
株式会社エスネットワークス
グローカル事業本部 パートナー/本部長
白石 武士
しらいしたけし
経営者やCFOを輩出するためのプラットフォームを作りたい
1973年6月26日生まれ(53歳) 埼玉県出身 東京都在住
中央大学経済学部 卒業

01
キャリアサマリー
株式会社エスネットワークス 入社
株式会社エスネットワークス取締役就任 (ホールディングス化に伴い、株式会社エスネットワークスは持株会社傘下)
同社執行役員就任(上場・中堅企業向け財務・会計コンサルティング担当)
税理士法人エスネットワークス常務理事就任
REVICパートナーズ株式会社取締役就任
地域中核企業活性化投資事業有限責任組合組成、投資委員会・投資委員就任
REVICパートナーズ株式会社ファンド担当室長就任(株式会社エスネットワークスからの転籍出向)
株式会社エスネットワークス 執行役員就任(コーポレート・コミュニケーション本部管掌)
同社トランザクション事業本部長/中堅中小企業向けM&A、同社出資ファンドを管掌
同社パートナー兼グローカル事業本部長/中堅中小企業向けM&A、事業再生、事業承継、海外子会社を管掌
公認会計士試験合格後、2003年株式会社エスネットワークス入社。上場企業および中堅中小企業を対象とした、管理本部支援、M&A支援、組織再編などのコンサルティング業務および常駐型支援業務に従事。上場企業および上場企業子会社の財務経理部長としてマネジメントにも複数関与したほか、中堅・中小企業の経理・財務・経営企画部門を中心とした管理業務・BPR分野での実績多数。また、フィナンシャルアドバイザー領域においても、主に中堅・中小企業のバイサイド・セルサイドで豊富な経験を有する。2012年株式会社エスネットワークス執行役員就任。2021年同社パートナー就任(現任)。
2015年REVICパートナーズ株式会社取締役就任、ファンド担当室長就任、「地域中核企業活性化投資事業有限責任組合(以下、地域中核ファンド)」投資委員就任、経営支配権をとらないマイノリティ出資で常駐協業型の経営支援人材を派遣する地域中核ファンドを新規組成(ファンド規模290.5億円)。同ファンド投資実績は、製造業2件((株)メイコー、東洋刃物(株))、消費財1件((株)I-ne)、IT1件((株)ブイキューブ)、小売1件((株)千趣会)の5件。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
私は会計士試験合格まで紆余曲折あり、結果として監査法人には入社をせずコンサルタントの道を選びました。
そもそも「会計士になりたい!監査法人で働きたい!」と考えていたわけではなく、入学した大学が公認会計士の資格取得に力を入れていたことが会計士を目指すきっかけでした。当時、大学入学後すぐに実施されたオリエンテーションで会計士資格の魅力や資格取得後のキャリアについて監査法人やコンサルティングファームなど複数の道に進むことができるという話を聞けたことが大きかったですね。
その後、大学が運営していた経理研究所(会計士試験合格を志す学生向けの学内サブスクール)に所属。さらに会計士受験サークルにも加入し、会計士試験の勉強を通じて、仲間との交流をはかりました。特に会計士受験サークルに加入したことが自分自身に影響を与えた部分が大きかったと思います。当時のメンバーは本当に個性豊かな方々が多く、会計士という資格に縛られず、経営や学問を目指している人がたくさんいたな、と今振り返っても思います。そのサークルメンバーとの出会いによってたくさんの刺激を受け、改めて会計士資格とはいろんなことができる資格なんだと思えるようになりました。また当社への入社きっかけの話にも繋がりますが、当社の創業者である佐藤がサークルの先輩にいたことも大きかったです。
その後、在学中での会計士試験合格を目指していましたが、結果としては家庭の事情で大学在学中の試験合格は諦めました。試験勉強を中断し家業の手伝いをメインにしばらく過ごしていましたが状況が落ち着いたので再度、会計士試験に挑み、結果として30歳で会計士二次試験に合格しました。
なぜここまで資格取得に力を注げたのかというと、「会計士」という資格を活かして身を立てていきたいという想いがあったからです。その背景には母方の家系には職人肌の人が多く、「手に職をつけて身を立てていくんだ!」ということを子供ながらにずっと考えていたことが影響しています。手に職を、という職業が私の場合はたまたま会計士でした。試験合格後の目標としてはコンサルティングファームや監査法人に行くのも1つの道でしたが、ゴールとしては考えていなかったですね。やはり、会社に勤めて昇進していくということよりも自分で身を立てていく方法を子供の時から変わらず模索し続けていました。
