会計士の履歴書
岡部 浩二

みらいコンサルティング株式会社

プロフェッショナル・サービス部 取締役

岡部 浩二

おかべ こうじ

素直に、謙虚に、一生懸命やる。人に仕事に誠実に向き合うグループCFO

1972年9月27日生まれ(54歳) 長野県出身 千葉県在住

学習院大学 経済学部 経済学科 卒業

岡部 浩二

01

キャリアサマリー

1995

株式会社シー・エス・エイ(現 みらいコンサルティング株式会社)入社

高校時代、大学進学及びその後の就職を検討した際に、公認会計士を知る。第2次ベビーブームに生まれ、競争が激しい中、他の人とは違った仕事をしてみたい、また得意の数学を生かせる仕事であると思い、目指すようになる。

学習院大学入学直後、公認会計士を目指すという友人に誘われ、大学OBで公認会計士の方が主催する課外授業(簿記検定受験指導)に参加。簿記はまさに得意の数学を生かすことができたため、これこそ私が目指すべき仕事であると確信し、大学3年生で本格的に公認会計士試験の勉強を開始し、大学4年生で無事合格。

大手監査法人に就職するつもりであったが、バブル崩壊後の公認会計士就職氷河期(合格者の約25%が就職できない)真っ只中で、1年は就職浪人。合格した翌年も大手監査法人に就職できなかったが、日本公認会計士協会主催の合同就職説明会で、監査も税務もコンサルもできるという株式会社シー・エス・エイを知り、応募。無事採用していただく。

入社後は、上場会社の監査、上場会社・上場準備会社の決算・税務申告支援、上場準備会社の原価計算制度や内部統制構築支援コンサルなど、幅広く業務に従事する。その後も事業再生やM&Aなど、時代のニーズに合った業務に関わってきた。また、クライアント業務のほか、グループCFOとして、みらいコンサルティンググループの運営にも関与している。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

株式会社シー・エス・エイの代表取締役は、大手監査法人の代表社員を兼務していたため、関与先の上場会社の会計監査に従事させていただいた。公認会計士3次試験の資格要件を満たすことが主たる目的であったものの、その後のコンサル業務を行う上でいい経験になったと思う。

当時は、PCが1人1台支給されておらず、会計監査においても紙の監査調書を作成することが求められた。各勘定科目の監査調書を拝見できたことは、その後の決算支援や上場申請書類を作成する上で、とても参考になった。
また、管理体制や資料がきちんと整備された上場会社の状況を確認できたことは、これから上場を目指す管理体制が未整備な会社に対して、目指すべき姿をアドバイスする上で、とても役に立った。

当時はまだ監査法人の立場でクライアントへのアドバイスを積極的に行っている方はいたものの、監査法人の立場を考えるとクライアントが求めること、必要とすることに対し、積極的なサポートは難しいと感じた。また、整備された上場会社にアドバイスすることより、未整備の上場準備会社の管理体制を整備することの方が、何倍もの苦労はあるものの、さらにその何倍もの喜びや達成感を感じることができた。
特にクライアントが上場し、クライアントから感謝された時の喜びは、何ものにも代えがたいものであり、今でもコンサル会社に就職できて(監査法人に就職できなくて)よかったと考えている。

岡部 浩二さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在の仕事の大半は、既存クライアントからM&A検討のためのデューディリジェンス業務とグループCFOとして、みらいコンサルティンググループの運営である。

M&A検討のためのデューディリジェンス業務は、限られた時間や資料から、対象会社のリスクをあぶり出すことが必要である。クライアントは上場会社であるため、監査法人にデューディリジェンス業務を依頼することが多いと思うが、弊社に依頼する理由の多くは、スピードとコスト。上場会社の監査、上場会社・上場準備会社の決算・税務申告支援、事業再生におけるデューディリジェンス業務などの経験から、さまざまな業種・規模の会社を見てきたことが業務に生かされている。

