
クオールホールディングス株式会社
経営企画本部 医療関連推進事業部 担当部長
田口 豊基
たぐちとよき
自分で考えた事業・サービスを形にして、世の中の人々の役に立ちたい
1990年2月26日生まれ(36歳) 長崎県出身 東京都在住
早稲田大学政治経済学部経済学科 2011年合格

01
キャリアサマリー
大学3年時に論文式試験合格
有限責任監査法人トーマツ入社
クオール株式会社(現 クオールホールディングス株式会社)入社 財務部配属
経営戦略本部へ異動
高校時代に将来の進路を考えた時に、社会の課題を解決して人の役に立つような仕事をしたいと考え、経営に興味を持ちました。そして大学入学後、経営に関する資格を取りたいと思い、公認会計士の勉強を始めました。
トーマツでは、上場企業3社を含む、5社の会計監査を担当し、サービス業を営む企業の株式公開支援にも従事しておりました。監査を行う中で、チェックする側から数字を作る側になりたいと考えるようになり、事業会社への転職を決意しました。
クオールへ転職後、財務部時代は、上場企業の経理業務や開示書類作成を行うだけでなく、M&Aでグループ入りした会社の会計面でのPMIや銀行との借入利率の交渉など、経理財務業務を幅広く担当しました。
経営戦略本部に異動した後は、予算策定・管理や、新規事業の企画・実行、買収候補の探索~クロージングまでの、一連のM&A業務などを行っております。
今後は、色々な会社様と連携を深め、社会の課題を解決するような事業を生み出し、自社をさらに人の役に立てるような会社にしていければと思っております。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
前述のとおり、監査法人では、国内監査部門で上場企業を中心に監査を担当しておりました。
新卒で入社した私にとっては、実務を学び、様々な業界や会社の仕組みを知ることができたのは、貴重な経験でした。一方で監査業務に慣れるにつれて、監査は分析やチェック作業が中心で、クライアントへ提案するのは難しいともどかしさを感じるようになりました(後述の通り、転職してから、クライアントに提案できることはいっぱいあったなと実感したのですが)。
そこから次のキャリアを真剣に考え、コンサルやアドバイザリーなどの第三者的な立場よりも、自分で数字を作ってみたいと思い、事業会社への転職を決めました。そして職種は、まずは監査と親和性の高い経理部門から入り、最終的には、数字(会計処理)の元となる事業の戦略を考える経営企画部門に行きたい、と考えました。
また、私が監査法人にいた時期は、まだ働き方改革などもあまり進んでいない時代でしたので、体調を崩したり休職したりする方が部門内に複数名おり、非常にショックを受けました。この経験から、働く人の健康管理について関心を持ち、また関連して、育児や介護など様々な理由で働きたくても満足に働けない人たちの役に立つような仕組みを作りたいと考えるようになりました。そこから、転職先の業種として、人材業界やヘルスケア業界を主な対象とするようになりました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今は、経営戦略本部経営企画部というところに所属しております。
予算の策定・管理や会議体の運営といった、一般的な経営企画部門の業務もありますが、そのほかにも新規事業の企画・実行、買収候補の探索~クロージングまでの一連のM&A業務など、より事業に近い業務もあります。また、IR業務やガバナンスに関わる業務も行っております。この通り、幅広い業務を行っているため、日々勉強といった側面があります。
また、ホールディングスという立場にいるため、グループで行っている事業すべてに関与しております。そのため、色々な事業について考え提案するという面白さがあります。
今後のキャリアパスとしては、経営企画部門でのステップアップや他部門への異動だけでなく、既存のグループ会社や新たにM&Aでグループ入りした会社に出向するといった道も考えられます。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
自らの強みとして意識してきたのは、創造性・協調性・効率性ですが、特に協調性が今の仕事と大きく関係しております。