そんな中でエスネットワークスに入社をしたのは先ほども述べたサークルの先輩である当社の創設者の佐藤の存在でした。周囲と比較して30歳という相対的に高い年齢での資格取得だった為、より早く成長したい、「経営」の現場に関与したいと自分自身が考えていたことが、就職先を決めるためのポイントになりました。そのような成長機会を得ることができる環境を求めていた時に当社の会社説明会に参加し、企業理念に感銘を受け入社を決意。さらに私が当社に入社した頃には、創業者の佐藤はクライアントの上場会社に常駐し重責を担って活躍している最中でした。社長自身がCFOとして、組織の外へ出て経営の現場に身を置いていることを目の当たりにでき、とても魅力的に映ったことを記憶しています。
また当時、佐藤からされた話で印象に残っていることがあります。それは日本ではまだMBAというものがそこまで一般的ではなかった当時、会計士資格の取得を通じて得た知識や勉強そのものが、MBA取得に値する実践に近いことを学んでいるのだ、という話をされました。年齢的にハンディキャップを感じていた私に対して、『会計士資格=経営に関する基礎的な知識を習得している』、という言葉にとても勇気付けられたと記憶があります。より早く成長できる環境を求めていた当時の私に、経営コンサルタントとしてのベース知識は、会計士資格の取得を通じて既に保有しているわけだから、経営コンサルタントとして早い成長を遂げるためには環境が重要であり、エスネットワークスは多くの経営の現場に接する環境を提供していきたいと考えているという話をしてもらいました。この話を聞き、なんとなく道が開けたような感覚を持てましたね。そして幼い頃から漠然と思っていた「手に職をつけたい」というような考えから、会社経営やプロ経営者という存在を意識できるようになり、視座が高まったと感じています。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在はグローカル事業本部長として、国内においては主に中堅・中小企業向けのビジネスコンサルティング、及びM&A支援に関する事業を統括しています。ビジネスコンサルティングの具体的な領域としては、クライアント企業の変革や成長を支援するべく、事業再生、事業承継などのサービスを展開しています。加えて、福島相双復興推進機構、および地域経済活性化支援機構などのパブリックセクターへのカバレッジを当本部で管掌しています。また、当社海外子会社で展開する、日系企業のASEANへの進出支援、及び進出後のサポートをする事業を統括しており、日本企業の変革と成長を、国内外シームレスにサポートする体制を構築しています。
前述の福島相双復興推進機構について補足させていただきますと、東日本大震災で被災した企業の再成長または新規ビジネスの支援を行い、被災した地域の企業を復興させていこうというプロジェクトです。このプロジェクトの面白さは地域の企業をサポートするだけではなく、福島相双復興支援機構そのものの運用や当該機構が支援する企業の復興にあたってコンサルティングの分野を限定せず、新規ビジネスの創造、マーケティング支援、並びに人事制度改定など様々な角度から企業を支援している点です。
また当社の事業再生、及び事業承継などのビジネスコンサルティングに関するサービス領域については、改めて強化したい事業と考えています。中堅・中小企業の後継者不在問題への対応、コロナ禍の状況を踏まえた金融緩和により先延ばしとなっている抜本的再生事案の増加が見込まれており、当該領域におけるコンサルティングニーズは今後高まっていくものと推察しています。
その他、当社のM&A関連サービスは、M&Aコンサルファーム(MAブティック)などが手掛けるM&Aのアドバイザリー業務に留まらず、M&Aを検討する前の経営戦略の立案からM&Aの実行支援、さらにはM&A実行後のPMI(買収先の統合プロセスに関する支援)に至るまで、一気通貫してクライアントのM&A戦略を支援し、企業の変革と成長をサポートしている点が特徴といえます。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
端的に言えば、多くのクライアントや幅広い業務経験を積める機会を得たことで、企業が直面する大抵の変革局面における課題に対応できるスキル・知見を有することができたことだと思います。ベンチャー企業から、成長著しい企業、成熟した中堅企業、上場企業に至るまで、様々なステージの企業における、経営管理、組織再編・M&Aに関する支援など、CFO領域に関する経営コンサルティング業務を数多く経験しました。
加えて、中堅中小企業・企業オーナーの税務・事業承継など、幅広い分野で自身の業務領域を限定しない働き方をしてきたこと、これらの集大成が投資事業への関与ですね。投資事業での仕事は過去培った経験の総合力が試されるものだと考えています。
