
さつきアドバイザリー株式会社
代表取締役
坂田 康明
さかた やすあき
会計以外のさまざまな課題にも常に向き合い続ける。経営者にとって本当に信頼できるパートナーを目指す
1982年10月13日生まれ(44歳) 埼玉県出身 東京都在住
明治大学 商学部 商学科 卒業

01
キャリアサマリー
某資格専門学校で非常勤講師として勤務
某中堅監査法人及び中堅・中小企業向けの某M&Aアドバイザリー会社で勤務
経営支援の株式会社リヴァンプに転職
上場子会社の創薬ベンチャー会社に転職
スタートアップ・IPO準備会社向け経営管理体制構築支援のさつきアドバイザリー株式会社(旧:株式会社Initial Stage)を設立
埼玉県越谷市で生まれ、3歳の時に千葉県浦安市に転居、以後20年以上東京ディズニーランドとともに生きる。中学高校は、自宅から片道1時間の中高一貫の男子校に入学し、6年間皆勤する(中学でテニス部から帰宅部になり、以後部活動をしてこなかったことが大きな後悔)。
大学入学後は、アルバイトとサークル三昧の生活を送る。父親が公認会計士だった関係で、高校時より公認会計士を志そうと決めてはいたものの、大学時代はほぼエンジンがかからず。大学卒業後、どんどん周りが試験合格していく中で、大学界隈でただ机に向かって潜伏活動していることに焦りと悲しさがこみ上げ、社会との接点を求めて某資格専門学校で非常勤講師として働く。
試験合格後、紆余曲折あってファーストステップから監査法人と事業会社の二足のわらじの道を歩み、この時点で「普通の道」を外れる。公認会計士登録後、企業経営の現場力を求めて経営支援のリヴァンプに転職し、東証一部上場の不動産会社でまったく会計とは関係のない業務効率化、コスト削減、CS調査支援に約2年従事する。35歳を目前にして自分の強みを改めて考え、また会計から暫く離れてしまっていた焦りもあり、大学時代の友人の誘いで、IPO準備のため創薬ベンチャーに転職し、上場準備体制を二人三脚で構築する。その後、これまでの全ての経験を活かすべく起業し、現在に至る。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
試験合格後に入所した監査法人では、比較的規模の小さい複数の国内上場会社の財務諸表、内部統制監査に従事した。また、未上場会社の任意監査にも何社かアサインしてもらった。
中堅の法人であったため、法人としての研修制度がなく、学ぶことは全てOJTであった。入所年次と担当科目の一般的な感覚はあまりわからないが、大手法人の同期よりは多くの勘定科目を担当させて貰えていたように思える。ただ、周りは殆どが大手監査法人出身のベテラン会計士であったため、法人内に頼る同期がいなかったことはとても孤独であった。しかし、そこは補習所の同期に公私ともに助けてもらったので、何とか乗り越えられた(?)と感じている。いまでもその時お世話になった補習所のメンバーたちとは親しい関係を続けさせてもらっている。
上述したとおり、公認会計士の第一歩から普通の道を外れた影響もあってか、もしくは、そもそも自分の性格が監査業務に向いていないことを感じたためか、残念ながら在籍期間を通じて与えられた業務に高いモチベーションを維持できるポイントを見出せなかった。ただ、監査の手法や考え方に加えて、仕事をする上でのコミュニケーション方法やビジネスマナーなど、その時の経験はとても学ぶことは多く、今でもその時学んだことは要所で活かされていると感じる。面倒見の良い先輩方に時に優しく、時に厳しく、厳しく、厳しく・・・たくさんご迷惑をお掛けしながら、貴重な実務経験を積めたことはいまでも感謝でいっぱいである。
一緒に働いていた諸先輩方は自身で事務所、事業をやられている方が殆どだったため、監査業務よりも寧ろそちらに感化され、一定の経験をしたところで、監査とは別の仕事に就こうと考えていた。これには、監査業務と並行して従事していた父親が経営する中堅・中小向けのM&Aアドバイザリー会社での業務に面白みを感じていたことも影響していただろうと思う。M&Aアドバイザリー業務では、飛び込み営業も含めて、百社以上の会社に訪問し、提案、交渉する機会を与えてもらえた。その中で、対面する中堅・中小企業の経営者の役に立てる仕事というものを真剣に考えるようになり、同時に対面する経営者の方々のように「自分の城を持ちたい」と思うようになった。
