会計士の履歴書
澤田 裕介

GMOリサーチ株式会社

経営管理本部 取締役

澤田 裕介

さわだ ゆうすけ

取締役経営管理本部長としてバックオフィス全般を管掌。冷静でフェアな判断が管理系取締役にマッチ

1985年1月8日生まれ(41歳) 大阪府出身 神奈川県在住

神戸大学 経営部 卒業

澤田 裕介

01

キャリアサマリー

2008

監査法人トーマツ入所。国内監査部門で、法定監査業務、J-SOX構築支援等に従事。

2012

アライドアーキテクツ株式会社に入社。財務経理、IPO担当として従事。

2016

GMOリサーチ株式会社に入社。取締役経営管理本部長に就任。経理財務、人事労務、総務法務、広報IR、経営企画、子会社管理等のバックオフィス全般を管掌。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

大量合格のタイミングで会計士試験に合格し、監査法人トーマツの東京事務所に入所した。その年は、かなりの売り手市場で、面接にさえ行けば当時の4大監査法人に入れるという状態であった。仲良くしていた会計士の先輩がトーマツということもあり、トーマツを選択した。同期も全国で約800人いるような状況であった。監査法人に入所してからは、たくさん同期がおり、配属された国内部門では、アサイン先が十分にないような状況で、繁忙期以外は、特定のクライアントへ往査しない事務所内勤務も多かった。

もともと長期的に監査法人で働き続けるという考えはなかったので、その分早く監査の経験を積みたいと思っていたものの、法人内で特に自分から何か動いたり努力したりということはあまりしていなかった。将来の方向性としては、会社か何かを立上げて自分でやりたいという漠然とした想いがありつつ、監査法人を辞めてすぐに何かをやるほどの度胸も熱量もなかったので、一歩足を踏み入れつつ監査法人時代の経験で貢献もできそうな、IPO準備中の会社を次のキャリアの選択肢として考えた。

澤田 裕介さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は、GMOリサーチ株式会社の取締役経営管理本部長として、経理財務、人事労務、総務法務、広報IR、経営企画を管掌している。前職のアライドアーキテクツ株式会社ではIPO準備担当をしており、経理財務だけでなく、上場審査のためバックオフィス全般のフロー整備を経験していたため、取締役経営管理本部長としてバックオフィス全般の責任を持つことに対しても、全体像が見えており特に不安はなかった。

入社当時は、マネージャー含めた経営メンバー全体の中で最年少であり、社歴も一番短く、業界知識もない状態だったので、どのように受け入れられるか多少の心配はあったものの、結果的には特に障壁もなく、自然な形で受け入れられた。これに関して、公認会計士資格という目に見える形があったことはプラスに働いたと思う。また会社のメンバーと早く打ち解けるため、必要以上に物腰を柔らかくして話しかけやすい雰囲気を作ること、何にでも積極的に興味を持って気軽に話しかけること、トラブルのようなことがあれば喜んで首を突っ込むこと、などを心がけた。

GMOリサーチは会社の規模が小さいわりに、海外拠点や外国籍メンバーの比率が高く、頭を悩ませる論点も多い。ただ、私自分の語学力の問題もあり、今はまだ十分に対応できているとはいえない。このあたりについては、今の自分の中の一番のチャレンジと捉え、日々奮闘努力している。仕事を通して、海外メンバーとしっかりコミュニケーションを取り、マルチカントリー、遠隔、文化の違い等がある中でのパフォーマンスの最大化を科学していきたいと考えている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自分の強みなのかは分からないが、特徴としては、比較的人を観察し、行間や行動を読んだり、調整したりすることを好んでやるほうである。あと、自分ではあまり実感がないが、ロジカルだと言われることが多い。ただ、自分の感覚としては、ロジカルに考えられるところはそうするが、その先のどうとでも解釈できる部分に直面したときは、感覚値で判断して話すことが多いように感じている。

性格的には、あまり何かに怒ったりヒートアップすることはなく、人を叱ったりということも苦手で、これまでそのような状況になった記憶はあまりない。基本的にはマイナスな事が起こっても、無理やりにでも何かこじつけ、ポジティブにとらえ、発信するように意識している。

そんな気質からなのか、経営陣で議論する際には、冷静にフェアに判断する人という立ち位置になることが多い。比較的、管理系の取締役は、自分にマッチした立ち位置かと思っている。

澤田 裕介さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

監査法人からアライドアーキテクツ株式会社に転職してすぐの時に、ちょうど月一の全社集会があり、月次で全社数値達成、貢献者の表彰という場面があった。これは監査法人時代には経験できなかった体験で、会社全体の数値達成という熱量がすごく、またITベンチャーらしい、自分たちのやってきたことに対する誇りや自信に満ちた表情、一体感が今でも鮮明に記憶に残っている。まさにこれは、自分が身をもって体感したかったことだった。

