
キャリアフィロソフィー株式会社 他
代表取締役社長 他
山岸 洋一
やまぎし よういち
天職といえるくらい好きになったIPOで、資金調達、知名度向上、人材確保といったクライアントの課題解決を実現
1964年9月21日生まれ(62歳) 東京都出身 東京都在住
早稲田大学教育学部 卒業 2008年合格

01
キャリアサマリー
早稲田大学教育学部卒業 野村證券株式会社入社、府中支店(リテール営業)
大阪公開引受部(株式新規公開(IPO)業務)
大阪事業開発部(M&Aアドバイザリー業務)
野村企業情報株式会社出向(M&Aアドバイザリー業務)
企業情報部(M&Aアドバイザリー業務)
公認会計士試験合格
企業情報部マネージングディレクター
不動産鑑定士試験合格
みずほ証券株式会社入社、公開引受部長
キャリアフィロソフィー株式会社設立、代表取締役社長(現任) 株式会社AGSコンサルティング顧問(現任) 株式会社ディー・エル・イー社外取締役(現任)
ニューラルポケット株式会社社外取締役(現任) ラオックス株式会社社外監査役(現任)
最初に公認会計士試験を受験したのは1995年です。野村時代に、先輩社員が公認会計士試験に挑戦していたこと、株式新規公開(IPO)業務に従事する中で多くの公認会計士に接する機会をもったこと、が受験のきっかけでした。1995年は短答式試験が初めて行われた年でしたが、初めての受験にもかかわらず運よく短答式試験に合格できました。ところが、そこからが大変で、論文式試験に全く歯が立たず、何度受けても不合格(当時は論文に落ちると、短答も毎回受ける必要があり、その短答も時々落ちていました)。もう、何度受けたか恥ずかしくて言えないくらいしつこく受けましたが落ちました。野村を辞めて受験することも少しだけ考えましたが、M&Aの仕事が面白くてとても踏み切れず、受験は自然消滅的にやめていました。
その後、受験制度が変わり、合格者数も増えそうだというので、もう1度やってみようと2007年に再度挑戦し、短答に合格、論文は翌2008年に合格し、2011年に公認会計士登録をいたしました。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人に勤めた経験はありません。野村證券でリテール営業を3年間、公開引受業務を5年間経験した後は、ずっと同じ仕事(M&Aのアドバイザリー業務に18年間従事)をしておりましたので、居場所はこれからもここ(野村證券の企業情報部)なのかな、という感じでおりました。
ただ、野村時代の26年間の中でも、リテール営業から大阪公開引受部へ異動となった時のカルチャーショックが大きかったのを今でもよく覚えています。一番ショックだったのは、隣の席の年次が1つ下の後輩(1990年入社)に、1日に何度もお客様から電話がかかってきて、その都度、後輩がお客様に適確にアドバイスしていたことでした。そのアドバイスは、会計、商法(当時)、証取法(当時)、取引所規則からお客様の会社の組織や役員人事の話まで多岐にわたる内容で、また、とても自信たっぷりに話をするものですから、「本当に入社して3年目?」「この部の仕事ついていけないかも」と思い、不安になりました。その後、インストラクターや上司、同じ課の先輩社員に恵まれたこともあり、「IPOが天職」といえるくらいに好きになりました。特に、お客様から「ありがとう」と言われることが多かったことがとても嬉しく、M&A業務に移った後もその時の感覚をずっと覚えており、縁があって2015年にみずほ証券へ移りIPO業務に従事することになったのも、この感覚を持ち続けていたからこそでした。

03
最近の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2015年7月から2019年9月までの4年3カ月間、みずほ証券の公開引受部長として、IPOビジネスに携わっておりました。みずほ証券の公開引受部には大きく3つの機能があります。1つ目はクライアントとのIPOコンサルティング契約に基づいてコンサルティング・サービスを提供する機能、2つ目はみずほ証券及びみずほ銀行のカバレッジバンカーによるIPO案件のオリジネーションをサポートする機能、3つ目はコンプライアンスを中心とした業務管理を担う機能です。IPO準備を始める企業の数は増加しており、みずほ証券の契約残高も順調に増加しているため、これらの3つの機能をバランスよく発揮させるために必要な人材の確保・育成等を行いま行っております。
