会計士の履歴書
佐藤 建史

ペットゴー株式会社

経営企画部 執行役員

佐藤 建史

さとう たてふみ

ベンチャー企業ではわずかな数字の変化からアラートを読み取り業績予測。管理面から強い会社に育てる企業内会計士

1987年2月6日生まれ(39歳) 福島県出身 東京都在住

日本大学 経済学部 卒業

佐藤 建史

01

キャリアサマリー

2007

公認会計士試験合格後、新日本監査法人東京事務所に入社。 法定監査を中心に経験するも、東日本大震災を契機に福島事務所への転勤を希望し、地域復興等の業務にも従事。

2015

新日本監査法人を退社し、ジャパンビジネスアシュアランス株式会社に入社。 クライアント様の経理実務を直に体験し、事業会社への興味が増大。

2017

トライオン株式会社に入社。経理・財務及び予算管理を中心にした業務に従事。

2019

ペットゴー株式会社に入社。内部体制の整備、予算管理、経理部門統括等に従事しながら、会社の継続的な成長を支える。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

大学3年次に公認会計士試験に合格したことで気分が高揚し、深く考えずに大手監査法人への入社を選択。当時の状況は、合格者が倍増し同期も900人以上と大所帯であり、また新日本監査法人もみすず監査法人との合併で社内の状況が大きく変化していた。

年齢が若いというのはアドバンテージである一方、監査法人においては不利な状況に立たされることも多いと感じた。当時の監査法人は、特定の部署または監査チームに配属された者が有利となる状況であり、若干の人手不足感も手伝い、新人にもお声がかかることは多かったが即戦力が求められる傾向が高く、ある程度の社会人経験のあるものが有利でかつ自らが学生であったこともあり、最初の選択肢は狭かったものと振り返る。ただしその中でも、上司に非常に恵まれて仕事ができており、当初は監査法人で長年働いてくことになるだろう思っていた。

しかし、2009年に業績の悪化に伴うリストラが行われて以降は、信頼のおけた上司や同僚も退職や異動によりバラバラになったこと、社内の昇格制度についても疑問を持ち始めた時期があり、自らの価値及び将来のキャリアについて真剣に考えるようになった。

2011年の東日本大震災を契機に、地元の状況を聞き自分でもできることがあるのではないかと思い、福島事務所へ転勤。3年間という中ではあったが、地元企業の復興にも協力しある程度の充実感を得ていたが、監査法人とクライアント先には若干の壁があり、もう少しクライアントに近い立場で仕事をしたいと感じたことで転職を決意。

転職の候補としていくつか考えた中で、クライアントに寄り添って事業を行っている会社ということでジャパンビジネスアシュアランス株式会社を選択し入社。会計アウトソーシングを請け負っていたこともあり、徐々に事業会社への思いが強くなり、大企業ではなく、企業の成長に貢献するためベンチャー企業を選択。

佐藤 建史さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は企業に所属しており経理部門を統括しながら、予算管理及び内部管理の構築等の業務に従事している。
特に、予算管理については会社の方向性を決める大事な役割だと認識している。
数字は結果であり会社の業績を表すものではあるが、それだけでは不十分である。
その数字にどのような意味があるかということを分析しながら、社内・社外にわかりやすく説明をすることが必要だと感じている。
分析、説明を行うには背景を正確に理解することが重要であり、監査法人での経験が大きく活かされる業務であると考えている。
会計士の業務やキャリアは多岐に渡るが、基礎になるのは監査法人での経験であり、“常になぜこのような結果になったのか”という疑問を持ちながら業務を行ってきたことが現在まで積みかさなっていると考える。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自らの特徴として、常に最悪の事態を想定して行動することがあげられる。昨今新規上場した会社の多くが、下方修正を出して評価を下げる事案が多発している。もちろんベンチャー企業や新規上場企業は、新規の分野のサービスを提供するなど事業に革新性をもたらすことが評価されて会社の価値が高まっていくが、それだけでは大企業や競合他社にいずれは追いつかれるし、それは結構すぐやってくるものだ。そうした状況を想定できていないことが下方修正につながっているのではないかと思っている。

個人的には、細かいアラートを感じ取ることができるのは数字を管理している者だと考えている。そのため、時には経営陣に対立した意見をいうことが必要な場合もある。それはすべて会社を思ってのことだ。説得材料は数字以外にあり得ないし、数字が実質を語ってくれる。幸いにして、現状は理解のある方々がいらっしゃるので非常に助かっている。

