会計士の履歴書
神崎 時男

株式会社オーディター 等

代表取締役

神崎 時男

かんざき ときお

クライアントの期待を常に上回ることを考え続けるIT統制のプロフェッショナル

1970年代生まれ 神奈川県出身 神奈川県在住

中央大学 商学部会計学科 卒業 2000年合格

神崎 時男

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キャリアサマリー

2000

朝日アーサーアンダーセン株式会社(現 PwCコンサルティング合同会社) 入社

2002

朝日監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人)入社

2008

公認会計士神崎時男事務所 設立

2012

株式会社オーディター 設立

日本公認会計士協会東京会IT委員会 委員長就任 ※2014年再任

2013

日本クラウドセキュリティアライアンス(CSAJC) 監事就任

神奈川県藤沢市で幼少期を過ごし、サッカーに明け暮れる毎日でした。藤沢市の選抜チームにも抜擢されましたがケガとの闘いで高校時代に挫折。高校は、県内の屈指の進学校である湘南高校でしたが、サッカーの挫折とともにバンド活動に明け暮れ、高校3年生の秋季構内模擬試験で校内文系最下位の成績に。そんな中、大学進学を意識し始め、建築家を考えるものの成績から断念。中央大学商学部会計学科に入ったのは、なんとなく経営に興味があったという程度の動機でした。

大学3年秋の就職活動開始時期までは、アルバイトに明け暮れる毎日。アルバイトの中で最も自分に合っていたのが、家庭教師とスポーツジムのインストラクターであることに気付きました。共通点は、自分の知識や経験で人になにかを教え、そして喜んでもらえること。スポーツジムではいろいろな人生の諸先輩方に出会い、その中で、20代後半にして、独立して経営コンサルタントとして活躍する人物に出会いました。彼に触発され、経営コンサルタントを目指そうと考えましたが、自分には圧倒的な知識やスキルが必要だと感じ、公認会計士資格取得を目指しました。監査業務を行いたいわけではなく、当初からコンサルタントとして独立するためのツールとして考えていました。

当時の公認会計士2次試験に合格した後は、コンサルタントスキルを得ようと、アーサーアンダーセンに入社し、配属されたのはERPシステムを導入する部隊。しかし、求めていたコンサル像との乖離を感じ、朝日監査法人に異動し、国内系の監査部門に配属されました。ただ、当初より監査業務に興味がなかったため、十分なスキルが発揮できずにいました。

コンサルタントとしての道が見えてきた契機は、内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)です。2004年に監査法人内部でIT監査部に異動。アンダーセンで培ったITのキャリアと、監査部門で培った業務、監査のキャリアを融合させた仕事ができるようになりました。そのスキルを活かし、2008年に独立し、公認会計士神崎時男事務所を設立。IT統制の監査を中心に業務を受注しました。また、会計士協会では、本部のIT委員のみならず、東京会のIT委員会の委員長も2期務め、次第にネットワークが広がっていきました。徐々にITに関連するコンサルティング業務の受注が増え、2012年にコンサルティング業務を請け負う株式会社オーディターを設立し、現在もIT統制を中心とした業務を受注しています。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

公認会計士の受験も必ずしも順調ではなく、5回の受験のあと2000年に当時の2次試験に合格しました。コンサルティングスキルを得ようと、アーサーアンダーセンに入社し、配属されたのはERPシステムを導入するコンサルティング部隊。当時システム系人材は世の中にまだまだ少なく、自らに配属の選択肢はなかったものの、たくさんの可能性を秘めた部隊に配属されたことをうっすらと感じていました。
会社は、人種の坩堝(るつぼ)ともいえる状態で、様々なキャリアをもっている人と出会いました。また、コンサルタントを目指すからには、一癖も二癖もあるメンバーが多く、そういった意味では毎日、刺激にあふれていました。しかし、当時のコンサルティング会社は、システム導入の失敗事例も多く、アサインされたジョブも深夜まで作業を行いながら、クライアントと言い争う毎日でした。次第に求めていたコンサルタントのイメージとの乖離を感じはじめ、当時の3次試験の受験というタイミングで、メンバーファームだった当時の朝日監査法人に転籍しました。

監査法人では、国内系のグローバル企業が多い監査部門に配属されました。ただ、1年の大学受験浪人、5回の会計士受験、アンダーセンの2年の就業というタイムロスから、同期の中では最年長。「年下の先輩」も多い口惜しさが、その後の仕事に対する大きなモチベーションとなりました。ただ、当初は、会計監査という、自らが希望しない分野の中で自分のスキルを発揮することも難しく、上司と言い争うことさえありました。

