
株式会社CaSy
代表取締役社長
加茂 雄一
かも ゆういち
大切なことを、大切にできる時間を創る。家事代行サービスで日本中に笑顔を咲かせる起業家
1982年10月28日生まれ(43歳) 埼玉県出身 東京都在住
早稲田大学 商学部 卒業 2004年合格

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キャリアサマリー
大学4年時に公認会計士2次試験合格
中央青山監査法人入所 大企業をクライアントに法定監査業務に従事
太陽ASG監査法人入所(現:太陽有限責任監査法人) IPO準備会社の法定任意監査業務に従事
株式会社CaSy設立
太陽監査法人を退所
株式会社CaSy代表取締役社長に就任
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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
会計士としてのキャリアをスタートさせた中央青山監査法人においては、最初はとある大企業がクライアントでした。優秀な人が多いチームで、監査法人として、会計士としての仕事の仕方はもちろん、社会人としての基本的なビジネスマナーも学ばせていただいたと思っています。監査法人の仕事は基本的にはプロジェクトチームで動き、1週間ごとに別のチームに行くことも珍しくない世界。しかし、クライアントが大企業ゆえに1年の8割ほどはひとつの企業に相対することができたので、このチームで継続して学べたことは大きかったです。一方で、会計という面からだけで企業の全体像を把握するのはなかなか難しいなということも感じていました。
続いて入所した太陽ASG監査法人においては、前職での経験を踏まえて、中小企業において会社の全体像を把握し、経営にもっと近い立場で企業を見たいという気持ちに。IPO準備会社の法定監査業務に携わりました。ここでの経験は非常に有意義で、企業や組織というものを経営者に寄り添う形で捉えることができました。しかし、現場を見るにつけ、会計士である私は会計のことしかわからない。マーケティング、戦略、人事の知識が足りないなと痛感したのです。コンサルタント業務で経営者と話をしていても、目線として会計の目線しかないので、なかなか噛み合わない部分もある。細かな戦略にまで落とし込めていないなという悩みがあったんですね。
この悩みを解決しようと、もっと経営に近いことを具体的に学びたいという気持ちで2012年に会計士の仕事を続けながらグロービス経営大学院に入学。そこで、今のCaSyの創業メンバーと知り合いました。けれど、グロービスに通い始めた当初は、起業というのはまったく念頭になかった。経営者に対して、より的確なアドバイスをするにはどうしたらいいのか、会計士としての仕事を円滑に進めるための手段として考えていたのです。しかし、学んでいく中で、実際に現場でやってみたい、会社という組織で実践してみたいという思いが生まれました。そのタイミングで創業メンバーと出会って、彼らと一緒に働いてみたいという思いも芽生えたんですね。
同時に、監査法人でクライアントのIPOをやっていたのが大きく、色々なベンチャーの経営者と話す機会を得ました。みなさん、とても熱い想いを持っている方が多く、しかも私と同年代。そういう経営者が、社会の抱えている課題を解決したいと夢を語る姿を見ていると、自分も世の中のためになるサービスを作りたいという思いが出てきて、起業に至りました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
ジョインしてから3年ほどは、なにをおいても『調達』がメインの仕事でした。資金調達もそうですし、一緒に働いてくれる仲間、人を集める採用も大きかったですね。このフェーズでは会計士での経験が非常に有効でした。資金調達の際は、蓋然性の高い数値計画が必要です。これについては会計士をやる中で様々な企業のベストプラクティスや悪い例を見られていたので、ある程度のノウハウがあった。一般的には開示されていないものを見られていたというのは大きいですね。
人を集めるにあたっても、数字で語れることは説得力があるので、採用の現場でもなるべく数字を見せて話すようにしていました。夢だけじゃない、きちんとした数字の目標があると示していたからこそジョインしてくれた人もいるでしょうね。
お陰様で資金調達もでき、人材も揃ってきた今は、中長期の戦略や事業計画を練ったり、企業との提携などの新規事業を作ったりしています。ここでも会計士の経験は非常に活きている。会計士として数多く見てきた事業計画で優れていたものは、前提条件がちゃんと定まっていました。この前提条件がブレイクダウンされていると、もし計画通りにいかなくても、どこが悪いというのが明確になります。
逆に悪い例は、前提条件がなくて、“想い”だけで成り立っているもの。創業時はそれでもいいのですが、2年目、3年目となると、想いだけでは事業は成り立ちません。これは実際に会計士としてベンチャー企業と接していたからこそ見えてきたことです。色々な企業の深部まで見られたのは、今の仕事に確実に反映されていますね。
そんな現職、CaSyでのキャリアパス。それは上場をして、家事代行業界の一番をとること。これに尽きます。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
