北山久恵(きたやまひさえ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

北山公認会計士事務所

代表

北山 久恵 きたやま ひさえ

オーダーメイドのキャリアを創り、しなやかに自分らしく輝いていたい
リーダータイプ
リーダータイプ

1957年8月30日生まれ(67歳)
大阪府出身 ・ 兵庫県在住
神戸商科大学商経学部経営学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

好奇心旺盛、ポジティブ思考、努力し挑戦すること、最後まで諦めないことは、私の強みだと思う。
今まで様々な機会を頂いたとき、少々自信がなくても、「Yes, I will !」 、「迷ったらGo!」でチャレンジしてきた。新たな環境での挑戦は大変だが、成長の機会になると思い、努力してきた。チャレンジは適応力や人脈を身につけることができる。失敗は成功のもと、恥をかいた分だけ成長する。誠実にトライしていたら、それを周りは見ていてくれて、サポートしてくれる。感謝している。これからは今まで自分が受けてきた恩恵をお返し、後進に繋げ、背中を押していきたい。「Give Back!」が、今の自分の役割だと思っている。

現在、上場会社の社外取締役に就任し、監査法人で公認会計士として培った知見を活かして、経営やガバナンスに関するアドバイスなどを行っている。監査法人時代に、経営者(社長、CFO、監査役等)との面談、経理部・財務部以外の部署(経営企画部、事業部企画部、法務部等)との情報交換や取締役会・経営会議の資料等の閲覧を通じて、経営戦略や中期事業計画、コーポレートガバナンスやリスクマネジメント等に関心をもち、会社のビジネスを理解しようと努め、企業の経営を俯瞰的に見るように意識していたことが役立っている。監査で公認会計士として身につけた知識、スキル、経験は貴重な財産である。

近畿会女性会計士委員会は、発足当時、「アメリカ女性会計士のあゆみ」の翻訳、「翔け 日本の女性会計士のあゆみ」の編集・出版の活動から開始した。日米の女性会計士の先駆者たちのストーリーは非常に参考になった。その後、監査会計委員会委員長等の協会活動を継続し、副会長を経て、2019年6月から近畿会初の女性会長に就任している。近畿会の「先駆けの精神」により、新たな取り組みによりイノベーションの推進を図っている。協会活動等を通じて、監査研究学会理事や大阪府・市の審議会や委員会の理事・委員等にも就任している。また、大学大学院で特任教授として、監査論や原価計算を実務家の観点で教えている。

監査法人の外部の世界との関わりをもつことは、視野を広め、人脈を広げるうえでも、有意義である。現在、社外役員や大学院特任教授を務めているが、すべて外部の活動でご一緒した方からの紹介・推薦である。●●監査法人の▲▲ではなく、個人の▲▲としてのブランドを創る、「複数のタグをもつ」ことは「自分のブランドを築く」ことになり、自分の強みである。公認会計士が活躍する場は広がっており、自分で選択することができる。自分のオーダーメイドのキャリアを創ることができ、しなやかに自分らしく輝いていたい。自分の可能性を信じて、チャレンジし続け、成長し続けていきたいと思う。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

M&Aなど秘密裡で進めてきた案件が成功し新聞TOPを飾ったり、難しい問題にうまく対処できた時は、会計士の醍醐味だと感じる。しかし、日々の普段行なっている業務の中でも、会社から感謝され、やりがいを感じることがある。新米のマネジャー時代、ある商社の営業監査をしている時、営業部長に債権管理や在庫管理で気になる点をズバズバと指摘したことがあった(たぶん、生意気な奴と思われるくらいに)。10年後、パートナーとして、別のクライアントで、社外監査役になられたその方にお会いした。「あの時、指摘されたことを整理したら、いろんな問題があることが発覚した。先生に指摘してもらったおかげで管理体制を改善して、より良い会社になった」というお話しを頂いた。公認会計士としての知識や経験に基づいて普段行っている指摘や助言に対して会社から感謝してもらえた時、お役に立てたと嬉しいし、やりがいを感じる。