その後の経験を通じても、「自分のコントロールできる範囲で事業をやりたい」という思いは増していった。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在は、在籍していた創薬ベンチャーのサポートを継続しつつ、さつきアドバイザリー株式会社(旧:株式会社Initial Stage)を友人と設立し、主にスタートアップ企業の経理財務業務支援をはじめ、規程整備や業務管理、人事労務の課題から人生相談まで、ありとあらゆる課題をクライアントの経営者や従業員の方々と一緒に取り組んでいる。いわゆる外部CFOの立ち位置で、様々な課題解決を経営に近い立場で進めている。
会計士業界でいうと、経理・財務業務支援や内部統制構築支援、上場準備支援のコンサルティング会社や事務所は多く存在するが、これらの枠にとらわれず、経営管理業務全般を請け負っていることが当社の一つの特徴である。そのため、チームメンバーとして必ずしも公認会計士に拘らず、他の士業の方や管理部門出身の方などにもサポート頂いている。
また、会社のステージに見合ったサービス提供を念頭に、独りよがりにならないように常に気を付けている。
当社としては、公認会計士の強みである財務経理業務をコアにしつつも、その時々の課題に常に向き合える経営者にとって本当に信頼できるパートナーとして、コンサルティングでもない税務顧問でもない独自の存在でありたいと思う。
当社の短期的な目標としては、拡大を急ぐよりもじっくり着実に実績を積み上げることを重視している。それは、提供サービスを試行錯誤している面もあるが、業務を通じてクライアントや外部協力者の方々との信頼関係を構築することを重視しているからだ。当社の初動は、個人ネットワークから仕事を紹介頂いたが、その仕事を通じて信頼関係を構築し、お互いをコミットし合いながらそこでまた信頼関係を構築し、次に繋げていくという流れを築いてきている。そのため、これからも暫くは着実に実績を積み上げていこうと考えている。
そして中期的には、当社が事業成長をしていく先に「CFO人材を構築するプラットフォーム」を創りたいと考えている。
会計業界は、AI時代の到来もあり、仕事環境が劇的に変化していくことは容易に想像できる。その変化を受けて、公認会計士は「業務」に向き合う以上に、「ヒト」と向き合うことが増えていくと想定される。そのような時代の変化が訪れても重宝がられるCFO人材を一人でも多く輩出したいと考えている。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
これまで書いてきたように、私は会計士試験合格後に多くの人が歩む「大手で監査経験をたくさんの同期とともに積む」といういわゆる「普通の会計士」を経験してこなかったため、「普通の会計士像」をあまりよく知らない。このことが定型に縛られない、自由な選択、発想を生むことができており、これが私の強みになっていると感じている。
また、いざという時に助けてくれる仲間がいることは、私のかけがえのない強みである。新しい取り組みを行う時や何らかの壁に直面して立ち止まってしまった時などには、相談に乗ってくれ、適切なアドバイスをくれ、また時に力になってくれるのはとても心強い。この場を借りて感謝をお伝えしたい。
私自身の性格としては、色々と挫折を経験しているからかもしれないが、物事をポジティブに考えられるところはある意味強みではないかと思う。妻にも呆れられるくらい楽観主義だが、私としては夫婦でバランスが取れていてよいのではと思っている。
これら経験上の強みと性格上の強みが相まったからこそ、起業に踏み出せたし、ビジネスを少しずつではあるものの前進させられていると感じられる。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