なぜ業界や職種、もしくは特定領域の専門性に特化せず、これまでチャレンジをし続けたのか。その理由は「CFO」というポジションの仕事の領域について一般的に認識されているよりずっとカバーする範囲が広いポジションだと気付けたからです。CFO領域の業務とは基本的には財務会計に関する領域がメインと思われていますが、実際には経営企画、人事企画などを含めた企業経営全般に関わるミドル・バック業務の多岐に渡ります。加えて「CFO」に求められることは事業を推進する為に、経営戦略の立案とアクションプランの実行に関するPDCAサイクルを愚直に回していくことが求められると考えています。よって経営管理だけではなく、経営戦略の立案から実行に至るまでの全般的な役割を担うことになるのです。財務諸表で言うところの貸方(調達)がCFOの領域と勘違いする人は多いと思いますが、経営・事業の戦略立案やその実行サイクル(借方)を円滑に回していくのもCFOの大事な役割だと思います。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
一緒に働くメンバーとの共感が得られ、相互の成長が感じられたプロジェクトのエピソードを紹介いたします。
<概要>
当社メンバー7人のプロマネをしつつ、クライアント企業の財務経理責任者としてプロパー社員を統括し、PMIを実現することがミッションというプロジェクト
クライアントの組織体制を上場会社に匹敵する体制へ整備してその内容をクライアントのプロパー社員に落とし込むという案件にプロジェクトマネージャーとして関与しました。正直かなり忙しい案件で毎日、長時間の稼働となっており大変な状況でした。しかしチームメンバーがクライアントや私と同じ目標に向かって、そして同じモチベーションをもって業務に取り組んでくれており、それだけでも充分に私自身のモチベーションになっていたのですが、さらに嬉しかったことは当時のメンバーからの言葉です。「日々、自分自身の成長を実感できる」「自分の成長が楽しみで眠れない」という話をしてもらえたことは今でも私の中に残っています。メンバーが自己成長を実感しつつ、さらに同じ目標に向かって日々プロジェクトに取り組むことができていたので、チーム感が溢れていていましたね。大変なプロジェクトではありましたが、毎日がとても刺激的で今振り返っても印象的な思い出です。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
これまでの業務を通じて、会計士として何かを悩んだことはほとんどありません。なぜなら、会計士としての資格や立場に固執するのではなく、「+αをどう発揮するのか」「何を軸として持つのか」ということを常に考えているからです。他方で、クライアントに向き合って仕事をするなかで、誰の為に仕事をするのか、という点において葛藤した事はありました。
具体的には、事業再生の局面にある企業への関与において、仕事の依頼者であるオーナー兼社長が経営者責任を追及され、社長としての関与継続が難しい状況でコンサルティングをした案件があります。また本案件はクライアント企業の事業再生のみらならず、子会社や事業の売却など多くの痛みを伴う施策の遂行が求められていました。
当時の私の気持ちとしては、依頼者である社長の想いは優先させたいと考えていました。しかしながら社長1人で会社ができているわけではないので事業の継続、従業員の雇用の維持、再成長の機会など、様々な視点を通じて、「会社にとって一番大事なことは何か」について本案件を通じて考え抜きました。この時に、経営コンサルタントとしての、今の自分の価値観や判断の軸ができたように思います。コンサルタントという立場である以上、依頼者の求めに応じることは必要ですが、時には経営者にとって耳が痛いことも伝えないといけません。企業が持続的に生き残っていく為に、社長が退くべきと考えるのならば、恐れずに進言する事の大切さ。その結果、契約を打ち切られても仕方ないという覚悟を持つことができました。企業の持続的な成長の為に何が必要かを考え抜き、クライアント企業の必要な変革をもたらすことが私たちの仕事だと考えています。
07
人生の目的と公認会計士という資格
先ず、仕事のスタンスとして、何をやるより、誰とやるか(同じバスに乗るか)を大事にしています。その中でできた繋がりはクライアントか社内かを問わず一生ものだと考えています。
今間違いなく、ここ(当社)にいて、この仕事に継続して就いていることは会計士資格を取得した結果からもたらされたものであると言えます。加えて、クライアントの関係者や、補修所時代の仲間、その後の会計士同士のつながりの中で、新たな仕事の機会が生まれ、その先の人間関係の広がりをもたらしてくれました。
資格取得当初は、経験も浅く何もできなかった自分に、会計士資格が自身に下駄を履かせてくれた側面は否めないと思います。なぜならコンサルや企業経営の現場において、数字(会計)という客観的な指標があるからこそ、経営に対して説得力のある事実(過去)や将来を語り、企業(組織)に変革をもたらすことができると考えています。よって会計士資格の取得プロセスにおける、財務会計・管理会計や会社法、経営学、租税法の全ての知識のインプット、及びその後の継続的な知識のアップデートがあって、今の自分がある。但し、資格そのものが自身の提供価値を決めるのではなく、会計(会計士資格)+αをどう構築するか。私自身においては、ゼネラリスト(幅広い経験)によって、それがもたらさせているものと考えています。知識の蓄積だけではなく、経験の掛け算によって、会計士資格を持ったコンサルタントとしての自身が磨かれました。
