T.H. | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

PwC税理士法人

税務レポーティング・ストラテジー(TRS)

パートナー

T.H.

異文化コミュニケーションでクライアントに寄り添う会計士
冒険家タイプ
冒険家タイプ

1981年7月30日生まれ(43歳)
香川県出身 ・ 東京都在住
一橋大学経済学部

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

 海外での経験は、言葉の問題だけでなく、カルチャーの理解の観点からも自身の視野を広げ、マインドセットを変えるためのかけがえのない経験であった。日本国内のように多くの人が同じ文化的背景や考え方を共有している環境で仕事をしていると、協調性や「阿吽の呼吸」によって共通理解を得やすいメリットがある反面、異なる文化圏の人がどのような思考をするのか、どのようなコミュニケーションを取るとうまく伝わりやすいかには気づきにくい。
 海外現地チームに属し、現地のクライアント向けにサービスを提供した経験は、そのような気づきを肌で感じる機会となり、異なる言語、異なる考え方、異なる歴史や文化を持つ人々と理解し合うためのコミュニケーションや言語化の手段を学ぶ貴重な機会であった。また、インクルージョン&ダイバーシティへの理解を深める機会にもなった。たとえば、後輩に仕事の改善案についてフィードバックをする際、日本では「分かりました」と素直に聞き入られることが多いと感じる。しかし、米国滞在中には「なぜですか、具体的にどういうことですか」と逆に問い詰められる経験を少なからずした。
 帰国後は、外資系インバウンドのクライアントを比較的多く担当しているが、このような経験があったからこそ、海外のクライアントにメールを送る際、英語話者にはこういう伝え方をした方がスムーズに進むといった具体的なアプローチができるようになった。また、クライアントとコンフリクトが生じ得る局面でも、「こういう表現で説明をするとこの文化圏の方はセンシティブに反応してしまうから、このように説明した方が納得していただきやすい」といったように、語学だけでは得られないコミュニケーションスキルを業務に活かせていると感じている。さらに、たとえ共通言語を持つ日本人同士であっても、相手の立場に立って物事を考える視点や、それぞれの違いを尊重する視点、自分の中の当たり前を疑う視点を持つことができていると実感している。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

 監査法人での法定監査業務は、その特性上、投資家や規制官庁等のステークホルダーも考慮し、第三者的な立場からクライアントである被監査会社に対峙する必要がある。一方、税務アドバイザーは、クライアントが達成しようとする目標や抱えている税務面の課題を、クライアントと同じ目線で寄り添って支援する。この立場の違いも、監査業務から税務領域へのキャリア変更を検討する際の大きなモチベーションであった。このような背景がある中で、長く関与させていただいているクライアントのマネジメントの方から、「Hさんは単なる税務アドバイザーではなく、ビジネスを拡大するにあたっての信頼できるパートナーだ」とフィードバックをいただいたときは、コンサルタント冥利に尽きる、非常にうれしい瞬間であった。
 また、PwCは法務、会計、アドバイザリー、コンサルティングなど、多岐にわたる専門家集団である。これらのさまざまなサービスラインのメンバーと協業することで、税務にとどまらない幅広いコンサルティングサービスをクライアントに提供することができる。自分一人ではできないことでも、チームにつないでクライアントのニーズをワンストップで満たすことができるのは、大手のグループネットワークがあるからである。たとえば、海外にいるクライアントが日本で子会社を作りたいという相談があった際、税務申告は私たちがサポートするが、会社設立の法務手続はPwC弁護士法人にリファーしてサポートを依頼することがある。会社の立ち上げ当初は日本に従業員もほとんどおらず、日々の記帳もままならないというときには、アウトソーシングサービスを提供しているPwCアウトソーシングサービス合同会社に記帳代行や給与計算・支払事務のサポートを提案し、つなぐことも多くある。そういった中継役に自分自身がなれた時は、非常に大きなやりがいと喜びを感じる。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

 公認会計士に限らず、コンサルタントという仕事は、クライアントのビジネスをあくまでも外からサポートする立場にある。つまり、クライアント内部の深いところにはアクセスが難しいという側面を持っている。経験を重ね、さまざまなクライアントに寄り添いアドバイスをしていく中で、私を信頼して会社の内情を共有していただく機会が増えてきたが、どこまで行ってもクライアントと全く同じ状況に踏み込むことは難しく、どのような意思決定の経路でどのような議論がなされているのかといった、外からは見えない部分について、いかに価値のあるサービスを提供できるかについて悩んだことがあった。クライアントと同じ目線でアドバイスをするという立場に憧れて監査人から税務コンサルタントに転職した私にとって、この壁に直面したのは想定外の出来事であった。
 今では、さまざまな会社のビジネスにアクセスできるという外部コンサルタントの強みを再定義し、その領域における他社の状況や成功例・失敗例、業界全体の動向などから得られる知見を踏まえて、ニュートラルな立場でアドバイスすることでクライアントに最大限の価値を提供しようという気持ちに至れるようになった。「第三者たるジレンマ」にとらわれず、コンサルタントとしての知見を高めていくという考えを大切にしている。

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