会計士の履歴書
新井 良明

株式会社タスキ

代表取締役CFO

新井 良明

あらい よしあき

東京から愛知県へIターン。オーダーメイドでサービスを提供して地域活性化に取り組む独立系会計士

1988年8月20日生まれ(38歳) 東京都出身 愛知県在住

法政大学 経営学部経営戦略学科 卒業

新井 良明

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キャリアサマリー

東京都足立区綾瀬に生まれ、地元公立小学校・中学校を経て、高校は法政大学第一高等学校(現:法政大学高等学校)に入学。ベンチャー企業が脚光を浴びる中、当時3年間同じクラスであった友人と将来起業しようと約束。

高校三年生の進路選択をきっかけに公認会計士を目指すことを決意し、法政大学経営学部経営戦略学科に進学。大学3年次に試験合格直後にTACへ入社し、受験時代の恩師から「財務会計論の講師は講義数が多い分、担任のように受講生と携わることができる」という考えに共感し、財務会計論の講師となる。

母校である法政大学を始め、早稲田大学、慶應大学、明治大学などの学生を指導する機会も多く、在学中合格の経験を活かして学生目線のアドバイスを行い、大学内での講義も複数教壇に立つ。また、社外活動として全国学生会計連盟の立ち上げに参画し、幹事を務める。

TAC入社直後はリーマンショックの煽りを受け、会計士業界も就職氷河期を迎える。大手監査法人の採用抑制、価格競争の激化、合格者の抑制と試験の難化など、業界全体に逆風が吹き荒れる中、それでも会計士を目指す意義がある事を広く伝えるべく、自身も会計士のキャリアを模索。TAC講師として教壇に立つ傍ら、中小監査法人での監査業務、上場企業における経理業務、IPO準備会社支援、上場企業の決算支援業務などを経験。

高校時代に起業の約束をした友人とは、大学・社会人と進んでも起業を目指して定期的に情報交換。友人から赴任先である豊橋市の魅力と、地方が抱える若手世代の人口流出の課題を聞き、Iターン起業を決意する。2016年6月に高校時代の友人と共に「株式会社タスキ」を設立し、共同代表に就任。10年越しの約束を果たし活動をスタート。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

私は大学3年時に公認会計士試験に合格し,そのまますぐにTAC公認会計士講座の講師となる。TAC入社直後はリーマンショックの煽りを受け、会計士業界も就職氷河期を迎える。大手監査法人の採用抑制、価格競争の激化、合格者の抑制と試験の難化など、業界全体に逆風が吹き荒れる中、それでも会計士を目指す意義がある事を広く伝えるべく、自身も会計士のキャリアを模索。TAC講師として教壇に立つ傍ら、中小監査法人での監査業務、上場企業における経理業務、IPO準備会社支援、上場企業の決算支援業務などを経験した。

おかげで講師以外にも多種多様な経験をすることができ,それらの経験を踏まえて,2016年6月に高校時代の友人と共に、『株式会社タスキ』を設立し、共同代表に就任。現在は,豊橋という地域で様々な活動を行っている。

新井 良明さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

愛知県豊橋市において、株式会社タスキを設立し、現在同世代5人のメンバーを中心に活動を行っている。

“想いを繋ぐ襷(たすき)になる”という経営理念のもと、愛知県豊橋市を中心とする東三河地域において企業PR、求人採用支援などを主軸としている。東三河の情報発信サイトを運営し、地域の情報を始め、求人や企業の情報を発信することを起点に、企業の抱える課題に対して幅広くコンサルティング業務等も行っている。

一社一社、企業の事を良く知り、経営者の想いやそこで働く人たちの言葉に触れることで企業を深く理解する。企業の魅力を知ると同時に、後継者・人材の育成や新商品の販路拡大など、それぞれの企業が抱える悩みも受け取るようになる。こうした声に応えるサービスをオーダーメイドで提供する。また、企業の理念の中にある“繋ぐ”には次世代へと繋ぐことも意味しており、創業支援や新規事業立ち上げの支援なども行い、地域の活性に様々な取り組みを通じて携わる。

愛知県の東三河地域は農業とものづくりの盛んな地域で、日本の産業を支える地域の一つであると実感している。しかし、昨今の人手不足や若年世代の都市圏流出などの問題を抱えており、こうした課題の解決に取り組んでいる。地元の学生から話を聞くと、他の都市から東三河地域の大学に進学する学生も多く、地域の魅力や企業の良さを知らないまま東三河を後にしてしまう学生が多くいる事がわかる。その一方で、地元の企業を知るきっかけを作る事で地域に興味を持つ学生も多数いる事を実感する。ネット上で多く散乱する情報ではなく、実際に企業に足を運んで自分自身の目や耳で感じ、それを学生同士で共有しあう、“オープンキャリア・カレッジ”というプロジェクトを実施している。安定志向の学生が多く、公務員志望の学生が多い中、実際に足を運んだ企業への就職を希望する学生も現れるようになる。その他にも地域企業や大学との繋がりが増え、創業支援施設での活動、産学連携機関との関係も構築しながら、地域の活性に向けた活動を日々取り組んでいる。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

地方創生でよく出てくる“よそ者、若者、ばか者”の視点を持てる事が自身の強みであると考える。その地で生まれ育った人にとっては当たり前の事であっても、一歩外の視点から見ると価値あるものである事に気がつく。初めて会う方から「なんでわざわざ豊橋に移り住んだのか?」と聞かれる場面は多いが、外から移り住んだからこそ気がつく地域の良さを伝える事が出来る場面の一つであると考えている。

