会計士の履歴書
山﨑 頼良

国連世界食糧計画

日本事務所 政府連携担当官

山﨑 頼良

やまさき らいら

監査法人から国連へ。あらゆる自由の達成を目指す

1980年代生まれ 東京都出身 東京都在住

非公開

山﨑 頼良

01

キャリアサマリー

2010

有限責任あずさ監査法人入所

2014

国際連合世界食糧計画(the United Nations World Food Programme以下WFP)ローマ本部財務部門へJPO制度を通じて入社

2017

JPOを終了後 正規職員として採用

2018

内部異動でWFP日本事務所へ

埼玉県で共働きの両親の元、幼少期を過ごす。高校2年の時初めて夏季短期プログラムを通じて海外へ。そこでの経験が楽しく、翌年1年間のアメリカ留学を決意。アメリカ留学を通じて将来は国際的な仕事に就きたいと考え始める。その後大学時代には交換留学制度を通じて台湾へ留学。語学を勉強し話せるようになる楽しさを経験するも、語学だけでは将来的には限界がくると感じていたため、何か専門知識を身に付ける必要性を感じていた。台湾留学中の台湾は経済に活気があり、台湾ビジネスに大変興味を抱いていたこともありビジネス関連の専門性を身に付けたいと考えていた。そんな中たまたま台湾のビジネスに関する本を書店で見つけ、日本の公認会計士であった著者に連絡をとる。その行動がきっかけでその方にお会いし、相談し、公認会計士を目指すことに。

難関国家資格に自分が受かるというイメージをそれまで持つことができなかったが、この出会いをきっかけに挑戦する勇気をもらう。

試験合格年次の監査法人就職はとても厳しい年だったが、語学による差別化などで有限責任あずさ監査法人に内定をもらい入所。修了考査後、今後のキャリアを考えていた時に、学生時代の夢、国際連合で働いてみたいと思ったことを思い出し、その目標を実現することを決意。日本に残って、より会計士らしいデューデリジェンスなどのキャリアも考えたが、高校時代の憧れに挑戦せずに後悔はしたくないと思い外務省JPO制度(国際機関勤務希望の若手邦人を派遣する制度)で国連WFPローマ本部財務部門へ。2014年から2018年夏までローマ本部で就業していたが、官民連携に携われるということをきっかけに同組織日本事務所に2018年8月より赴任。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

現在のキャリアを選択したのはまず二つの留学に原点がある。
一つ目は国際的な仕事を目指すという大枠のフレームワークを与えてくれた高校でのアメリカ留学。二つ目はビジネスの社会変革の可能性と会計という専門分野を志すきっかけを与えてくれた、台湾留学中の台湾経済とロールモデルとの出会い。
現在は国際機関という市場原理とは全く対極のところにいるものの、開発を進めたり、温暖化などの地球規模の課題を解決するためには、良い政策と市場原理をうまく利用することが必要だと感じているし、実際に官と民のパートナーシップが望まれている。そういった意味で多くのクライアントに関わりできるだけ多くのビジネスモデルに触れた監査法人での経験は非常に貴重であった。

山﨑 頼良さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

国連というと、一般的にはGDP比で拠出金が決められているというイメージをお持ちかと思うが、国連の中でも、資金調達や活動内容は様々で、私が勤務する国連WFPはボランタリーベースファンディングといい、最初から拠出額が決まっているわけではなく、全てのプロジェクトにおいてドナーに対して資金拠出の重要性をアピールしていく必要がある。
国連には研究機関など様々な性格の機関があるが、WFPは民間で言うところの事業会社で、オペレーション部門、企画部門、バックオフィス、営業部門などがある機関。
現在私が担当しているのは、日本政府からの資金拠出を増やすために、主に外務省に対して営業活動を行う業務だ。
2014年に現在の組織に入った際は、財務部門のプロジェクト財務レポート作成部署に入ったが、その後内部の異動のタイミングで手を挙げ、日本事務所の現在のポジションに2018年の夏から就いている。

単に人道危機がこの国で存在するからお金を拠出してもらうということではなく、より持続的発展が期待されるプログラムや民間の技術や製品を利用した座組みにより、一度きりの拠出だけでなく、可能な場合は市場原理に基づいて発展が見込まれる民間連携プログラムを設計し、日本政府に対してアピールを行なっている。完全に非営利組織や政府組織とのみ仕事するわけではなく、一般企業の持つ技術を取り込む試みに多く関わることができており、企業と話をする上においては監査法人での経験や公認会計士としての知識が役に立っていると感じている。

日本においては、国連というキャリアパス自体の例が非常に少なく、それが公認会計士となると更に少なくなるのでモデルとなるような所謂キャリアパスが明確に示されているわけではないが、逆にいうと自らデザインをしていくものだと考えている。ことに公認会計士という職種はこの会計士の履歴書に見られるように資格と強みを活かして、あらゆるキャリアを歩んでいる人たちが多くいるので今後も自分のワクワクするキャリアを進んでいきたいと思っている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