人材の確保とも関係しますが、みずほ証券の公開引受部の特徴はダイバーシティです。様々なバックグラウンドをもった人材が集まっています。少しご紹介しますと、中心となるのは、①旧みずほ証券(みずほフィナンシャルグループ発足以前の旧3行の傘下の3証券が合併してできた会社)出身者、②新光証券出身者、③みずほインベスターズ証券出身者です。3社ともリーマン・ショック時にもIPOビジネスの経験者をしっかり繋ぎとめており、過去の経験・ノウハウが蓄積されています。その他に、現みずほ証券(2009年に旧みずほ証券と新光証券が合併し、2013年にみずほインベスターズ証券と合併)になってからのプロパー社員、みずほ銀行からの出向者、同業他社からの転職者、監査法人からの転職者、監査法人からの受入出向者、といった具合です。会社に対するロイヤリティというよりは公開引受業務という仕事に対するロイヤリティで繋がっている集団のため、他社から転職してきても疎外感等はなく、その意味で外部の人材を活用しやすい環境にあると思っています。
公開引受部の仕事のうち、コンサルティング業務は、特に息の長い仕事です。クライアントとコンサルティング契約を締結してからIPO実現までに2~3年間を要するのが通常です。配属後はまずサブ担当として、十分な知識と経験を身に着けた後、徐々に主担当を任せられるようになります。その後は、チームリーダーや部長職といったマネジメント職を目指す、あくまでもプレイヤーとしてコンサルティング業務に関する専門性を追求する、コンサルティングの経験を活かして案件のオリジネーションをサポートするIPO推進チームや業務管理チームの仕事を経験する(当然その逆もあります)、その他のIPO関連部署を経験する等、いくつものの選択肢があります。
その後、人材紹介ビジネスを開始するために、2019年9月にみずほ証券を退職いたしました。現在、キャリアフィロソフィーの代表取締役社長を務める一方で、AGSコンサルティングの顧問(M&A事業、IPO事業をサポート)と、上場会社3社(ディー・エル・イー、ニューラルポケット、ラオックス)の社外役員を兼務しています。野村時代のM&Aアドバイザリービジネスで得た知見、野村及びみずほのIPOビジネスで得た知見、人脈、マネジメントの経験は、人材紹介ビジネス、顧問業、社外取締役、社外監査役のいずれの業務にも活かされていますが、加えて、現在、人材紹介業だけでなく、多くの会社に関与していることの相乗効果を実感しています(キャリアフィロソフィーの代表取締役社長として、求人情報収集のためにオンラインMTGを行った企業の社長やCFOと、同じMTGであわせてベンチャーM&Aのニーズについてディスカッションできる等)。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
嘘をつかないこと、強い当事者意識、逃げないこと、背伸びできること、あきらめが悪いこと、が強みだと思っています。嘘をつかないのは記憶力が悪いからでもあるのですが、経験上も、多少「馬鹿」と思われても正直でいることが最強の戦略と心得ています。また、私は基本的に出しゃばりで案件等をぐいぐい引っ張ってしまうことが多く、逃げたくとも逃げようがないことが多いのですが、「嘘をつかないこと」や「ミスしたら結果を欲張らないこと」も、逃げずにいることに一役買っている気がします。背伸びできること、については、社会人になって最初に従事したリテール営業の経験、特に最初に仕えた府中支店長の影響がとても大きく、今でも、「簡単に達成できる目標を掲げることはかっこ悪い」、「一見無理と見えるような高い目標を掲げてからどうすれば達成できるかを考えたい」と考えています。背伸びした目標は、達成に時間がかかることもありますが、あきらめが悪く簡単にはやめませんから、続けていればどこかで達成できるだろうと楽観視することが多いです。あとは、強みというほどではない「コツ」のようなものとして、①1つを100%仕上げてからそれを横展開する、②会議でホワイトボードを多用する、③計数で把握する、ということは心がけ、周りの人々にも推奨しています。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
府中支店で最初に約定できたとき(ある銀行の新発CB100万円でした)、大阪公開引受部時代に担当していたお客様からの質問にはじめて(前述の後輩のように)答えることができたとき、上場時にお客様から「ありがとう」と言われたとき、企業情報部時代に某ホテル会社の売却案件のビューティー・コンテストとその後の10回のフォロー提案を経てアドバイザーの地位を獲得できたとき等、たくさんの心が動いた瞬間がありましたが、2016年にみずほ証券がIPOリーグテーブル(引受実績のランキング)において、件数ベースで1位を獲得したときの感慨はひとしおでした。
