会計士の履歴書
Ryotaro Ako

アトピヨ合同会社

代表

Ryotaro Ako

りょうたろう あこう

キャリアを掛け算で考える 会計士×エンジニア×ヘルスケア起業家

1979年2月3日生まれ(47歳) 神奈川県出身 千葉県在住

慶應義塾大学大学院 理工学研究科開放環境科学専攻 卒業

Ryotaro Ako

01

キャリアサマリー

2006

新日本監査法人(EY新日本有限責任監査法人) 入社

2015

株式会社レノバ 入社

2017

第3子誕生に伴い、1年3カ月の育児休暇取得

2018

「アトピー見える化アプリ-アトピヨ」を開発/AppStoreからリリース

2021

アトピヨ合同会社 設立/代表に就任

会計士としての仕事の幅の広さに魅せられ、理工系大学院修了後、就職せず公認会計士資格取得を目指す。合格後は大手の新日本監査法人に就職。8年間国内監査部門に従事し、非上場会社から東証1部上場会社まで幅広い業務を担当。元々ベンチャーに興味があり、再生可能エネルギー分野に参入直後の株式会社レノバに転職。急成長していくレノバでは6年間に亘りバックオフィス部門を担当、海外含め新しい事業を次々に作り出して、やりきる姿勢を学ぶ。

1年超の育児休暇中に、昔あったアトピー性皮膚炎分野でのボランティア開始。その後、プログラミングを学習して、自ら開発・リリースした「アトピー見える化アプリ-アトピヨ」は、日本最大級のアトピー患者向けアプリ・コミュニティに成長。

個人ボランティアの限界を感じ、レノバを退職。アプリ開発の加速、製薬・医療との連携を目指して、アトピヨ合同会社を設立。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

新日本監査法人、その後のレノバでの経験は恵まれていた。

具体的なキャリアプランがないまま、2006年当時合格者が売手市場だったこともあり、給料や勤務時間も考え、最大手の新日本監査法人に入社。IPO部門への配属も考えたが、IPOから東証1部上場企業まで幅広くの会社が見えると判断し、国内監査部門に所属。
メインは消費者向けサービスの会社で、100年以上続く東証一部の名門企業であり、伝統を守りつつ最新テクノロジーを入れていく過程を真横で見ることができた。国内・海外、連結子会社・関連会社、短信・有報、内部統制と会計士の基本となるところはここで学んだ。また、海外出張の機会にも恵まれた。
ここでのスタッフからインチャージとしてまとめるところまでは、毎年新しいことにチャレンジでき、非常に面白かった。

しかし、インチャージとして数年ルーティンを繰り返しているうちに、監査法人での仕事と役職が見えてくる。監査という仕事は、会計や税務や監査のルール変更はあるものの、ルーティン作業の繰り返しであるということに、物足りなさを感じることがあった。
ベンチャーやIPOといった新しい会社を担当する機会が当時あまりなく、また、数値をあとからチェックする監査という仕事ではなく、数値を生み出す事業会社へ行ってみたいという思いが強くなる。そこで、2015年にベンチャー企業である株式会社レノバの経営管理本部に転職。100社超に書類を送り、面接も30社位受けた中で、1番面白そうなベンチャーに決めた。

転職先の株式会社レノバは、太陽光・バイオマス・風力発電などを手掛ける再生可能エネルギー専門の発電会社。私が入った2015年初と比べ、独立系の再生可能エネルギー専門の発電会社として東証一部に上場したこともあり、再生可能エネルギーへの注目とともに、株式会社レノバも大きく注目されるようになってきた。

会社が東証マザーズ上場、東証一部指定替えと大きく成長する中で、私自身も連結決算と開示と税務、国内・海外子会社立ち上げや子会社の代表取締役、内部監査など、ベンチャーだからこそできる幅広い経験をすることができた。
自分が1番面白みを感じられたのは、会社という新しいものを立ち上げることができたこと。監査法人の中ではできない体験。海外や国内の仲間と密に連絡をとって、0から1を立ち上げ、そこが稼働し出して利益を上げていくのを間近で見られるのはやりがいがある。

Ryotaro Akoさん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

2017年に第3子が誕生し、これに伴い1年3ヶ月間の長期育児休暇を思い切ってとることに。

この間の生活は、会計士や会社員としての生活とは全く異なり、家と保育園と習い事の往復が私のメインの仕事となる。第1子と第2子の時は、日付を回ってから帰宅することも多く、子供と一緒に寝ることが少なかったが、子供3人の成長を毎日間近で見られるようになった。
また、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎といった持病のアレルギー疾患に向きあうようになり、患者会でボランティアを開始。特に幼少期に罹患したアトピー性皮膚炎について強い問題意識を感じたことから、プログラミングを勉強し、日本初の「アトピー見える化アプリ-アトピヨ」を自ら開発・リリースする。その後、アトピヨは順調に成長し、日本最大級のアトピー患者向けアプリ・コミュニティに成長する。

個人ボランティアでアプリを運営する体制に限界を感じ、アプリ開発の加速、製薬・医療との連携を目指して、2021年にアトピヨ合同会社を設立し、代表に就任。現在は、アプリを開発する一方で、製薬会社との連携をすすめている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私の強みは、公認会計士、エンジニア、ヘルスケア起業家という3つの側面をもっていること。