転機のきっかけとなったのは、内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)。2004年に監査法人内部でIT監査に対応する専門部門(IT監査部)を拡大する方針が出され、システム導入のキャリアを買われて異動。アンダーセンで培ったITのキャリアと、監査部門で培った業務、監査のキャリアがはじめて融合した瞬間でした。しゃかりきに働き、毎日のように東海道線の終電で地元藤沢に帰る生活でも、充実したワークライフを過ごしました。また、IT監査の実務を担当するのみならず、J-SOX適用に向けて、IT監査ツールをつくるプロジェクトチームのリーダーを任され、また、会計士協会主催のIT監査に関する研修講師なども担当するようになりました。

2008年になると翌2009年3月に適用が開始されるJ-SOXの対応で業界全体が追われるようになりました。そんな中、中小監査法人のIT監査部門を統括する外部委託業務のオファーを受けました。当初から目指したコンサルタントとしてではありませんが、それを基盤としてコンサルタントとして独立する道が見え、2008年4月にIT監査部内で独立を宣言しました。ただ、J-SOX対応に追われるのは監査法人も同様で、11月までの慰留を受けました。

事件が起きたのは2008年の夏。なんと外部委託業務のオファーを受けていた監査法人がクライアントの粉飾決算に加担していたことが明るみになり、仕事が一切なくなったのです。しかし、当初から目指した独立の道を断つという選択はなく、中堅監査法人の非常勤の仕事をしつつ独立することとなりました。まったく順調とは言えない滑り出しでしたが、自分の目指す道へ近づいたことで、夢と希望を抱いていました。3人目の子供が生まれる時期とも重なりましたが、不思議と不安な気持ちはありませんでした。

神崎 時男さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

独立当初は、中堅監査法人の非常勤の仕事の傍ら、少しずつコンサルティング業務を受注するようになりました。当初は、クライアントと言い争いをする毎日がトラウマ的になっていたシステム導入のコンサルティングも行っていました。
ここ数年は、本業回帰ともいうべきIT統制評価を中心とした業務を行っています。中小の監査法人からIT監査の外部委託のみならず、J-SOX導入コンサルティング業務の受注を受けています。両者ともに、IT内部統制の評価を外部監査人として行うか、会社側に立って経営者評価を行うかの違いのみで、業務分野としてはまさに本業といえるでしょう。
また、J-SOX導入コンサルティング業務は、IT統制にとらわれず、業務プロセス統制、全社統制といった分野も請け負っています。とくに業務プロセス統制はIT業務処理統制と一体として評価することが効率的です。
よくあるJ-SOX導入コンサルティングサービスは、それぞれを別に評価することで、ヒアリングや資料収集等の作業が二重に行われる傾向にあるのみならず、キーコントロール(統制上の要点)の抽出を、両者を総合して判断できず、過大なコントロールの抽出、評価が会社の多大な負担になっているケースが多いのです。業務とITを一体として判断し、効率化するサービスはクライアントに好評をいただいています。

さらに、システム導入に平行してIT統制を構築するリアルタイムオーディット業務が多くなっています。IT業務処理統制に関しては、新システムのあるべき業務(ToBe)フローをベースとしてウォークスルーを実施。また、 IT全般統制に関しては、システム導入過程に平行して、作成される各フェーズの成果物を確認していきます。内部統制構築に必要な助言をシステム導入と並行して行い、最終的に本番年度にかけて評価をしていくのです。
この効果は大きく、リアルタイムに必要なITコントロールのチェックを行うことで、システムの追加開発、テスト実施、各種統制用資料作成等による事後的な手戻り、工数増加を防止できるのです。また、本番年度にいきなり評価を実施し、開示すべき重要な不備が検出されることも防止できます。さらには、このサービスでも手作業の統制もふくめて業務プロセス全体としてプロジェクトを進めることで、最も効果を発揮しています。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

大学時代のアルバイトの中で、自分に合っている仕事の共通点は、自分の知識や経験で人になにかを教え、そしてなにより結果を出すことで喜んでもらえること。その原点はいまでも変わっていません。
圧倒的な知識と経験は、IT統制の分野で培ってきました。それを惜しみなく発揮することは常に考えています。また、アンダーセン時代に「Exceed」というコーポレートメッセージがあり、それは今も肝に銘じています。クライアントの期待を常に上回る。それらは会社の企業理念としており、ホームページにも次のように載せています。IT統制というニッチな世界ともいうべき業種にいることも強みの一つですが、根底としての強みは、ベースとしての考え方にあると自負しています。

●Specialize
経験、知識に裏付けされた専門的能力に基づくサービスを提供する。
●Collaborate
ITと業務を融合した、効率的、効果的サービスを提供する。
●Exceed
常にクライアントの期待を超越するサービスを提供する。
●Fair
職業的専門家として、常に公正な判断を保持する。
●Please
クライアントに喜ばれるサービスを提供する。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

