会計士の履歴書
植村 俊介

株式会社マネーフォワード

クラウド推進部兼サービス企画グループ クラウド推進部部長 兼 サービス企画グループリーダー

植村 俊介

うえむら しゅんすけ

情報システムの知見とJ-SOXのコアスキルを生かしてクラウドサービスの導入支援を全国展開

1980年5月27日生まれ(46歳) 北海道出身 東京都在住

北海道大学大学院 情報科学研究科 修士課程修了

植村 俊介

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キャリアサマリー

2005

北海道大学大学院情報科学研究科修士課程修了。監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)に入所。保険会社を中心とした金融機関監査、J-SOX対応業務に従事。

2010

アビームコンサルティング株式会社に入社。IFRS導入支援プロジェクト、財務・経理人材育成プロジェクトに従事。

2016

株式会社マネーフォワードに入社。中小企業向けバックオフィス業務の効率化ソリューション「MFクラウド」の導入支援業務に従事。全国の税理士法人、会計事務所と協力し、中小企業バックオフィスのクラウド化を促進。事業推進本部 クラウド推進部 部長 兼 サービス開発本部 サービス企画グループ グループリーダー。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

大学院修了後に、監査法人トーマツに入所しました。大学院では、情報工学を専攻していたため、強みを生かせるような仕事をしたいと思い、金融監査を専門とする部門か、システム監査を専門とする部門のいずれを希望するか迷いました。最終的には、金融という身近でありながら意外と良くわかっていない分野についてもっと知りたいという思いが強く、金融部門での勤務を希望しました。

監査法人では、社会人として仕事をする上での基礎を学べたことが、最大の経験だと思っています。自分が作った監査調書を、上司に一枚一枚チェックして貰えるような仕事はあまりありません。また、開示チェックなど、業務の手順の中にそもそもミスが発生しにくいような仕組みや、ミスを発見しやすくする仕組みを組み込んでいくという考え方には、非常に学びがありました。

一方で、監査という仕事は、基本的には、前年の監査調書を読み込んで、昨年実施した監査手続を理解し、今年の監査を実施する、反復性が非常に高い仕事でした。もちろん、環境の変化により、リスクの所在が変わることで新たな手続を行う必要が生じることはあります。また、より効率的に仕事の流れを整える、といった工夫をする余地はあります。しかし、コストや報告期限に追われる中で、うまく行くかわからないことを試す余地はほとんどないように思いました。

そのような悩みが生じたタイミングで、J-SOXの導入や、初年度監査といった新しい仕事を経験することになりました。特に、初年度監査では、前年の監査調書がない中で、どういった手続を採用すべきかを一から考えることになります。また、監査対象の企業にどういう資料があるのかもわからない状態からのスタートなので、担当者の方に、自分が何をしたいのか、そのためにはどんな資料が必要なのかを正しく伝える必要があります。望む資料がない場合には、代替手段を探すか、もしくは会社の方に必要な資料を新たに作成して貰わなくてはいけません。そういった、会社との関係性の構築も、当然ながら行っていく必要があります。

初めての経験が多く大変ではありましたが、こういった経験をより多く積み上げて行くことが、社会人として成長する上で重要だと考えるようになりました。同時に、このまま5年、10年監査法人に勤務し続けて、同じような経験をできる機会がこの後いつ回ってくるのかと考えたときに、そう多くはないであろうという結論に至ったことが、転職を考えるきっかけとなりました。

植村 俊介さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は、株式会社マネーフォワードで、中小企業バックオフィス向けクラウドサービスである、MFクラウドシリーズの導入支援を担当しています。2016年2月に入社したタイミングでは、社員数100名前後、MFクラウド事業単独で見ると50名未満の規模でした。2017年9月29日に東証マザーズに上場、2018年4月1日時点では、社員数282名になっています。上場という節目のタイミングを、会社の内部で経験できたことは良い経験になりました。

普段は、MFクラウドシリーズの導入を支援するために、全国の主に税理士法人・会計事務所を回って、基本的な使い方や設定の仕方の説明、データ移行の支援などを行っています。MFクラウドシリーズには、会計のほかにも、給与や経費精算といった機能も含まれるため、給与計算や経費精算の仕組みについても理解が必要になります。

監査をしていた時は、既に出来上がった数字を基に話をすることがほとんどでしたが、MFクラウドシリーズの導入支援では、数字を作る最初の部分について議論になることがほとんどになります。多少の目線の違いはありますが、業務フロー全体を把握したうえで、全体最適となるような仕組みを提案することが重要な点は、大企業であろうと中小企業であろうと変わることはありません。むしろ、中小企業の方が、一人の担当者がすべての業務を担当していることが良くあるので、部門間の利害を調整する必要がなく、素早く導入を進めることができます。

