
株式会社レアゾンホールディングス
常勤監査役
渡辺 美保
わたなべ みほ
すべての仕事に優先順位を付けて効率化。自分の最適なマネジメントスタイルを確立
1980年代生まれ 千葉県出身 東京都在住
早稲田大学 商学部 卒業

01
キャリアサマリー
早稲田大学商学部卒業
あずさ監査法人 東京事務所入所
結婚、あずさ監査法人 大阪事務所異動
名古屋転居、長女出産
あずさ監査法人 東京事務所にて復職
長男出産
あずさ監査法人 復職
株式会社ルーデル(現 株式会社レアゾンホールディングス) 常勤監査役就任
高校3年生の夏、父親に「目標がないなら大学に行かなくていい」と言われ、「公認会計士になる」と宣言、大学進学と同時に会計士の勉強を始めました。文系思考ながら数字に”円”がつくと計算が得意になる性格と、大学の会計ゼミでの勉強を通じて、大学4年生で合格、あずさ監査法人に入所しました。監査法人時代は主に国内大手上場企業の監査業務に従事し、結婚、大阪事務所への異動、2度の産休育休を経て、東京事務所のマネジャーとして勤務したのち、2018年12月に現在の会社の常勤監査役へと転職しました。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
大学卒業と同時に監査法人に入所し、国際部に配属されました。国際部と言いながらも国内系大手上場会社の監査を中心に行い、四半期レビュー・J-SOXの導入と監査の制度が大きく変わる時期をここで体験しました。
勤務4年目、シニアに昇格するタイミングで結婚、主人の転勤に伴い大阪事務所へ3年の期限付きで異動しました。実家を出るのも初めて、大阪に住むのも初めて、同じ法人内異動とはいえ全く別の会社に就職したようで、ここでまず心が折れました(笑)。今思えば新しい環境に馴染めなかっただけですが、異動して2か月で「会社を辞める」宣言をし、主人も会社も驚かせました。転職活動もしましたが、結局会社に引き留めていただき、また環境から逃げるだけの後ろ向きの退職は何も生まないと思い、その時は思いとどまりました。その後今でも信頼できる同僚達と出会うことができ、東京ではできない経験も多く積むことができたので、思いとどまって良かったと思っています。
その後、大阪で2年間働き、第1子を妊娠し産休育休へ。このタイミングで主人の名古屋転勤が決まったので、育休期間はこれまた縁もゆかりもない名古屋で過ごしました。
そして子供が1歳半になる2014年4月、いよいよ東京に戻りたい、東京事務所で再び働きたいという想いが強まり、子供を連れて東京に戻りました。主人ですか?名古屋に置き去りにしました。大阪、名古屋と付き添ったので、そろそろ置いて行ってもいいかなと思いまして(笑)。
東京事務所に戻ってからは、働き方も自分のマインドもがらっと変わったように思います。当時上位シニアで復職したため、現場責任者として複数チームを持ちました。クライアントへのサービス品質は保ちつつ、保育園のお迎えのため帰宅時間は死守、子供がいつ体調を崩すかわからない中でどれだけオンスケジュールで業務を回しクオリティの高い成果物を出すか、子供と向き合う時間もほしい、プロフェッショナルとしての知識のインプットも当然必要…。初めての子育てに加え、自分で蒔いた種とはいえ実質母子家庭だったので、正直毎日パツパツでした。毎日走れるヒールを履いていましたね。
働き続けるには、キャリアを形成するにはどうしたらいいのか…そこからすべての仕事に優先順位を付けて効率化し、自分のチームにおける最適なマネジメントスタイルを考えるようになりました。当時の時流も重なりリスクアプローチをすべて見直し、自分がボトルネックにならずチームが全体最適で業務を回せるよう、一方で自分が責任をとるためには何をすべきか、意識をしながら試行錯誤の日々でした。こうやって書くと一人でやりきった感がありますが、実際は周囲の方々の理解と協力に常に支えられていました。途中で主人の単身赴任も終わり、東京に戻ってきてくれたことも大きかったと思います。
その間、第2子の産休育休も挟みながらマネジャーに昇格、二人の子供の子育てをしながら、比較的落ち着いた生活を送っていました。
転職のきっかけは、そんな当時、現職の株式会社レアゾン・ホールディングスのCFOから、「監査役やってみない?」とお誘いをいただいたことによります。詳細は6で記載しますが、このお誘いを受けたことで、監査法人で感じ続けたジレンマが自分の中で顕在化したように思います。人生どこに転機があるかわからないものだなと実感しています。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2018年12月、株式会社ルーデル(現 株式会社レアゾン・ホールディングス)の常勤監査役として就任しました。
今まで監査役が設置されていなかった会社に初めての監査役として入ったこともあり、監査役がそもそもどういう仕事か、ガバナンスとは何か、社内に理解していただくところから始めています。
監査役に就任して気づいたことが2つあります。
1つは、「監査役」というと、肩書からしてどうしても「護り」に徹するお堅い役割を想像してしまいがちですが、本来はその役割だけではないということです。コンプライアンスという目線はもちろんのこと、想定される事前の事業リスクを排除し、長い目で見たときに事業の成長スピードを止めないこと、足元をすくわれない強い企業体制を築いていくことが「攻めの経営」の土台となると考えています。そのための体制作りという面で、とても大切な役割を担っていると感じています。