これまで仕事をしている中で、大きく心を動かされた瞬間は、何度かあるが、共通していることは、クライアントから「信頼されている」と感じた時だ。直接口頭で感謝の言葉を伝えて頂くことももちろんあるが、ある時は、経営者の方が既存の顧問弁護士、税理士、社労士などの諸先生方よりも先に私に課題を相談してくれたり、またある時は、会社のイベントに呼んでいただき、チームの一員として認めて頂いたりする。これが私の仕事の強いモチベーションにもなっている。
また少し視点は変わるが、心(というより考え)が大きく動いた瞬間としては、リヴァンプ在籍時に遡る。
私は監査業務から一度別の世界を経験したく、現場力の習得も兼ねてリヴァンプに飛び込んだ。ところが、想像以上に業務はハードで、いまではとてもいい思い出だが、約2年会計という一種の武器を取り上げられた丸裸の状態で戦地に赴き、ムチで打たれ、精神的、肉体的に追い詰められ、プライベートと仕事のメリハリがなくなるわ、円形脱毛症が出るわで、この時期は家族に迷惑をかけていたと強く反省している。
そんなハードな日々を送っている中で、周りの優秀な方々を横目に将来を改めて考えた時に、ここは自分の戦う土俵ではないと感じ、同時に自分の資格や経験、強みを考えた時に、「会計士を武器にすること」は必然であると強く感じた。これは、会計と離れてみて、公認会計士を客観視できたからより強く感じられたし、そのような機会を経験できて良かったと思う。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
当たり前かもしれないが、公認会計士はどうしても「数値に強い人、数字が好きな人」というイメージが強いが、ここから脱却しないと本当の意味での「経営者の一番の相談相手」にはなれないと常々思ってきた。数値は真実だし(たまに偽りはあるが)、経営上重要な要素であるのは確かではあるが、「公認会計士=財務経理業務」というイメージが邪魔をして、経営課題の議論をしても、数値周り以外の話が話題に出てこず、重要な課題をフォローし切れないリスクは多分に存在すると思う。
公認会計士は、通常の職業よりも数多くの企業経営を幅広く、俯瞰的に見てきているため、数値以外の業務も数多く触れており、習得したり考えたりする機会はあるはずであるし、これを活かすべきだと思う。適材適所はあるにせよ、公認会計士が活躍できるフィールドはもっとあるはずだと強く感じる。
また、経営者、特に若い経営者からすると、公認会計士は敷居が高いようだ。日本国内の大多数を占める中堅・中小企業の経営を支えるためにはもっと身近な存在であるべきだ。上場会社など、資金が潤沢な会社のみを相手にすれば、ビジネス自体は成立するかもしれないが、大多数の本当にサービスを欲している層を蔑ろにしていることになりかねない。
このような公認会計士のイメージ問題に対しては、まだまだ到底乗り越えることはできていないが、ここに寄稿されている会計士のみなさんとともに、業界全体を盛り上げ、啓蒙し続けることで、より身近な存在になっていけると強く信じている。
07
人生の目的と公認会計士という資格
私にとって人生の最大の目的は、「心の充実」にあると考えている。この心の充実は、如何にヒトのためになったか、ヒトから感謝されたかではかられると思う。そのためには時には多少の犠牲は付き物だ。私にとって公認会計士という資格は、そこで何かあった時の「最強の保険」であると考えている。
また人生の目的として、仕事面で言うと、「やりがいのある仕事をし続ける」ことである。これからも手掛ける仕事は「感謝される仕事であるか否か」「自分の責任下で進めていけるか否か」を判断軸にしていきたいと思う。
前の会社では、主要な事業計画の遅延を理由にIPOを一時諦めざるを得なくなったが、その過程で、自分としてもっと貢献出来たことはあっただろうし、自分でコントロール出来なかった後悔もある。おそらく、自分の責任範囲やコントロール可能な範囲がより広かったら、もっと違った気持ちになったと思う。いまの会社設立の経緯にもなるが、この一件を通じて自己責任の下、自らコントロール出来る仕事をしたいと思った。もちろん、良いことだけではないのは覚悟の上だが、それもやりがいに繋がっていると強く思う。公認会計士という資格は、使い方次第で、「やりがいのある仕事を獲得するための絶好のツール」になり得ると思う。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
