
株式会社ファーストリテイリング
計画管理部経営計画チーム 経営計画チームリーダー
原 恭平
はら きょうへい
利益追求が事業会社の魅力。会計力を生かして将来は経営者を目指す企業内会計士
1985年5月7日生まれ(41歳) 大阪府出身 東京都在住
明治大学 商学部商学科 卒業 2010年合格

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キャリアサマリー
有限責任監査法人トーマツ(監査Bグループ)に入社。上場会社を中心とした財務諸表監査、内部統制監査や上場支援業務などに従事。
ファーストリテイリングに入社。経理業務を1年間経験後、現在は経営企画業務に約2年間従事している。
大阪生まれ。父親の転勤により高校から上京し、明治大学商学部商学科に入学。入学当時は学部の科目で簿記を初めて勉強した程度で会計士の存在すら知りませんでした。大学3年の夏に、自身の将来を考える時期がきて、とにかく人と違うことをやってその結果として社会に貢献できればと思っていました。当時商学部に在籍していたので会計士は身近なもので、業務の幅広さと社会への貢献度合いを知って興味をもち、現実的に大学時代に集中的に勉強できる期間があったことから、会計士試験を目指すこととしました。大学4年生の時に短答式試験に合格、その年の論文式試験は落ちてしまいましたが、運よく当時の監査法人の市場は売り手市場だったこともあり、2年間の有期雇用という形で2009年9月に有限責任監査法人トーマツに入社。その後、働きながら会計士試験の勉強を継続し、2010年に論文式試験に合格。晴れて公認会計士となりました。
監査法人時代は5年間、上場会社を中心とした財務諸表監査、内部統制監査や上場支援業務などに従事しました。その後、監査のスキルを活かして事業会社で働きたいと思い、2014年9月に株式会社ファーストリテイリングに転職し、現在も勤務しています。
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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人では、上場会社を中心とした財務諸表監査、内部統制監査や上場支援業務などに従事していました。5年間で一通りの勘定科目の監査手続や監査意見を表明するまでの一連の監査業務を経験したことで、財務諸表などの数値を見て異常値を見つける力が付きました。また小売業の上場支援業務の経験を通して、その業務の範囲内で自ら数値を作ったり開示したりする力も身につけることができました。
監査法人から転職を思い立ったきっかけは、大きく二つあります。一つ目は、監査業務で、ある小売業の会社の粗利の前期比較分析をしている中で、粗利率が低下したときのことでした。監査手続は過去実績という結果をコメントしたのみだったので、手続をどうにか変えられればと思ったのですが、そもそも監査人が入手できる情報量は少なく、またそういう役割を監査では求められていません。監査の限界のようなものを感じました。二つ目は、国内業務だけでなく海外駐在を希望していましたが、現実にならないまま30歳という転職時期に近くなってきた時に、クライアントからお誘いがあったことです。 その時に監査というフィールドだけでなく、ほかのフィールドで自らの知識・スキルを活かせるのではないかと考えました。
いざ転職すると決めた時には、自分の力がどこで活かせるかわからなかったことと、監査時代に様々な業種のクライアントを10社ほど担当し、ある意味どこでも転職できる可能性があるのではないかと考え、企業規模も考えず転職エージェントと話して広く応募しました。いくつかオファーを頂きましたが、最終的にはその会社の企業理念と何より一緒に働く人がどんな方かを優先して決めました。最終面接でお話した役員の目がギラギラしていて、この人と一緒に働ければ面白いだろうなと思って決めた記憶があります。

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
転職してから経理業務に1年間、経営企画業務に2年ほど従事しております。一般事業会社に入ると、公認会計士の資格そのものが役立つことは正直ありません。監査業務の時と異なり、社外の人とのやり取りはほとんどないからです。知識面でも会計ルールを一通り知っていること自体は強みだと思いますが、そこまで詳しい会計ルールを使うことはありません。今の仕事で最も活かされたのは、監査業務の中で実施した財務諸表分析を通じて、一つのことだけでなく物事を全体で俯瞰できる能力と、重要性を考える能力でした。
実際の事業会社では、監査人という第三者の立場から、自分自身で主体的に動かなければならない立場になります。ビジネスの環境はめまぐるしく変わっていくので、時にはこれまでやってきたことを否定して、機動的に修正していかなければなりません。その中で、現状を把握するためにまずは全体を見ることと、そこで出た課題に対するアクションをうつときに重要性に従って優先度を決めるということが大事であることが、身に染みています。
