
SENSY株式会社
代表取締役CEO
渡辺 祐樹
わたなべゆうき
”新しい技術の発明”を超えた、”新しい社会の発明”を実現する
1980年2月25日生まれ(46歳) 高知県出身 東京都在住
慶應義塾大学理工学部 卒業 2009年合格

01
キャリアサマリー
株式会社フォーバル 入社
アイ・ビー・エムビジネスコンサルティングサービス株式会社 入社
日本公認会計士試験二次試験 合格
イーソリューションズ株式会社 入社
公認会計士 登録
カラフル・ボード株式会社(現 SENSY株式会社) 設立/代表取締役CEO就任
現在、SENSY株式会社の代表取締役CEOとして、後世に影響を与えるような会社にしようと邁進している。
初めて起業を志したのは大学在籍時であった。当時AI領域の研究に熱意を燃やしていたが、より具体的に誰かの生活を変えたり、社会課題の解決に繋がるような、まだ世にないビジネスの発明を思い描くようになった。
大学卒業後は営業会社やコンサルティング会社を渡り歩いたり、働きながら公認会計士資格を取ったりと多方面の経験を積んできたが、全て将来の起業を見据えてのものであった。
新卒で入社したフォーバルでは「夜討ち朝駆け」のスタイルで、何度足のすくむ思いをしながらも、初年度トップセールスを獲得した。転職先であるアイ・ビー・エムビジネス・コンサルティングサービス(現 日本IBM)では経営戦略やマネジメントを学ぶため戦略コンサルティンググループに所属し、業務改革、組織改革、事業戦略策定等の多岐のプロジェクトに関わった。その後、ゼロイチの新規事業開発を学ぶためイーソリューションズに移籍し、マネジャーとしてスマートシティプロジェクトの資金調達、マーケティング、営業等に従事した。
2011年に満を持してカラフル・ボード株式会社(現 SENSY株式会社)を設立し、創業10年を迎えた今、IPOを目前に控え、さらなる高みを目指している。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人での勤務経験はないが、大学時代から一貫して将来起業することを見据え、キャリアを選択してきた。
新卒であえて営業会社であるフォーバルに就職した。コミュニケーションや交渉力を鍛えるため、苦手分野と向き合った。飛び込み営業でろくに話も聞いてもらえず断られ精神的に追いつめられる日々が続いたが、次第に足で稼ぐ営業から頭を使う方向にシフトしていった。業務用の機器を扱っていたため、会社立ち上げ期の社長に狙いを定め、税理士や社労士とアライアンスを組み、新しい会社の登記情報を得るため、足しげく法務局に通った。その成果が実り、初年度でトップセールスを獲得する。
その後戦略コンサルティング会社であるアイ・ビー・エムに転籍し、幅広い案件に関わった。今までのがむしゃらに数字を作っていく方法から、全体感と問題の本質をとらえた施策の策定に大幅に考え方を変えていった。
この時のプロジェクトで目の当たりにしたアパレル業界の過剰在庫問題が後にカラフル・ボード株式会社のビジネスの契機となる。また同時期に働きながら公認会計士試験を志し、1年間の受験期間を経て論文式試験に合格した。寝る間もなく激務をこなしながら受験勉強を乗り越えた経験はゆるぎない自信に繋がった。実際にビジネスサイドの経験値に加え、ファイナンスの知見を得たことで、起業後の会社のピンチを幾度となく支えられたと思う。
会計士試験に合格し、監査法人、MBA、ファンド等、幅広い選択肢が広がったが、やはり将来の起業を第一に考え、ビジネスを作ることを最短で学ぶため、ゼロイチの事業立ち上げを行うためイーソリューションズに入社する。
営業、経営、事業立ち上げに加え、会計士資格でファイナンスや会計の知見も習得し、いよいよカラフル・ボード株式会社を設立した。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2011年にカラフル・ボード株式会社(現 SENSY株式会社)を立ち上げ、代表取締役として経営している。
SENSY株式会社では、究極のパーソナライズド社会の実現をすべく事業を展開している。人の生活におけるあらゆる場面で、全ての商品やサービス、コミュニケーションのあり方、ものづくりがパーソナライズされ、無理無駄がなくスマートな社会システムを実現することで、人の人生をより豊かなものにしてゆきたいと考えてきた。
創業以来、パーソナライズド社会の実現のため、ヒトの「感性」を学習する人工知能「SENSY」の研究開発に明け暮れてきた。特に独自の人工知能アルゴリズムの研究開発について、慶應義塾大学や千葉大学、東京工業大学などとも連携したより高度な研究組織を社内に要し、技術を蓄積している。
今では日本全国の消費の1%に相当する約3.2兆円分のビッグデータを集積し、日々拡大している。明日売れる商品を予測するのに、「どういうタイミングで来店し、どういう商品を買いたいか」という消費者一人ひとりの気持ちを解析し、需要予測やマーケティングに活用するAI技術が現実のものとなった。
2021年に創業10年の節目を迎え、IPOも視野に入れて、更なる成長に拍車がかかっている。IPOを足掛かりとし、企業活動と生活者の双方にとってスマートで最適な社会の実現を目指し、更なるビジネス発展を構想している。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
経営者としてビジネスを拡大するに当たり、最適な資本政策を実行するために公認会計士としての会計や数字面の強みが加わったことが大きな武器となった。
大学在籍時よりAIの最先端技術の研究を行ってきたエンジニアとしての側面に加え、営業や戦略コンサルティングでの経験を活かし、社会と業界の抱える課題やその解決までビジネスをデザインし、営業まで振れる実行力を培ってきたが、実際にベンチャーを立ち上げてみてそれだけでは乗り切れない面も多々あった。