例えばM&Aでいえば、財務面では自分で対応できるものの、労務面・法務面などでは自分で対応できないため、本社の各部門の方の協力が不可欠です。その際、気持ちよく協力してもらうために、こまめにコミュニケーションをとることで彼らの要望をヒアリングし、懸念点に対応するようにしております。このようなコミュニケーションは、異動後すぐにはなかなかうまくできませんでしたが、上司が非常にコミュニケーションのうまい方でしたので、上司の背中を見ながら学んでいきました。
また、自ら提案したプロジェクトについては、先の先まで考え、細かい点まで配慮しながら進めることを意識しております。これは、自ら提案したプロジェクトは、他人任せにしても全く進まず、自分で道筋を考えない限りはうまく進まないからです。そしてプロジェクトを進める過程では、協力してもらうために人を口説く必要があるため、細かい点まで配慮して関係者と協調することが重要になります。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
いくつかありますが、一番大きく動いたのはありがとうと言われた時ですね。
普段言われるのもうれしいのですが、仕事がうまくいっていないときや悩んでいるときなどに、何とか抜け出そうと工夫したことに対してありがとうと言われた時は、これでいいんだと思えて、自信につながる気がします。ですので、後輩に対しても悩んでいそうなときには、言ってあげるようにしています。
また、自分の提案が受け入れられたときも、心が大きく動きました。M&Aの営業をしているときに、買い手が自社を含めて複数社あったため、売り手に対してプレゼンを行う機会がありました。この時、上司に同行してもらい、私が自社の説明や自社にグループ入りすることのメリットの説明などをしました。後日仲介会社から連絡があり、売り手の方が先日の話を聞いてぜひ自社と一緒になりたいと言ってくれているという話を聞いたときは、非常にうれしかったです。
今後は、複数名で行うプロジェクトを、協力して成功させて、みんなで達成感を味わうような経験をしたいと考えています。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
事業会社に転職後、公認会計士であることの強みや弱みについて、悩むことがよくありました。
例えば、公認会計士としての強みには、会計処理や開示に強いことが挙げられると思います。事業会社の経理に転職した際も、この強みを活かし、会計処理の検討や資料の改善を行っていました。
しかし、会計処理の検討が必要な新しい事象も頻繁には起きませんし、資料の改善もある程度進むと改善の余地は少なくなります。そして部署を異動しM&Aや経営企画を担当すると、M&Aの営業や現場で提供しているサービスについての提案など、公認会計士の資格とは直接的には関係ない業務を行う割合が多くなりました。そのため当時は、公認会計士の経験があまり活かせていないのでは?と悩みましたが、これこそが公認会計士であることの弱みではないかと思います。つまり、公認会計士の資格を活かすことにとらわれ過ぎると、悩んだり身動きが取れなくなったりしてしまうのです。しかし悩んでいた当時も、本当は公認会計士の強みを活かすことができており、それを気づかせてくれたのは周囲の人の言葉でした。
例えば、M&AではBSやPLを理解していないと価格の検討はできませんし、サービスや事業を展開するには事業計画書の作成が必要です。これらの業務を、公認会計士の経験を活かした業務とは認識しておりませんでしたが、周囲の人からは、「公認会計士でない人が一から勉強して身に着けていくのは非常に大変なため、公認会計士である田口さんがいてくれて助かっている」と言われたのです。
このことから、公認会計士であることの強みを活かせる領域は非常に幅広いと気づいて、幅広い業務にチャレンジしています。
07
人生の目的と公認会計士という資格
これは回答が一番難しい項目ですね。
公認会計士という資格のおもしろさは、監査という独占業務があるにも関わらず、それに従事していない資格保有者が比較的多いことだと思います。
例えば、税理士には、税務申告という大企業だけでなく中小企業や個人など多数の顧客を対象にする独占業務があるため、多くの税理士の方が独占業務に従事されているように思います。一方、公認会計士・税理士資格と領域的に近いといわれている中小企業診断士には、独占業務がないため業務の幅は広いものの、仕事には資格+αが必要になるのではないかと思います。
