
マルナゲカンリ株式会社
代表取締役CEO
小澤 拓
おざわ たく
中小企業こそが日本の成長の鍵
1985年1月24日生まれ(41歳) 神奈川県出身
早稲田大学法学部 2007年合格

01
キャリアサマリー
監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ) 入社(合格年次は2007年)
デロイトトーマツコンサルティング合同会社 入社
株式会社カドー 取締役就任
エムトラスト株式会社 社外取締役就任(監査役として現任)
株式会社キューブ 取締役就任
マルナゲカンリ株式会社 創業(現任)
神奈川県横浜市生まれ、ということもあって家系ラーメンが大好き。
幼少期から友人には恵まれ、学生時代は楽しく過ごしてきた。若いころから長距離を走ることが好きで、大人になってからも定期的にトレイルランニングをするのが趣味。
大学生時代、まだ自身がやりたいことも明確に定まってはいなかったものの、将来は経営を自分でやってみたいという想いがあったことから、その最初のステップとして、経営やファイナンスを学ぶことができる会計士を目指すこととした。
昔から、挑戦する、ということは好きで、大学受験のとき、会計士試験のとき、ハードルが高くなればなるほど超えてみたいと思う性分なのか、比較的タフネスなタイプの人間だと思う。
2007年に会計士試験に合格後、2008年に監査法人トーマツに入所し、法定監査業務やIPO準備支援業務、中小企業向けのコンサルティング業務に従事。3年の勤務を経てグループ会社であるデロイトトーマツコンサルティング(以下DTC)に出向・転籍し、日系大手企業のシェアードサービスセンター構築支援や、バックオフィス組織改革等、コーポレートファイナンス領域の各種コンサル業務に従事した後に、2014年家電ベンチャー企業のカドーに転職。CFOとして資金調達(エクイティ・デット)や社内体制構築等、IPO準備を推進しつつ事業成長を牽引。2017年には、不動産売買を手掛けるエムトラストの社外役員に就任しつつ、ゴルフアパレルMARK&LONAを手掛ける株式会社キューブの取締役に就任。採用や人事制度設計・運用等、組織体制構築を推進し(就任当時約20名→退任時約100名)、IPO準備をリード。2022年10月にグロース市場への上場を果たし、2023年からはCOOとして業務全般を推進した。
一連のキャリアの中で感じたこと。それは、「中小企業」には人も金も時間も足りていない、ということ。
日本企業の99.7%を占める中小企業が成長しないことにはこの国の成長はなく、中小企業がリソースを確保していくことはこの国の課題であり、それを解決するために自身に何ができるのか。
たしかに直接的に付加価値を生み出さないが、どの企業にも必ず課せられる管理業務という手間やコストを減らすことができれば、中小企業の成長を間接的にサポートできるのではないかと考え、2024年、バックオフィスBPOを手掛けるマルナゲカンリを創業。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人トーマツの横浜事務所(旧トータルサービス部門のサテライト事務所)で、金商法監査・会社法監査を主としてIPO準備支援や中小企業向けの経営コンサルティング業務に従事した。
経験できてよかったことは、新卒のいちスタッフが経営者と話をできる環境があったこと、に尽きる。監査もIPO支援も、コンサルティングでもそうであったが、若いうちから経営者のビジネスに関する考え方や会社の運営方針等を聞くことができたのは本当に勉強になったと思う。その経験の中で、今でも大事にしているのは「Audit=聴く」ということ。相手が何を考えているのかを正しくヒアリングするためには自分自身にも当然ながら知識や経験が必要になるので、そのために諸先輩方に指導いただいたことや自己研鑽を積んだ過程が今にも活きていると思っている。監査法人後のキャリアという点については、元々公認会計士を目指したのもいつか起業するという将来のためであったため、監査法人入所当初より監査法人の次はコンサルティングや事業会社への転職をと考えていたこともあり直接的なきっかけは特段ない。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
現在は、日本全国の中小企業向けにバックオフィス(=管理業務)のアウトソーシングサービスを展開するマルナゲカンリ株式会社(※1)を共同代表として経営。共同代表の西澤(※2)とはDTC時代から飲み仲間として10年来の付き合いで、二人の共通項としては中小企業に深くかかわってきた、ということで、そこに存在する課題を痛感していた中で、自分たちに何かできることはないかと考え、共同で操業することとした。
当社のメインとなる業務は記帳代行や給与計算といった経理領域業務の代行で、すべての顧客向け業務をオンラインベースで実施している。
これまで士業の当然の慣習として行われてきた月額顧問料を廃止し、工数ベースに基づく顧客にとってシンプルで低コストな価格設計が最大の特徴。そのために我々が徹底しているのが、業務の標準化であって、そのヒントとなったのは我々がコンサル時代に構築に関与したシェアードサービスセンター(以下SSC)の考え方である。ただし、個々の中小企業が単体でそんな仕組を作っても何のメリットもでないので、多くの中小企業で標準化や効率化といった価値をシェアしてもらう、すなわちマルナゲカンリが中小企業のための外部SSCとなることで、多くの中小企業のコスト低減を実現していくこととした。
