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佐々木博章公認会計士事務所

所長

佐々木 博章 ささき ひろあき

100%のパフォーマンスができなくなれば、自らバットを置くべき
革命家タイプ
革命家タイプ

京都府出身
同志社大学商学部 卒業

7人生の目的と公認会計士という資格

大学生のころ、自分の人生への危機感から公認会計士を目指すようになった。当時の人生の目的は、死に際に「自分なりによく頑張ったぞ!」と自分に言えるような人生を送りたい、というものだった。
幸いにも公認会計士となることができ、その後は企業の枠を超えて、多様な業界の極めて優秀な人々と出会う機会を得た。彼らから多くを学ぶ中で、リーダーとしての心構えや覚悟も徐々に身につけ、結果的に税理士法人の代表として10年間勤めることができた。そんな自分に対し「自分なりに頑張った」と思える満足感もある。
特に印象深いのは、海外勤務の経験だ。シニアとして東京で働いたのち、アイルランドに赴任し、現地でマネジャーになれたのは嬉しかった。当時、自分には変な自信があったため、帰国時には給料交渉まで行い、会社から引き止められながらも自分の条件を通し、給与を引き上げてもらった上で戻ってきた。
アイルランドでの生活では文化の違いを感じながらも、同時に日本との共通点にも気づかされた。アイルランド人は控えめで、島国の日本と似た文化を持っている。パブで飲みながらお互いに奢り合い、程よいところで断るという文化には温かさを感じた。同時に、治安が良く、仲間意識を重視する姿勢にも共感できた。そこでは喧嘩や対立を避けることが自然と重んじられ、「仲間と仲良くする」ことを大切にする雰囲気があった。
こうした経験を経て、自分のプロモーション(昇進)への目標や自信は強まっていった。「あと3年でシニアマネージャーになる」を有言実行し、代表になる夢も叶えた。従業員アンケートに「以前おっしゃっていた夢が実現しましたね」と書かれていたことも心に残っている。
公認会計士としての私の人生を振り返ると、この資格を得たことで多くの学びと経験を重ね、自分に「よく頑張った」と言える人生を送る基盤を築けたと感じている。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

人それぞれに人生設計があるだろう。死ぬまで働き続けることも、一つの理想だと思っている。ただ、税務アドバイザーとして求められる新しい知識や判断力を、年齢を重ねても維持し続けることは、自分にとって現実的ではないと考えている。
幸いにも、私は38歳で税理士法人のパートナーに昇進した。その法人内では「パートナーたるものいかにあるべきか」という議論が繰り返され、その中での合意は「100%のパフォーマンスができなくなれば、自らバットを置くべき」というものだった。プロフェッショナルとして、それは当然の考え方だと思う。そのため私の人生設計としては、とにかく若いうちに精一杯働いて一生分のお金を貯め、早期退職後は妻と共に趣味や旅行に時間とお金を使い、人生を楽しむことを目標に据えてきた。
仕事中心の日々を過ごしてきたため、妻には結婚直後から専業主婦として私を支えてもらってきた。特に、結婚してすぐの海外赴任では忙しさもあり家庭に十分な時間を割けず、苦労をかけたという思いがある。子どもたちも独立し、夫婦二人の生活に戻った今、これからは支えてくれた妻との時間を存分に楽しみたいと思っている。
振り返れば、今の自分は非常に贅沢な状況にあると感じている。健康で食べるものや飲むものに制限がなく、旅行や飲み会に行く余裕もある。この先も健康に留意しながら、OB連中や後輩と交流を楽しみ、充実した時間を過ごしていきたい。仕事でやるべきことはやり切ったからこそ、これからは贅沢に、自分と妻の時間を大切にしていくつもりだ。

9キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

公認会計士は、会計監査を行う専門家という主たる役割を持ちながら、その後のキャリアとして多様な選択肢がある職業だ。会計士になることで、コンサルティングや税務、企業の社内会計士、さらには起業といった道まで開けてくる。まずは資格を取得し、その後にやりたいことを探すのも良いだろう。どの道を選ぶとしても、正解は一つではない。
ただ、個人的には「まず監査業務は経験してほしい」と強く思う。監査を通じて関わる企業は大企業が多く、その中で見聞を広め、人と接する経験は非常に貴重だ。監査法人に所属すれば複数の企業を知る機会があり、そこで得られる知識や視点が、自分の常識を広げてくれる。これは普通の企業に就職して1社に所属するだけでは得られないもので、人生設計のヒントにもなり得る。私としては、監査法人で最低5年程度は基礎を築いてほしいと考えている。
また、監査法人での経験から海外勤務に挑戦するチャンスもある。クライアントと接する中で起業のヒントを得ることもできる。こうした基礎を築いた上で、自らの道を模索することが長い目で見て将来のためになると思う。
一方で注意したいのは、公認会計士にありがちな「変なプライド」だ。このプライドを捨て、謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けることが大切である。新たなキャリアを選択した場合も、「会計士の地位」に甘んじるのではなく、勉強を続け、努力し続けることが不可欠だ。どの分野でも、真剣に向き合い勉強を重ねることで、より一層その仕事の面白さを感じられるようになる。
最後に、もし公認会計士の業務が辛すぎる場合は無理をせず道を変えることも考えるべきだ。ただ、ある程度の困難は成長の糧でもある。「吐きそうなほど辛い」という日々を乗り越えることで、自分にとっての基礎を積むことができるからだ。例えば、現場責任者(インチャージ)としての経験はしておいた方が良いと考える。そこには多くの学びがあり、後々必ず活きてくる。
私が勤めたKPMGは、男女平等や同一労働・同一賃金が当たり前に実現されている素晴らしい環境だった。そのような素晴らしい環境で専門業務に従事した経験を通じて、会計士という職業がいかに幅広い可能性を持っているかを感じることができた。この履歴書の作成を通じ自身のキャリアを振り返ることが、公認会計士の資格や業界の魅力、社会的意義、そして自分の人生における意味を、再確認できる良い機会となった。

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