会計士の履歴書
齊藤 公彦

南富士有限責任監査法人

代表社員

齊藤 公彦

さいとうきみひこ

クライアントニーズに応え、クライアントの成長に貢献する会計士でありたい

1978年4月15日生まれ(48歳) 東京都出身 神奈川県在住

慶應義塾大学経済学部 卒業 2002年合格

齊藤 公彦

01

キャリアサマリー

1997

慶應義塾高等学校 卒業

2001

慶應義塾大学経済学部 卒業

2002

監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)トータルサービス部 入社

2012

新日本製鉄株式会社(現 日本製鉄株式会社)出向

2018

齊藤公彦会計事務所設立 所長就任

2020

ダーウィンシステム株式会社(現 タウンライフ株式会社)社外取締役就任

2021

南富士有限責任監査法人設立 代表社員就任

私は内部進学で受験を経ずに高校・大学に入学したが、バブル崩壊後の日本は不況続きであり、高校生の頃から自分の将来に対して危機感を抱いていた。終身雇用が崩壊しつつある世の中の状況を踏まえて、弁護士である父親から「何か資格を取れ」と言われてきたが、父親と同じ職業に就いても追いつくことも追い越すこともできないと考え、弁護士以外の難関な資格を目指すことにした。慶應義塾大学経済学部は特に公認会計士を目指す学生が多いこと、また試しに受けてみた簿記検定試験の勉強をしたところ数字を扱うことが自分に向いていると思い、大学1年の夏から公認会計士の試験勉強を始めた。途中3回試験に落ちて心が折れかけたが、2002年に4回目にして公認会計士二次試験に合格し、監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)トータルサービス部 に入社した。

トーマツのトータルサービス部において、約10年間、上場企業の監査業務、IPO(新規上場)準備企業の監査業務や上場支援コンサル業務に従事した後、2012年に新日本製鉄株式会社(現 日本製鉄株式会社)へ出向。ちょうど旧新日本製鉄株式会社と旧住友金属株式会社が経営統合するタイミングで、財務部決算室に在籍し、主に経営統合に関する各種論点整理、連結決算業務、グループ会社に対する助言指導、監査法人対応等に従事した。

2年間の出向を終えてトーマツに帰任した後、3年ほど監査業務や非監査業務へ従事したが、監査法人の置かれる環境が大きく変わっていく中で今後は個人で生きていくことを決断し、トーマツを退職し独立開業した。

2018年に独立開業した後は主に、上場企業の決算支援業務(連結決算、開示、投資評価等の会計上の見積り項目、等)やIPO準備企業の上場準備支援業務(内部統制構築、上場申請書類の作成、等)を提供している。監査法人時代に培った経験や、新日本製鉄株式会社への出向に経験した事業会社の経理業務経験(監査法人対応を含む)を活かし、クライアントへ貢献している。

さらに、個性的なメンバーとの出会いをきっかけに新たなチャレンジとして、2021年6月に南富士有限責任監査法人を設立し、代表社員に就任した。南富士有限責任監査法人はまだ設立してから日が浅いが、全国各地(東京、横浜、大阪、和歌山)及び海外(インドネシア、ハワイ)に拠点を有し、様々なバックボーンを持つ個性的なメンバーが集い、金商法監査・準金商法監査以外の監査業務(会社法監査、ファンド監査、リファーラル監査、等)、会計アドバイザリー業務(上場準備支援、IFRS導入支援、財務DDや株価算定、内部統制構築支援、等)を提供している。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

トーマツのトータルサービス部は、特にIPOに強い部門であり、会計士受験生時からIPOに強い関心がありトータルサービス部への配属を希望した。その経緯もあり、上場企業の監査業務と並んで、多くのIPO準備企業の監査や上場支援コンサルに従事した。業種業態や規模、ステージも異なる様々なクライアントに接することで、上場会社が抱える論点、IPOのプロセスや主要論点等について知ることができ、大変有意義な経験であった。