特に、MFクラウドシリーズは、外部サービスとのデータの連携を重視しているため、取引のやり方や、プラットフォームそのものを連携性の良いものに切り替えて頂くと、効率化を実感しやすくなります。もちろん取引のプラットフォームは、連携性の良し悪しのみで選べるものではありません。会社として、より広く使われているサービスについて、可能な限り連携をよくすることも重要ですが、一方で、外部とのデータ連携の良いサービスを、よりお薦めして普及を促進することも大事な仕事になっています。

導入支援は、会社の中でユーザーと最も接点の多い仕事の一つです。今のサービスの問題点や、ユーザーが抱えている課題を社内に正しく持ち帰り、サービス開発に反映できるようにすることもミッションの一つです。最近は、導入支援の仕事に加え、開発への関与割合も徐々に増えてきました。今後は、より直接的に製品力を高められるような仕事の割合を増やしていきたいと考えています。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

公認会計士として会計に知見があることは当然ですが、システムの基本的な知見を有していることが大きな強みになっていると感じています。

お客様とコミュニケーションを取るためには、会計処理をどうすべきか、業務をどのようにデザインすれば効率化するのか、と言った内容について説得力を持って話すことが必要となります。一方で、お客様の要望をシステム開発に活かすためには、①現場で適切な質問を行い要望を正しく理解する力と、②頂いた要望を抽象化しユーザーの抱える課題の本質を言語化する力の両方が必要となります。また、お客様の要望の中には、そもそもシステムで保有している情報からは実現できないような内容も含まれるため、開発に要望を出す前に、きちんと切り分けて伝える必要もあります。

私の場合は、大学・大学院で情報工学を専攻していたため、情報システムがどういう風に動いているのかという基本的な原理に関しては、知見があります。また、監査法人では、J-SOXの導入期を経験できたため、業務フローをどのように構築・整備すべきか、という点についても経験を積むことができました。さらに、監査法人・コンサルタント時代を通じて、大企業の整備された情報システム・業務システムがどういう仕組みになっているのかを、人的なフォローの部分も含めて見ることができました。

この時の大企業での経験と、孫会社や曾孫会社に往査した時の環境の違いが、今現在の仕事を選ぶことになった一つの要因のようにも思います。

植村 俊介さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

思い返してみると、心が動いた瞬間はいくつかあります。仕事の中でのターニングポイントになっているような瞬間で、例えば、監査法人でいえば、初めて期末監査が終わった瞬間や、主任(インチャージ)をやり遂げた瞬間などが該当します。”仕事をしている中で”とは、少し違うかもしれませんが、監査法人を退職する瞬間もそうだと思います。

アビームコンサルティング時代では、やはりプロジェクトの終了のタイミングだと思います。長いプロジェクトだと、2~3年かけて一つのことをチームで達成するのですが、監査と異なり、来年もほぼ同じメンバーで集合、ということはないため、感慨深かったことを覚えています。

今の会社では、そういう意味では心が大きく動いた瞬間というのはあまりないかもしれません。中小企業向けの導入支援は、多くの場合、数時間で終わってしまいますし、事業全体の動きが速いので、何かを成し遂げたか否かを確認するよりも前に、次の打ち手を考えて実行に追われています。もちろん、節目節目で確認はするのですが、目線が数か月先を向いてしまうため、良くも悪くも結果の数字は参考値以上の意味は持たなくなっています。

今の仕事で、心が大きく動く瞬間があるとしたら、数年から十年位で見たときに、社会が変わったなと思えた時だと思います。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士というよりも、日本の会計業界全般について言えることとして、報酬を取りやすいところから取る、という慣行が強いように感じています。

人的・システム的な投資をきちんと行い、正確な数字を期限通り提出してくれる会社は、そうではない会社よりも低コストで監査やその他のサービスを提供することが可能なはずです。そうであれば、優れた会社は、より低い報酬で同じサービスを受けることができるか、もしくは、同じ報酬でもより良いサービスを受けることが可能なはずです。一方で、誤りが多く、また、資料の提出期限を超過することが多い会社は、それだけチェックの工数が必要になるため、より高い報酬を支払う必要があるはずです。