2つ目は、監査役ネットワークの世界が想像以上に広いことです。就任直後から、大手上場企業の監査役や、女性会計士の監査役の方々とお話する機会が格段に増えました。ベテランの方から若手の方まで幅広く活躍され、皆様自分の監査役像を確立していること、ネットワークをとても大切にされオープンなコミュニケーションを行っており、私のような新参者でも親身に知見を貸していただけることに、とても驚いています。ここまでネットワークが強く広がっている世界だとは想像もしていなかったですね。
今後のキャリアパスですが、今は転職したばかりで、正直白紙です。日々事業会社の面白さを感じているので、監査役としてのキャリアを重ねるか、マネジメントサイドで業務を執行する側に移るか、あるいはほかの道に進むのか、考えるのはこれからです。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
もともと人とコミュニケーションをとること、物事の本質を考えること、俯瞰することが好きな性格です。
監査役の仕事は、役員はもちろん会社の人々とコミュニケーションをとり信頼関係を築くこと、会社全体を見ることが基本姿勢として求められると思っています。
そういう面では自分の特性に合っているのではと思います。今は会社全体を見ながら、社内の様々な考え方、職種、年代の方と、また監査役のネットワークにおいても様々な方と接することを楽しんでいます。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
今回事業会社に転職するお話をいただいた際、正直とても悩みました。
その時、ある方に「今のポジションは自分の実力で掴んだものだから、いざとなったら取り戻せる。やりたいことが目の前にあるのであれば、チャレンジしたらいい」と言われたことが、決断の決め手となりました。
自分が会計士をとるきっかけとなった気持ちも、資格を持っている意味も、改めて考えさせられ、原点に戻ったように思います。それが一番心が動いた瞬間でしょうか。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
資格取得後、当たり前に監査法人の道を進みました。
が、その一方で「外から何かを言う」スタンスに常に迷いもありました。クライアントと監査法人との隔たり、とでも言うのでしょうか。事業会社に入り、会社の内側の人間として何かを作り上げることにやりがいがあるのではないか、業務の結果を「会社」という形として残すことも面白いのではないか、と悩んでいました。
また女性として、監査法人の中でどこまでキャリアを形成できるのだろうかと悩んだのも事実です。当時監査法人では女性の活用が推進されていましたが、ロールモデルが少なく、自分がパートナーになれるのか、また自分がパートナーになれたとして、マネジメント層の大半が男性社会である今の日本において、クライアントサイドで女性パートナーをすんなりと受け入れてくれる環境が整っているのか、正直測りかねていました。
乗り越えた、と言えるかはわかりませんが、実際監査法人の外に飛び出してみることでひとつブレイクスルーしたと感じています。
07
人生の目的と公認会計士という資格
言葉にすると陳腐ですが、人生は一度きり、やりたいと思ったことはやる、という想いは常に自分の中にあります。キャリアの形成、社会への貢献、家庭を築くこと、どれも大切に思っています。どれか1つが欠けてもおそらく自分は満足できないですし、どれかを諦めるという発想もありません。
その観点で振り返ってみると、大阪事務所への異動も、直後に転職活動をしたことも、出産も、名古屋での子育ても、疑似母子家庭での復職も、今回の転職も、すべて自分の「それをやりたい」という意思があってのものです。その意思を実現できたのは、そしてアクセルを踏むべきタイミングで踏めたのは、資格という強みがあってこそ、だと思っています。
そういった人生を実現していく上で、公認会計士という資格は一つの大きなツールになると思っています。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
今はとにかく監査役の仕事に注力し、経営者とは違った立場で会社の成長と改善を考える日々です。現職の会社では、信頼に足る、この人たちと共に成長していきたいと思える経営者・役員の方々と働いていると実感しています。もちろんそのことで監査役としての仕事の内容が変わるわけではないですが、そういった方々とご一緒できていることは、実はとても恵まれた環境であるとも思っています。そういった環境の中で、自分を成長させつつ、先輩監査役の方々のように、自分の監査役像を確立したいと思っています。
また、女性が活躍できる環境を整えるという課題にも取り組みたいと思っています。ミクロの話で考えるなら社内での女性の活躍の場を考えること、マクロの話で考えると、自分が女性マネジメント層の立場に入ることで、監査法人サイド、クライアント(事業会社)サイド両面で、女性会計士、そして女性の活躍の場を広げる一助になればと思っています。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
私は結果的に監査法人の外に出る道を選びました。
が、結局どの道を進んでも、自分次第で自由にキャリア設計ができる資格だと思います。
監査法人で働くにせよ、事業会社で働くにせよ、独立するにせよ、多くの選択肢があります。働き方も職種も、自由です。一方で、自由には当然責任も付きまとうもの。そのため、会計士としてのあるべき姿は何か、自分がやりたいことは何か、自分を成長させるためには何をすべきか、何を目標に置くか、常に考える必要はあると思います。思考を重ねることで準備をしつつ、タイミングが来たら臆せずにチャレンジする、それがこの資格の強みであり、資格を取る意味は、そういうところにあると思っています。
私自身の課題でもありますが、ぜひ広い視野を持って、今のキャリアに縛られることなく、様々なキャリアに挑戦していただきたいと思います。