ただ、特に2010年以降に企業会計不正(粉飾決算)の事例が相次いだことから、会計監査に対する不正摘発の期待が高まり、金融庁や監査法人の方針として、会計監査の主目的が不正を看過しないことにシフトしていった。
そんな中で、2014年~2016年にあるクライアントの監査業務において、株式上場後数年間で気の緩みから内部統制が崩壊し、それを原因として不正が発生した事例に遭遇した。不正が発生した場合、監査基準や監査法人内のマニュアルに定められている不正リスク対応基準に従い定められた手続きを実施するが、その過程で監査法人の品質管理部門や審査部門と頻繁にコミュニケーションを取る。彼らは法人のリスクをヘッジする(事後的に不正を看過したことについて責任追及されることを回避する)ことに強い関心を持つ一方で、当事者であるクライアントのビジネスや本質に対する興味が薄いことに気が付いた。監査法人は一般投資家と企業の利益を保護する社会インフラとしての存在意義があり、監査法人を根底から支えている彼らの姿勢はある意味で正しいと理解はするが、私には相容れないものであった。私は、あくまでも目の前にいるクライアントを見て、彼らのニーズに応え、彼らの成長に貢献したいと思った。

また、上記と関連することとして、監査業務における不正リスク対応の手続や工数が大幅に増えてそこに人員を割いた結果としてリソースが不足するようになったことや、特に不正リスクが高いという判断の結果として、IPO準備企業の監査業務の新規受注を大幅に制限するように方針を転換した。会計士試験受験生時から変わらずIPOに強い関心がある自分としては、これも到底受け入れられるものではなかった。

このような、監査の限界や監査法人の方針転換を主な要因として、監査法人を離れて独立開業することを決断した。転職ではなく個人での独立開業を選択したのは、所属する法人の方針に関わりなく、自分自身の信念に従いクライアントに対してサービス提供するには、独立開業が最も自由度が高いと考えたからである。

齊藤 公彦さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

2018年に独立開業した後は、上場企業の決算支援業務(連結決算、開示、投資評価等の会計上の見積り項目、等)やIPO準備企業の上場準備支援業務(内部統制構築、上場申請書類の作成、等)を提供している。(コロナ禍でリモートワークも増えたものの)定期的にクライアントに常駐して私個人とクライアント担当者とで協働でサービス提供する形が多いこと、クライアントはIPO準備企業やIPO後も引き続き成長し続けているベンチャー企業がほとんどであることが主な特徴である。

これと並行して、2021年6月に南富士有限責任監査法人を設立した後は、金商法監査・準金商法監査以外の監査業務(会社法監査、ファンド監査、リファーラル監査、等)、及び会計アドバイザリー業務(上場準備支援、IFRS導入支援、財務DDや株価算定、内部統制構築支援、等)を提供している。監査法人のメンバー及びクライアントが全国に点在することからリモートワークが中心であること、様々なバックボーンや強みを持つメンバーが集っていることから様々な業務を受注し監査法人内で役割分担しながらサービス提供すること、クライアントはベンチャー企業に限らず様々な企業が含まれることが主な特徴である。また代表社員として、監査法人の組織運営にも関与している。

自分のキャリアパスを振り返ると、まず監査法人の職員として15年間経験を積み、次に3年半程度個人でサービス提供、その後監査法人に設立時から関与してより組織的にサービス提供、と紆余曲折を経ながらも着実にステップアップしてきたと認識している。今後も、個人での活動と南富士有限責任監査法人の拡大・成長への貢献とを並行していきたいと考えている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私独自ではないかもしれないが、クライアントの様々な方々(経営者、CFO、経理部長、経理部や事業部の担当者、等々)とコミュニケーションを取り、彼らが何に困っていて何を求めているかを把握して、問題の解決へ導くことができることが私の強みであると認識している。

