土屋英希(つちやひでき) | ページ 3 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社シャンディガフ

代表取締役

土屋 英希 つちや ひでき

経営者に寄り添いアイデアを実現するためにサポート役に徹する。管理実務全般を究めた職人気質の専門家
プロデューサータイプ
プロデューサータイプ

1974年1月28日生まれ(50歳)
神奈川県出身 ・ 東京都在住
武蔵大学 経済学部 卒業

7人生の目的と公認会計士という資格

信託銀行にいた当時、「経理実務の経験だけでは公認会計士の三次試験受験要件を充足しない」という財務局の回答があったので、現在でも準会員のまま。だが、クライアント候補とのご面談時における自己紹介の際に、冒頭で「大学在学中に公認会計士の二次試験だけ受かりまして、そしてなぜか監査法人に行かずになぜか信託銀行に入りまして……」と始めるのがいつもの言葉。自分を説明するときに一番分かりやすいので、「公認会計士二次試験合格者」は活用はさせてもらっている。だからといって、その資格に固執する気は一切ない。

現在の仕事は、様々な組織に入って支援していく中で、私のような外部者の支援がなくても普通に事業や業務が回るためのお手伝いをしている。それができれば仕事はやり遂げたことになるので、いったん区切りを入れる。その時点で新たな課題等があれば別だが、区切りを入れたら「また何かあればお声かけください」と次のクライアントに対してサポートを続ける。

こだわりがあるとすれば、サポートするクライアントの選び方かもしれない。「今、そのクライアントが何をやっているか」ということよりも、「将来的に、経営者が何を成し遂げたいのか」、「そのクライアントが業界をどう広げて行くのか、どう変えていくのか」に興味がある。

クライアント候補との契約前のご面談時には、「このクライアント(又は事業)が将来的にどうなっていくのか」を自分なりに妄想してからお会いする。大変申し訳ない話だが、実際に話をしてみると「小さい」と思ってしまうことがたまにある。あまり夢を語らない自分のような人間の妄想に負けてしまうような事業構想だと「お引き受けしても楽しくない」と思ってしまう。

妄想の次元がはるかに違うとか、妄想を突き破ってさらにその先を見ているとか、全く違う方向で妄想しているとか。そうなると「そうきましたか」と楽しくなってきて、その妄想の実現に向けたお手伝いをするために仕事をお引き受けする。仕事自体は、数字や文言だったり、Excel・Word・PowerPointだったりをちくちくいじることも多いので、正直、つまらなかったり面倒なこともあったりする。ただ、その仕事内容よりも、つまらない仕事や面倒な仕事でも誰かがやらなければならない仕事であれば、経営者にわざわざ手を煩わせるよりも、一番手が早くて一番品質が高い人間がやればいい話であって、それが私にできる仕事であるならお引き受けする。仕事を引き取ることで、経営者がフリーになって妄想に向かって一歩でも半歩でも前進するなら、お引き受けした意味がある。

8これから成し遂げたい事、将来の夢

週7日、ほぼ休みなく毎日仕事はしている。1日十数時間を5日間働くより、毎日8時間以下を目標にして仕事をする方が業務としても精神的・体力的にも安定する。とはいっても、休みたいと感じた時には休む。また、「安定する方が楽だ」と思っていても休みなく働き続けていると、たまに「地方で隠居生活をしたい」という気持ちになることもある。周りに言うと、「絶対に隠居なんかするわけない」と言われるので、意地になって地方の物件を探したりする。「いずれは」という思いはあるが、夢とは違う意味かもしれない。

自分の夢ではないが、現在の“自分が面白いと思える夢”を持っている方々の近くにいて、それらを実現するためのお手伝いを仕事にしている、という状況は楽しい。将来の夢というなら、この仕事をこの先も続けて、多くの方々とお会いして、そのお手伝いし続けたいと思っている。

お手伝いした人たちとは、一期一会ではなくて積み重ねだと思っている。関係がずっと続いくことはもちろん嬉しいこと。ただ、最近、いったん関係性が終了した後に再びお声かけいただくことが多く、そちらも大きい喜びを実感できる。

9キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:XXを目指すならまずはこのアクションをしよう

監査にあまりこだわりすぎないほうがいい。「公認会計士の資格を持ったから、監査法人に行かなくてはいけない」という先入観は外したほうがいいだろう。特に、事業会社を目指していて、事業会社の中で一定の成果を得たいのであれば、監査法人での自分のキャリアはいったん捨てるべきだ。というのも、監査法人でしか働いたことがない人が常識だと思っていたことも、事業会社の非常識になる可能性があるからだ。郷に入っては郷に従えという。監査法人というキャリアを捨て、難関試験を通過したプライドを捨てたとしても、資格から得られた知識・経験を周りは評価してくれるし、キャリアやプライドを捨てても自身が持つ知識や経験値が変わることはない。

常識という話が出たが、事業会社側の人間として、事業会社での就業経験のない方々は挨拶や気遣いができない人が多いように感じ、特に若い人ほどできないことが気になる。朝にクライアント事務所に訪問する際は「おはようございます」、監査法人向けに準備された部屋に入る時は「失礼します」、クライアントや周囲が協力等をしてくれた際は「ありがとうございます」、クライアントの事務所を出るときには「ありがとうございました」という基本的な挨拶。事業会社の方々も業務中のため、いつ誰に言えばよいのか分からないのかもしれないが、できていないと感じることが多い。

また、気遣いという点でも気になることがある。例えば、監査が夜中まで長引いたとしても監査法人から「担当者の方達はもう帰ってもらって大丈夫ですよ」と言われた経験はまずない。ほとんどの場合、「私は最後まで残るんで、もう担当者は帰らせて良いですよね?」と確認しなければならない。事業会社の立場からすれば、担当者に対する残業負荷が気になるので、「全体を統括している自分が残っていれば、部下たちは早く帰したい」と思うのではないか。部下の側も、監査対応で上司が残っていれば早く帰ることを遠慮したり、担当者としての責任感から切り出せなかったりもある。しかし心のどこかでは「自分がいても何も手伝えないのであれば、明日も日常的な業務があるので、早く帰りたい」と思っていることだろう。ただ、監査法人からその一言を言ってもらえれば帰りやすくなる。勉強というより人としての気遣いの問題だ。

監査法人勤務でも役職が上がっていき、様々な経験を経ていくに連れて、コミュニケーション能力が追いついて、気付けるようになるかもしれないが、若いうちに、固定されたメンバー間の密なコミュニケーションが必要となる事業会社での就業を経験した方が気付きは早いと思う。もし、事業会社で監査法人の在籍時と同じ行動をしていたら、誰も相手をしてくれないかもしれない。また、監査法人として監査に行く場合は、自身の監査範囲だけを見るのではなくて、色々なところに目を向けることもコミュニケーション能力向上に役立つ。例えば、「明日、お時間はあわせますから、事業や業界がどうなっているのか興味があるので、ご説明の機会をいただけますか?」と言えば、事業会社は「自分達のことをより適切に理解してくれるなら」と喜んで話してくれるだろう。事業会社とのコミュニケーションから、学べることもあるのではないだろうか。

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