仕事をするうえで万人に共通する喜びは、「ありがとう」と言ってもらえることだと考えています。つねに「●Please クライアントに喜ばれるサービスを提供する。」を心がけ、それが達成できた時には充実感でいっぱいになります。
なかなか監査業務の中では難しいですが、IT統制監査は比較的、そういった仕事につなげることができます。IT内部統制の指摘は、会社にとってはセキュリティの穴になるので、それは言い方さえ間違えなければ期待できることなのです。もちろん、独立性の限界はあるものの、いわゆる監査人の「指導的機能」を最大限に発揮し、監査クライアントと気持ちが一つになれる瞬間があります。

さらに最近は、会社法の会計監査を行うこともありますが、会計監査でもそういったことは可能であると考えています。以前の監査業務での話ですが、アンダーセンで培ったプレゼンテーションスキルを最大限に発揮した監査報告会を実施しました。フィードバックの内容は、大半が会計監査よりも内部統制に関する指摘事項でした。上場企業ではないため、決して内部統制がしっかりしているとは言えない状況で、クライアントのことを親身になって考え、統制構築のアイデアも現場担当者のヒアリングを重ね、十分に実務的な内容で提示しました。もちろん意思決定にまでは関与しませんが。
この仕事は前任の会計士からインチャージ業務を引き継いだ初年度でした。1年間、苦労の連続であったこともあり、報告会終了時に会社のカリスマとなっている会長から拍手をいただいたときは、涙をこらえました。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

会計監査業務そのものは、本質的には会社に喜ばれず、何も言わずに早く帰ってくれる監査人が喜ばれる側面は否めないと思います。これは、監査という業務の性質もありますが、クライアントの立場に立つと致し方ない面もあるでしょう。そして自分自身も、特に監査法人で会計監査スタッフをしているときなど、ずっとその側面に悩んでいました。
ただ、近年になってようやくクライアントもプロフェッショナルの指摘を求めていることに気付いたのです。そして、指導的機能の範囲を最大限に発揮すれば、「ありがとう」と言ってもらえることも。
その根底には、追及したIT監査の知識と経験の裏付けが必須だったと思います。100社を超えたあたりまではカウントしましたが、それも10年ほど前。今ではその倍以上のクライアントのIT統制を見てきました。自分がデファクトスタンダードだと思えるようになっています。その自信が、監査の壁を乗り越えさせてくれているのではないでしょうか。

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人生の目的と公認会計士という資格

人生の目的は、幸せになること。なにが幸せかは、人によって違うように感じますが、自分にとっては充実した人生を送ること。いまだに湘南高校の体育祭は忘れられません。半年以上の長い年月をかけて、体育祭に向けて学年を超えてチームになって取り組む。競技のみならず、ダンス、ダンスの山車、バックボード(校庭の背景に飾る巨大な絵画)などがあり、それぞれのパートに分かれて、一丸となって取り組んでいく。あっという間に本番当日を迎え、もちろん勝者と敗者がきまるため、結果が出ないことも多いのです。でも、夢のような時代が過ぎていきました。これは、体育祭本番という目標があったため、それに向かって時間を忘れていたことが幸せだったように感じます。脳科学の書籍によるとこういった状態をフロー状態と言うようですが、このように常に何かやりたいことに囲まれているのが良いのかもしれません。
いまの自分に公認会計士という資格は、それを満たす手段になっています。クライアントに「ありがとう」と言ってもらえる仕事は、自分を充実させてくれていると思います。

神崎 時男さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

本当に幸せかといわれると、まだ、素直に幸せと言い切れない自分がいます。独立して10年、一心不乱にやってきました。良いご縁のおかげで、ようやく安定して業務を発注いただけるようになりました。ただ、まだまだ仕事を選んでいける立場にはありません。相変わらず、休日作業とひどい肩こりにも悩んでいます。
近年は、アライアンスメンバーにいろいろな業務をお願いしています。おかげで営業的な業務やマネージメント業務が中心となってきており、少しずつ、ワークライフバランスも取れてきたと思います。
そして、究極的には、将来の夢として、本当に心から付き合えるクライアントとの仕事で満たしたいと願っています。

神崎 時男さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:「幸せ」を目指すならまずはこのアクションをしよう

幸せは、まずはこちらから与えることで、与えてもらえるものだと思っています。これは、仕事も同じ。もちろん、まずは仕事を受注しなければなりませんが、「ありがとう」と言われることを目指す、つまりは、まずはこちらから与えるような仕事をすることがよいのだと考えています。その結果として、リピートの仕事をいただくことで、仕事としては充実した幸せな人生になると思います。