しかし、現実は、優れた会社がより多くの報酬を支払う、もしくは、優れた会社もそうでない会社も同じような報酬を支払っており、結果として、優れた会社がそうでない会社の報酬を肩代わりしているかの様な収益構造になっている例が少なくないように感じています。

この悩みは、現時点でも、完全には解消できていません。しかし、安価で平易なクラウド会計システムを使っていただくことで、少しでも正しい会計データをより多くの方が作成できるようになれば、悩みを緩和することはできるのではないか、と考えています。

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人生の目的と公認会計士という資格

公認会計士という資格を持っていることで、好きなことにチャレンジできていると強く感じています。公認会計士という資格を持たない状態で、たとえば、当時、ベンチャー企業だったマネーフォワードに転職しようと思ったかというと疑問です。というよりも、もしかしたら、最初に就職した企業から、転職しようという気すら起こしていないかもしれません。

転職をする時にも、公認会計士という資格を持っていることで、最初の面接にたどり着ける確率が高いように思います。自分でも面接を担当するようになって感じるのですが、専門性の高い分野にその道の専門家が応募してくれば、期待が高まりますし、異分野の専門家が応募してきた場合には、なぜ応募に至ったのか話を聞いてみたいと思います。

また、このような信頼感は、公認会計士の先輩が長い時間をかけて醸成してきた結果です。自分が何か意思決定をしたり、発言をしたりする時には、そういった信頼感を損なうものでないか、という意味で自律のための判断基準にもなっています。

最終的に、拠り所とできる柱が一つあることで、自分の興味がある分野に思い切って飛び込むことができるので、公認会計士という資格を持っていることが今の人生の基盤になっていると、最近、特に感じています。

植村 俊介さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

個人のスキルの部分に目を向けるのであれば、自分でコードを書けるようになれたらいいな、と思います。現時点で、こんなサービスを作りたいという具体的なプランはないですが、具体的なプランを思いついたときに試してみる機動力は確保したいです。

もう少し広い範囲に目を向けると、現在の会社に転職後に、全国の会計事務所や中小企業を回らせていただく中で、非効率な部分がまだまだ残されているということを実感しています。この非効率性は大きく二つに分類することができます。必要な情報は提供されているが、利用者側に知見がないために非効率になっている場合と、そもそも必要な情報が提供されていない場合です。前者の場合は、利用者側の知見を高めるといった活動のほかに、知見がなくても情報を活用できるツールを広めるという方法もあり、今の会社での仕事が該当します。

一方で、後者のように、例えば、金融機関や店舗などから提供される情報量が増えないと解決しないような場合もあります。業界をあげて取り組まないと解決しないような課題も沢山あるので、時間はかかるとは思いますが、そのような課題を解決する仕事を一度はしてみたいと思っています。

植村 俊介さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

エージェントさんにメールしましょう(ちなみに、私も複数の方にメールをして相談しました)。

ベンチャー企業の大半は、名前が知られていません。一度、ベンチャー企業に就職すると、その規模の会社に顔の広い方が社内にたくさんいるので、自然と世界は広がっていきますが、普通に生活していて名前を聞くようになった会社は、既にその時点でベンチャー企業の規模を超えている可能性が高いです。私も転職するときにどんなベンチャー企業があるのか、ほとんど知らない状態からスタートしました。

エージェントさんと話すときは、具体的な企業名を挙げるよりも、この後どんなことをしたいのか、どんな業界に興味があるのかをきちんと話した方が良いと思います。きっと、自分が知らない会社名がたくさん出てくるはずです。

少人数の会社の場合は、相性の問題も強く影響すると思うので、可能な限り時間を使って会社見学をすることをお勧めします。実際に伺ってみるのが一番良いと思いますが、web会議でも十分です。先方も、忙しいとは思いますが、時間を取ってくれると思います。

その会社に将来性があるか、成長性があるか、といった部分については、公認会計士としての知見からご判断ください。

エージェントさんと相談するときに、自分の強みを話すことも重要ですが、人数の少ない会社では、強み・弱みと言ってられない部分もあるので、事業に対する興味で選んだ方が良いと思います。自分の強みを活かすことにこだわって、ジョインが遅れることの損失の方が大きいように思います。ベンチャーの成長スピードを考えると(上手く行くという前提ですが)、すぐにあらゆる部署で人が足りなくなっていくはずです。強みを活かすのは、そのタイミングでも遅くはないと思います。

いいな、と思う会社があったら、ポジションなどにこだわらず、とりあえず飛び込んでみてください。

ちなみに、マネーフォワードに興味がある方は、私にメールをいただくのが、一番早いと思います。