佐藤 建史さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

仕事を義務感で行っていると、将来閉塞感が出てくることになると考えている。現在、ワクワクしない仕事をしているのであれば、自分に問いかけてほしい。その仕事をして自分の人生の大半を過ごすのかと。答えが「ノー」なら、小さな楽しさを発見していくことが必要だ。

例えば、私の場合数字のチェックをしている際に1円の差も出ずにピッタリ一致すると何となくうれしい気分になれる。こんな小さなことでもワクワクできるし、仕事に対しての活力を見いだせると思っている。もちろん、大きな目標を達成できるように仕事をしていくこともワクワクするが、日々の仕事の中にも、小さな楽しさがたくさん詰まっていることは忘れないでほしい。もし、仕事に食わず嫌いを持っているのであればなんでも挑戦してみることをおススメする。居心地の良い場所から飛び出して新しい挑戦をすることで、良い経験ができるものと思っている。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

監査法人に在籍していたころから、公認会計士としての仕事に深く悩んだことはない。分析をするのも好きだし、自らの性格上数字を扱う仕事がすごく向いているからだと思っている。ただ、監査法人に在籍していたときに一度だけ嫌な仕事があった。クライアントの意見を覆す判断を出さなくてはいけないときだった。監査法人というのは担当者1人の意見ではなく、チームとして意見を形成しそれをチーム外の者に確認を取る必要がある。監査の終盤になって、突然クライアントの主張を覆すことが必要になったことがある。新しい情報が出てきたためだ。クライアントの責任者に説明をしてもなかなか折り合うことはできないし、時期も差し迫っている。監査法人にいれば必ず出くわす状況だと思う。

最終的には、日頃からのコミュニケーションを取れていたこともあり、折り合いをつけることができたが、監査法人という立場にいなければ納得して頂けなかったと今でも思っている。それほどの権限を監査法人は持っていることを改めて思い知らされた一件であった。

07

人生の目的と公認会計士という資格

公認会計士になることが自分の人生の目的だという方はあまりいないだろうし、公認会計士になるのが子どものころからの夢だったと言っている人を見たことは今までにない。会計は数字に直結する仕事である以上、野球選手や弁護士などの夢の職業ではなく、現実を知ったものが目指す職業なのだと思っている。

その中で、私が公認会計士を選んだのは、別に監査をしたいからでも会計に興味があったからでもなく、経営に携わった分野で仕事をしたいと思っていたからだ。会計士になってから数年間はこのことをすっぽり忘れていたが、キャリアを考える際にはいつも経営者の役に立ちたい、傍で働きたいという気持ちが先に立って出てくるので、今でも当時の思いはまだ残っているし、これからも同様であると思う。

佐藤 建史さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

どういう仕事でもそうだと思うが、一番の財産は“経験をしたこと”ではないだろうか。転職活動の際にも、条件の中に“経験があること”が必要になるケースが多くあるが、それほど経験をすることは価値が高いものなのだと思っている。今後については自らが少しでも興味がある分野については、積極的に参画していきたいし、社会に貢献したいと思っている。なぜこのように考えるかというと、社会的に影響力のある方と接する際に感じたことの共通意識の中に、“社会貢献”というキーワードがあるように思うからだ。育ててくれた社会に対して自らの経験を生かしてより良い方向に向かっていくように貢献している姿を見て、感銘を受け将来的には同じようなマインドを持ちたいと思う。

佐藤 建史さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

今後のキャリアを考えられる会計士については、現状を洗い出してみるのが良いと思う。その場合には転職エージェントを活用することは有用だと思うし、自らの価値についても知ることができる。

会計士としてのキャリアを考える上で、自らの強みを作ることが必要といわれることが多いが、強みは作れるものではなく、徐々に出来上がってくるものではないだろうか。目標が決まっていないのなら現在の業務に没頭してみることも1つの選択肢になる。そこから何をしたいのか見えてくることもある。

また、今後会計士を目指したいという方々については、会計士といっても千差万別でいろいろなキャリアをお持ちの方が多いので、複数の会計士にアプローチを取って意見を聞いて参考にしていただきたいと思う。会計士になってからキャリアを考えることも悪くはないが、これといった目標が決まっているのであれば、会計士にならずとも達成可能なのかもしれない。目標がなくても会計士になったらすべて解決というわけにはいかないので、今のうちから将来のキャリアを熟考しておくことが必要だ。