
宝印刷株式会社
株式会社ディスクロージャー&IR総合研究所 主任研究員
横井 正文
よこい まさふみ
主任研究員としてディスクロージャーに関するセミナー講師・執筆・コンサルティング業務等を手掛ける研究家タイプの会計士
1978年8月28日生まれ(48歳) 三重県出身 千葉県在住
横浜国立大学 経済学部経済システム学科 卒業 2005年合格

01
キャリアサマリー
公認会計士試験第2次試験合格、あずさ監査法人に入所。上場会社の法定監査業務や公会計監査業務、IPO支援業務に従事。
宝印刷株式会社ディスクロージャー研究所に入所。主任研究員として金融商品取引法、ディスクロージャー関連のセミナー講師、書籍・機関誌の執筆、コンサルティング業務に従事。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
横浜国立大学経済学部卒業後、公認会計士試験第二次試験に合格し、あずさ監査法人第3事業部に入所。
日本を代表する企業の法定監査業務に従事し、そのグループ監査を通じ様々な業務を経験。その中でも建設業種主要子会社のインチャージ業務を通じ、建設業界、建設業経営、建設業会計について興味を持つとともに、より深い業務機会を得ることができたことが監査法人時代における貴重な経験となった。IPO支援業務のインチャージ業務を通じ、企業の側に立ったコンサルティングを4年間に渡り経験できたことも現職に繋がる経験であった。
また、公益法人に対する基礎的素養がない中、毎期少ない監査時間の中で公益法人監査のインチャージ業務を3年間に渡り苦労しながら経験できたことは、企業会計のみならず非営利組織の会計の在り方について、基本的な理解を身に付ける経験となったとともに、公認会計士の社会における役割や組織との関わり方について、自分なりに考えるきっかけとなった。
監査法人時代は苦労した経験もあったが、現在までのキャリアから振り返ると監査法人時代に苦労した経験が核となっているのではないかと思っている。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在の仕事は、上場会社のディスクロージャーをサポートする宝印刷グループのシンクタンクである、株式会社ディスクロージャー&IR総合研究所で主任研究員として、ディスクロージャーに関するセミナー講師、執筆、コンサルティング業務等を手掛けている。
三重県の地方都市で司法書士として独立していた父親の姿を身近で見て、自立し、自らの裁量、判断、責任のもと仕事をする姿に憧れを抱き、経済学部と自分の特性を活かす道として公認会計士を志したのがこの道に入るきっかけであった。試験合格後も『独立会計士』というキャリアビジョンを強く抱いていた。しかしながら、監査法人でまず日本を代表する企業の法定監査に従事した経験から、公認会計士の経済社会における使命の中でも特に、大企業や上場企業に対し公認会計士が如何なるバリューを発揮できるか、という点を強く意識するようになった。その想いから、上場会社に対するディスクロージャーを専門領域にしたいと考え、3年前より現職に就いている。
ディスクロージャーの分野の中でも公認会計士として、会計の領域、財務情報を中心に取り扱っているため、監査法人時代の経験、特に、会計処理の判断の際に過去の経緯や事象の全体像から多面的に検討する習慣を身に付けたことや、監査においてあらゆる側面に対し職業的懐疑心を保持する姿勢、そのための素養として、職業的好奇心を身に付けたことが、現職における財産となっているのではないかと思っている。
今後は、現在の専門領域である制度開示のみならず、上場会社を中心に急速な広がりを見せる統合報告書をはじめとした任意開示も専門領域に加え、ディスクロージャー全般を得意分野とする公認会計士として活躍することを目指す。
また、現在でも『独立会計士』への憧れの気持ちに変化はないものの、組織内会計士であっても、プロフェッショナルとして業務への裁量・判断と自立し責任ある行動が常に求められ、自分が求めていた実質的な独立性を持ち、業務に取り組めていると感じている。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
