会計士の履歴書
山田 雄一郎

株式会社トリプルアイズ

代表取締役

山田 雄一郎

やまだ ゆういちろう

相手の環境に合わせながらも要所で自分を出していく会計士

1982年6月11日生まれ(44歳) 北海道出身 東京都在住

早稲田大学商学部

山田 雄一郎

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キャリアサマリー

在学時の公認会計士試験合格を経て、2005年12月EY新日本有限責任監査法人入社。2011年3月監査国際部より異動し、成長戦略室等にて官民連携の経営改革に係るコンサルティングを9年間実施、多数のプロジェクトマネージャーを歴任。2020年11月、株式会社トリプルアイズ取締役CFO就任。2021年3月、同社代表取締役就任(現任)。2022年5月グロース市場上場。2023年9月株式会社ゼロフィールドがグループイン。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

新日本監査法人(現:EY新日本有限責任監査法人)に入所し、国際部で 5年間監査をしました。会計士試験が終わった後、合格発表までの2ヶ月に仲間とタイとカンボジアに行っていたんです。言葉も文化も全く違う世界で様々な気づきがあって、国際部に入りたいなと思うようになりました。監査では大小様々な規模のクライアントを経験し、「重要性の原則」など今でも役に立つ学びがたくさんありました。特に私が入所2年目、ちょうど中央青山監査法人が潰れてしまって新日本と合併する前に、大規模クライアントが移ってきたんです。この時代はほぼ何も引き継ぎがない状態で、巨大な会社の初年度監査をした時間はすごく濃密で、「0から作る」という貴重な経験を積むことができました。またリファラール業務のインチャージを若くして経験させてもらったのはクラインアントと向き合う貴重な経験でした。
その後9年間は、パブリックセクター向けのコンサルティング業務というかなり変わった仕事をしていました。監査法人を辞めようかなと思っていた時に、バングラデシュにマイクロファイナンスのスタディツアーというものに一人で参加し、その縁でEYの公共セクターの方に出会い、それからコンサルの道に進みました。その後パブリックアフェアーズというグループ会社に出向し、そこは会計士がマジョリティでない数十人の独立ベンチャーのようなチームでした。省庁、自治体や大手インフラ企業がお客さんのアドバイザリー業務でしたが、その中で大きな仕事の1つが、空港を民営化する仕事でした。官から民へのM&Aのようなものですね。入札を受ける側の公共側のアドバイザーとして、より良い民間企業に事業運営してもらうためのルールの設計や提案書のレビューを行ったり、監査法人の中でする仕事ではイレギュラーな仕事で刺激的でした。
そこからトリプルアイズに入社したのは、監査法人入所同期だった方との家族旅行中に、トリプルアイズの創業者である前社長とたまたま出会ったのがきっかけでした。デジタル庁やマイナンバーなど、国はようやく動き出しましたけど、積み上げてきた業界構造と紙社会の行政に対して「これはまずい」という思いがずっとあって。かたや世界では、 例えば空港分野でも家を出るところから旅行先のホテルに着くまで、すべて1つのIDで認証できる仕組みを考えていたり、Googleさんも異分野で新事業を考えたりしているところを目の当たりにしました。テクノロジーをもっと使って、ベンチャー事業でチャレンジしたい、と思っていたところに、前社長と偶然出会い、意気投合して入社を決めました。大親友が起業していてその大変さを見てきたことと経営者に対するリスペクトの思いも影響しましたね。
こうして振りかえると、出向もありましたが監査法人に15年もいたことになるんですよ。そこからベンチャーというのはちょっと珍しいキャリアですよね。

山田 雄一郎さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

私の場合は、入社半年で前社長が急逝してしまい、急遽社長という仕事に就きました。やはり従前のCFOの仕事とは違いました。現在従業員は300人弱いますが、その300人がそれぞれ様々な情報をもっていて、役員それぞれにも深い情報があって、お客様の上層部と現場にもそれぞれ情報があって、それらの情報が構造的に集まってくる。私は何かを自分で決めること以上に、社内の情報と社外の環境を掛け合わせまくって、こっちの方向だと考えながらとにかく前進していっている感じです。社外でぶつかり稽古しながら新たなビジネスを創る活動をしつつ社内に循環させていく動きもとても意識していることです。そして、将来のビジョンをしっかり見据えるということですね。私自身、今期は、経営理念である「テクノロジーに想像力を載せる」という意味を改めて自分の中で反芻しました。5年後10年後を見据えたビジョンはとても大事です。私は急遽のバトンタッチで「形からスタートした社長」でしたので、1日1日を積み上げてきて、ハードシングスばかりでしたが、会社としては16年目、私は今年で社長3年目に入り、今ようやく足元が落ち着いて未来を見据えた動きにシフトできている感覚があります。やはり、会社はヒトだと改めて感じますし、その足腰は大事です。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