また、首都圏に比べて現在活動する愛知県の東三河地域では、Iターンして活動する公認会計士は少ないため、こうした人材の希少性については強みになると考える。ITシステムやクラウドサービスが発達する昨今、地方の中小企業においてはまだまだ普及が追いついていないのが現状である。人材不足を人材供給の面のみならず、IT等を活用した業務効率化の面からも支援している点は現在の強みを活かした仕事であると考えている。

新井 良明さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

TAC講師時代の先輩講師、試験委員を始めとする大学の先生方、会計士業界で活躍する会計士、ビジネスの最前線で活躍し会社を大きくし続けた経営者など、人との出会いを通じて心が大きく動かされる。

講師時代においては、全盛期にトップ講師として活躍した先輩講師から、当時の様子やその時代から引き継がれているものに触れ、こうした文化の蓄積に大きく刺激を受けている。講師としてだけではなく、一歩前を進む先輩会計士として背中を見せる振る舞いや、10年経っても試験の合否を問わずその生き方で元受験生を魅了し続ける姿を見て憧れを抱くようになる。

また、もう一つ別の場面では、 「資格・学歴にぶらさがる人になるのか、資格・学歴を支える人になるのか」という問いを受けたことがあり、その言葉も心に残っている。自身は附属高校から大学に進学したが、一般受験生には偏差値から自身の母校をあまり良く思っていない学生も多くおり、また、公認会計士試験の合格についても「資格を取っただけでは何も役に立たない」と外部からの批判を受けることもあった。優秀な先輩会計士が多数活躍する中“会計士のレベルを引き上げる”というのは恐れ多くて言えないが、少なくとも“自身が活躍することで周りの見方を変える”という事の大切さを意識している。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

会計士業界一般の認識として、“ファーストキャリアは(大手)監査法人”という風潮があることを強く感じている。会計士試験合格当時は会計士業界の就職氷河期と重なっていた事もあり、全員が大手監査法人に進むわけではなかったものの、就職市場の風向きが変わると共に再びファーストキャリアは監査法人の流れが強くなっていると感じる。

自らの選択とはいえ、あえて王道のキャリアと呼ばれる監査法人勤務をファーストキャリアに選ばなかったこと、その分相対的に監査法人での勤務経験が少ないことに対して不安を感じることは多々あった。

しかし、同時期に合格し、監査法人以外のファーストキャリアを歩んだ方々を見ると、経験の面でも収入の面でも監査法人勤務以上のものを得ている者も多く、それが自分自身への刺激となっている。また、自身の経験としても、公認会計士を名乗る以上は公認会計士として評価を頂く場面が多くある事。また、実際にはもっと幅広い活躍のフィールドがあるという事を自ら認識し、むしろ新しい活躍のフィールドを見つけることが自らの役割であると考えるようになる。現在は東京から地方へIターンして活動する公認会計士のロールモデルとなるべく活動している。

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人生の目的と公認会計士という資格

実家は零細自営業。不況の煽りであまり経済的には恵まれていない事を肌で感じている中、父からの「稼ぎは悪いが私立には入れてやる」という言葉が深く心に残っており、経済的に両親に対して恩返しをする事が自身の務めと考えるようになる。その中で見つけた公認会計士という資格は、会計分野の専門家として活躍する事で両親への恩返しを果たす事が出来ると考えた。

また、もう一つは自身の夢の実現である。当時公認会計士の事を調べる中で、会計士の資格を取得した後に、起業する方もいると言う事を知り、自身の起業の夢と重ねながら会計士受験の選択肢を決意した。将来どのような事業を行うかを問わず、会計の知識は幅広く役立つものであると考えており、現にタスキの活動を通じて公認会計士の知識・経験は起業を支えるものであると実感している。

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これから成し遂げたい事、将来の夢

地方から都市圏への人の流れは今後食い止める事が難しいと考える。しかし、地方から生まれるものが日本の魅力を生み出し、支えていると言う事を強く感じており、地方の活性は日本経済の活性とイコールであるというのが自分の考え方である。

そんな中、東三河は自然に恵まれた有数の農産・畜産・水産が盛んな地域である事。自動車産業に限らず、様々な企業の集う産業都市であると感じており、非常に高いポテンシャルを持つ地域であると考えている。地域の特性を活かした新しい何かが生まれるのではないかという期待に日々出会い、実現に向けて動き出しているものもある。私たちの活動を通じて東三河を知っている人が増えて欲しいというのが願いである。

もう一つ、これは会計士として、ファーストキャリアにおける監査法人以外の選択肢、首都圏ではなく地方でのキャリアプランを、これから会計士を目指す人達にも広めていきたいと考えている。様々な分野において活躍できることが、会計士という職業の魅力であり、会計士業界を盛り上げていくと考えている。こうした自身のキャリアから、次の会計士に伝えられる事があると嬉しい。

新井 良明さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

「自分が挑戦したいと思う道ならば、敢えて違う道を選ぶ」

王道・多数・無難。そんな道から一歩外れてみる不安は非常に大きいが、自身が開拓者となることで得られるものは非常に多いと考える。

原点に帰ってもう一度会計士を目指すことにした時の心境を考えて欲しい。多数の人間が普通に学校を卒業し、一斉に就職活動を経て社会に出るのにも関わらず、自分が目指したのはプロの道。加えて厳しい試験を乗り越えなければゴールにはたどり着けない。こうした会計士試験を乗り越えた自信があれば次に目指す道はどんなに棘の道でも乗り越えられる気がするのではないだろうか。また、どんな道でも特別なものは必要なく、人一倍学ぶ意欲、挑戦しつづける気概があれば切り開けると私は思っている。「迷わず行けよ。行けばわかるさ」そんな気持ちで進んでみるのはどうだろうか。