みずほフィナンシャルグループは、メガバンクグループの中でも早くからIPOに力を入れておりました。前述のとおりリーマン・ショック後にも公開引受部の人材を温存できたことに加え、みずほ証券の素晴らしく優秀なカバレッジ部隊の存在、みずほ銀行との連携が功を奏したこと、人材獲得競争が激しい中公開引受部員の増員がスムーズに実現できたこと等により、みずほ証券は、暦年ベースで2016年、2018年の2度にわたり、IPOリーグテーブルにおいて、件数ベースで1位を獲得しました。私がみずほ証券にジョインしたのは2015年7月ですので、大変よい時期に参加することができ、この1位獲得に微力ながら関与できたことは大きな喜びでした。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだことはありません。あえて言えば、私には監査業務の経験がありませんが、これは受験を志した時期や合格したときの環境等から、単に縁がなかったというだけの話で、「修了試験の監査論は実務経験がないと不利だ」と感じたことはありますが(笑)、監査業務の経験がないことについて深く悩んだことはありません。
「公認会計士のキャリアとしてそれで十分と言えるのか」とのご意見もあるかもしれませんが、企業を理解する手段の1つとして、「会計」があり、それを十分に活用できる強みをもつに至ったことは私にとって大きな成果であり、証券会社の業務を行いながら公認会計士試験に挑戦して本当によかったと思っています。
ただし、昨今、IPO業界では、監査法人における人手不足が懸念されている状況です。公認会計士の活躍の場は、監査に限定されておらず、投資銀行でIPOやM&Aのアドバイザリー業務に従事したり、経理部員等の企業内会計士となったり、スタートアップのCFOや上場企業の社外役員となっている会計士が増えていますが、公認会計士の基本はやはり監査業務だと思いますので、私と違って監査業務を行うことができる環境にある会計士の方々には、監査業務にじっくりと取り組んでほしいという気持ちをもっています。
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人生の目的と公認会計士という資格
企業の目的も、人生の目的も、「誰かの役に立つこと」と考えるのが自然であり、私自身の人生の目的も、「常に誰かの役に立っていること」だと考えています。
私は長年にわたり、証券会社でリテール営業、IPO、M&Aの仕事をしてきましたので、「クライアントにアドバイスすることでクライアントの役に立ってきた」わけですが、これらの仕事を行う上では、会計や計数を通じて企業を理解するという点で、公認会計士の資格は大変役に立っておりました。また、現在は、人材ビジネスで求職者と接する際や求人企業の事業を理解する際、顧問先のメンバーの方々と接する際、社外取締役や社外監査役として企業の状況を調査したり取締役会で意見を述べる際などに、大きな武器として活用しております。今後も、この強みを維持し、常に誰かの役に立っていられるよう努めていきたいと思っています。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
様々な選択肢を検討したうえで、大手企業を離れ、独立しましたが、仕事量を調整してプライベートの時間を大幅に増やすなど、心地よく毎日を過ごせています。限られた時間の中からビジネスに配分された時間は、これからも、私のもつ知見を誰かの役にたつよう、活かしていきたいと考えています。
また、現在の仕事は、中堅企業・ベンチャー企業をサポートするビジネスが多いのですが、これに限らず、時間の許す限り、これまでやったことがない分野や面白そうな分野へのチャレンジもしていきたいと考えています。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
まず、「会計士受験生へのアドバイス」ですが、前述の、「1つを100%仕上げてからそれを横展開する」、というのは試験にも使えますので是非やってみてください。あとは、特に企業等で働きながら受験している方々について、ずっと続ければいつかは受かる試験だと思いますが、早く受かりたかったら合格者に頻繁に相談することです。自分に合う勉強の仕方について仮説を立てそれについての意見を合格者(できれば短期で合格した人)に聞くのがよいと思います。また、タイムマネジメントを徹底する必要があります。すべて試験日から逆算して計画し、それを紙に書き、実績も全て記録しないといけません。すべて、ノウハウ本等に書かれていることばかりだと思いますが、本当ですので、やってみてください。
次に、「キャリアを模索する会計士へのアドバイス」ですが、上述の会計士受験と同様に「人生やキャリアのゴールから逆算して計画すべし」という考え方もあると思いますが、人生やキャリアには、会計士受験と違い、出会い等を含めて予見できない将来事象が多いので、その時々で将来像やゴールを描くのもよいとは思いますが、環境の変化に応じて柔軟に変えていく必要があると思います。また、そもそも将来像やゴールを描くことに時間をかけるよりも、「目の前にあるものに全力で取り組む」ほうが重要であるようにも思います。おのずと道は拓かれると思います。