独自の強みは2つあります。1つは、大きな世界観を持って仕事するのが好きということ。小さい町の議員だった愛知の祖父と、会社経営者である北海道の祖父の影響で、幼いころからのベースとして、「社会をもっと、こういう風にしていこう!」ということを考えるのがそもそも好きなんです。会計士になったのも、経済界のインフラ!みたいな大きな世界観からスタートしています。ただ実際は就活の面接で大きく人生が左右されるのもなぁと思ったり、当時付き合っていた彼女やクラスメイトの影響など色々あります(笑)。母親から、「あなた、おっちょこちょいだから向いてないのでは」と言われたのはとても覚えています(笑)
もう1つは、変化を楽しめることです。子供の頃はとにかく転校が多くて、それはもう「変化」の連続だったんです。小1、2、3、4と全部違う学校で、東京・関西・北海道と地域もバラバラでした。東京から滋賀に行ったときは、「なんか東京の恰好つけてるやつ来たやん」といじられ、関西のノリにあわせていつのまにかボケキャラになったり、中学で東京に戻った時は、「関西感強いねあいつ」と言われて、クール風にしてみたり。でもいつの間にかとても仲良くなったり。滋賀県の男友達とは今でも「あえて文通」をしているんです(笑)。そんな感じで周りを見て、相手の環境に合わせながらも要所で自分をグッと出していくということを幼いころから繰り返していた気がします。そういった経験から形成された、キャラクターというのでしょうか。ベンチャーが大企業と同じ土俵で戦ってもなかなか勝てないので、経営者としては、俯瞰して、常に変わりそうなところを探し続けて、グッと入っていく必要があると思います。そういう部分でも、自分の性格はベンチャー経営とマッチしていると感じますし、単純に好きですね。

山田 雄一郎さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

自分が担当した案件を新聞で見たときは感動しましたね。小さい事業再生の案件で修業させて頂きながらも、メインの業務として関西国際空港のM&A(コンセッション)という日本初の2兆円規模の案件に携わりました。ルールありきでなく、法律などのルールをゼロイチで創る側の経験は稀有なものでした。凄すぎる優秀な方々と泥臭く働いた後、前例のない取組みが公になったときは心が躍りましたね。
ちなみに、コンサルティングの仕事の中ではネガティブな意味で心が動いた瞬間もありました。お客さま向けに作ったレポートを突き返されて、「だから会計士はあかんねん!」とよく叱られましたね。でも今は育ててくれた先輩たちには心から感謝していて、それは外に出てから気づくことが多いです。ここまで突き詰めるか、ということの重要性がようやく分かってきましたし、日本の構造を変えていくための制度改革に真剣に取り組めたことは今でも自分の核になっています。最近当社として大規模のM&Aを実施したのですが、組織再編、経営統合などの仕事の経験をフル活用しつつも、意思決定側の立場としては改めて思考することが多く、日々勉強だなと思っています。
トリプルアイズの創業社長とお酒を飲んで意気投合したときも、やはり大きく心動いた瞬間でした。創業者は、「何か大きなもの」を見ようとしている人でした。私も大企業や政府との仕事を通して、新しいことがなかなか生み出せないのでは?という思いはありました。誰が悪いわけではなく、その組織構造上生じてしまうものであると。創業者は、自分たちが大手IT企業のゼネコン構造の牙城に挑んで、ルールチェンジしようという話をされていたので、そこにすごく共感して、「行きます。」と気持ちはすぐに決まりました。本人(創業者)は「小さい会社が何言ってんだ」と誰かにやじられながらも、本気で言っていたように思います。本当に熱い人でした。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

監査法人で働いていて、「あ、今、(山を)ぴょんっと乗り越えた」という瞬間はなかったです。コンサル時代に大きな仕事でチームのリーダーを外されたときなんか、これはどうしようもない、、と思いながらもなんとか続けていた感覚に近かったですね。ただ、やっている仕事自体には意義があると思っていたし、きついことを言われても、言われていることには納得していたので、悔しくて「粘った」という表現が近いですかね。乗り越えた感覚はなく、地面を這い続けた、そんな感じがします(笑) IPOの過程もその感覚に似ていますね。
 監査の仕事からコンサルの仕事に就いたときは、仕事の進め方のスタイルの違いに苦しみました。監査では1つ1つ基準や事例を調べながら考え抜いて、時間をかけて100点の正しい回答を出すというスタイルだったのが、コンサルは70点でもいいから瞬間的に3つの選択肢をバババッと提案する、というような。真逆なんです。「だからあかんねん!」と上司によく叱られていました…。ただやはり監査で1つ1つ丁寧に考え抜いた経験から培った基礎力があったから、最初は伸び悩みましたけど、少しずつ成長を実感できるようになりました。そういう素地は、会計士の皆さん全般にあるような気がします。
 どう乗り越える、というところでいうと、気持ちの面でうまく「忘れる」ことです。社長になってから、元々好きだったサッカーを再開したんですが、サッカーをしていると強制的に気持ちがリセットされる。旅行も好きですね。東京から強制的に距離を離れるということは結構大事かな。あとは読書です。歴史小説は好きで、目の前の悩みがちっぽけに感じますよね。大体の悩みって、実はそんなに深刻ではない。サッカーでも旅行でも読書でも、なんでもいいです。強制的に一時的に忘れる、それからもう一度じっくり考える。その方が悩み続けるより攻めの姿勢で前進していけます。