コアになる技術からビジネスをデザインし、実現まで落とし込むことができても、スピード感をもって成長を加速していくためには、会計知識とファイナンスが不可欠である。幾度となく資金需要の危機を迎えながらも乗り越え、さらにビジネスの成長スピードを加速させてくることができたのは、公認会計士としてのファイナンスについての深い理解と実現あってのものであった。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
2008年当時、コンサルティングファーム在籍時に、アパレルメーカーのプロジェクトにて、山のように積まれた廃棄待ちのアパレル商品を目の当たりにした時のことを鮮明に覚えている。
洋服は感覚的なコンテンツでトレンドが読みづらい。その上、生産工程にはさまざまなプレイヤーが複雑に絡み、生産の改善も難しい。大量に生産されたアパレル商品は過剰在庫となり、格安で売れればまだいい方で、多くが廃棄となる。
その後、2011年にAIのディープラーニング技術が発展し、またスマホの普及やECサイトの発達などにより多くのデータの入手が可能になったタイミングで、顧客のファッションセンスを分析して、適切な顧客に洋服を提案することで、在庫が動き、業界全体が活性化するのではないかという起業のアイデアが芽生えた。
技術や市場の動向が急速に進み、課題解決の思いと技術、また自身が積み重ねてきた経験も合わせ、運命的に点と点が繋がったことを感じ、使命感を強く抱いた。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
公認会計士資格とビジネス全般の経験を携え、満を持して起業したが、資金政策に困窮したこともあった。
創業後、試作を重ねついに2014年11月5日、「人工知能SENSY(センシー)」をリリースした。人工知能に対する認知が広まってきた頃であり、多くのメディアに取り上げられた。ユーザー数も初期から爆発的に伸び、さらに多くのデータも集まった。
しかし同時期、「バーンアウト」と呼ばれる、資金の燃え尽きの前兆が見えてきていた。
「全ての人々に、人生が変わる出会いを。」をコンセプトとして万全を期した代償として、リリース初期の投資コスト、システムコストが多大に及び、想定外のスピードで資金が目減りしていった。
事業でキャッシュフローを黒字化するには時間が足りない。大型のファイナンスしか道はなく、大手事業会社とベンチャーキャピタルを相手に、金策に奔走した。最終的に、いくつかの投資家と合意に至り、ビジョンを共有できた方から2015年4月に1.4億円を調達することができた。
知識と肩書が、投資家とのコミュニケーションを円滑にし、最適なファイナンスの実現にとても役立った。公認会計士資格が、初期のSENSYを助けたのだと思う。
07
人生の目的と公認会計士という資格
私にとって会計とは、会社の状態をモデル化して可視化するツールである。
社会を最適化する、新しい価値を創造する会社でありたい、世の中に提供できる価値を増やしていきたいと考えると、どのような活動が社会に付加価値をもたらしているか、ビジネスに見合った可視化の方法が必要となり、それを新しい会計の仕組みとして創っていきたい。
目下考えているのは、「従業員別損益計算書」である。事業別、プロジェクト別等、管理単位毎に採算管理することと同様、新たな試みとして「人」の観点から損益計算書を作るのである。従業員の付加価値を可視化し、一人一人の価値を上げるためにはどうすればよいか、施策に落とし込みたい。
会社の価値を最大化するためには、複雑な会社の実態を単純化し、本質をとらえた意味のある形にしなければならない。ビジネスを可視化しアクションに落とし込める最適なモデルを開発するのはとても興味深いのではないだろうか。
究極的な目的である、「社会を変革する新たな価値」をビジネスを通じて実現するため、私にとって会計は強力な武器である。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
”新しい技術の発明”を超えた、”新しい社会の発明”を実現する。
これが私の成し遂げたいことである。
大学時代、人工知能の研究に没頭し、それなりに満足の行く研究成果も出始め、研究室にこもりながら充実した日々を送っていたが、同時に研究に没頭すればするほど、具体的に誰かの生活を変えたり、社会課題を解決するような、まだ世の中にない事業を発明することが、将来の目標と思うようになった。
そうして生まれたのが人工知能「SENSY」であった。今のビジネスは、一人一人の「感情」の分析を行い、マーケティングやマーチャンダイジングのパーソナライズ化を中心とした業務最適化するものが。しかしそこに留まるつもりはない。究極的に実現したいのは、起業と消費者双方にとって最適な社会の実現であり、世界を変革するプロダクトを創ることだ。
直近でIPOも見据えているが、目指すものはもっと先の「単なる儲かる会社」を超えた、「社会のためになる新たな価値」を世の中に残すことであり、SENSYのビジョンを実現することが私の目標である。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
もし読者の中で起業家を目指す方がいらっしゃれば、会計を学ぶこと、スタートアップに飛び込むことを勧める。公認会計士の資格は、スタートアップを創業する上で、会計や監査を超えた価値をもたらしてくれた。
私は新卒で営業会社を選び、無我夢中になって数字を追いかけることを経験したのち、コンサルティング会社で経営や組織論、業務改革の全体像を学び、そして起業した。会社を立ち上げて資金調達に四苦八苦していたときも、IPOを足掛かりとして急成長している今も、数字に落とし込んで、ロジカルにビジネスを拡大してこられたのは、会計のおかげだった。
スタートアップはとても面白いと思う。エンジニア、事業開発、コーポレートという会社に必要な組織が見渡せる範囲にあって、会社で追うべき数字をみんなで作り上げていく。公認会計士という特権をもってすれば、その数字の作り方とか、ビジネスとのつながりとか、現実のものとして落とし込んで理解することができる。
会計の視点をもち、経営者に近い視点で、広く様々な業務を経験できるスタートアップに飛び込んでみてはどうだろうか。