私はいつも前向きなので、社内の雰囲気をポジティブなものにするというのが強みだと思っています。もちろん、企業として厳しい時期やしんどいこともあるのですが……。そういう時でも意識して前向きになる、前向きに見せるようにしています。ただの楽観じゃないんですよ。そう思っている社員もいるかもしれませんが(笑)。人見知りもしないので、誰とでも話せるというのも強みと言っておきましょうか。資金調達で投資家を集めたり、採用で有能な人を口説くとか、経営においての色々な面で役立っています。
でも、一番の強みとなると、先にも言いましたが、会計士としてIPOに関わることができたということになると思います。監査法人に在籍していてもIPOに関われることはみんなが通る道ではありません。ですから、起業をしていざ自分たちがIPOを目指すとなった時に、会計士としてIPOを見てきた経験は非常に大きい。CaSyは一番最初にVCから資金調達をしました。
ですから、エグジットする方法、要はリターン方法については常に考えていた。それがM&AなのかIPOなのか。いずれかの道を作らなくてはいけないと思っていたのです。その中で、私はIPOの実務経験があるので、IPOという形を目指したいということを強く意識していました。その過程の中で企業の体制がよくなるなどのメリットもよくわかっていたので。結果的に、設立3年目、2017年にはIPOを会社として決意しました。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
監査法人での仕事はBtoBのビジネス。それも監査なので、直接的に感謝を伝えられたり、いいことを言われるという場面が少ない仕事です。それと比較して、今はBtoC、エンドユーザーと触れ合う仕事をしているので、「このサービスがあってよかった」という声を聞けると素直に嬉しいです。
ある時、キャスト(家事代行のサービスを行う方をキャストと呼んでいます)が、「CaSyのおかげで結婚できました」という手紙をもらってきたことがありました。それは、CaSyがお客様のお宅にお掃除に入ったことで人を呼べる部屋になった。そこに呼んだ中の一人と結婚することになった。だからCaSyのお陰で結婚できたというお手紙だったのです。
お掃除に入るというサービスを提供することで、思いもよらない可能性が生まれる。誰かの人生を変えることができるのだという事実に直面して、感動しましたし、心が大きく揺さぶられました。
もうひとつ大きく心が動いたタイミングがあります。
CaSyを創業して1年ほどたった頃、経営が非常に厳しい時期がありました。役員は2ヶ月間ほど報酬がゼロという事態に陥っていたほどです。その時は、このまま続けていけるのかとても悩みました。しかし、その時点ですでにCaSyにはサービスを使ってくださっているお客様がいるし、働いてくれているキャスト、社員がいた。諦めることはできない。諦めてはいけないと思ったんです。この時はある意味、なにがなんでも会社を継続させていくのだという方向に大きく心が動いたタイミングだったのだなと今になっては思います。この辛い時期があったからこそ、今があるんだなと、改めて言葉にして感じました。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
会計士の仕事というのは、会計という視点で、企業に必要なことや改善点をアドバイスすることです。けれど、それを経営者が100%受け止めてくれるわけではない。時には反論されることもあります。その背景には人事、マーケティング、オペレーションといった経営者ならではの視点で配慮をしなくてはいけないという理由があって反論なさっているのでしょうが、監査法人時代の私は、反論の根拠がわからなかった。端的に言えば、私は経営者と同じ目線に立っていないと感じたのですね。だから、よかれと思って提案しても納得してもらえない。どうすればもっと付加価値の高いアドバイスができるのだろうと悩みました。
ご存知の通り、会計士の使命は日本経済の発展に寄与するというものです。そのためには、会計士はそれぞれのコーポレート、会社、法人が経済の発展に寄与するのをサポートするのが仕事。その足かせになってはいけない。であれば、経営者と同じ目線からものを見て、様々な観点から有意義なアドバイスをできるようになりたいという思いを強くしました。
それらを乗り越える手段として、グロービスに入ったんです。グロービスに行ってしばらくすると、自身でもわかる変化がありました。まずは、話す内容が明確に変わったこと。それまでは、会計士の仕事の流れの意味付けがわかっていなかった。もちろん仕事のやり方は理解していましたが、それぞれの仕事の意味を自分の中で消化しきれていなかったんですね。だから経営者と同じ目線で話せていなかったのだと気づきました。グロービスで学ぶことで、企業を分析する際の深度が高まったという実感がありました。目線が上がった、視野が広がったとも言えますね。経営者の気にするポイントもわかってきたので、会話もアドバイスも変わり、会計士としての信頼感が増したように感じました。
会計士はみなグロービスに行けというわけではもちろんなく、要は、ビジネスを違う視点で捉える機会を得ることを推奨したいですね。会計上だけではなく、経営全般を学ぶというのは会計士の仕事の視座も上げてくれると思います。
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人生の目的と公認会計士という資格