そして人生の目的としては、CFO、経営人材を世の中に数多く輩出する為のプラットフォームを作り更には、自らも経営人材として企業経営に参画することです。私は当社に20年以上在籍していますが、これまでを思い返すと長かったような短かったような感覚です。48歳になった今、あと10年で何が成し遂げられるのかを考えた時に、当社での業務の中でというより、当社という事業基盤を活かして自分自身をどう実現していくのかということを考えています。その考えが会社の方向性とも合致していて、これまでの集大成として当社の企業理念としている「経営者の輩出」をするためのCFOのプラットフォームを創る、それが実現できれば満足ですね。ビジネスマン人生の集大成として成し遂げたいと考えている、それくらい気持ちを込めた目標です。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
前段で述べた経営者やCFOを輩出するためのプラットフォーム作りです。このように考えるようになった理由の発端は当社が創業来、経営者の輩出と支援という企業理念を掲げ、100年企業・100億企業の創造を事業の理念として、クライアントに対して各種のCFO機能を提供することで、企業の持続的な成長と変革を支援してきた会社であり、私自身もこれを体現すべく、20年以上、仕事をしてきた自負があるからです。
そのための手段として、中堅・中小企業をターゲットとし、事業承継及び事業再生を投資テーマとした、PEファンドを組成したいと考えています。ファンドの出資によって資金を投入するだけでなく、経営支援人材をエスネットワークスから投入することで、投資先企業に変革をもたらし、更には企業価値向上を図るという考えのもと準備をしています。
コンサルティングの枠組みを越えて、株主としてより経営にコミットした形で現場力(現動力)を活かし、投資先へ当社社員が常駐し協業することにより、投資先企業の変革と企業価値の向上、ひいては日本経済の発展に貢献したいです。
この点、REVICとの取り組みはマイノリティ出資ながら、エクイティによる資金提供と経営人材の派遣のモデルによって、一定の成果を挙げました。これを発展した形(バイアウト×常駐協業)で実現させたいです。
PEファンドを立上げた後に目指すこととしては、10年で100件投資、100人の経営人材を輩出することです。そのために、当社が経営者輩出のプラットフォームとなるべく、その枠組みを作りたいと思っています。このプラットフォームを作り上げる事ができれば日本が抱える課題解決貢献できると思いますし、さらには日本国経済の発展に対してインパクトを与えていきたいですね。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
会計というスキルは会計士の方はもちろん持っているベーススキルです。よって自分が提供する付加価値を高めて周りと差別化するためにはもう1つ何かの柱を作る必要があると思います。会計士+αの存在となり社会への価値提供するために、「自分は何に興味を持てるのか、何が得意なのか、何を実現したいのか?」ということを先ずは真剣に考えてみてください。その上で、それを実現する選択肢が何なのか。その選択を行う為の、具体的な行動(情報収集、コミュニティへの参加など)を起こしましょう。例えばそれが、監査を極める、監査を通じた資本市場の円滑化・活性化を図ることでも良い。その為に監査法人のパートナーになることを目指すことでも良いと思います。
その上で、キャリアの転身が必要であれば、実行してみたらいいと思います(手本となるキャリアを歩む先輩は多数いると思うので、そうした方々の話を聞いてみるのも良いでしょう)。その先のキャリアはベンチャー(IPOマーケット)に明るくなり、そのコミュニティに属して、その関連の仕事で身を立てていくでも良い。VCや証券会社、IPO準備企業のCFOなど。監査法人から系列のFASでコンサルの道を究めるでもよい。その先に投資ファンドの道を選ぶでも良い。様々な選択肢があると思います。
目指すべき1つの柱は自分自身が興味を持てるものが一番手っ取り早いかもしれないですが、もしまだそのようなものがないという方は、今後成長する企業や業界という切り口でもいいと思います。まず+αが何なのかを自分自身が明確に意識して、そして認識するための情報収集のためのアクションをすることが必要なのだと思っています。
私はコンサルタントとして仮説をもって行動することを大切にしています。よって闇雲にやりたいことを探すのではなく自分自身の軸を持つということを意識してみてはいかがでしょうか。