現在従事する、ディスクロージャーの研究員・コンサルタントとして必要とされる適応性は、広大で劇的に変化していくディスクロージャーのフィールドに立ち、フィールド全体を俯瞰し、全方位型ソリューションを目指していくような、チャレンジ精神と勤勉さ、知的好奇心をもった性格が要求されるのではないかと考えている。また、能力としては、特に理解力、情報を選択する能力が重要ではないかと思う。
公認会計士としては人並みではあるが、公認会計士試験勉強を通じ、監査法人時代の監査経験を通じ、勤勉さや職業的好奇心については周りの公認会計士に負けないほどに身に付けたのではないかと思う。数年に及ぶ試験勉強に取り組むため、監査において多面的に検討するため、まず勉強を好きになるよう努めたこと、知識を得ることに喜びを持つように努めたことが自分の現職への適性につながっているのではないかと思っている。
そして今後は、より広い視野を持つために常に情報のアンテナを張り、それを理解し自分のものにし、顧客に提供するためのコミュニケーション力を磨いていこうと考えている。また、自分自身のキャリアパスとして、より優れた研究員・コンサルタントとなるために、コミュニケーション力、特に信頼関係を築くためのコミュニケーション力、伝えたい内容をより上手く伝えるためのコミュニケーション力を磨いていきたいと思っている。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
監査法人時代は上述の通り様々な業務を経験するとともに、監査を通じ、企業の経営方針、経営活動、内部統制、といった企業内部の理解を深める機会として貴重な経験を得た。
一方、3年前からは現在の研究所に所属し、監査法人時代には想像できなかったような広い視野を身に付ける機会を得た時、監査法人時代から幅広い視野・背景の理解に基づく業務提供をモットーと考えてきた自分自身にとって、大変な喜びを得たとともに、自分自身の専門領域とすることについて、覚悟と確信を持つに至った。
具体的には、資本市場やディスクロージャー制度の在り方、制度改変の方向性についての情報をいち早くキャッチアップし、その情報発信をすることが所属機関の使命であるが、そのような役割を担うことができること、また、そのための情報に常にアンテナを張っていることが、自分自身にとっての喜びである。自分にとって新しいビジョンが広がったときに、特に当研究所に所属した当初に今まで見えていなかったものが見えたと実感したときに、感動という意味で心が大きく動いた瞬間を味わった。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
現在の職場では、前述の通り、セミナー講師業や執筆業に取り組んでいるが、前職まではセミナー講師や執筆の経験はほとんど皆無であったため、現職に入所したての3年前は多くの苦労を経験した。
慣れない業務のため、当初は準備の要領をつかめておらず、準備にはとても苦労し、直前は心配から常に徹夜をしていた。自分自身は講師スキルを上達させたい、ものにしたい、という気持ちであったため、辛いという想いはなかったものの、如何にすれば上達するのか、聞き手が満足するのか、ということについては、今ももちろん途上ではあるものの、手掛けた当初はハードルが多く、高く、途方に暮れた想いであったように思う。
また、深く悩んだ、というと少し違うかもしれないが、セミナー講師の先輩が病を患ってしまい、先輩が予定していたセミナー講師の代役を前日の夕方に急遽お願いされた時は、翌日に迫ったセミナーを前に不慣れな自分が如何に対応すべきか、ということに悩んだ。まだセミナー講師を担当して1年もたたない自分が、数時間のセミナーを務めなければならないというものであったため、準備ができる時間も限られている中で、如何にセミナー講師を全うするか、ということにとても悩んだ経験だった。限られた時間の中で自分が最良と考える準備をするとともに、本番では平常心を保つことを意識してセミナーを終えたが、先輩からはとても感謝されお褒めの言葉も頂いたと共に、自分自身としてはなかなか経験できない貴重な、そして自信になる経験となったと思っている。
07
人生の目的と公認会計士という資格