私の人生の目的は考古学なんです。遺跡を掘っていたいんです。これ、大真面目ですよ(笑)。
公認会計士とは全く関係ないように思えますが、実は、会計士になったのは将来的に考古学をやりたかったからなんですね。資格をもって安定して稼ぎ、いずれは考古学に没頭という……少々不純な動機かもしれませんが。
そんな不純な動機から始めた会計士の仕事ですが、実際に職務にあたりながら会計士としての使命感が培われていきました。仕事として性に合っていて楽しかったし、日本経済の発展に寄与しているというミッションの元に意義のある仕事をしているなという充実感を得ていました。なにより、そこからできたネットワークで今のCaSyという会社、組織を作ることができた。これが一番大きいですね。
もう一つ、人生を賭して「どれだけの人を笑顔にできるか」という目的もあります。
笑顔とは、満たされている、幸せであるということの象徴。笑顔って、本人だけではなくて、周りに伝染していくんですよね。そこが素晴らしい。今、私がCaSyでやっているビジネスというのは、まさに『笑顔』を作る仕事だと思っています。
でも、このビジネスの土台を作ったのは、紛れもなく会計士の仕事での経験や知識です。CaSyのミッションは『大切なことを、大切にできる時間を創る』なのですが、それはお客様、キャスト、社員の笑顔に繋がることだと、私は考えています。今は、このミッションを実現し続けることが私の人生の目的なのかもしれません。そして、老後は……考古学をやりたいですね(笑)。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
まずはCaSyのIPOを達成すること。そして、CaSyを家事代行業界でNo.1にすること。
このふたつはどうしても成し遂げたいですね。公認会計士としても、日本経済に寄与するということをCaSyを通して実現していけると思っています。その上で、将来的には、CaSyを家事代行業にとどまらず、家の中のあらゆることを賄えるプラットフォーム事業にまで広げていきたいですね。
けれど、これらは私一人では到底なし得ません。CaSyのサービスを提供してくるキャストや社員の力がなくては実現できないことです。そのためには、いい人材と出会う、仲間を作るということがとても重要。目下のところ、株式上場を目指して全社一丸となって努力していますが、私自身はCFOに近い仕事もしています。CEO兼CFOというような状況です。本音を言えば、CEOとしてIPO、新規事業や拡大政策に専念したいという気持ちもあります。ですから、CFOを担ってくれる人材と出会うことも成し遂げたいことのひとつと言えるかもしれません。
CFOに関わらず、CaSyが求める人材像としては、世の中を良くしたいと思っている人。なにか悪いことが起きた時にそこから学べる人、つまりはPDCAを回して、課題から解決策を導くマインドを持っているということ。CFOについては、これらに加えてIPO経験者だとなお良い。CaSyは組織としてはまだまだ未熟な部分が多々あります。そこは理解した上で、嘆くのではなく、良くすることを一緒に頑張ってくれる人材と出会えるといいですね。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
会計士の中には起業のマインドを持っている人は多いという印象があります。しかし、実行に移している人は少ないように思います。起業は当然リスクがありますから、現状からの変化を起こすことに躊躇する方も多いでしょう。それでも一歩踏み出して起業を考えるのであれば、とにかく色々な人と会った方がいい。会計士とは別の業種、職種の人と接点を持つべきです。クライアントだけではなく、自らベンチャーのサミットなどに出向いて人と話していくと自分の学びにもなるし、そのネットワーク自体がやがて調達などの際に活きてきます。
私自身はグロービスでその機会を得ました。
CaSyは家事代行の会社ですが、経験も職種も異なる男性3人で起業しています。けれど、もともと家事が得意だったわけではない我々が最初から『家事代行』というサービスを考えていたわけではありません。授業の一環でビジネスプランを100個ほど出したのですが、どうもピンとこなかった。パッと頭に浮かぶニーズを積み上げても、ビジネスとして成立するものはできなかったのですね。
そこで、自分たちが何を一番大事にしたいのかということを3人でとことん話し合いました。3人とも違う仕事をしていながらも、みんな結婚したり子供が生まれたりしていて、にも関わらず仕事や家事に忙殺されていた。最終的に本当は大切にしたいはずの家族との時間を確保できていないという課題が見えてきたのです。そこから家事代行サービスっていいよねという流れになりました。
こういう課題があるから、それをこう解決したらもっとビジネスとして広がっていくんじゃないかという議論を重ねて、最後の最後に出てきたのが『家事代行』だったのです。価値観の異なる我々ですが、非常に共感性の高い話し合いができたので、結論に全く違和感がなかった。ですから、2013年7月に知り合って、2014年1月には会社設立に至りました。
一見、なにも考えずに突っ走っているように見えるかもしれませんが、すべては出会いによって成り立っています。会計士としての出会いもそうですし、自分で選択して出会ったCaSyの仲間も。ですから、会計士としてキャリアを伸ばすにしても、いずれ起業を視野に入れるにしても、多くの人と出会って話をすることを厭わずにいてほしいなと思います。