公認会計士は監査を通じて、様々な業種や規模の会社で、本社・工場・営業所や、国内子会社だけでなく海外子会社にも往査し、会計処理や管理体制をチェックし、経営を見ることができる。普通では見られない会社の資料や取締役会や経営会議の重要資料も見ることができる。会社の担当者にヒアリングし、経営者面談し、経営方針やリスクマネジメント等について情報交換することもできる。監査で単に数字の間違いを指摘するのではなく、なぜ間違えたのか、その原因は何か、どう管理すれば発見・防止できるのか、どのような内部統制を整備・運用すればよいかを、監査現場で得た知識や経験をもとに指導し助言できれば、感謝していただける。そのように意識して、資料を見たり、ヒアリングしたり、業務フローや管理体制を検討すれば、関心も高まり、視野も広がり、理解の深度も変わる。

我々の仕事が会社に、ビジネスに、そして社会にどんな影響を与えているかを考えることにより、やりがいも増し、面白みも出てくる。私はそのように意識し、現場に行くとワクワクする。きっと、皆さんにも、会計士っていい職業だなと思える瞬間がある。目の前の日々の仕事を大切にしてほしい。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

3次試験(現在の修了試験)に合格し公認会計士になった時、シニアに昇進し部門異動があった。クライアントも監査チームメンバーも環境が大きく変わり、大規模エンゲージメントのインチャージに抜擢され、さらに上司も事務所でも有名な厳しいパートナーという難しい局面の中、その上司から次の言葉を賜った。

◆「会社のインチャージは、恋人を想うように、常にクライアントを想え!」。
クライアントが何を考えていて、何を悩んでいるのか、何を求めているのか、自分は何をしてあげられるか、恋人に接するようにクライアントに対しても行動しなさいと。入社4年目の私は悩みながら、このことを常に心掛けた。ビジネスの理解や会計・監査の勉強も必要で、肩凝りも鉄板のように凄かったが(笑)、本当によい経験になった。当時の経理部長とは、クライアントと監査人として強い信頼関係を築くことができ、役員になられ退職された後でも、私の応援団の1人として、時々電話や会食をして、アドバイスをもらっている。

その上司から名言をあと2つ頂いたが、私流に少しアレンジしている。

◆「VSOP」 
ブランデーのVSOPはVery Superior Old Paleだが、ここでは、Very Special One Patternである。関係会社や営業所往査の後、報告書を提出するのだが、滞留債権、滞留在庫、売上の期ズレなど、いつも同じような指摘になり、上司から「VSOPやな」 「もっと他に問題あるやろ」と言われていた。
私は、「まずはVSOPを極めろ!」 と言いたい。債権管理、在庫管理、売上の業務フローや管理体制の理解を徹底し、基本形・あるべき管理体制を修得し、実態との違いがわかるようになる必要がある。あるべき姿と現実の間には必ずギャップがある。実態をしっかり見て、ギャップを問題として捉え、影響を評価し、原因を究明して、解決に向けた課題を設定し、企業に課題解決を促す、さらに課題解決を助言することができれば、会社から感謝され、信頼関係を築くことができ、それは質の高い監査につながる。監査現場で多くの事例を見てVSOPを極め、基本形を身につけて自分のノウハウにし、スキルを磨いてほしい。

◆「武器を持たずに戦場にいくな!」 
往査する前に、企業の状況を把握して想定される課題・相談される事項に対して、準備しておきなさいということである。私の言葉に置き換えるなら、「準備は周到に!」 「直球ど真ん中は必ず打ち返せるように!変化球に備えよ!」である。直球ど真ん中の質問に対する解をもっておれば、企業の置かれている状況に応じて変化球が飛んできても議論して解決策を探ることができる。準備はしっかりしておきたい。

このシニア時代の上司からの教訓と経験は、監査の厳しさとともに、監査の面白さ・やりがいを強く感じることができ、自分の公認会計士人生の基盤となっている。会社の課題について一緒に寄り添って悩み、その解決策を共に考え、乗り越えていく、このような気持ちで接することにより信頼関係を築くことができ、結果、監査の質を高めることができると思う。

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