今現在の仕事は、過去に仕事でご一緒させていただいた方からのご依頼やご紹介を受けて受注に至ったものがほとんどである。当時ご一緒させていただいて私の強みを理解していただいている方が、自分に直面している課題の解決のために私に依頼をして、私がサービス提供し、結果として課題の解決につながっている。まさに、目の前にいるクライアントが何に困っていて何を求めているか、それを解決するためにどうすれば良いかを実践した結果であると自負している。専門家として当たり前のことだと言われるかもしれないが、特に大手監査法人に在籍して監査業務に特化してきた公認会計士の中にはこれができない方が一定数いる中で、私はトーマツ在籍時からこれを徹底してきた。このように私の強みが、最終的に今現在の仕事において、クライアントの課題解決に貢献し、クライアントから感謝を受けるに至っている。

齊藤 公彦さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

トーマツ在籍時に、私はあるIPO準備企業の監査業務の現場責任者を担当していた。内部管理体制は適切に構築され業績も順調に伸長しており、上場は間近に迫っていたものの、ある取引先との間で訴訟案件を抱えており、最終的にそれがネックとなり上場を果たすことはできなかった(主幹事証券会社は審査で承認したものの、ジャスダック証券取引所に上場申請した際に承認を得られなかった)。現在は、証券取引所に上場申請してそれが却下されることは珍しくないが、当時はほとんどそのような事例はなく、残念なことにその稀な事例となってしまったのだ。
その企業はその後に別の事業会社に買収され、それをきっかけに監査法人も交代することになったのだが、その当時の経理部長とはその後も個人的に飲みに行く関係となった。その元経理部長と当時の話で盛り上がった際に、「齊藤先生、当時は本当にありがとうございました。今でも感謝しています。」と言っていただいたことは、今でも鮮明に覚えている。
最終的に上場という目的を果たすことはできなかったため決して良い思い出ではないのだが、そこに至るプロセスにおいて、私は監査をしつつも最大限クライアントをサポートし、そのことをクライアントである元経理部長から最大限の評価をしていただいたのである。今まで自分がやってきたことは決して間違いではなかったのだと確信した。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

「2. 監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ」にも記載しているが、2014年~2016年にあるクライアントの監査業務において、株式上場後に数年間で気の緩みから内部統制が崩壊し、それを原因として不正が発生した事例に遭遇した。毎日夜遅くまで大変な思いをして膨大な量の不正対応手続を実施したものの、残念ながらその苦労がクライアントに伝わることはなく、むしろクライアントとの関係はどんどん険悪になっていった。一度不正が発生してしまうと、発覚したこと以外に不正は発生していないのか、そのことをどうやって確認したのか、等々を詳細に調査する必要があり、膨大な調査や資料の準備を強いられる立場としては、クライアントが監査法人へ対して嫌悪感を抱くことも理解はできる。
ただ、クライアントとコミュニケーションを取り、彼らが何に困っていて何を求めているかを把握して、問題の解決へ導くことを信条としている私としては、目の前のクライアントと険悪な関係となり、徐々に意思疎通を図ることが困難となっていったことは非常に悲しいことであった。

これは監査(金融庁の審査対象となる金商法監査や準金商法監査)の限界であると悟り、私はそこから離脱する(トーマツを退職し、監査業務への関与をやめる)ことで乗り越えた。このことがあって、現在の南富士有限責任監査法人では、金商法監査や準金商法監査は受注しない方針である。

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人生の目的と公認会計士という資格

父親の「何か資格を取れ」という助言をきっかけとして取得した公認会計士という資格であるが、その助言の趣旨は、バブル崩壊後の長い不況下でかつての終身雇用も崩壊しつつある中で、大企業であっても定年まで働き続けることが可能か不明であり、それであれば手に職を持つことで組織に依存しない人生を送ることができる、ということであった。