以前、大手監査法人のマネージャーを務めていて独立された方とデューディリジェンス業務を協業したことがあるが、リスクが高い内容へのアプローチと取りまとめまでの圧倒的なスピードに驚嘆されていた。とはいえ、監査業務とそれほど大きな差異はないと思うので、数多く案件に関わればいずれできるようになる。

また、弊社の特徴でもあるが、会計に限らず税務・法務・労務・ビジネス・M&Aに関するプロフェッショナルがチームを組んで対応することで、クライアントの負担も減ることや、さまざまな業務支援を通じて長い付き合いのある弊社に対する安心感が、弊社に依頼する理由である。さらに、案件に関わることで、会計以外の分野の知識が身につき、クライアントに提供する業務領域を広げることができ、結果としてクライアントからの安心感がさらにアップする。
クライアントに必要とされる人材であり続けるため、クライアントに安心感を与え続けるためにも、日々精進を継続していきたい。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自分の強みは、一生懸命とことんやりぬくこと、他人が嫌がる業務でも積極的に引き受けること。
クライアントの業務は、刺激があり、新たな発見があり、感謝されるため、それだけができれば楽しいが、それでは組織は回らない。グループCFOは、私の特性を評価してもらった結果、依頼されたものであり、また、どんな業務でも、意味があり、得られるものもあるので、引き受けてみて、できることから始めてみた。

弊社グループは多種多様な組織・人材で構成されているため、いかに納得感のある業績管理を行うか、常に試行錯誤をしている。これはクライアントに対して行った業績管理のコンサル経験が生きているし、その後のクライアントへのコンサルにも生かされている。
クライアントの業務に対しても、「できない」と言うのはいつでもできる。まずは話を聞いてみて、極力クライアントの期待に応えるため、一生懸命対応する。

上記を続ければ、結果として、社内からも社外からも「信頼を得る」「安心感を与える」ことができるようになり、ストレスなく、常にモチベーション高くできる仕事ができるようになった。

岡部 浩二さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

クライアントが上場し、クライアントから感謝された時の喜びは、何ものにも代えがたいものである。ただ、それ以上に印象に残っているのは、失敗した時にフォローしてもらったことである。
入社2年目、決算支援及び上場コンサルを行っていた上場準備会社S社でのこと。年次的に先輩の公認会計士が上場準備担当としてS社に入社して最初の打合せで、上場準備が思うように進んでいないことを指摘される。「会社の受入体制が整っていないので、一気にはできない、1つ1つ準備を進めている」と説明しても、「何をコンサルしているんだ」の一点張り。
翌日上司に相談したところ、その日のうちに代表取締役含む3人の取締役(いずれも公認会計士)がS社に訪問し、S社社長・専務に対し、今後の進め方を改めて説明し、理解していただいた。
真っ先に対応し、解決してくれたことは、とても嬉しかったし、「上司としてのあるべき姿」を理解することができた。その後部下ができた時に、部下に困ったことがあれば、すぐに対応するようにしたことで、信頼関係も構築でき、仕事をしやすい環境をつくることができた。今でもこの時の「上司としてのあるべき姿」を意識して、行動するようにしている。
余談ではあるが、上場準備担当としてS社に入社した公認会計士は、上場させることだけを考え、社内の状況を考えない言動が社内の反発を招き、早々に退職したとのこと。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

入社当初は与えられた業務(言われたこと)に一生懸命対応すればよかったが、2~3年目になると担当する業務が増えていき、十分な対応ができず、中途半端な仕事の結果、クライアントや社内からのクレームが続くようになっていた。
仕事の優先度を間違え、対応しやすい仕事から片付け、面倒な仕事を後回しにした結果である。また、指摘されたことに対しても、言い訳ばかり考え、素直に自分の状況や思いを周りに伝えることができなかった。自分1人で解決するしかないと考えれば考えるほど、思うように仕事は進まず、いつも上司に怒られてばかり。どうしてよいかわからない状況が続いた。
ただただ、辞めたい。逃げ出したい、死にたい・・・。
その状況を乗り越えるきっかけは、上司のある一言だった。
「すぐにできるようになるはずがない。素直に、謙虚に、一生懸命やっていれば、いつかはできるようになる。慌てるな」。
まずは、できることから1つ1つ片付けていこう。できないことはかっこつけず、素直にできないと認め、相談しよう。
それから数年かかったが、クライアントや社内からのクレームも無くなり、逆に信頼していただけるクライアントも増え、社内の評価も上がった。
今でも「素直に、謙虚に、一生懸命やること」が、私のポリシーであり、若手にも同じ話をするようにしている。

