会計士の履歴書
松隈 剛

リディッシュ株式会社

経営企画室 代表取締役

松隈 剛

まつくま たけし

「人生にとって豊かさとは何か」を追求していきたい

福岡県出身 東京都在住

慶応義塾大学 理工学部管理工学科 卒業

松隈 剛

01

キャリアサマリー

1995 年

監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ) 入社

1999 年

クーパースアンドライブランド(現 プライスウォーターハウスクーパース) 入社

スパークス投資顧問(現 スパークスグループ) 入社

2010 年

スクウェアキャピタル株式会社 創業

2015 年

リディッシュ株式会社 創業

大学では理工系を専攻していたものの、実家が商売をやっていたこともあり、そのまま研究職などに就いて社会人としてのキャリアを歩むことに向いてないのではと感じていました。

「将来独立して自分でやるにはどうしたらいいのか」と考え、当時思い付いたのが、MBAを取りにいくことと資格を持つことでした。そんな折に学食で食事をしていたら、偶然置いてあった会計士学校のパンフレットを手にしたことで、公認会計士を目指すことに。

会計士としては、地元であるトーマツ福岡事務所に約3年半在籍し、主に電力会社やリース会社の公開監査を担当していました。そこから東京のクーパースアンドライブランド(現 プライスウォーターハウスクーパース)のM&Aチームにジョイン。そのタイミングで2000年のITバブルが起こり、その熱気に背中を押されIT企業への転職を考えているときに、会計士の先輩がスパークス投資顧問(現 スパークスグループ)のCFOをしていたため、縁があってスパークスの経理部門にジョインし、上場準備業務を担当することに。

その後、上場の目処が立ったタイミングで、投資活動に興味があったので配置変えを希望し、アナリストとして約2年間、様々な業種の分析作業に従事。アナリストとしての実績が認められ、2003年にファンドマネージャーとして小規模のファンドの運用を任され、そこからファンドマネージャーとしての経歴がスタートしました。

当時は、スパークスの阿部社長のカリスマ性も相まって、会社が非常に成長した時期であったこともあり、任されたファンドの運用残高も50億から数年間で数千億規模に。そこでは高額資産を扱うヘッジファンドの運用も担当し、企業分析をベースとした投資手法のみではなく、ダイレクトに相場と向き合う経験を積むことができ、市場心理を読むという経験は今の事業にもとても役立っていると思います。

また、スパークスは日本人が創業した独立系の投資会社としては、当時唯一といっていいほどグローバルで著名な金融機関との取引があったため、ウォールストリート、金融におけるダイナミズムを肌で感じることができました。

加えて、社外役員や株主に日本でトップクラスの著名な経営者が名を連ねていたこと、またファンドの運用を通して30代の時から数々の経営者と面談する機会に恵まれたことが、今でも自分の財産となっています。

運用当初は順調に運用資産残高の拡大、良好なパフォーマンスを達成していたものの、2007年前後からマーケットが変調をきたし、2008年のリーマンショックの時期には未曽有の状況に。その激しく稀有な経験を経て、マーケットが落ち着いてきた2010年に、約10年間相場の上りも下がり局面も運用者として経験したことで、区切りをつけ退職。

その後独立し、自分で上場会社投資やベンチャー投資を手掛ける中、ベンチャーとのかかわりや、実家が商売をやっていたことも影響して、「金融ではなく実商売を手掛けたい」という思いがわき上がり、ITベンチャーを創業しました。

創業してからは、会計士や投資家として会社とかかわっていた時期とは異なり、初めての経験ばかりで、特に今は一人でできることが極めて限定的な中、仲間を集め、どのように結果を出していくかということを試行錯誤しております。

当社の事業内容は、レストラン業界を対象として、レストランの経営が豊かになるような経営プラットフォームを提供することです。日本のレストラン業界は、食のコンテンツ力が非常に高く、海外から評価されているにもかかわらず、産業の利益率は極めて低い状況が続いています。

お客様に美味しいものと素敵な時間を提供して笑顔になってもらいたいと志高く働いている人たちが、良好でない労働条件に置かれているなど、あまり報われていないのが実情です。

われわれはその大きな原因のひとつが、「レストラン業界における高くない経営・ITリテラシー」にあるとし、経営管理やITを意識せずとも、自分たちが得意な料理とサービスに集中して、経営が豊かに、そこで働く人々、来店するお客様が豊かになるべく、サポートできる経営プラットフォームを提供し、豊かなレストラン経営が実現できる世界を目指しています。

そしてさらに、レストラン業界でそれを達成できたあとは、同じピープルビジネスであるサービス産業全体にも広げ、日本のサービス産業全体を競争力があるものに、さらには人との接点を通じて世の中を豊かにすべく世界へ広げていきたいというビジョンをもって日々邁進している最中です。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

上述したとおり、監査法人では上場企業の会計監査を担当していました。電力会社、リース会社の他、様々な上場企業の法定監査にスタッフとして従事。当時はまだ紙の監査調書をベースに仕事していた時期で、書類間にリファレンスをつけて体系化していくやり方や、数字のチェックの仕方など後々の仕事に役立つスキルが身についたと思います。

監査自体の業務においては、社会的意義は感じていたものの、まだスタッフだったということもあり、正直仕事内容が自分に向いているとは思えず、もっと向いている仕事があるのではと考えたのが、キャリアチェンジしたきっかけです。

地元の福岡も土地柄や人柄は本当によく、とても好きだったのですが、やはり地方都市であることから、少なくとも当時は東京と比較すると仕事の幅が狭かったように思えました。そのような中、大学の友人が東京で様々な経験を積んでいるのを見て、再度東京に出て違う経験を積もうと思った次第です。

