会計士の履歴書
山岸 朝典

池森ベンチャーサポート合同会社

事業統括責任者

山岸 朝典

やまぎし とものり

仕事をする上で大切なのは“信頼感の醸成力をいかに磨くか”

1976年8月29日生まれ(50歳) 東京都出身 千葉県在住

中央大学 商学部商業貿易学科 卒業

山岸 朝典

01

キャリアサマリー

2000

大原簿記学校 公認会計士講座講師(経営学、管理会計を担当。うち2年は非常勤)

2004

新日本監査法人(現:新日本有限責任監査法人)に入所

2014

株式会社ファンケル 入社 経営企画担当部長

2018

dely株式会社 入社 IPO準備室 (現職)池森ベンチャーサポート合同会社 事業統括責任者として創業参画

これまでのキャリアを一言で総括すれば、幅広い立場から多くの会社と関わることができたなと思っています。具体的には、会計士受験の講師→監査法人→上場会社(経営企画)→ベンチャー(IPO準備)→ファンド投資家という感じで、本当にここまで経験した人は少ないのではないかと自分でも笑ってしまいます。

そしてこのようなキャリアパスを作れたのも受験を支えてくれた両親、我が儘な自分の転職に付き合ってくれた家族、そして何よりもそうしたキャリアを与えてくれた知人や会社の諸先輩の方々のおかげだと感謝しています。

私のキャリアは大原簿記学校の講師という立場からスタートしました。当時は合格したら監査法人に就職するというのが一般的でしたが、私はあえて講師の道を選びました。理由は、人前でしゃべるという経験はあまりできないこと、受験のためではないより深いところの知識を学びたかったことの2つです。監査法人での実務は遅れるとしても1年あれば追いつけるかなという漠然とした感覚もありました。経営学と管理会計を担当し、非常勤講師の期間も含めて約4年間講師をさせていただきました(つたない授業に出席いただいた方この場をお借りして御礼申し上げます)。

講師という仕事にはやりがいは感じていましたが、自分の成長曲線が鈍ってきたのを感じたため、新日本監査法人に転職しました。監査法人では法定監査からJ-SOXコンサル、IPO支援など一通りの経験をさせていただきました。語学留学や金融機関への2年ほどの出向も経験できました。今でも監査法人に育てていただいたと感謝しています。

私のキャリアを振り返ると、監査法人自体の金融機関への出向は大きな転機になったと思います。「会計や税務だけではないより広範な知識がないと成長が鈍化する」と危機感をもったのがこの時でした。

そこで、出向から戻って2年後、事業会社に転職し、経営企画部で色々な経験をさせていただきました。中にはゴルフトーナメントの運営という会計士とは全く関係のないものもありましたが、これはこれで面白く、チームマネジメントというか、仲間と1つのものを作り上げるという面白さがありました。さらにはIPOも経験したいと思いベンチャーにも転職しました。

そして今は、ベンチャー支援の会社で事業統括責任者として勤務しています。この会社はまだ設立してまだ3ヶ月の会社で、従業員も2名のヨチヨチ歩き状態です(笑)。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

新日本監査法人には、大原講師時代に非常勤として勤務したご縁もあり入所させていただきました。入所以前に監査の現場には出ていたので1年目から一人で出張に行かされたり、子会社1社分の監査を一人で任されたりしていました(品質管理的にはどうだったんでしょうね笑)。

監査法人時代は、先輩や同僚にも恵まれ本当に楽しかったです。仕事は今では考えられないほど長時間でしたが、仕事終わりの夜中の3時から焼肉を食べに行ったりと、とても仲のよい最高のチームでした。
業務内容としては、法定監査、J-SOXコンサル、IPO支援と一通りの業務は経験させていただきました。クライアントはミドル規模の会社が多く、消費財から耐久財、製造系から金融系やファンドまでと幅広かったです。数字だけではなくて色々なビジネスやそれぞれの業界動向やSWOTを自分なりに考えたり、それに合わせて将来を見据えた会計処理や方針をクライアントと一緒に考えるのが楽しかったですし、監査人としての醍醐味を味わえたと思います。