このように比較すると、公認会計士の資格があると、監査だけでなく幅広い業務にチャレンジでき、もし何かあれば監査に戻ることができるという安心感もあるといえます。そしてこれは私の人生の目的にもつながると考えております。
私の人生の目的は、『いつでも幸せを感じられるようになりたい』です。そしてそれを実現するためのキーワードを、『愛と感謝』と考えております。
プライベートの観点でいえば、心身ともになるべく元気で、家族・友人と過ごす時間や自分のために使う時間を大切にできる、ということになると思います。そのためには、自分が働いている環境に何かあった場合に、キャリアチェンジすることで対応できるということは重要だと考えています。
また仕事の観点からは、幅広い業務にチャレンジできるため、人の役に立てる領域も広いということが言えると思います。現在、経営企画部に所属しておりますが、管理会計やM&A業務だけでなく、公認会計士の資格とは遠い業務にも挑戦しております。その最たるものとして、本社の若手社員がプロジェクトを提案・遂行しやすくなるように『若手プロジェクト推進委員会』を立ち上げたことが言えると思います。これには、公認会計士試験の勉強中に学んだ経営学の組織論が活きております。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
私はもともと、人の役に立つような仕組みを作ることに興味がありました。
きっかけは、高校生の時に回転ずしを食べに行った時でした。当時(2005年頃)はインターホンでの注文が主流で、タッチパネルでの注文が導入され始めたころでした。その回転ずしのお店にも導入されたばかりで、私は感心したものでした。しかし、注文数が多くなると、何が来ていて何が来ていないかがわからなくなるという不便さがありました。そこで、店内の投書箱に、届いた皿がわかるようにしてほしい旨を記載して投書したところ、次にお店に行った時に反映されていて、すごくうれしくなりました。
そこから、サービスや事業を考えるということに興味をもち、経営への興味につながりました。また、公認会計士の資格を取ったのも、経営に関係する資格を取りたいと思ったのが動機でした。
監査や経理など、少し回り道もしましたが、今は経営企画部門という、サービスや事業を考えるど真ん中の部門におりますので、自分で考えた事業・サービスが形になって、世の中の人々の役に立っているところを見たいですね。
そのため今は、普段のくらしの中で、生活者の視点に立って何か満たされていない「不」はないか探し、見つかったもののうち自社の経営資源で解決できそうなものがあれば、事業という形に練り上げて経営層に提案しております。
また、経営企画という立場は、どうしても企画が中心で、自分が色々なところを営業して回って、ニーズを探ったり事業を作り上げたりという仕事はしづらいため、事業を推進する立場を経験するという意味で、機会があればグループ会社の社長をやらせてほしいとこっそり考えております。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
具体的なアクションにはなっていないかもしれませんが、監査法人で現在働いていらっしゃる方で、事業会社への転職をめざすなら、まずは事業会社で働く自分が監査法人の公認会計士に何を相談したいか考えてみてほしいです。これにより、監査法人でまだやり残したことが見つかるかもしれません。
監査法人にいるときには気づきませんでしたが、クライアントのためにできることは自分が思うよりもたくさんあります。なぜなら、監査法人には公認会計士がたくさんいて、わからないことがあれば先輩公認会計士にすぐ聞くことができますが、事業会社には社内に公認会計士がいることはまれだからです。
私が経理部門にいた時の話ですが、新しい事象が発生した際に、どのように開示すればいいかわからず、また監査法人時代のようにすぐ聞ける人もいなかったため、監査法人時代よりも熱心に会計監査六法を読むようになりました。ですので、クライアントに新しい事象が発生したり、会計基準の改正があったりした時などは、クライアントから聞かれるよりも先に、ここ気を付けてくださいとアドバイスできると、喜ばれると思います(実際に私はそのように提案してほしいと思っていました)。