大学院の指導教授と会計士の友人から、キャリアの考え方として掛け算があるという話を教えてもらった。
例えば、公認会計士は難関資格であり、それをもっていることは強みでもある。ただ、会計士同士で比較すると、それは強みにはならない。そこで、会計士でコードも書けるとなると、会計士の中でもごく一部に限られ、強みになる。これに、さらにヘルスケア起業家を掛けると、日本でも珍しい存在になる。
会計士という資格は、起業する上でも武器になった。定款作成・資本金払込・設立登記など受験時代に習ったものの、仕事であまり使う機会が無かった知識が、会社を自分で設立するという実体験でいかされた。期末決算や税務申告を自分でできることも、これから楽しみたい。

Ryotaro Akoさん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

心が大きく動いた瞬間は、自分で一から作ったアプリが人に使われ、その方からお礼のメッセージをもらった時。

2015年にはアレルギーが原因で救急車に運ばれたこともあり、アレルギーやアトピーは自分にとってマイナスの経験である。ただ、それがアプリ開発を通じて、回りまわって人の役にたったと思うと、辛い経験も無駄では無かったと思えるようになってきた。
経産省「ジャパン・ヘルスケア・ビジネスコンテスト」・総務省「異能vation」など複数の受賞、NHK・読売・毎日・産経など複数のメディア掲載を通じて、アトピーの方への認知も少しずつ広まりつつあり、2021年には2万ダウンロード・4万枚の投稿画像がある日本最大級のアトピー患者向けアプリ・コミュニティに成長して、人の役に立てているという確かな実感がある。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士として深く悩んだことは、独占業務である監査をやり続けること。

監査法人時代に、名門企業を担当させていただき、その監査チームにいる中で自分も成長できた。しかし、何回か経験しているうちに、監査がルーティンワークであること、そして、新しいことができないことに面白みを感じられなくなってしまった。
その時、私はベンチャー企業への転職という選択をしたが、VC、金融機関、コンサルなど公認会計士が活躍できる場面は広い。やりたいことがあれば起業してもいい。また、監査法人の中でもベンチャー支援・公会計・海外駐在・コンサルなど色々な選択肢があるので、法人に所属していても面白いキャリアを築くことはできる。

07

人生の目的と公認会計士という資格

私の人生の目的は、自分自身の人生を生きるということ。

昔の自分がそうだったのが、他人の目ばかりを気にしてしまうこと。自分に自信がないので、他人に良く思われたいという思いばかりが出てくる。高校・大学・大学院と成長するにつれ、徐々に自分に自信をつけることができ、3回目の挑戦での公認会計士合格も私に強い自信を与えてくれた。

子供時代に大活躍していた有名人の訃報をニュースで聞いたりして、よく思うのが「人生は短い」。彼らは、やりたいことをやり遂げたのだと思うのだけど、自分はどうかと自問してしまう。

自分の人生は、やりたいことをやり切った人生にしようと思う。
そして、公認会計士はそのための1つの有効な手段だと思う。公認会計士資格があれば、それだけで独立開業することもできる。企業にいたとしても、自分のやりたい仕事に近づけるはず。 失敗しても、公認会計士資格を使ってまた復活できる。起業する際に調べたところ、自己破産しても、公認会計士資格は剥奪されない。資格の制限は、自己破産手続から免責許可までの数カ
月間だけ。やり直せる。

Ryotaro Akoさん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

お陰様で自分で開発したアプリ「アトピヨ」は、2万ダウンロードある日本最大級のアトピー患者向けアプリ・コミュニティに成長したが、まずは、今の3倍の6万人に日常的に使われるアプリを目指している。これは、日本のアトピーの方600万人の1%に相当し、その先は60万人を考えたい。

長期的には海外でも展開していきたい。世界中のアトピーの方にアトピヨを使ってもらってデータを蓄積し、それを新薬開発や診療に活用してもらう。将来的にはAI(人工知能)を使った画像診断にも取り組みたい。そうやって、製薬・医療と連携して、巡り巡って患者さんに還元されていくサイクルを作りたい。まずは日本で普及させて、次は2700万人の患者がいるアメリカを目指したい。

Ryotaro Akoさん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

キャリアの掛け算を意識して欲しい。

私の場合、キャリアプランが明確でないまま、大手監査法人に入社した。しかし、その後、ベンチャー転職、アプリ開発、ヘルスケア起業など、今までとは違う分野にチャレンジ・掛け算することで、キャリアの幅を広げることができた。

監査法人に入った当初は、監査の専門性を高めて、法人内で上を目指すという漠然としたイメージがあった。監査という業務を縦に深掘りして、トップを目指すのは素晴らしいことではあるが、試験に合格した会計士同士での熾烈な競争でもある。監査を一通り経験した後は、海外・ベンチャー・金融・公会計・コンサル・システムなど関連分野を横に掛け算すると面白い。私はプログラミング学習してアプリ開発したが、関連分野を飛び越えて、大きく横にずれてしまうのもありかもしれない。
キャリアを横に掛け算していくことでも希少なキャリアになる、という視点があると、選択肢が広がるだろう。

また、機会があるのであれば、男性・女性に限らず育児休暇を是非取得して欲しい。出来れば1カ月以上とれると良いと思う。
社会人になると長期休暇をとるのはなかなか難しかったりする。子供の大事な成長に立ち会えるというのは勿論だが、一度立ち止まって、キャリアの棚卸をしたり、スキル獲得にも使える貴重な機会になると思う。