現在の仕事と関連する自分の強みは、多様な人と円滑にコミュニケーションを取れることだと思う。英語や中国語を話せることで多くの人と直にコミュニケーションできることも強みだが、性格的にも様々なバックグラウンドを持つ人々と摩擦を起こさずコミュニケーションをとることができると感じる。また、海外での留学や就業で多様な文化に触れたことで様々な教養(どちらかというと蘊蓄かもしれない)が身に付き様々な人々と円滑なコミュニケーションを取れている。監査法人時代に様々なクライアントを担当したことも少なからずこの事に貢献しているのではないだろうか。

海外の職場というと日本では、単刀直入にモノを言うようなアメリカ型のコミュニケーションが想起されがちだが、国際機関においては、アメリカ型のコミュニケーションだけでなく、様々なスタイルがあり、いかに相手に共感するか、ユーモアを交えるかなど、よりユニーバサルな価値観が重要視されている。こういった経験も更に自分の強みとなっていくと感じている。

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05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

心が大きく動いた瞬間は自分の業務がクライアントに感謝されたこと。
監査法人時代、証憑突合など語弊を恐れずにいえばディフェンシブな業務が続くと自分の仕事に意味を見出せないということがあったが、1、2年目の新人がやるような証憑突合などの業務でも丁寧な作業を続けたことで、大きな誤謬を見つけ、クライアントから感謝され、その後の業務改善につながるということがあった。
また、年次が上がった時に分析的手続などよりオフェンシブな監査手続でより重要となる科目を担当した際も、期末監査の最終詰めの段階でマテリアルになり得る誤謬を検出した。最終的な落としどころを見つけるまでに厳しいやりとりが行われたが、経営者報告の際に取締役の一人に今回の指摘・修正を感謝されたということをパートナーから聞かされた時に大きく心が動いた。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士として悩んだというよりは、国際機関という、非営利機関に行ったことで、今まで営利企業を監査していたことと根本的な考え方が違ったことや、異動により職種が変わったことでどのように貢献できるかということについて悩むこともあるが、会計士や自分としての貢献できることは常にどこかにあるので、そこを意識して業務を行うように努めている。
年齢や経験とともに、より自分固有の経験や自分という人間に関して他人との差異を意識できるようになってきているので、それは仕事面だけでなく、人生の中の経験を非常に豊かなものにしてくれると感じている。

07

人生の目的と公認会計士という資格

そもそも公認会計士を目指したのは「自由」に生きてみたいと、多感な高校時代に留学を通じて思ったことが根底にある。英語を習得することで日本語だけに囚われず、世界の人々と話ができる心地よさに気付いたこと、アメリカ人の人生観に現れている「自由意志」に影響を受けて、生まれや環境、場所や国に縛られず、物理的に自由な生き方をしてみたい、そして切り詰めた生活ではなく経済的な自由も確保したいという思いが学生時代の自分にはあった。あれこれ悩んだ挙句公認会計士を選んだのは、勿論ビジネスや数値に興味があるからだが、世界のどこでもある程度共通のフレームワークのもと、上記のあらゆる自由を達成できる可能性を持った資格であるという理由からだ。
また、その実効性があるかどうかはさておいて、保険としての機能もあるため、より自由な選択をすることもまた公認会計士の資格のおかげと言えよう。

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08

これから成し遂げたい事、将来の夢

7で掲げた自由というものをまだ達成していないのでそれをいつか達成したいと思っている。
具体的にはまだ決まっていないが、おそらく更なる自由を手に入れるという意味では文化人にでもならないといけないのではないか。(笑)

すこし真面目かつ具体的に書くと、将来の夢は何かしらの形で教育に関わってみたいと思っている。そもそも学生時代の自分に公認会計士を目指す勇気を与えてくれたのは学校以外の大人であったわけで、その方の存在のおかげで人生がポジティブに変わったからだ。グローバリゼーションやテクノロジーがいくら進んだところで本当に触れ合うことができる人々というのはそう変わらないはずで、次世代にインスピレーションを少しでも与えられるようなことに携わってみたいと思う。

山﨑 頼良さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

既にみなさんの場合には、会計士として就業もしくは公認会計士を目指すということに関しては明確になっているかと思うが、まずは、長期的に何を目指したいか、数十年後に自分がどのようになっていたいかを実際に書き出して想像してみることが必要かと思う。学生の頃、その後のキャリアの選択に迷った時に実際に100歳くらいまでザックリと書き出したことがあったが、それによって具体的なイメージを持って公認会計士試験に臨むことができた。より具体的なイメージを持つことで、自分のキャラクターにそのキャリアや人生が合っているのかということをある程度判断できることができる。ここで、様々な細かい条件の洗い出しや分析も有用かと思うが、最終的には自分の気持ちにワクワクがあるかどうかということが重要だと思う。
この長期的なイメージを元に10年後や5年後に何をしているべきかを逆算すると次のステップがより具体的に決められるはずだ。
両親の世代よりも我々が生きる社会や世界はより流動的で、仕事やキャリアの形も定型ではなくなってきている。「自分が何をしたいか」の明確化が何れにしても鍵で、長期のイメージと中期と短期のマイルストーンとアクションプランが達成への近道だと思う。
自分への戒めも込めて、これを定期的に行って、より幸せで豊かな人生を送れれば最高だと思う。