IPO準備においては、全くの準備前の会社に入り、上場のための体制を1から整備していく中で、当たり前にあるだろうと思っていたものが当たり前にはないこと、今なくて必要なものは良い形で作ればよいことを手を動かしながら体感することができ、自分の中ではとても良いブレイクスルーと自信になった。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

監査法人時代に監査をしていて、常々歯痒さを感じていたのは、事業会社の経理財務の実務、事情、事業部側の実務、事情を腹落ちするほど理解できていない状況で、懐疑心を持って、会計基準を盾に、会社とディスカッション、ネゴシエーションをしないといけないことだった。もちろん、自分の努力不足、実力不足という側面が大きい。また監査を続けたとしても、このギャップを埋められる自信もなく、自分が腹落ちできる状態にはなれないだろうと感じていた。

今は逆に財務管掌取締役という立場で監査人からヒアリングを受けたり、ディスカッションしたりするが、やはり監査チームと会社側とで、埋められない事業や実務に関する情報量、経験値などの違いを感じることが多い。こればかりは、触れている時間の圧倒的差もあり、どうしようもなかったなと監査法人時代の当時を振り返ってみて感じるところもある。

事業会社に入ったら情報量などのギャップはなくなったが、今度は管理部門と事業部門との間で生じるギャップや経営陣と従業員間のギャップなど様々なもの見えてきた。前者に関しては、出来るだけ相手部門、全社的立場に立って物事を考え、コミュニケーションもしっかり取るよう努めているつもりではあるが、これも実際事業部側で責任を取る立場にならないと感じられないことも多い。何事においてもギャップは存在する。また、すべてを経験し理解することは、不可能かつその必要もないので、どこで折り合いをつけるかは、自分の考え方・捉え方次第だなと改めて感じている。

07

人生の目的と公認会計士という資格

公認会計士という資格はある意味、便利なパスポート的なものだと思っている。あくまでパスポート的なものであり、どこに行くのか、行った先で何を成し何を得るのかは、自分次第である。採用する側の視点で考えると、ある程度の能力と知識は担保されているので、後は、人柄、興味の方向性、責任感などを実例を交えて聞けばよく、思い切った判断がしやすい。

自分の例でいうと、今のGMOリサーチに入社する際にも、社長は、このようなところを短時間で判断したのだと思う。社長は40代、他の役員は30台後半~50台の中、管理部の管掌役員として、一回り歳の違う、当時30歳だった自分を入れるという判断は、公認会計士という資格と前職のIPO準備経験なしでは、さすがに不可能だと思う。

IPO準備経験というところも、かなり自分の好きなように、かつ責任を持ってやらせてもらえていたと思うが、公認会計士の資格がなければ、それほどは好きにやらせてもらえていなかったように思う。自分としては、公認会計士の資格を意識することも口にすることもほとんどないが、周りからの見え方や判断に対しては何かしら力が働いていて、気づかないうちに、色々と恩恵を受け助けてもらいチャンスを貰っているのだと思う。

澤田 裕介さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

今、AI、ブロックチェーン、VR、ドローンなどさまざまな技術の実用化が進み、今後、世の中がどれだけ変わっていくのかが想像しづらい中ではあるが、世の中への貢献と自分の人生とのバランスを最大化できるような何かを見つけ、実行していきたいと考えている。それは、今の会社、役割の延長線上にあるかもしれないし、そうでないところにあるかもしれないが、恥ずかしながら、今のところは明確に何かが見えているわけではない。

澤田 裕介さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

監査法人での経験とそれ以外の特技、経験を2つ、3つ掛け合わせられれば、かなり市場的に価値のあるものになると思う。それに加え、素直な人柄と行動力があれば、申し分ないと思う。

何かアドバイスがあるとすると、何かを経験する場合には、自分が決断し責任を取るという強い気持ちで臨み、それを習慣化することがよいと思う。(実際には権限がなく上司が承認するにしても)。人に決断を任せると、せっかくの経験値が半減するように思う。

車の運転で例えると、自分で決断するということはハンドルを握ることに似ていて、実際にハンドルを握って車を運転するのと、助手席に乗って運転のイメージトレーニングをすることと、見えている景色はほぼ同じでも、得られる経験値が全く異なる。機会も時間も無限にあるものではないので、助手席で景色を見ているだけで、何かが得られたと勘違いしてしまうことがあるなら、それはもったいないことだと思う。

CFO等その分野のトップの責任者になると、管掌分野においては、自分以外にハンドルを握る人はおらず、自分が決断したことを止めてくれる人も基本的にはいない。ハンドルを誤って切ったら、簡単に大事故になりかねない。そして、経営レベルの議論となると、明確な正解がない大きな課題に対してスピーディーな判断を求められることもある。そんな場合でも他の誰かがこう言ったから、などといういい訳はもちろん出来ない。そんな来るべき日を想像し、普段からハンドルを握り、決断する習慣を付けておくとよいと思う。