特に、自分のキャリアを振り返る中で貴重だったのが、日本政策投資銀行(DBJ)に第一号として出向させていただいたことです。日本を代表するDBJの審査部で案件審査に関与しましたが、審査部の方々の地頭の良さにふれ、会計・税務だけに留まらない幅広い知見を身に着けないとまずいと思い、転職を考えるきっかけになったのもこの時の経験でした。

山岸 朝典さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

今は以前お世話になったファンケルの創業者であり、弊社代表でもある池森から誘われて起業家をサポートしていく会社を設立、事業統括責任者として仕事をしています。ファンドマネージャーに近いですが、LP出資はないのでより社会的インパクトやESGなどに拘った会社やプロジェクトを支援していきたいと思っています。

会社自体は2018年11月に設立したばかりでまだまだ決まっていないことばかりですが、“若手経営者を支援してきたい”という弊社代表の思いをいかにサステイナブルな仕組みとして落とし込んでいくか、これが私に課せられた命題の1つだと思っています(メンバーがまだ2名しかいないので、チームメイキングも重要なミッションの1つですね笑)。

あとは生涯勉強だなと思っています。今取り組んでいるベンチャー支援もそうですが、色々な経験を重ねる中でもっとナレッジを磨いていかないといけないと思っています。 特にこれまでのキャリアでは経営の守りの側面をやってきましたが、今後は攻めのところも深く関与できるようになりたいと思っています。投資家としてのキャリアは積み始めたばかりですが、これまでの経験やネットワークを生かしつつ、スピード感をもって成長していきたいです。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自分の強みといえるかどうかは別にして、仕事をする上で大切なのは「信頼感の醸成力をいかに磨くか」、これに尽きると思っています。そのためには、コミュニケーション能力も必要ですし、日頃から自分を研鑽する姿勢や相手へのリスペクトも重要だと思っています。

実は、監査法人に入った時も、事業会社やベンチャーに転職した時も、そして今の仕事も、全て知人に紹介されたり、その会社の人に誘っていただいたりしています。特に秀でたところがあるわけでもない私を「うちに来てみないか」と誘っていただけるのは本当にありがたいことだと思っています(信頼関係を作るのにはそれなりの時間がありましたが)。

特に、今の仕事は本当に運命の巡り合わせというか、奇跡の連続というか、自分でも予想していなかったことでした(詳細は割愛しますが、人生でこんなことあるんだという驚きでした)。“一期一会”とはよくいいますが、日頃の行動や言動がいざという時に力を発揮するのだなと改めて体感した経験でした。

山岸 朝典さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

仕事をしている中で、うれしいのは(たぶんこれは多くの人と共通していると思いますが)、やはり人から「ありがとう」と感謝される瞬間ですね。この瞬間があるから辛くてもやっていけるのだと思います。でも感謝された時のうれしさというのは、人から言われるだけではなく、自分の中での納得感がないと感じられないものだと思います。自分がやり切った、最大限のパフォーマンスができたと思い、それに対して感謝されるからこそ充実感を得られるのだと思うので、「いつも最高のパフォーマンスを発揮できているか」を自分に問いかけるようにしています。

今では笑い話ですが、とあるクライアントに初めて訪問したとき、担当の方と揉めたことがありました。初対面の印象はお互いに最悪でしたが、その後何度か“ものまねバー”に連れていってもらうまでに仲良くしていただけるようになりました。
また、後輩などから「クライアントの方から山岸さんは今何されているのですか?とよく聞かれるんですよね」といわれます。クライアントの方の印象に残っていてくれているのだと思うと本当にありがたく思いますし、当時の苦労とか全部吹っ飛んでしまいますね(ただ単に心配されているだけかもしれませんがww)。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

強いていうのであれば、ライフワークバランスというか、ストレスとの向き合い方ですかね。実は一度だけ“円形脱毛症”になったことがあります。30歳前半だったと思うのですが、当時担当させてもらっているクライアント数が結構あり、ほぼ毎月決算している感じでした。徹夜や深夜残業が続いたせいもあり、夏に500円位の大きさのハゲができました。それまでストレスとは無縁だと自分では思っていたのですが、初めて体が悲鳴をあげていることを実感した瞬間でした。色々と考えさせられましたし、監査法人を辞めようとも思いました。

