石田正(いしだただし) | ページ 3 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

カルビー株式会社

監査役

石田 正 いしだ ただし

会計士の資格は仕事をしていく上での重要なプラットホーム。新たな分野・新たな世界にチャレンジし、多様で幅広い経験を積んでほしい
スペシャリストタイプ
スペシャリストタイプ

1944年1月17日生まれ(76歳)
東京都出身 ・ 神奈川県在住
明治大学商学部 卒業

7人生の目的と公認会計士という資格

若いころの私にとって、大きな目標のひとつが、海外で仕事をすることでした。思い返せば、学生時代にヨーロッパを巡り、たくさんの国や文化があると知った時点で、私のその後の人生がある程度方向づけられたようにおもいます。サマセットモームの小説を読んで、南国の豊かな国々に憧れ、帰りの船旅で立ち寄ったシンガポールの魅力に惹かれたこと。お金がなくドーバー海峡を渡ってイギリスにたどり着けず、いつか行ってみたいと思っていたこと。それらが、シンガポールとロンドンへの赴任という決断に影響を与えたのかもしれません。その意味で、私にとって会計士の資格は、結果的に海外へのパスポートのようなものだったのかもしれないと思っています。
会計士の資格は仕事をしていく上で、大きなプラットホームです。もちろん仕事をしていく上で有利に働きますが、それだけに甘えていては成長が止まってしまいます。企業人という尺度で考えるなら、資格を取ってからがスタートといえます。若い会計士の皆さんには新たな分野、新たな世界にどんどんチャレンジし、多様なそして幅広い経験を積んでほしいと思います。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

もはや、後期高齢者に属していますので、あえて言うほどのことはありません。今まで請われるまま仕事をしてきましたが80歳を限度と考えています。若い時は体力で気力を引っ張っていましたが、最近は逆に、気力で体力を補わねばならなくなりました。強いて言うなら、車が好きで人生最後の車はまっ赤なスポーツカーにしたいと思っています。

9キャリアを模索する会計士、受験生へのアドバイス

キャリアに悩む会計士の皆さんへ

キャリアに悩む会計士の皆さんには、監査法人から事業会社というステップを踏むことをお勧めします。会計監査を通して企業を俯瞰する目を養い、そして監査の世界だけにとどまることなく、企業経営の領域へ積極的にチャレンジしていってください。新たな領域の知識は、本を読めば手に入ります。読書の習慣がつくとより早く成長できるかもしれません。
そして事業会社では、現場に出ることが大切だと思います。振り返っていうなら、私自身日本マクドナルドに移った際に、すぐにCFOになるのではなく、何年か店舗という事業の現場でポテトを揚げ、カウンターでお客様の対応をすればよかったと反省しています。セガサミーホールディングスへ移籍した時も、本社で役員室に収まって必要に応じて部下を呼び仕事をするのではなく、一定期間、工場へ行ってパチンコ台の裏側はどうなっているのか、提携先のパチンコホールでお客様に喜んでもらうためには何をすべきか学んでから、本社に戻ればよかったと悔やんでいます。
本社の役員室にいると上がってくる情報は多くの人のスクリーニングを受けた後で、生の情報ではありません。現場から数字を見なければ、生きた数字は見えてきません。キャリアパスを考える上で、1年でもよいので、現場に行くことをおすすめします。そこで必ず視野が広がるはずです。
そして、事業会社での仕事が一段落したら監査法人に戻って監査業務、もしくは法人経営に携わるのも面白いかもしれませんね。

監査実務に従事している会計士の皆さんへ

監査実務に従事している会計士の皆さんには、もう一度リベラルアーツ(教養)を磨かれることをお勧めします。イギリスの友人と会食をしていると、仕事の話はほとんど出ず、ギリシャやローマ史などが話題に上ります。私は事業会社に入って初めて、リベラルアーツの大切さに気付きました。歴史は経営に通じるさまざまな教訓を与えてくれます。絵画や音楽など、本物に触れることで感性が磨かれます。 
欧米の大学生は学生時代に哲学、歴史、文学、地理などの勉強に時間をかけます。日本のように大学1年目から会計士の受験勉強を始めるような人はほぼいません。彼らは会計学のような実務に直結した学科は卒業後、ビジネススクールで学びます。直接仕事と関係のない事象に興味を持ち学び続けていくことでビジネスセンスが磨かれ、そのことが物事の本質をつかみ、判断に厚みを与えることになると確信しています。私のように大学の教養課程をさぼった人は、今からでも遅くありませんので、ぜひ始めてください。

日本の会計士制度の将来について

日本の会計士制度の将来についてひとつだけ心配なのは、受験者が減っている事です。分母が減れば、合格できる確率が高くなり、相対的に質が落ちます。大げさな言い方になりますが、公認会計士と会計監査制度は資本証券市場の根幹であり、そこがだめになれば自由資本主義が崩壊しかねません。結果として日本企業の質も落ちますからこのままではいけないでしょう。何らかの対策を打つ必要があります。
最近の監査法人、特に四大監査法人と呼ばれている大手法人は5千人近い会計士を有し、事業会社の粗利と同じ業務収入は1,000憶円近い金額を計上していると聞いています。大手企業に引けを取らない立派な大企業です。企業であれば後継者対策は当然経営上の重要な戦略です。少なくとも大手監査法人の経営者の皆さんは会計士協会や役所に頼ることなく、受験生の減少という大問題にぜひ手を打っていただきたいのです。単なる広報活動の延長線上ではなく、長期の人的投資活動として予算を組み、具体的ターゲットを決めて動き出してほしいのです。今のままでは3Kで魅力のない職種に成り下がり「日本の少子高齢化問題」と同じになってしまいます。

話が愚痴っぽくなってきました。そろそろ着地に入りましょう。繰り返しになりますが、会計士の資格取得は、皆さんの企業人人生においてのスタートラインにすぎません。資格に頼りすぎることなく己の可能性を摸索し、未来に向けて歩を進めてほしいと思います。日本は人生100年時代に入ったのですから。

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