なお、我々は過去の経験からIPOやM&A、事業計画策定や資金調達支援等幅広い領域で仕事をすることは可能であるが、その中でも特に、バックオフィス領域のBPO業務に税務業務はかかせないこともあり、自身の事務所(※3)も開業し業務対応してきた。創業して1年経ち、より一層のマルナゲカンリグループとしてのサービス強化に向けて2025年6月からは、マルナゲカンリ税理士法人(※4)を設立。今後は社労士法人等、他の士業法人も設立していき、弊社グループとして代行可能な業務領域を広げていく予定。
(※1)コーポレートサイト:https://marunagekanri.com/
Linkedin:https://www.linkedin.com/company/marunagekanri/
Facebook:https://www.facebook.com/marunagekanri2024
(※2)https://nishizawacpa.tokyo/
(※3)https://ozawaaccounting.com/
(※4)https://marunagekanri.com/lp/tax/
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
・単なる「先生」ではなく、実際に事業を行って、会社を経営してきたことから、中小企業の経営者が悩むポイント等を実際に分かっていること。
・コンサルティングを通じて管理業務をはじめとした業務標準化・効率化のノウハウを学んできたこと。
・中小企業~新興上場企業スコープに限って言えば、にはなるが、企画等の立案だけでなく実際に手を動かしてオペレーションを遂行し、マネジメントするところを、バックオフィスの全領域だけでなく事業サイド含めて一通りやってきたことと、その一つの結果としてIPOの実現まで経験していること。
このように、これまでのキャリアの中で培ってきた、士業専門家としての専門性だけでなく、コンサル時代に経験したシェアードサービスセンター構築PJでの業務設計経験、事業会社IPO・起業・M&A・経験を経て得た経営と事業の推進力を通じ、現在展開しているサービスについて、徹底した業務オペレーションの標準化とそれに基づくサービスの低価格化を実現している。
中小企業を何とか元気にしたい、サポートしたいと考えたときに、自分たちにできることは何か、の答えがまさに上記であるので、強みと現在の仕事は完全に結びついている。
もう一つ、独自ではないかもしれないが、会計士という観点で培えた強みは「傾聴力」で、話を聞いて論点を整理、解決の道を示していく、というシンプルであるけれど、困っている人たちをサポートするという観点では非常に重要な能力もまた、これまでのキャリア、そして今現在の仕事に強く活かせていると思う。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
心は昔からよく動く方なので、あまりこれというのもないが、前々職の株式会社カドーの副社長、前職株式会社キューブの現会長の仕事への姿勢については多くを学ばせていただいた。新しいものを生み出すということ、新しいものを生み出すには多くのエネルギーが必要で、それに対して当然にコミットしていくということ。私自身が実際のモノづくりという意味でクリエイターになったことはないが、先も見ながら目の前の仕事も熱量高くプロダクトに落とし込んでいくということを自然にされている様を見て、自身の仕事は自分で創り出し、その仕事を必ず自分でやり切ろうと思うようになれたことには今でも感謝している。もちろんできなかったこともあるが、その時は周りが助けてくれたし、その人たちを自分も助けていく、いつの時代も人を求心できる人が経営者である会社には良いチームができるように思う。自身もそういった経営者となって、良いチームを作っていこうと思っているし、今後はそもそも自分の心が動くのではなく、人の心を動かしていけるようにしていきたい。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
現状は監査業務も行っていないので公認会計士としての悩みは全くないが、敢えてお伝えするならば、「深度」の話になるかと思う。
会計士をはじめ、各種士業は、その道の専門家であり、専門家でない方々との違いは圧倒的な知識でありそれに基づく考察力であり、になるかと思うが、私の場合は元々一つをひたすら掘り下げるというタイプではなく、幅広く色々な知識や経験を身に着けたいというタイプだったので、深度深く頑張る同期と自分を比較してダメだな俺は、と思ったことは何度もあった。ただこれもその後事業会社に転職してからは全く考えることは無くなった。非連続的な成長を志向して頑張ろうとすれば、そもそもどこまでいっても自分一人で全ての仕事を“完璧に”こなすことは不可能だし、自分ができなくとも他のメンバーができればよい、その代わり自分は別のことをできればよい。特に、一つの業務領域に関して自分より圧倒的に仕事ができる部下を採用し、それをマネジメントし責任を持つことができてこそ会社を成長させられる、と心掛けるようになってから、そして、それをある程度実践できてきたことは、結果的に自身を大きく成長させてくれたと思う。
07
人生の目的と公認会計士という資格