私は、会社を作ったからには社会に何らかのインパクトを残したいと思っている。公認会計士がもっと幅広いフィールドで活躍できる環境づくりに貢献したいし、会社の原動力として公認会計士がより活躍できる事例を積み重ねていきたいと思う。
人生の時間の大部分を占めるであろう「働く時間」をやりがいのある、充実したものにすることは、その人の幸せにそのままつながると思う。そのために、やりたいことができる、個々の強みを最大限生かせる環境づくりを会計士業界から波及させることができればとても幸せだと思う。会計士業界は、これまでも規制やらルールやらで、窮屈になり過ぎていると思う。もちろん、法令、ルールはとても重要で、遵守し続けることは言わずもがなだが、一方通行に規制やルールに締め付けられるだけではなく、逆に公認会計士から世間に波及する事象があっても良いと思う。
プライベートでは、常に新しいことに挑戦し続けたい。ここ数年、私は「新しいことを毎年(出来たら3つくらい!)始める」ことにしている。これまで大小さまざまであるが、草野球、サーフィン、フルマラソン、トライアスロン、神輿担ぎ、料理教室から会社設立までやってきたが、これからは、空手、トランペット、ダイビング、陶芸、…ゆくゆくはセスナ免許取得などなど、生涯かけて挑み続けていきたい。もちろん、家族に迷惑が掛からない範囲で。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
会計士業界は保守的な方が多いイメージだが、資格があるからこそリスクを取るべきだと私は思う。たとえ失敗しても、働き口はいくらでもあるし、監査のアルバイトも数多ある。他人から見てとか、他人に言われてどうこうは関係なく、たとえ小さな一歩だったとしても、「はじめの一歩を踏み出すこと」がとても大切だと思う。例えば、監査法人から転職したいと考えているならば、同僚に相談してみる、人材紹介会社に登録してみる、実際に転職相談に足を運んでみるなど。独立を考えているならば、独立に関する情報収集をしてみる、独立開業セミナーに顔を出してみる。起業を考えてみるならば、経験者の色々な話を聞いてみる、創業相談に足を運んでみる(最近は東京都など行政でも手厚い創業サポートサービスが多い)など。
あと余談だが、大手監査法人にいる方は、いまのうちに社内研修制度、ブランド力など使えるものは何でも使った方が良い(私はこれがなく苦労した。。)。いつでも使えると思うとなかなか使えないものだが、いざ転職、独立するとなると、恵まれたとても魅力的な制度、ブランドであると気づくと思う。
私は、これまで年齢の割に転職回数が多く、一時期将来の方向性を見失いかけたこともあったが、これまで経験してきた業務は全ていま営んでいる会社の経営、業務遂行にプラスに働いていると感じる。リンゴのオジサマがかつて言っていた「点と線」の話はまさにその通りと思う。私もその時その時で選択ミスや意思決定ミスなど失敗しても、結果としてはいまに繋がっていると強く感じる。公認会計士、特に独立した公認会計士は生涯現役が一般的であるから、何事も始めるのに遅すぎることはない。
そもそも、これを読んでいる方は、公認会計士を目指す、公認会計士になったという大きな決断、目標達成をされているから、一般的な社会人よりも大きな決断、目標達成を既に出来る素養はあるはずだ。
周りの目や通例にとらわれずに、フラットにやりたいことを思い描いてみるのがいい。それは必ずしも会計でなくていいと思う。
会計士受験生の方へは、「とにかく1年でも早く合格しましょう」としか言えない。前述したとおり、人生に無駄なことはないことには変わりないが、こと受験勉強については少ない時間で駆け抜けるに越したことはない。私は、中学受験から会計士試験勉強の前半まで受験勉強を効率的に進めるコツがなかなか掴めずに大変苦労した。短期合格された方にとっては当たり前かもしれないが、情報戦を蔑ろにしたり、割り切りができなかったり。
きっとみなさんが合格し、実務経験をある程度積んだ頃には、今よりもっと公認会計士が活躍できるフィールドが増え、より魅力的な資格になっているに違いないだろう。