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人生の目的と公認会計士という資格

社会的に価値あるとてつもなく大きなことを成し遂げたいというのが人生の目的ですね。振り返ると、ビジネス性のある公認会計士試験の7科目を網羅して勉強したことはベースとして価値があったことだと感じるので、1歩外に出てから新たに生まれる価値がありました。私は3年目の頃に国際NGO立ち上げの手伝いをさせてもらったのですが、そこでマッキンゼーなど戦略コンサルの最前線で活躍している先輩と出会って議論させていただいたのは、すごくいい経験でした。自信は崩壊しましたが(笑)。また、EY時代に関わった日本ラクロス協会で現在理事をしています。1万人以上の会員に資するために公益性とビジネス性の両面踏まえたサステナブルな経営がどうあるべきなのか考えさせられながら取り組んでいます。組織から「体半分」だけ外に出ることで、グローバルも含めて豊富なナレッジがある点などEYの総合プロフェッショナルファームとしての魅力にもあらためて気づくことができました。
外に出ると、監査法人とかチームではなく、一人の人間として見られます。そういう場を経験すると、自分の価値の立ち位置を確認できますし、成長できると思います。また、自分は人生で何がしたいのか、とても考えさせられます。社長でも公認会計士でもどんなキャリアでも、最終的に人は個人の幸せに向かっていった方がいいと思っています。山田雄一郎という個人の幸せを目指してこそ、トリプルアイズでいろんなことにチャレンジできるし、それが自然だと思っています。トリプルアイズが目指すビジョンと共に皆と団結し、大きなことを成し遂げたいですね。

山田 雄一郎さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

トリプルアイズを、日本の誰もが知っている会社、世界中でも知られている会社にしたいです。私たちはエンジニア成長第一主義を掲げ、研究開発分野を重視し、囲碁AIの世界大会へのチャレンジなども経て、AIの社会実装を進めています。自社プロダクトで10万の登録IDを運用しています。ソフトウェアエンジニアの市場価値は日本は不当に低いと感じています。トリプルアイズのエンジニアがお客さんを「おぉすごい」と唸らせていたり、何気ない日常生活で我々の成果物にふれると感動します。日本のエンジニア全体の地位向上を実現したいですね。経営理念の「テクノロジーに想像力を載せる」にも込めた思いですが、スマートフォンも自動車が産まれた時だって、テクノロジーだけではダメで、そこに私たちやお客様の想像力を掛け合わせることで、爆発的な価値を生むと思っています。生成AI時代はそれがさらに加速します。エンジニアやテクノロジーサイドのメンバーたちと、これまでの経験を経た私を掛け合わせることで、新しいビジネスを爆発させたいと思っています。

山田 雄一郎さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

小さい成功体験が本当に大事だなと思います。そのためにもとにかく1歩、外に出てみよう!「わかっちゃいるけど、1歩踏み出せねえんだよ。俺には響かねえんだよ!」と思ったかもしれません。でも、皆何かしらちょっとした、 これはうまくいったな、とか、これだったら得意っていうものはあると思うんです。1歩の踏み出し方を一つ提案するなら、海外1人旅です。行くって決めたら、絶対に誰でも行けるし、何も失われないですからね。3日でも、1週間でも。東南アジアとか新興国があまりにも日本と状況が違うことを肌で感じてほしいです。その環境の中で、本当は自分は何がしたいんだっけとか、いろいろ考えて、自分を見つめるきっかけになると思います。可能な限りスマホから離れて白紙のノートとペン持つくらいがオススメです。もし大手監査法人にいる人なら、グローバルファームの中にいる恩恵に改めて気づくかもしれません。3ヶ月後くらいのスケジュール休暇を見て、(航空チケットの予約ページで)クリックするだけです。何も考えず、「さあ、チケットを買ってくれ!!」