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となりの法律事務所

パートナー

伊勢田 篤史 いせだ あつし

相続で苦しめられる人を0に-終活弁護士として、相続紛争のない社会を目指す
冒険家タイプ
冒険家タイプ

1983年(43歳)
千葉県出身 ・ 東京都在住
中央大学法科大学院 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

(1)コミュニケーション力

 監査法人では、新人の頃から、自分の親と同世代の経理部門の管理職の方々と一対一で話し、必要な資料や説明をお願いする場面が数多くありました。相手の立場を尊重しながら、確認すべき点を明確に伝える経験を重ねたことが、私のコミュニケーションの基礎になりました。
 監査法人では、共通のビジネスルールや専門用語を前提に話せる企業担当者とのやり取りが中心です。一方、弁護士としては、年齢、職業、経験、価値観が異なる幅広い方々と向き合います。双方の経験を通じて、相手に応じて説明の方法や言葉を変え、本当に伝えたいことを丁寧に聞き取る力を磨くことができました。
 この力は、法律上の権利だけでなく、家族それぞれの感情や関係性が複雑に絡む相続の場面で、特に役立っています。
 私は、依頼者が口にした「希望」だけを受け取り、それに合う法的な方法を機械的に示すのではなく、その希望の背景にある思いや不安まで丁寧に聞くよう心がけています。その上で、その人や家族にとって納得できる選択肢を一緒に考えたいと思っています。

(2)“発想力”・“実行力”

 新しい課題を見つけ、解決方法を考え、それを実際の活動に移す「発想力」と「実行力」も、自分の強みだと考えています。
 人前で話すことが好きで、セミナーや情報発信の内容を考えることにも関心があります。思いつきをアイデアのまま終わらせず、企画し、形にし、まず一歩を踏み出すまでの速さは、これまでの活動を支えてきました。
 実際に、「デジタル終活」や「緊急事業承継」という新しいテーマについて、セミナーや教材を作り、発信を続けた結果、テレビやラジオなどで取り上げられ、書籍の出版にもつながりました。なお、「デジタル終活」の領域においては、デジタル遺品の第一人者である古田雄介氏と「デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた」を出版しています。
 まだ広く知られていない社会課題を見つけ、専門的な内容を分かりやすく伝え、社会に問いかけていく。この力は、これからの活動でも大切にしたいと考えています。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

 心が大きく動いたのは、「デジタル終活」という言葉が、少しずつ社会に知られるようになったと実感したときです。
 私はもともと、「相続で苦しめられる人を0に」というミッションのもと、終活や相続対策に取り組んでいました。その中でデジタル終活という考え方に出会い、このテーマを多くの人に知ってもらいたいと強く思いました。
 スマートフォンやパソコン、インターネット上には、家族が存在を知らない契約、財産、写真、連絡先などが数多く残ります。本人が亡くなった後に初めて整理しようとすると、そもそもスマートフォンやパソコンのログインパスワードが分からず、遺族に大きな負担がかかります。しかし、生前に情報を整理し、必要な人が必要なときにたどり着けるよう準備しておけば、その負担は軽くできます。
 そこで、日本デジタル終活協会を設立し、デジタル終活に特化したエンディングノートやセミナーなどを企画・制作しました。地道に講演と情報発信を続けるうちに、メディアでも取り上げられるようになりました。
 活動を始めた頃は、「デジタル終活とは何ですか」と尋ねられることがほとんどでした。ところが、次第に「知っています」「聞いたことがあります」と言っていただく機会が増えました。自分たちの活動が、言葉と考え方を社会に広げる一助になったと感じた瞬間は、大きな喜びでした。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

 会計監査は、企業が公表する財務情報の信頼性を支え、資本市場を成り立たせる社会的意義の高い仕事です。その価値を理解する一方で、私は次第に、自分の志向との違いも感じるようになりました。
 一つは、より大きな裁量を持ち、自分で課題を見つけて企画し、実行したいという思いです。もちろん、若手の頃に任される範囲が限られるのは、監査の品質を守り、経験を積む上で必要なことです。それでも、私は組織の中で定められた役割を果たすことより、ゼロから新しい活動を作ることに強くひかれていました。
 もう一つは、人や企業が抱える具体的な問題に、より近い距離で関わりたいという思いです。会計監査は、企業全体を数字から捉える仕事です。私はそれよりも、相続や事業承継のように、法律上の問題と人の思いが重なり合う現場で、当事者と直接話しながら解決策を考える仕事に適性を感じるようになりました。これは仕事の優劣ではなく、自分の関心と向き不向きの問題だと思います。
 そのような葛藤を抱えていた時期に、当時の東証一部上場企業の新規監査でインチャージを任されました。四半期レビュー制度や内部統制監査制度が始まったばかりの忙しい時期で、遅い時間まで働く日々が続きました。責任ある仕事に充実感を覚える一方で、「この先、どのような仕事を続けたいのか」と自分に問い続けました。
 その結果、昔からの夢であった弁護士への道に進むことを決めました。
一つの組織や職種の中で能力や適性に悩んだとしても、それだけで自分の可能性全体が決まるわけではありません。仕事内容や環境が変われば、これまで見えなかった強みが生きることもあります。私にとっては、ゼロから企画し、周囲を巻き込みながら実行する力が、それに当たりました。
 もっとも、環境を大きく変えることだけが答えではありません。現在の仕事の中で役割を変える、社外の人と話す、小さな活動を試すといった方法もあります。大切なのは、自分がどのようなときにやりがいを感じるのかを、経験を通じて確かめることだと思います。
 現在は会計士業務から離れていますが、監査法人で身につけた論理的な考え方、数字への感覚、リスクを見つける視点は、弁護士としての活動に欠かせません。キャリアを変えても、それまでの経験が無駄になることはないと実感しています。

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