小笠原直(おがさわらなおし) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

監査法人アヴァンティア

法人代表 CEO マネージングパートナー

小笠原 直 おがさわら なおし

「日本企業のための、日本印の監査法人」として監査業界の盟主を目指す
革命家タイプ
革命家タイプ

1965年8月19日生まれ(59歳)
栃木県出身 ・ 神奈川県在住
一橋大学経済学部 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私の強みは、自分のことを頼りにして依頼してくださっている方への謙虚な気持ちを常に失わないことです。太陽監査法人時代も監査にせよ、コンサルティングにせよ、1社獲得するのは本当に大変でした。最初に上場顧客を獲得した時は感激したくらいです。監査法人を設立してからは、当たり前ですが、なおさら大変でした。あまりに新規顧客の獲得に苦しんで、DMを上場企業2000社に発送したこともあるくらいです。セミナーも何度も試みましたし、出版もよくやりました。最近でこそ、多方面から有難いお話をいただいておりますが、謙虚に対応させていただくこと、そうした出会いに感謝すること、自分の実力ではなく、運でしかなく、決して驕らないことは、今もこれからもきっと変わらない姿勢であると思います。
あと自分の強みをもう一つ申し上げるとすれば、スピードですね。ある依頼事項に対して、時が経過すればするほど、記憶もあいまいになったり、その時感じた心証がおぼろげになるので、素早く対応することを心がけています。また回答に少し時間がかかる場合には、小刻みに連絡をすることで、相手への関心を常に持ち続けていることを認知していただいています。監査法人アヴァンティアは、自分も驚くほど圧倒的なスピード感のある組織になっています。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

何度もあります(笑)。まずこの業界に入って3年目くらいの時に、上場企業の監査所見で、内部統制上の問題点を指摘した結果、当該部署の責任者の方が異動になったことがありました。こちらは自分のことで精いっぱいで有効な指摘をしたつもりですが、そのインパクトが企業の人事にも影響することを肌で感じました。これは、この仕事の重要性を思い知るとともに多くの教訓を得ました。

次の例は、2005年ころにあるIPO予定企業が上場審査で承認を受ける寸前に担当していた監査法人で大きなアクシデントが発生して、上場承認が棚上げになり、自分の監査法人に依頼があったときです。普通にやれば、もう一度やり直しで、IPOには最低2年間の延期が求められるところですが、今では考えられない遡及監査をするためその監査法人の調書をフルコピーし、これをなぞると同時に証拠力の強い手続きを自らが行い、東証を説得して、無事半年程度の延期で上場を実現させたことです。これは当該企業の皆さんには大変感謝されましたし、パートナーとして一人前になった自信がついた事案です。

もう一つは、リーマンショック後のころですが、ある業界の非上場ではあるもののリーディングカンパニーが、政治スキャンダルに巻き込まれて、メインバンクはじめ金融機関からコンプライアンスを問われ、倒産の危機に瀕していた際に、たった2日間で財務専門家としてのペーパーをメインバンク宛に発行して、窮地を救ったことです。もちろんこの2日間は徹夜でしたし、文書を作成しながら、胸騒ぎが止まらなかった記憶があります。

ほかにもたくさんありますが、基本的にクライアントの役員、従業員そしてその家族の方々の生活に直結するリアリティを感じるときが、心が大きく動く瞬間です。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士の仕事、特に監査業務に関していえば、私は自ら考え、判断し、導出した結論をクライアントに納得してもらうというシンプルな流れで実施できれば、とても爽やかな仕事であると思います。そうした思考・行動を貫徹した限りは、重要業務の一つ一つが完結して、ストレスで眠りに就けない、食欲が出ないなどということはありませんでした。
しかし通常監査業務は、独りの人間では成し得ません。監査チームがあって、チームでは主査がプロジェクトマネージメントをしています。私がやっとの思いでクライアント獲得できたことを知って主査が従事すると、時にクライアントの無理な会計処理の要請に対して、私に忖度して、クライアントを失ってはいけないので、意見対立をしないように動いたり、どうしてもその報告が遅延することが起こります。部下の慮った気持ちには尊重しつつも、本来あるべき処理はどうかを考えて、主査の行っている方向性と逆のかじ取りをおこない、クライアントに説明しなければならないことになります。これは、あとでクライアントの関係者や自分を慮った監査チームの主査やメンバーを傷つけない最良の方法だと考えて、正道で業務を遂行しなければなりません。このように、考え抜いたうえで、正しいと思う会計判断について、周りの誰もが反対した場合でも貫き通すことが必要だと考えております。この境地に入り、常に議論する覚悟があるかぎり、眠りに就けないストレスになることはありません。

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