ただ今思えば、あれだけ会社の機密である内部資料を見せてもらえるという立場を、もっと自分の成長や会社への付加価値提供に活かすべきだったと思っています。

松隈 剛さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

キャリアサマリーに記載の通り、現在、レストラン業界を対象としたベンチャーを経営しています。 
肩書は経営者ですが、現時点ではまだ会社のステージが少人数でこれからという時期なので、仕事の内容は営業からサービス開発、採用、財務、管理業務と多岐にわたっています。会社を成長させ、本来、経営者としての業務、自分の強みが活かせる業務に集中していくことが今後の目標でもあり、課題でもあります。経営者としてはまだ初心者であるため、これから会社経営というキャリアにおいてプロフェッショナルになるべく努力していく所存です。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

ある程度の規模の運用経験があることから、マクロ経済や世の中の動向に関する洞察から、様々な産業の調査を通じて得た知識、ベンチャー企業経営を通じてのミクロの経験など、マクロから産業、ミクロの会社経営まで幅広い経験を積んでいることが強みになっていると思います。また定性的な強みは、特定のスキルがあるいうことよりも、好奇心が旺盛なことだと思っています。また経営者としては常にチャレンジの連続なので、この好奇心旺盛さが今の役割に生かされているのと、運用経験を通して様々な業界を分析してきたことから、視野を広く持つことができるようになったことが今の仕事に活きていると思います。

松隈 剛さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

過去では、ファンドマネージャーとしてパフォーマンスを出したときには純粋に嬉しかった記憶があります。ファンドマネージャーは様々な業界に触れることができ、あらゆる産業の人の話を聞く中で、素晴らしい人たちとの出会いも心が動く瞬間でした。また当時、30代前半のころから著名な経営者と打ち合わせをする機会に恵まれ、それらを通じて得難い体験をしたときに喜びを感じていました。ベンチャー経営者になってからは、ジョインしてくれた会社の人たちとビジョンや目指すものを共有できていると感じた瞬間や、お客様に直接喜んでもらった時などが喜びを感じる瞬間です。この先では、世の中に対してインパクトがある仕事ができる瞬間が、心が大きく動く瞬間ではないかと考えています。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士としての業務は、実質キャリアの当初4年間のみ、監査など会計士としての仕事をしていたときだけなので限定されますが、「監査業務のスタッフとしての仕事内容が向いてないのでは」と思っていました。その当時は、乗り越えたとは言えず、他に道を探るべく、英語の勉強をしたり別の資格を取得しようとしたり、スキルを身に着けようともがいていた時期だったと思います。実際は、転職することによってM&Aアドバイザリー業務に仕事内容が変わり、そこでは面白さを感じました。ただ、再度転職した当初は、上場準備の作業だったので、こちらはあまり向いているように感じなかったのは事実です。その後、投資分野に業務内容を変えることで、自分に向いている仕事に偶然出会うことができ、ある意味乗り越えたと言えるかもしれません。まだ20代だったこともあり、向いていない仕事に正面から向き合ったというよりも、環境を変えることで、偶然自分に合った仕事に出会えたと言えます。今だったら、もしかしたら、合わないと思った仕事に対しても正面から向き合えるのかもしれません。

07

人生の目的と公認会計士という資格

これからの人生の目的は振り返ったときに、充実した人生だったと思えるように、世の中に意義あることをして何らかの貢献をしたいと思っています。そのために起業したのですが、会社経営する上でも会計士の資格はとても役立つと実感しています。
また、会社を経営することでお金や人生において大切なものについて考えさせられることが多いので、会計士の資格はそのベースを作ってくれたと思っています。特に金融業界のキャリアが一番長いので、お金についての価値観は非常によく考えます。会計士の資格によって会社のお金まわりの見方の基礎を作ることができ、それが仕事や人生におけるベースのスキルを最初に身につけることに繋がったのはとてもよかったと思います。

松隈 剛さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

会社としての成長、お客様、会社のメンバー、取引先、全ての関係者にとって意義のある会社になること。更に社会にとって意義ある仕事をし、結果を作ること。個人的には「人生にとって豊かさとは何か」を追求していきたい。具体的には、会社のサービスビジョンである「レストラン経営を豊かに」をまず実現し、日本のレストラン業界に従事する人たちが、いまより更に夢を持って働けるように。そして、そこに来店するお客様に更に満足してもらい、出会いの場である外食シーンが豊かになるようにすることが当面成し遂げたい夢です。
それを実現できた暁には、ピープルビジネスであるサービス産業全体に事業領域を広げ、人と人が触れ合い、人でしかできないビジネス領域であるサービス産業を豊かにし、会社のコーポレートビジョンである「全ての出会いを価値あるものに」を実現させていきたいと思っています。
その他では、個人的な地味な夢として、本が好きなので、いつの日か美味いコーヒーとトーストが出せるブックカフェを自宅の近くと、実家がある福岡でやりたいと思っています。

松隈 剛さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

当たり前ですが、資格は手段です。現時点でわかるベースで、「何のために」「何をしたいか」など目的を明確にすることが大事だと思います。もしまだそれがわからない状態であれば、会計士の資格や得られる知識はビジネスにおける基礎体力みたいなものだと思うので、徹底的に基礎体力をつけ、自分に合った領域が見つかった時に活躍できるようにしておくのもありかもしれません。 
振り返ってみると、自分の場合は、目的が最初から明確にあったわけではなく、与えられた環境でベストと思う選択をしていたら、いい出会いに恵まれ、今のキャリアを形成してきました。いい人との出会いを増やすことも一つのアクションとしてはおすすめかもしれません。