現在は経営計画チームのリーダーの立場で、毎週月曜の朝一に、先週1週間の売上粗利の実績の状況を踏まえ、月間で目標利益を達成するためには今週何をしなければならないかを考えて、CFO、COO、CEOが意思決定と実行するためのサポートをしています。常に今の状況で考えたベストな選択は何なのかを追求しますが、その選択自体が正解かどうかは商売をやってみないとわからないため、正解はありません。だからこそ仮説ベースでもスピード実行し、検証することが大事だと思います。
また、転職してから3年後には管理職・リーダーとなり、部下を持つ身になりました。これまでの仕事のやり方として、自分に与えられた仕事をやりきることを重視していましたが、今はチーム全体でやりきることを意識するようになりました。またリーダーの立場になると、目の前の仕事だけではなく、いま会社で何が起こっているかを把握した上で、課題解決や変革を起こすための新しい仕事を作り上げないといけません。そのために自分で考える時間を意識的に増やすことにしました。そしてその時間を増やすために、今持っている仕事を思い切って部下に任せることもしました。
このような意識付けに無理に変えてみたところ、最初はとても苦労した記憶があります。まず仕事を部下に任せるために、業務のやり方・考え方を標準化して整理する必要もありましたが、そもそも部下が中途採用者中心で、様々な業種のバックグラウンド、スキルを持っていたので、どのように説明するとわかりやすいのか説明方法が難しく苦労しました。それも一から十まで教えることもなく、部下自身が考える力を持ってもらえるような導き方でバランスをとること、そして何より部下のやる気に火をつけることです。結局、仕事において人が動く時は、自分がやりたいことをやれていて、それが他人に評価なり認められている状態であることが大事なので、そのような環境になるような配慮を心がけています。今後も、リーダーとしての業務・会社が目指したい世界・方向性を部下に示して導けるような動きをしていきたいと考えています。
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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
自身の強みはコミュニケーション能力だと思っています。それは相手が欲しい情報をいかに相手にあわせてわかりやすく説明するかだと思っています。前職の監査法人時代では仕事をする直接の相手は経営者や経理部長、経理担当者が中心でしたが、現職では、事業会社の営業部や商品部など、会計を全く知らない人たちと仕事をすることが中心です。そのため、その人たちにいかに腹落ちしてもらい、次のアクションをしてもらうかが大事になります。儲かるためにはどうすればいいのか伝えたいときは、仕訳や会計基準などの専門用語を用いずに図で示すなど、理解してもらえるように常に心がけています。結局、前職では、監査という強制力みたいなところで人は動いてくれていましたが、現職では本人がメリットを感じてくれなければなかなか動いてもらえません。相手にわかってもらうこと、気持ちよく納得してもらって自然と動くこと、ここに面白さを感じます。現職はグローバル企業であるとともに、現状維持を認めず常に高いゴールを目指して進むことをやめない会社ですので、この会社の成長性と周りの成長意欲に感化されながら、自身の知識や経験を活かしながら、コミュニケーションをする。そんな仕事をしています。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
事業会社の魅力は、なんといっても常に儲けを追求することです。毎週月曜に業績を振り返り、今週の目標利益をあげるためにどうするか、売上をもっと多くとるにはどうすればいいか、経費をいかにコントロールするかを突き詰めます。その結果、今月の利益目標を達成できた時は、単純に嬉しいです。狙った数字が達成されたときにこんなにも嬉しいものだとは気づかなかったです。監査では得られない経験だと感じました。
また、現在経営計画業務の中で店舗の収益改善に取り組んでいるのですが、実際に対象店舗に行き店長と話をしながら課題解決をしています。そんな時にP/Lの見方や管理会計の考え方、また、どうすれば利益がとれるようになるかアドバイスをしています。その結果、数値の成果がでて感謝される時にも、自身の知識や経験が役立つことがあるのだなと感じます。私自身も、お客様満足を追求し生き生きとして働いている店長の姿から、いつも学ばされています。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