07

人生の目的と公認会計士という資格

「自分を犠牲にしてでも、困っている人を助けたい。見返りは期待しない。いつか報われることを信じて」。
私の母がまさにそのような人生だった。主婦だった母の告別式に約500名が参列し、おとき(告別式後の食事)に約200名が参加するのは、とても異例とのこと。同じような人生を送りたいと考えるようになった。

公認会計士としての知識や経験がなくても、困っている人を助けることはできるが、公認会計士としての知識や経験を生かして、困っている人を助けることができる。
特に事業再生の業務では、生きるか死ぬかの会社を立て直したり、立て直せなくても事業と従業員雇用を継続させることで、困った人たちを助けることができた。上場会社や成長途上の会社に関与した経験から、理想の会社と事業再生しなければならない会社のギャップを明らかにし、立て直し(改革・改善)に役立てることができた。また、公認会計士が関与すると、関係金融機関も態度が一変することは何度もあった。関係金融機関には「公認会計士が関与している」というだけで、安心感を与えることができるのだ。

業務に従事している時は、目の前のことに一生懸命対応し、後のことは考えないようにしているが、弊社の仕事ぶりを理解していただき、関係した金融機関から新たな案件を紹介してもらうことが、多々ある。ありがたい話だ。
今後も1人でも多く、困っている人を助けていきたい。

岡部 浩二さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

みらいコンサルティングとなった2007年(35歳前後)から現在に至るまで、グループ運営に従事してきた。経営に関与することで、仕事やメンバーに対する意識も変わり、クライアントからの信頼度も高くなったと思う。
いまの30代のメンバーが経営に関与できるような体制を早く作りたい。それが、彼らのためになると思うので。

また、公認会計士の仕事はAIに代替されると言われているが、代替されるような仕事はしてきていないつもりである。代替されないような公認会計士を1人でも多くするために、1人でも多くの公認会計士と一緒に仕事をし、ノウハウを伝授したい。

独立することは考えていない。1人でできることに限りはある。弊社はプロフェッショナルがチームを組んで対応しているが、1人でも多くのプロフェッショナルと協業し、困っている人のため、クライアントのため、地域のため、日本経済のために貢献していきたい。

岡部 浩二さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

キャリアを模索する会計士へ

まずは、与えられたことを一生懸命やること。やりたくない、不得意と思うことも、与えられたことは一生懸命やってみよう。
一生懸命やったことで無駄になることは1つもない。いつかは役に立つこともあるはず。
自分の得意分野を理解し、その分野に対してとことんやり抜くこと。ただし、得意分野をやらせてもらうためには、何でも一生懸命やって、認めてもらってから。
得意分野で誰にも負けない知識と経験を身につけることができれば、おのずと得意分野の仕事はやってくる。
いまの職場でできるだけの努力はしてみよう。慌てて結論は出さないこと。どんなに努力しても難しいと感じたら、環境(職場)を変えることを考えよう。

会計士受験生へ

会計士試験は一発で合格すると思っていなかったが、試験直前まで一生懸命頑張った結果、合格できた。やみくもに勉強するのではなく、勉強の計画を立て、計画と実績を比較し、次の計画に生かす。P-D-C-Aサイクルを回すことは、就職後の仕事にも生かせた。
また、会計士を目指したのは、自分が得意な分野で、楽して人並み以上の給料がほしかったからで、何をしたいかは全く考えていなかった。逆に何をしたいのかを考えていなかったから、与えられたことに柔軟にチャレンジでき、業務の幅を広げることができたのかもしれない。
まずは、合格することだけ考えて一生懸命勉強する。やりたいことをみつけるのは、合格して、就職してからでも遅くはない。