でも信頼できるパートナーの方に救われました。妻にも感謝しています。1ヶ月の自宅療養をもらい、行動心理学?の講座を受けたり、自分と向き合う時間をいただけたことが大変よかったと思っています。
会計士は真面目な方が多いのでストレスを溜め込む人も多いと思いますが、どういう心理状態になった時にストレスを感じているか、またそれをどうやって紛らわすのか、そのコツさえ身に着けることができればうまくストレスと付き合っていけると思います。ストレスを感じていない人なんていないはずで、ストレスと無縁に思われる人も、ストレス発散の方法を自然と身につけているだけなのだと思います。
実は私もその時にゴルフを始めました。それほど上達していませんが、それでもたまにコースに出てラウンドするとリフレッシュできています。

07

人生の目的と公認会計士という資格

“死ぬときに納得して死にたい”ということですかね。だからこそ色々なことに挑戦していきたいと思っていますし、そのためのチャンスに巡り合えるように日々努力していくこと、これが私の人生の指針ですね。
そして私にとって公認会計士という資格はある意味“保険”のようなものです。何か新しいことにチャレンジしようと思えば当然リスクが伴います。特に家族ができると守るべきものがあり我慢しないといけない局面も自然と増えてきます。でも資格があれば何とかなると思えますし、持っていない時よりももっと大きなリスクを取りにいける、つまり、より大きなチャレンジができると思います。人それぞれリスクに対する考え方も許容度も違うと思いますが、いかにうまく活用していくかだと思います。“保険”といいましたが、そういう意味では“金融商品”と同じなのかなと思います。どういう金融商品に投資するかは人それぞれ違うように、公認会計士という資格をどう使っていくかは人それぞれなのかなと。

山岸 朝典さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

まずは今取り組んでいる事業を軌道に乗せること、会社が持続できるような仕組みをしっかりと構築したいと思っています。そのためには仲間を増やしチームで戦える体制を構築していかなければと思っています。

もしチャンスがあれば教育関連の事業をやってみたいと思っています。一人の親として子供達をみているとやはり私が彼らに残せるのは教育だけだろうと感じます。将来を担う子供達や若者によりよい社会を残す、希望にあふれた未来を残す、その時に最も重要なのはやはり教育だと思っています。特にリベラルアーツだったり、チャレンジする気持ちだったり、そういう一人一人のパーソナリティーが尊重される社会の構築に少しでも役に立てればと思っています。そういう点ではSDGsとかESGとかも学んでいかないといけないと思っています。

そして最後はゆっくりと余生を過ごしたいですね笑(そうなれるように頑張ります!!)

山岸 朝典さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

キャリアを模索する会計士へ

今、ご自身のキャリアに対して悩んでいる方がいれば、一度ご自身のこれまでのキャリアを棚卸しされてはいかがでしょう。自分の武器は何なのか、何を学んできたのか、今どこまでできるのか(何が足りないのか)、そして将来何を目指されたいのか。これは私の反省点でもあります。とにかくチャレンジしてきたつもりではいますが、時々「その場から逃げたかっただけなのでは」と思うこともあります。以前の会社の尊敬する上司から「一度逃げると逃げ癖がつくよ」と言われたことがあります。やりたいことがあるならチャレンジすべきです。今いる場所でそれが難しいのであれば外にそのチャンスを求めるという選択肢は確かにあります。ただ、本当に自分は今いる場所でやるべきことをやり切ったのか、今一度冷静に考えられてもいいのかな、自分と今一度向き合ってみてはいかがかなと思います。

会計士受験生の皆様へ

私も会計士受験には苦労しましたね。とにかく細かいことが嫌い(要は簿記が嫌い)なのと、それまで受験をしたことがなかったので受験を始めたころは勉強の仕方が分からず、やる気にならないという有様でした。

ですので、自分の反省と大原で講師をして数多くの受験生を見てきた経験から短期合格のコツを言わせてもらうとすれば、短期で合格される方はメリハリがしっかりしていました(要は自習室でダラダラ勉強するタイプは少なかったです)。あと1つは早く自分なりの勉強のペースをつかむことだと思います。ぜひ頑張ってください。