らないというのも、その時に決めました。あと、人の下で働くっていうのが昔から嫌だったというのもあります。なので、監査法人を出てIPO準備会社に転職するならば、これが「最後の雇われる会社」と決めて、会社を慎重に選びました。将来的に、私が仮にマクビーを離れるとしたら、転職はせずに、独立か起業の選択肢しかないと思ってます。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

 今はマクビーの社長をしていますが、引き受けるまでには葛藤がありました。マクビーに入った時、「この会社をスケールできるか、上場後も関わり続けられるか」という視点がありましたが、そもそも前に出るタイプでもないので、会長と前社長から、「社長やらないか。」と言われても、一度断ったんです。でも、最終的には、自分が上場させた会社、そして一緒に上場を果たしたメンバーと次の目標を目指したいという気持ちから、「だったら自分がやるしかないな。まあこういう人生もあるかな。」と思い、引き受けました。そんな感じで社長になって、早2年。最近では、登壇やメディアへの露出が多くなりましたが、本心ではこういうのは全然得意でも好きでもないんですけど(笑)、マクビーがやっていることを「世の中のデファクトスタンダードにして、広大なインターネット広告市場を変革していく」、そのためには会社の認知をあげるためにやりきらないと、という使命感でやっています。
 実は、社長をする上でかなり大事なのが、監査法人で誰もが経験する組織のピラミッド構造における人間関係を通じて得たコミュニケーション能力とか、場をうまく作っていく力みたいなものだったりします。監査法人でも、インチャージ・マネージャー・パートナーって皆すごいところはあるものの、万能人間ってあまりいないじゃないですか。私自身も監査領域は本当に苦手だったんです。ただ、フロントに立って会計の話をしたり、クライアントワークは得意でした。自分の弱いところは、自分よりもはるかに優秀な人たちに任せちゃって、自分の強いところでリードすることによって、互いにリスペクトしながらチームを作り活性化させていくことは、監査法人時代の一番の学びだったと思います。
 私は現在、社長をやっていますが、もともとはCFO。実は経営企画や管理の業務で、手を動かしているのではないかと聞かれますが、現在は全く手を動かしていません。これまで自分がやってきた領域なので、かなり気になりますけど、自分で採用した優秀な人たちに任せてしまって、自分自身は社長業に集中しています。だって、優秀な人たちは、他人にわーわー言われるのは嫌じゃないですか(笑)。なので自分は実務をやらずに任せよう、任せられる人を採用しよう、と。今、経営企画は戦略コンサル出身の者に任せ、管理部はあずさ時代の後輩に任せています。まあ、多少わーわー言っている気がしますが (笑)、一切手は動かしていません。この2人に限らず、営業や開発などに優秀な人たちをそれぞれの領域に配置して、その人たちでうまくワークしてもらいつつ、バランスを崩さぬように私はうまく全体のバランスを保つ。そういうイメージを持って、会社経営を行なっています。
 会計士が社長になるとしたら、一番武器になるのはやはり「会計・ファイナンス」だと思います。これまで数字が読めることが武器だと思ったことはなかったんですが、事業会社に出ると想像以上に武器になるなって実感しています。皆数字を追い求めているけど実は数字を読めていない人が多い、というのは意外な気づきでもありました。ここでいうファイナンスというのは、エクイティファイナンスとか資金調達という意味もあれば、IRも、市場を俯瞰して見ることも、資本コストなどの概念を知っていることも広く含めています。しっかり根拠を持って数字で語れることは武器。

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