上述の通り、監査法人での経験を経て建設業を得意分野にしたいという想いを抱いていたところ、ちょうど第一子が生まれた時期に分譲マンションを購入することになった。4棟からなる870世帯の大規模マンションであったので、マンションの修繕や日々の管理活動を通じ自分の目指す建設業種のスペシャリストに少しでも近づけるのではないかという想いと、社外活動を通じ公認会計士として少しでも社会の役に立てるのではないかという想いから、3年前の購入時より現在までマンション管理組合の理事長を務めている。
870戸と戸数も多く、日々の業務の傍ら社内外に忙しい日々を送ることになったが、建設業への習熟の機会のみならず、大手デベロッパーや大手不動産会社とのエリアマネジメントを通じた接点も増え、多岐にわたるかけがえのない自己研磨の機会を得ているのではないかと感じている。また、少しでも人の役に立っているのではないかという充実感も得ている。
公認会計士として仕事を通じ、あるいは社外活動を通じ、企業に、クライアントに、ともに活動するメンバーに、そして社会に、適切なアドバイスを初め、よい影響を与え続けることができる存在になる、そのような公認会計士像を目指したいと考えている。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
管理組合の理事長に就任した時と同じく3年前より、公認会計士協会東京会青年部(若手公認会計士特別委員)を、2年前より併せて東京会広報委員を務めている。
青年部は公認会計士試験合格後10年目くらいまでの若手が主体的に活動する組織で、結成以来5年目を迎え、私はその第2期より青年部で活動している。一人ひとりが業界の未来を想い、アイデアを持ち寄り、ともに行動しながら学び、成長し、責任を持ってこの業界の今を生きていく、そのような組織。繁忙期の最中も仕事が終わり帰ってきた深夜から熱い議論がスタートし、多様な価値観をぶつけ合い、刺激を受け、皆が一直線に邁進し急スピードで成長していく、そのような共有ビジョンを持っている。また、広報委員としても、東京CPAニュースの編集や執筆、小中学生向けに会計教育(ハロー!会計)の講師や、公認会計士試験受験生や大学生、高校生へのワークショップを務めている。
現在、本業では執筆やセミナー講師業務を務めるため、またディスクロージャーを専門領域とするため、公認会計士協会活動は自分の本業に少なからず親和性があり、また、活動を通じ素晴らしいメンバーと出会い、刺激を受け、共に歩むことができる。そう思い、本業、公認会計士協会活動をともに手がけ、将来も続けたいと思っている。
公認会計士業界の未来が切り開くよう、業界に対し自分ができる役割を身に付け実行する、そして成長し自分の担う役割を少しずつでも拡大していければ、と思っている。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
公認会計士協会東京会青年部で公認会計士試験受験生あるいは大学生・高校生向けにキャリアワークショップを開催する機会に恵まれているが、その経験を通じ学んだことは、キャリアにモデルはあるが、正解はなく、個人それぞれの個性に応じてキャリアの形は十人十色であるということである。しかしながら、個人それぞれが自身のキャリアに向き合い熟慮することは、その個人にとってのよりよいキャリアを築くために不可欠であることは間違いない。
私が、キャリアワークショップを通じよく紹介するのは、Will 、Can、Must、の3つの軸で自己分析し、将来のキャリアの方向性を決めることであるが、公認会計士向けにさらに一歩踏み込んで、Will 、Can、Mustをさらに2つずつ、合計6つに細分化して考えることはどうだろうか。
Willは“やりたいこと、ありたい姿”であるが、Willをさらに『性格』と『ビジョン』の2つの軸に細分化する。
Canは“能力、技術、資格”であるが、公認会計士領域における『専門能力』と、公認会計士領域に関わらない『スキル』の2軸に細分化する。
Mustは“やるべきこと、役割”であるが、『使命』と『環境』の2軸に細分化する。
私自身も公認会計士としてはまだ13年目で、自分自身としては社会から必要とされる限り現役を続けたいと考えているため、キャリアのスタートを切ったばかりと言えてしまうかもしれないが、自分のなりたい姿を少しでも早く、少しでも大きく実現するために、この手法でキャリアと向き合う機会を設けるようにしている。