トーマツからの退職を決意した際に、改めてこの父親の助言を思い出した。一般的に、監査法人を退職した後の身の振り方としては転職と独立開業が主な選択肢であるが、私は自分と考え方やポリシーが合わない人との人間関係に強いストレスを感じるということを強く実感したため、転職という選択肢を除外し、独立開業の道を選択した。この独立開業の道を選択することができたのは、公認会計士という資格を保有しているためである。仮に、個人としての事業が上手くいかなかったとしても、公認会計士という資格を生かして再就職等の生きていく道が存在する。一か八かではなく、保険がある状態でチャレンジすることができたのである。

このように、組織や他人に依存せず不要なストレスから解消されて自由に生きていくという人生の目的を達成するために、公認会計士という資格は不可欠なものである。

齊藤 公彦さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

2018年に独立開業してから3年半程度、不要なストレスから解消されて自由に生きてきた。ただ、公認会計士になって約20年たち、せっかく国家資格を取得して経験を積んできたのであるから、今後は何らかの形で世の中に貢献したいと考え始めた。ちょうど同じタイミングで、同じような志を持つメンバーとの出会いがあったことから、話し合いを重ねた結果、2021年6月に南富士有限責任監査法人を設立することとなった。

これから実現したいことは主に三つである。一つ目は、様々なバックボーンや強みを持つメンバーが集まっていることから、内容やボリュームの観点から自分一人ではできないことをメンバーで役割分担してサービス提供することで、目の前のクライアントに幅広く貢献することである。二つ目は、日本全国及び海外に拠点を有することから、東京や横浜といった首都圏に限らず地方の会社や海外の会社にサービス提供して、ひいては地方の経済活性化や日本企業の海外進出に貢献することである。三つ目は、これらの我々の活動を現役世代だけでなく次世代(会計士受験生、中高生、小学生以下の子供、等)へつなげて、彼らの幸せに貢献することである。

齊藤 公彦さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

公認会計士として将来の目指す道は、様々な選択肢がある。大手監査法人においてパートナーになって監査業界の発展に貢献する、事業会社へ転職し組織内会計士として企業の成長に貢献する、証券取引所や証券会社に転職し証券市場の発展に貢献する、独立開業ないし監査法人を新設し様々な形で経済発展に貢献する、等々。可能性はいくらでもある。

そのために、会計士受験生にしてほしいことは、何はともあれ会計士試験に合格するために最大限の努力(死ぬ気で勉強すること)である。将来どの道を目指すかは会計士試験に合格してから考えれば良い。私の経験では、将来どの道を目指すか、何をやりたいかは会計士になって実務経験を積まないと分からない(目指す道があったとしても、それは実務を知らずにイメージや想像によるもので、実態と則さないことが多い)ので、受験生の間は将来のことを考えたり悩んだりするだけ時間の無駄である。議論の余地はあるが、私はそう思う。

次にキャリアを模索する会計士にしてほしいことは、第一に、交友範囲を拡大して色々な人と話をすることである。会計士であれば、大手監査法人のパートナー、大手事業会社へ転職して要職へ就いた方、ベンチャー企業へ転職してIPOを達成した方、独立開業している方、等。会計士以外では、弁護士や税理士等の他仕業の方、事業会社の経営者やCFO、証券取引所や証券会社で活躍されている方、等々。大手監査法人に在籍する会計士は、自分が意識する以上に交友範囲や経験範囲は狭い。そのため、まず自分と違う業界やステージで活躍している方々と話をして、彼らの経験や考えていることを知り、その上で公認会計士としての自分が今後やっていきたいことや目指す道を見つけてほしい。第二に、自分の過去の経歴や経験した業務、強みや弱みを棚卸して、目指すゴールにたどり着くために必要なことや自分に足りないことをリストアップし、それを一つずつクリアしていってほしい。
幸いにも、今現在は公認会計士・監査業界は人不足の状況が続いている。大手・準大手監査法人は継続して非常勤職員を採用しており、保険がある。仮に新たな道で思い通りにステップアップできなかったとしても、生活に困ることはない。ぜひ、積極的にチャレンジしてほしい。