監査法人を退職してもう14年になるが、例えば転職した会社が潰れる(私が関わった会社は潰れていないが)等、何かあったら監査法人に戻るという選択肢はこれまでの人生で常にあったと思う。それだけ、会計士という資格は強力なものだと思うし、都度都度のチャレンジをしやすくしてくれたと思っている。会計士という資格を取得できたことは自分の人生にとってはポジティブだし、会計士資格を持った仲間等のネットワークにこれまでも助けてきてもらったと思う。
今の主戦場は、もっと広く、企業の成長を、という観点でビジネスを展開しているのと、将来的にも会計士として何かをする、という視点では考えていないので、自分の人生の目的とリンクしてくることは正直ないが、人生の大半を共にする「仕事」という生き方の起点となってくれた会計士という資格には感謝している。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
税理士業界や会計BPO等のマーケットは国内だけで見ても3兆円規模だが、そこを独占的にリードする事務所や法人はないし、我々がそれをしたいというつもりもない。
一方で、冒頭申し上げた通り、多くの中小企業をサポートする、ということを考えると我々自身がスケールしていくことは必須だと思っている。
まずは、「バックオフィスのBPOならマルナゲカンリ」と市場が認識してくれるところまではしっかりと進めていき、その後はさらに中小企業の成長という側面でできるサービスや、人の雇用創出という軸で展開できるサービスといった形で横に縦にサービスの幅を広げていくのも一つと考えている。
また、その過程で士業業界自体高齢化が進んでいる中である程度の再編は進むと考えており、我々自身が時代の変化に後れを取らないよう、テクノロジー面も含め先手を打ち続けながら、M&Aや業務提携等も含めながらグループ拡大は図っていきたい。
20年後に我々のビジネスが相当程度の規模までスケール出来ていれば、少なからずこの国の生産性向上には寄与できているはずであるし、課題先進国であるこの国での成功モデルをもって、今後人口減少が本格化していく世界各国に当該モデルを展開していくのも我々が外貨を稼ぐ主体になっていくという意味でチャレンジングではある。
こんな感じで、色々と考えればやりたいことにキリはなく、ゴールもないので、やると決めたことそれぞれに常に高い目標は掲げ続けながら、(私が心底で実現したいと思っている)自分たちの子供・孫世代が楽しく暮らしていける時代を創る、ということの一助となれるよう仕事を続けていきたいと思う。
最後に引退する時に、「我が仕事人生に一片の悔いなし」と言ってみたいので、そこに向かってこれからも走り続けていこうと思う。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:成功したいならまずはこのアクションをしよう
まず最初に、私自身、自分が「成功した」、とは全く思っていないので、そんな者からのアドバイスにはなるのであくまで参考程度にとは思う。
結局、自分が何をやりたいか、でしかなく、会計士というのは自分の人生を豊かにしていくための一手段に過ぎないと考えている。まして会計士試験や修了考査の合格、という事象はただの通過点でしかない。
例えば、もし今いる監査法人や今後入所したいと思っている監査法人で代表社員になりたい、と強く思っているのであれば、そこから逆算した時にどういうルートを辿ればそれが実現できるのか(〇〇監査法人△△部門に入所→マネージャーに昇格、ドイツ事務所に駐在、帰任後大手クライアントのインチャージ、パートナー昇格、5年以内にセールス実績を出して部門長に就任、等々)を考えて、そのためにまずすぐにできることは何かを考えて行動に移す。
他方、終了考査合格している公認会計士の方で、会計士キャリアを活かしてビジネスをやっていきたいと思っているなら、すぐに転職(活動)する。(現実、例えばCFOとして働きたいのであれば試験合格者よりも会計士の方が何かと便利)
私の場合は転職をしていったタイプの人間なので後者の方が解像度は高いが、私自身のこれまでの経験を分解すると下記となる
① 会計士(専門性)
② コンサル(論点整理、オペレーション設計力)
③ 事業会社(経営・事業の経験)
この①と②と③を掛け算できるから、現在の仕事を創業できている。
とことん①を極めたいという人であれば、監査法人や税理士法人等でのキャリアが向いているのではと思うので徹底的に専門性に磨きをかけていってもらえばよいと思うし、もし外に出て活躍したいのであれば、③での経験を早く積んだ方がよい。もちろんコンサルに行きたい、コンサルで得られる経験が欲しいなら②にいけばいい。
いずれもうまくバランスを取りたい!ということであれば私の会社マルナゲカンリのような会社も良いかもしれない。
中々すぐに行動をといっても、、、となるかもしれないが、辞めてももし戻りたければまた戻ればよいだけだと思うし、人手不足のこの時代、元いた場所に戻れないということもない。何かを得て持ち帰れば元居た組織にもプラスは生まれる。優秀な方々は流動して当然、まずは動く。そこからかと思う。
最後に、先述した「深度」に関連して、会計士の方々は他の士業の方々と比べると、専門性とビジネスのバランス感覚が良い方が多いように思うが、それでも根底は専門性であって、大手監査法人で上に上がっていく人たちもやはり専門性が最初に来るという方が多いようにも思う。その中で、自身がどういったタイプの会計士なのか、会計士という武器をどのように活かしていくのか、は一度整理して、是非良いキャリア、未来を築いていってほしいと思う。