前職の監査法人時代の5年間で深く悩んだことといえば、あるクライアントで不適切な開示を発見したことです。クライアントのB/Sに計上されている債権が滞留していて、確認状を出しても届かないなど回収状況に懸念がありました。それに対して経営者にヒアリングしたところ、問題ない旨のコメントをもらったため、いくつかの直近の入金を確認したうえで、必要な貸倒引当金の計上を指示してクローズしようとしました。しかし、結果としては債権の回収可能性というより、そもそも売上が架空だったことがわかりました。 この時に改めて監査人としての責任やその影響度合いについて怖さを覚えた記憶があります。そこから訂正監査に突入したのですが、その時の監査責任者やチームメンバーとともに協力し、連日深夜まで監査作業をして何とか乗り越えました。この時は、何よりも懐疑心の意義について深く考えました。
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人生の目的と公認会計士という資格
一度しかない人生ですから、自分がやりたいことをやって楽しく生きていきたいと考えています。大学時代に思ったことは、自分が持っているスキルを活かして何か社会に貢献できればということでした。公認会計士という資格をとった今は、監査業界ではなく会計士を欲している事業会社の業界にどんどん入っていって、パフォーマンスを出したいと考えています。
前述したとおり、会計士という資格そのものは何も意味はありません。社内の人にとっては資格を持っているということそれ自体は何の意味もなく、社外の人と会うこともほぼないため、資格そのものを利用することはありません。ただ資格をとるまでに得た知識や監査法人で培った経験は今も生きています。会計は汎用性のある知識であり、ビジネスマンは会社が儲かるために働くので、その会社の実態を数字に落とし込み、冷静に分析する会計力が求められます。その意味でとてもこの資格は役立っています。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
監査法人から転職し、今は事業会社に所属しています。監査法人と違うところは、第三者の目線ではなく、主体者となって事業を進めていけるところです。生きるも死ぬも自らの動き次第。その意味での事業会社の魅力を知ってしまったので、これからも事業会社で引き続き働こうと思っています。
今は経営計画に所属していますが、将来はCFOなど経営側を目指したいと考えています。そのためには、会社がこれから世界一を目指していく上でも、グローバルに身を置くためにまずは海外駐在を経験したいと考えています。海外で修羅場を経験する。言語もそうですが、何よりも日本人以外の部下をもって、どうマネジメントするかを経験したいと思います。
そのような経験と使命感をもって、さらなる会社の成長に貢献できると思うと楽しくて仕方ありません。今の会社は、現状維持を認めず高いゴールを提示し、現状とのギャップを課題として認識していかにスピード実行していくかを常に意識させられるので、息つく暇もありません。ですが、常に新しいタスクを持ちやり方も自身で決めていくチャレンジングなところや、自分がやりたいようにやらせてくれるところが、とても面白いです。また、周りで働く方も多種多様なバッググラウンドを持っていて、一緒に仕事をして新たな視点や気づきを得られることもメリットです。しばらくは今の会社で働こうと思っています。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
監査法人から事業会社へ転職する2014年時代に比べて、現在は事業会社で活躍している会計士の方が増えてきたように思います。会計士が活躍できるフィールドは増えてきています。数値を見ることができるようになる公認会計士という資格は、やはり汎用性のある資格だなと感じました。
現在、監査法人から事業会社に転職しようと考えている方で、もしまだ在籍しているのであれば、財務諸表を分析する力や専門的な会計ルールを勉強するよりもやっておいたほうがよいことがあります。実際のクライアントへの往査を通じて、会社の仕組みや、規模に応じた相応の牽制機能とは何かなど内部統制を理解しておいたほうがいいと思います。
というのも、事業会社が求めている組織内会計士は、専門的な会計ルールを知っている人というよりも、会計のルールがわからない部署の人とうまくコミュニケーションをとりながら、会社が儲かるためにはどうすればいいのかを分かりやすく伝えられる人なのです。そして、会社が成長を求めるとガバナンスが弱くなる傾向がある中、あるべき管理だけを押し付けるのでなく、許容できる範囲内で相応の内部統制を提案できるような、バランスをとることができる人が求められています。
会計士受験生の方には、会計士という資格はあらゆるビジネスをする中で汎用性があるものだと断言できます。それは、ビジネスにおいては数字で語れなければならないものが多いからです。数字で語るとそこに客観性が生まれます。そうなるためには、数字そのものの読み方のルールを知らなければなりません。ぜひ会計士という資格をそのような視点で考えて頂き、合格を勝ち取って頂ければと思います。


